こうの史代のレビュー一覧
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戦時中の人たちは本当に現代の私達とは比べものにならないくらい、タフだったと思う。
配給制の食料、竹槍の訓練、警報、防空壕、消火活動
それらが“日常”である日々は、どれだけのストレスを抱えて、神経を擦り減らして生活していかなければならないのだろう。
すずさんの、天然でぼんやりとした感じが大好きだったから、右手を失う事故があったあの日を境に、すずさんが変わってしまったのか悲しかった。
誰のせいでもないのに大切なものが失われて、奪われていく。明日は自分かもしれない。それでも今日を大切に大切に生きていこうとする人々の懸命な姿勢が丁寧に描かれた作品でした。
映画を先に見ましたが、細かな描写や聞 -
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鳥獣戯画調に描かれたほのぼの動物4コマが、そのまま「漫符(漫画特有の表現記号)」の用例集になっているという素敵なご本です。
私は幼少期から漫画に親しんで育ったタイプなんですけど、漫符ってこんなにあったんだ(本書で取り上げられているものだけでも100種類以上)とびっくりすると共に、自分がその全ての意味を概ね正確に把握できていることも何だか不思議な感じ。
ずっと昔から(それこそ「鳥獣人物戯画」の時代から)大勢の人々と同じものを共有しているのだ……と思うと、本当に感慨深いなあ。
漫符事典として優れているだけでなく、お調子者のみみちゃんやクールなあおい君、頑張り屋のきい子ちゃんたちが織り成す日常が -
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やっと見つけたこうのさんの「日の鳥」… 大雑把に言ってしまえばスケッチブックなのだがモチーフは震災の爪痕も生々しい頃の東北。
その精緻な描写を見ていると奇しくも同じ時期に「自分の眼で」とオートバイに荷物括り付けて走ったあの日が蘇る。
情け容赦ない瓦礫、打ち上げられた漁船を見た、そして立入禁止区域に入り込み原発の警備員に追い掛けられたことを思い出す。
あまりの衝撃に「がんばろう!」などとは言えなかった気持ちをナビゲーターの雄鶏が代弁する…空が「生きよ」と無責任に言う、ヒト事だから。でもそれを真に受けるかどうかはわたくし達の自由なのだ。。達観 -
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映画を見て、あまりに圧倒され、心を動かされたのです。あのホワッとした絵の中に、今まで見たどんなドキュメンタリーよりも空襲を目のあたりにし、あの頃の日本で暮らした人々そのままを描いていました。
映画ではすずたちの心の動きの何もかもを明確に言葉で表現される訳ではないから、自分で読み取るものがすべてです。どうしても知りたくて原作を買い求めました。
そして、映画はどうしても端折りますからね。
読んでみて、この本の中にはわたしが映画で感じることが出来なかったもう一つ大事なテーマがありました。
それには気づけなかった。
そういえば、あの数秒のシーンにその情報を盛り込んだり、結果のシーンだけで中身を含めよ -
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凄い。
映画「この世界の片隅に」で名作「夕凪の街 桜の国」発売以来、再度注目度が急激にアップしたこうの先生のエッセイ。
その濃密さといったら.....ちょっと驚愕モノですよ、ほんとに。
エッセイというとページ辺りの文字数が少なめでさらっと読めてしまうイメージがあった自分ですが、本作はちょっと引くくらいの文字数です(しかも手書き文字!)。
そしてカラー&挿絵&漫画もふんだんに描かれていて最初から最後まで充実の内容!
「これ1200円+税でいいの?」って思う書籍となっております。
(今はどこも売り切れな感じですが2016.12にはまだ定価で買えるサイトがありました。よくぞ買った、私。)
本 -
Posted by ブクログ
ネタバレいつものこうのさんの細かく丁寧な絵にうっとりします。
見たまま思ったままの内容が多いのですが、だんだん深くて暗い部分も出てきます。でもこういうところは漫画作品にも出てるのであまり深く考えませんでした。すごく「らしい」。こうの史代テイストというのか。それでそういういわゆる、ブラックこうのさんの作品がすごく好きです。「古い女」「なぞなぞさん」かなりいいなぁ。
毛色の違うのは、萌え漫画「聖さえずり学園!」これもすごくいいなぁ。
この本はマンガなのかエッセイなのかと迷ったけど、文字部分も手書きで細かくてそれでも読むのにちっとも苦じゃない。思うところがかかれたもののようなので、あえてエッセイの区分で。