小林多喜二のレビュー一覧
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小林多喜二文学忌、多喜二忌
大正末期から昭和初期にかけて文学を階級闘争の手段とするプロレタリア文学が生まれた
プロレタリア文学の代表作
蟹工船が、1929年の作品で作家として認められ
党生活者は、1933年小林多喜二没後発表
特高の取り調べの拷問で亡くなっている
「蟹工船」
北洋の蟹工船の労働者たちの劣悪な労働環境
資本家からの圧力
その底辺の生活者が自発的に支配へ抵抗を始める
前半はホラーであろうか、サスペンスであろうかという船内の劣悪で残忍な様子
そこから立ちあがろうとする労働者
なぜか2008年に蟹工船ブームがあったとのこと
保存していた文庫本の出版年からすると
高校生の時読んだ -
Posted by ブクログ
・1か月にわたる長期出張中に、家族に会えない寂しさから、これって遠洋漁業漁師と変わらないじゃん、と思い手に取った1冊。前からずっと読みたかった。
・内容は、昔の本の字体でそこまで入り込めなかったが、蟹工船は極めて過酷な労働環境、資本主義の極みであることを感じ取った。
・とはいえ、その過酷な環境の中で、頼れるのは己の健康・肉体であり、どのような環境においても、結局頼れるのは自分しかいないということを、立場・時空が違えど感じた。もちろんより良い環境を選んで働くことは大切なのだが。
・駐在の取りやめ、組織のとしての意思決定力不足等、目の前の仕事・組織が嫌になり逃げることを考えていたが、もちろんそれは -
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プロレタリア文学の代表的作品。函館から出航し樺太やカムチャッカ周辺の水域で蟹を水揚げし船内で加工する蟹工船内という、劣悪な労働環境の中で酷使され使い捨てにされる労働者を描いたものである。作品中に主人公が存在せず、客観的に描かれた集団としての労働者が物語の中心である。労働者達は物語中、個別の名前も与えられず、その心理描写すらない。個の存在を徹底的に排し、あるのは集団としての人間であり、共産主義の思想そのものである。発表当時、発禁処分となったのは当時の時代背景からすると当然ともいえる内容である。一方で、洋上の蟹工船における実質的支配者である作業監督は、物語中で唯一名前を与えられている浅川という登場
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【フレーズメモ帳】
自分の母親ぐらいを同じ側に引きつけることが出来ないで、どうして工場の中で種々雑多な沢山の仲間を組織することができるものか。
それはもちろん45であろうと、細胞の懸命な活動がなかったら、工場全体を動かすことの出来ないのは当然であるが、その45人が懸命に働いて工場全体を動かすためには、工場の中の大衆的な組織と結合すること(或いはそういうものを作り、その中で働くこと)を具体的に問題にしなければならない。そのための実際の計画を考顧しなかったなら、矢張りこの45人の、それだけで少しも発展性のない、独り角力(ずもう)に終わってしまうのだ。、 -
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プロレタリア作家小林多喜二の作品集。2中編、4短編、1戯曲、3評論を収録。資本主義下での抑圧の在りようは、今も嘗ても大差ないようだ。資本主義や帝国主義戦争への批判は今なお当を得ているに違いないが、しかし多喜二が描くような運動が当時と同じ情熱で現代に蘇ることは最早在り得ないように思う。左翼運動を扱った作品を読むたびに、"運動的なるもの"への嫌悪が思い出される。全ての価値を革命成就への効用で計る政治的還元主義、そこから派生する禁欲主義。連赤事件にも通じる、非人間的な暗さが嫌なのだ。現代には現代の抵抗運動の姿が在るはずで、それはとにかく陽気で愉快なものでなければならんと思う。
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プロレタリア文学の代表的作品。函館から出航し樺太やカムチャッカ周辺の水域で蟹を水揚げし船内で加工する蟹工船内という、劣悪な労働環境の中で酷使され使い捨てにされる労働者を描いたものである。作品中に主人公が存在せず、客観的に描かれた集団としての労働者が物語の中心である。労働者達は物語中、個別の名前も与えられず、その心理描写すらない。個の存在を徹底的に排し、あるのは集団としての人間であり、共産主義の思想そのものである。発表当時、発禁処分となったのは当時の時代背景からすると当然ともいえる内容である。一方で、洋上の蟹工船における実質的支配者である作業監督は、物語中で唯一名前を与えられている浅川という登場
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『おい地獄さ行くんだで!』
流行に若干乗り遅れて読みました。
流行の理由として「現代の社会状況と通ずるものがあるから」というのがあったと思うんですが、果たしてどうなんでしょうか。
私は別に読んでいて現代社会との共通項は見出さなかったです。
ちょっとこじつけっぽいと思いました。
内容に関しては、匿名性(個人の感情の描写の無さ)という点が気になりました。
プロ文の根底にある思想を思えばまぁ確かに。という感じでしたが。
前にレビューをあげた「こころ」などのいわゆる王道文学とはまた違った味わいがあります。
蟹工船ブームということで舞台化に映画化にとさまざまなメディアミックスが展開されているのでブー -
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東京ミルクホールのお芝居を観たときから読もう読もうと思っていて、やっと手にとってみた。
蟹工船のラストは、あんな風になっていたのだと知って納得。
何だか読み終わった後に重苦しくなる本。
何箇所か、あまりにも生々しすぎる表現にまともに読むことが出来ない箇所もあった。
著者自身も、拷問によって殺されていることを考えると、更に気分が重くなる。
目を背けてはいけないことなのだとしても。
一時ブームになっていたのは、いつの時代も労働者が苦しいのは一緒という事実からなのかもしれないけれど、自分がやりたいと思った仕事を目指すことが出来ている自分は幸せなのだと思った。
結局そうやって比べてしまう自分の小ささに