イ・ランのレビュー一覧

  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
    全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
    姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
    本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。

    著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
    著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。

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    2025年12月15日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    感情や体の感覚まで手放して、生きなければならなかった__家族という地獄の中を。
    彼女が強く欲した"愛"と"死"が切実に鋭利な言葉で綴られていた。このヒリヒリとした感覚は自分の痛みに繋がったからなのか。無数の傷を抱え私たちは生きていく、死に向き合うことは生に向き合うことと等しい。

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    2025年10月26日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    苦しい。けれど傷を見せてくれるように紡がれる言葉から目が離せない。私は幸運なことにとても死と暴力から遠い人生を今のところ歩んでいる。本当に大切な人を失ったことがまだなく、自分自身も一度も死にたいと思ったことがない。だからこそ、こうして身近な死をたくさん経験して、失いながらも生きる言葉にしてくれていることが本当にありがたい。


    何より、「カッコの多い手紙」を読んで以降、ずっと猫のジュンイチのことが気がかりだった。
    この本の目次を開いて、ジュンイチが先に眠ってしまったことを察して、まだ本文を一文字も読んでいないのに泣いた。最後の方の、恐らくジュンイチとの別れについて書かれているであろう箇所を読む

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    2025年10月05日
  • 何卒よろしくお願いいたします

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    イ・ランもいがらしみきおも好きな作家なのだが、まずはその組み合わせにびっくりした。
    読み進めていくと、意外にも二人の共通点がとても多いことに驚かされる。とくに二人が家族の宗教から受けた影響や達観した人生観が色濃く出ているところは読みごたえがあった。
    お互いにとても誠実にしたためられた往復書簡は読んでいて気持ちが良いし、まさに世代・性別・国境を超えて育まれた友情を感じた。

    個人的には、『はちどり』のキム・ボラ監督が帯文を書いていたり、いがらしみきおから『哀しき獣』の話が出たり、イ・ランが教え子目線でイ・チャンドン監督のことを書いていたりするのも激熱だった。

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    2025年03月24日
  • アヒル命名会議

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    短編小説集には外れもあるけど、おもしろかった!
    珍しいサイズで珍しい横書きで進む、新世代価値観の物語。

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    2021年02月23日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    行動力があって、多才で、パワフルで、その力はどこから湧いてくるのか知りたくて本を手にした。家庭環境が良くなかったこと、幼い頃、幽体離脱をしていたことなど共感するところがたくさんあった。でも読んでいて辛くて苦しくなる部分もかなり多い。p150〜151の文章と「あなたと私の一日」の文章が特に好きだった。相棒ジュンイチのところはもう涙なしでは読めなかった。

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    2025年11月03日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    死者との関係を紡ぎ直すことあるいはその意味合いを変えてゆくことが生きるものにできることなんだなと思う。
    精神と身体の変化を感じ、見つめ、言葉にすることが人間の営みだと語る覚悟とか切実さが詰まったエッセイだった

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    2025年10月09日
  • アヒル命名会議

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    ネタバレ

    表題作やはりいい。神様は横暴。
    悪い意味ではなく女性の書いた本なんだなあというのが伝わってきた。筆者の人間性?みたいなものが伝わってきて良い。

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    2025年09月18日
  • GOAT meets01

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    はじめて文芸誌を隅から隅まで読んだ。

    良い意味でハードルが低く、ここから文芸誌を手に取る人もたくさんいると思う。
    小学館さん凄いことやってます!!!

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    2025年08月13日
  • アヒル命名会議

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    何なのだこの本は。フィクションなんだけど、どこかで私たちが思ってる「あれ?これっておかしいのでは?何かちょっと違う?」みたいなことを、不思議で可愛くユーモラスに書かれている。
    私が感じている違和感を、数々の登場人物が一緒に持ってくれる。そしてその違和感は、決しておかしいことじゃなくて、それを限りなく自分の世界へと落とし込んでくれる。

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    2021年07月15日
  • アヒル命名会議

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    はじめ、わ、横書き! とおどろいて、それから後書きにお母さんが寄稿していることでまたびっくり。
    よみすすめていくと、けっこう母親との相克を題材にした作品がちょこちょこあるので(キョンヒ台風とか)それはきっとテーマのひとつなんだろうなと思い、そうなるとあとがきがまた、いっそう重く感じられたり(^_^;;

    じつは、毎日、お風呂に入りながら一編ずつ読んでいたのだが、どこからでも読めるし、それぞれの作品の感触がちがって、全体としてとてもよかった。
    表題作の「アヒル命名会議」は、大丈夫なの?と思うくらい神がひどい(笑) 神がこしらえたアヒル様生物を命名することになって、サタンがduckはいかがでしょう

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    2021年02月12日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    出張で行った高松市の素晴らしい書店、ルヌガンガで購入。

    血縁との葛藤の苦しみや寂しさを知っているつもりだったけれど、著者の家族の苦しさを読むと、自分は甘えてるのだろうかと思う。

    猫のジュンイチとの二十年間の愛を誇らしいというランさんを羨ましく思った。

    子どもとの関係は、自分が人間として欠けている部分、未熟な部分に向き合う辛さもあるし、親にしてもらえなかったことを、見よう見まねで親として子どもにしてあげるときに、苦しい気持ちになることがある。相手が別個の人間だから、ずっと触れていられる時間は赤ちゃんから幼児期くらいまで、その分言葉で話し合って、分かち合えることも多いのかもしれないけれど。

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    2025年10月27日
  • 何卒よろしくお願いいたします

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    国も世代も性別も異なる2人のアーティストの往復書簡。違いがあっても共鳴する感受性がそこにはあり、きれい事とかでなくただただ生きるもの全てを尊重しようとし苦難に向き合い続ける姿は圧巻。互いの紹介文の温かさにほろり。

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    2025年09月09日
  • アヒル命名会議

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    韓国人作家の小説はいくつか読みどれも挑戦的な内容でしたが、本作も然り。
    フェミニズム、キリスト教、貧困がブラックユーモアたっぷりに表現されていた。
    女性が描く女性性の問題提起だからか、同性の私は共感できるものがあった。これが男性側からのメッセージだったら、きっと頓珍漢で憤りをもよおさせるものになったかもしれない。
    どんな人もお互いに尊重して気持ちよく生きていける社会になれたらいい。

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    2024年01月10日
  • 何卒よろしくお願いいたします

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    イ・ランもいがらしみきおも、どちらも好きな作家なので嬉しい。
    韓国、日本と遠距離での文通のやり取りをまとめた本なのだけれど、今LINEやSNSのようにオンタイムでやり取りが可能になってしまう時代だからこそ、文通って素敵だな〜〜と思った。イ・ランさんは知的好奇心がとても強く、この世の色んな事を知りたい、感じたいって熱量がある人なのだなと。その熱量の球を、優しく受け入れるいがらし先生の大人の余裕、というか人間力…
    世代も、国籍も、性別も違う(生まれ育ってきた環境もしかり)2人の手紙のやり取りからは、お互いアーティストとして、1人の人間として尊敬し合う純粋な感情が伝わってきた。

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    2023年06月18日
  • アヒル命名会議

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    短編集11篇+2篇
    神と天使達の会議「アヒル命名会議」エキストラのまさかのブレイク「手違いゾンビ」コンドームの誤配達のドタバタ喜劇「後で来てください」が好みです。

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    2023年05月09日
  • アヒル命名会議

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    横書きの意図は?意図があるはずだよね? 

    下ネタ多めだなあと若干引きながら読んでいたが、『セックスとコメディ』での、コツコツと積み上げた赤裸々からの爆発、には笑ってしまいました。

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    2021年01月29日