あらすじ
海軍の保護のもとオホーツク海で操業する蟹工船は、乗員たちに過酷な労働を強いて暴利を貪っていた。“国策”の名によってすべての人権を剥奪された未組織労働者のストライキを扱い、帝国主義日本の一断面を抉る「蟹工船」。近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描いた「党生活者」。29歳の若さで虐殺された著者の、日本プロレタリア文学を代表する名作2編。
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小林多喜二「蟹工船・党生活者」
国家体制として、今や手練手管を尽くした独裁的な手法になりつつある共産主義は、この2作品と登場人物(作者の生涯も含めて)で如実にわかるように、もっと切実な思いと公平な理論から提唱された主義だっただろう。そこには確かに、プロレタリアの悲痛な叫びと清貧な生活とが描かれている。
物語中途でもあるように、資本家と労働者は、切っても切りはなせない関係だ。労働者がいなければ資本家は存在しない、というか存在しても意味がない。だから手を取り合って、それぞれの特徴や強みを発揮した対等な関係が理想だ。しかしそうはいかない。死ぬまで駒として利用され、死んだら経費が浮くと考えるか、新しい駒を使う。この搾取体制の本質的な部分は、現代にも通底すると感じる。彼ら共産主義者の働きも少なからずあっただろう、ようやく正当な賃金を受け取るようになった日本人労働者は雇われず、安い賃金で働く外国人を雇用する。あるいは派遣労働という形で利益のためには簡単に首を切られる人材方針を取る。人が変われど根底は変わっていない。国について言い変えれば、住民がいなければ国など存在しないのだ。
僕は会社経営や政治運営について全くの門外漢だが、プロレタリアこそ、そういった虐げられた先人たちが腐らず働いてきたからこそ、戦後日本の経済成長は実現した。それだけは明言できる。
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この時代の労働者がどんな感じで働いてたかめっちゃ細かく書かれていて、読んでて面白かった。
あと、書かれていて面白かったところです。蟹工船は船舶じゃなく、工場だからということで航海法が適用しないが、工場法も適用されないのである。
党生活者では、主人公の共産党員が、工場などで工場労働者を奮起させて、ストを起こそうとしている。治安維持法下での共産党員の生活がありありと分かる作品だった。
両作品とも、読むことで1番得られるものとして大きいのは、その当時がありありとわかる事だと思う。
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わかりにくい部分もあったものの、引き込まれる内容のプロレタリア文学。
構成が秀逸。
方言や時代の前提(川崎船など)が一部わからない部分もあったものの、徐々に労働者の状況が説明され、自然と共産思想に近づいていく様が段階的に描写されていた。
人を使う側/使われる側という構造は今の時代にも通じるものを感じた。
また、当時の情勢でこの本を発した小林多喜二が凄惨な最期を遂げたのもわかるなと思ってしまうような(この本を書いた時点で資本家ひいては国家権力に疎まれる構造かと思うが)秀逸な作品だった。
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プロレタリア文学というものを初めて読んだ。文学というものの存在意義、文学の持つ力、芸術性、それら全てを感じられる作品であった。文学とは、芸術とはこうあるべきであると思う。
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プロレタリア文学の代表作。
行き過ぎた資本主義への抑制、という観点では、現代社会においても、共感できるところ、学ぶべきところはあるのだろう。
最後に監督が解雇され、自分もまた大きな社会構造の歯車でしかないことに気づかされる。
厳しい労働環境を具体的に描く一方、この終わり方を以って社会構造全体の問題として提起することの効果はあるのだと思う。(文中にも、そのようなことは触れられているが)
小林多喜二自身は、国家権力に抹殺されたわけでが、この作品が今なお読み続けられているということは、イエスキリストではないが、殉教者として将来への影響を却って大きくしているのだろう。
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最初はプロレタリア文学として、その思想的背景が嫌であえて避けていた。
間違いだった。
少なくとも「蟹工船」は、共産主義やその周辺の思想的な記述はポツポツと出るだけ。
しかも見かけ上は過度の共産主義賛美な箇所は見当たらなかった。
作者の意図を度外視すれば、この小説の面白さはイデオロギー(団結、反権威など)とは別のところにあると思う。
現代に生きる我々としては、例えば多彩な人物の登場であるとか、セリフを多用した臨場感や濃密な空間を設定し、そこで起こる出来事や感情の動きを一つ一つ追うとかといったいわばオーソドックスな手法から、小説的面白さを汲み取ることができるのではないか。
そもそも「蟹工船」の設定は古臭いものなのか?
船内の狭い空間に何百人という漁夫たちが押し込められた描写は満員電車でもみくちゃになった通勤風景を想起させ、死ぬ寸前までの労働者の酷使は過重な残業を思い起こす。
蟹工船の労働者と現代のサラリーマンとが、私のなかであまりにも重なり、古さを全く感じなかった。
だからと言って「サボ」を現代人にも薦めるつもりは全く無いけど…
我々の過酷な労働環境をどう改善すべきかはまた別の機会に考えるとして。これを共産主義文学や革命文学というくくりで読もうとするから話がこじれるのであって、純粋に多喜二の小説的技法を味わう、といったノリでいいんじゃないか。
(2007/2/8)
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かつての共産党員は、共産主義活動に走った人としてだけでなく、民主主義の礎を作るために奔走したと捉え直すと深みが増す。小林多喜二はその最中で殺されてしまったが、この作品は共産党員の魂が殺されない終わり方で彼のメッセージがビンビン伝わってくる。その置かれた境遇を考えれば、感情を排してなるべく起きたことにフォーカスした淡々とした語り口であることも評価できると思う!
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時代の緊張感が感じられた。太平洋戦争というものが、前線の軍人・銃後の国民以外にも悩み戦い、命をかけることになっていたという事実を知ることができた。官民以外の切り口からの戦争を感じられる作品。個人的には「党生活者」の方が没頭できた。
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昔、三浦綾子の「母」を読んでから、心にあった「小林多喜二」。
以後、時折、瞬間的なブームになる「蟹工船」を、ついに読んでみた。
著者の最期が頭にあるから、よくこういうことを書けたなと、緊張感を持って読み進める。内容的にも息が詰まる。
当時の季節労働者。自らの志願や、斡旋屋からの騙し、農村の長男以外の過酷さ。階級的社会活動。
そして、非合法の政党?の活動が、どのような下で進められ、活動者を増やしていったのか。。
息が詰まる。
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題名について聞いたことはあるもののどんな内容か全く知らなかったため、読んでみました。
一言で表すとこの本が書かれた時代のことがよくわかる内容でした。
労働者が搾取されていた時代に待遇改善を求めての活動と、今では考えられないような行動をしており、現代でも海外ではストライキ等ありますが、日本では全く聞かないので昔はやっていたのだなと思いました。
本を読むだけで労働環境の悪さが伝わってくるため、やはり名作とは感じました。
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汚い、つらい船
労働者たちが徒党を組んで立ち上がったらリーダー格だけどっか連れてかれて、そっかリーダーがバレたらこうなるわなって気づいたくだり
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北海道出身として読んでおかねばならない気がしたので、買っておいた本。読んでみた。
まず、この本を読むまで赤とかプロレタリアとか知識も興味もなかった。
「蟹工船」は北海道人ならなんとなく読み進めることが出来るレベルの強い方言が強烈な作品だと思う。主人公のいない作品、というのも面白い構造だなと思う。
「党生活者」は当時の共産党の組員(?)たちがどんな風に生活しているかを覗き見るような作品であったと思う。
どちらも、現代の日本からは考えられない「闘争」が描かれている。日本の近代史年表を読むくらいならこの作品等を読んでいた方がよほど当時の情景がありありと目に浮かぶ気がする。
極限状態の生活の中でも芯を持ち続ける人間の強さも感じることができる。
解説に「日本の民主化のためのたたかいがいかに困難な道をたどって来たかということを知るためにも、ひろく国民全体に読まるべきものであると思う。」(藤原惟人)とあるが、全くもって同意する。
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「代表の9人は、銃剣を擬されたまま駆逐艦に護送されてしまった。それは、一枚の新聞紙が燃えてしまうのを見ているよりも他愛なかった。ーーーー簡単に、片付いてしまった。」
民主主義が当たり前になった現代では、寧ろ社会主義/共産主義という言葉そのものに若干のアレルギーを感じてしまう。しかしこの作品を読み、日本の民主化への戦いが如何に困難な道を辿って来たかということを微小だが知る事ができた。
1920年代の民主主義はあくまで支配階級の時代であり、現代のような富のbroadな配分には微塵の配慮も無かった。この時代に生まれていたなら、自分も間違いなく搾取される側の人間として酷使され、マルクス•レーニン思想に陶酔していた事だろう(事実おそらくはそんな思想を知る間もなく1日々に必死に喰らいつき死んでいっただろう)。
そう考えると、今この時代に、自由が確立された民主主義の中にも労働者の権利が確立されている事が如何に奇跡的な事実であるか考え直す事ができる。
ーー非合法の共産党下で活動を続けた小林多喜二は、29歳の若さで拷問により虐殺された。
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その時代を生きていない私でも時代逆行なことがわかる、命を懸けて書かれた文学。
命懸けなのに希望に満ち溢れていて「いつか日本はこうなれる」と信じて疑わない小林多喜二の思い。
希望を持つことで殺されたことに心痛く感じる。
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多分中学生のときに読んだ。確か徳永直の「太陽のない街」と合本になった新潮文庫。半世紀以上経って読み直してみると、小説としてはやや生硬でプロパガンダ臭が強い。しかし大正デモクラシーの余韻があるとはいえ、大正15年に制定された治安維持法が改正・強化された昭和3年の直後、昭和4年に発表されたという時代背景を考えれば、やはり意義深い。帝国海軍の駆逐艦が密猟の手助けをするあたりは生々しい。ベーリング海での蟹漁の過酷さは、ディスカバリー・チャンネルのドキュメンタリーと重なる。
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ー蟹工船ー
マルクスは労働力の商品化を唱えたが、蟹工船では、労働者(人間) が器と化している。その器とは、「労働」という機能を果たすための器である。家畜ならば、働けなくなっても、 その肉を食らうことができるが、壊れた器は捨てるしかない。なので、蟹工船の労働者たちは、家畜にも劣る扱いを受けている。作者はこれを、ぼかすことなく明確な言葉で、寒々と した海や船を背景に描いている。虐げられた労働者は、少しずつ、抵抗の方法を模索し、こわごわと実行しいく。その中で、大金持ちがその手下を従え、その手下が労働者を絞り上げるという図式に「国」 が加担していることが見えてしまう。手下はここでの労働を「お国の ため」と労働者に刷り込んできたが、「国」は大金持ちやその手下と一蓮托生だ。しかし、 蟹工船の労働者の抵抗は、資本家 VS 労働者という構図よりももっと根源的な、労働者が生き延びて故郷に帰るための行為として捉えられる。当時の労働者の扱われ方の現実、主義、 思想などに絡む重たいテーマを取り上げながら、情景をまざまざと思い浮かべさせる描写の妙、登場人物が語る方言に人間味とユーモアをも含む、質の高い文学作品だと感じた。
ー党生活者ー
題名からイメージされる、活動家たるが故にさらされる緊迫感や、潜伏生活での不自由さやストレスなどはあまり伝わってこなかった。どちらかと言えば、自分たちの活動に懐疑的なところからの自虐的なおかしみや虚しさを感じる。
気になるのは、所々に使われる意味の分からない活動家用語。登場人物たちは、もちろん、言葉の意味は分かっているのだろうけど、その活動がどういう意味を持つのか、最終目的の具体的なイメージは何なのか、その活動はそのイメージに近づくためにどのような位置づけなのか、分かっていないような気がする。その言葉や、その言葉で表わされるアクションに酔って踊っているだけではないのか。更に、彼らは、安全なところでぬくぬくとしている誰かに酔わされ踊らされているだけなのではないか。そんなことすら考えてしまった。
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日本史の授業とかでタイトルだけ知ってたのを読んでみようと決意。
どうしても、文体とか知らない言葉とかで読みづらさはあるが、作品として表現したいことや当時のひどい労働者の境遇などはよく伝わってくる。
小林多喜二がこの作品を書いた数年後に虐殺された現実がこの日本であったことを思うと非常に心が痛い。
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貧困者から無慈悲に労働力を搾取する蟹工船。資本主義という名の下に軍需工場で不合理な労働を強いられる党生活者。大小の差はあれどブラック企業やハラスメントと名を変えてスケールダウンしながらも現代にまで受け継がれてしまっていると感じた。現代の社会人にも多くの人に読んでほしいプロレタリア文学である。
Posted by ブクログ
はじめてプロレタリア文学というものを読んだ。当時の時代と現代では、労働環境の充実さなどが全く異なるので、当たり前だが共感できる部分は少ない。この本は共感ではなく、当時の民主化を辿る日本の社会運動とその背景とはどういうものだったのか、1920年代の共産主義ブームとはどういうものだったのかを把握するための勉強のために読むべきだ。
「蟹工船」目当てで読んだが、この話は「主人公」としての視点がなく、いわゆる神視点の俯瞰的な描き方をしている、というのもあり、非常に読みづらくわかりづらかった。その点、「党生活者」にはきちんと主人公がいて読みやすく、また弾圧を恐れながらも日陰で運動に尽力する共産主義者たちの緊迫感、社会に対する闘争感は読み応えがあった。
「党生活者」の方が個人的に読みやすくて好きだったが、結末は「蟹工船」と似たような感じで、「まだ目的は達成してなく、何回か失敗してるけど、俺たちは決して挫けないのだ!」的な結末を見て、ああこれがプロレタリア文学かと感じた。
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搾取する資本家とされる労働者、という概念。生活するためだけに働いているから、そんな発想になるんじゃないの?って現代を、生きる私の感想。私は恵まれているのだろうか。読んでいて気持ちが滅入ってしまった。
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ストライキがテーマの2編からなる本書。カニ漁は現在でも借金で首が回らなくなった人たちの末路なんかで冗談に取り上げられるほどの過酷な労働環境が本書を読んで伺えます。しかし、美味しい蜜を吸えるのは常に一定の人物のみ。労働者は18時間以上、あくせく働けど、見返りなんて雀の涙ほどしかなく、それに加え、労働環境は最低で、劣悪な環境の寝床と極僅かな食事しかありません。上に逆らえば、ただ肉体的懲罰が待っているという、江戸時代の遠島を思う様なものばかり。次第に労働者の中でフラストレーションは募り、いずれそれは爆発し、…。今でいうブラック企業への報復のパイオニア的な話なのだと読んでて思いました。
党生活者も、蟹工船と似通うテーマで話が進んでいるように思いました。この様な風潮が当時は御法度?だったのでしょうか。命がけでストを決行しているような情景が目に浮かびました。
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古本屋で、目につき購入しました。お恥ずかしい話ですが、小林多喜二さんは学生時代の歴史の教科書にボールドで記載されていた人という程度の知識しかなく、読み始めました。
政治的なことは、あまりよくわからないのですが、100年ほど前の日本では、共産主義的な考えがこれほどまでにタブーだったということが、よく理解できました(小林多喜二さんの末路についても、少し調べたのですが、むごい最後を迎えていて衝撃を受けました。)。
文章としては、古いこともあり、読みづらさもあったのですが、なんとか我慢して最後まで読みました。
共産主義は資本主義のアンチテーゼ的な位置付けかと思うのですが、小林多喜二さん達が戦った結果、見事に止揚し、労働者にも権利がある現代社会が築かれていったのではないかと感じさせられました。先人達に敬意を払いながら、私は今日も資本主義社会で戦っていきます。
Posted by ブクログ
小林多喜二文学忌、多喜二忌
大正末期から昭和初期にかけて文学を階級闘争の手段とするプロレタリア文学が生まれた
プロレタリア文学の代表作
蟹工船が、1929年の作品で作家として認められ
党生活者は、1933年小林多喜二没後発表
特高の取り調べの拷問で亡くなっている
「蟹工船」
北洋の蟹工船の労働者たちの劣悪な労働環境
資本家からの圧力
その底辺の生活者が自発的に支配へ抵抗を始める
前半はホラーであろうか、サスペンスであろうかという船内の劣悪で残忍な様子
そこから立ちあがろうとする労働者
なぜか2008年に蟹工船ブームがあったとのこと
保存していた文庫本の出版年からすると
高校生の時読んだらしい
「党員生活」
29歳で亡くなった作者の遺作
前編終わりで締められている
実践的革命運動と創作の融合
軍需品工場内に党組織を作る
潜伏生活が生々しく 死後「中央公論」掲載
Posted by ブクログ
・1か月にわたる長期出張中に、家族に会えない寂しさから、これって遠洋漁業漁師と変わらないじゃん、と思い手に取った1冊。前からずっと読みたかった。
・内容は、昔の本の字体でそこまで入り込めなかったが、蟹工船は極めて過酷な労働環境、資本主義の極みであることを感じ取った。
・とはいえ、その過酷な環境の中で、頼れるのは己の健康・肉体であり、どのような環境においても、結局頼れるのは自分しかいないということを、立場・時空が違えど感じた。もちろんより良い環境を選んで働くことは大切なのだが。
・駐在の取りやめ、組織のとしての意思決定力不足等、目の前の仕事・組織が嫌になり逃げることを考えていたが、もちろんそれは大切だが、どこの環境でも自分の実力が頼りになるので、自分を鍛えないとなと考え直した。
Posted by ブクログ
恐ろしいぐらい、何も響かなかった。自分の価値観を広げるため、と有名な本、難しい本を手に取っても、自身の価値観へ訴えかけるような取っ掛りがないように思えてくる。それに比べてこの本に感銘を受けている人もいるわけで、浅い感想しか抱けなかった自分が恥ずかしく思えた。感受性が足りないのか、理解するための知識が浅いのか。どちらにせよ自身の浅さを自覚したため悔しい気持ちが残った。この本が悪い訳ではなくきっと私が理解出来なかっただけなので星3。
Posted by ブクログ
プロレタリア文学というものを初めて読んで、当時の日本に生まれなくて本当に良かったと感じた。今では考えられないほど、労働者に対する扱いがひどく、正当な賃金を貰えないばかりか、暴力を受けることまであり、これが今と同じ日本という国であるとは想像がつかない。当時の日本の状況や労働者の扱いを知るきっかけにもなり勉強になりました。
Posted by ブクログ
資本家が労働者(労働力)を搾取する話。
労働者が船上で蟹を収穫〜缶詰にするまでを描く。
1日16時間労働、休日なし、栄養失調で死亡、入浴できず体に虫が湧く等、劣悪な環境で酷使される。
労働者として働くにあたり、色々考えさせられた。
労働では豊かになれないなど。森岡さんのいう通り、資本家になろうとすればなれるのに、なれないのは観点の差だと思った。読書、違う職業の人と話す、など自分の常識の殻を破り俯瞰して物事を見るようにする。
Posted by ブクログ
【フレーズメモ帳】
自分の母親ぐらいを同じ側に引きつけることが出来ないで、どうして工場の中で種々雑多な沢山の仲間を組織することができるものか。
それはもちろん45であろうと、細胞の懸命な活動がなかったら、工場全体を動かすことの出来ないのは当然であるが、その45人が懸命に働いて工場全体を動かすためには、工場の中の大衆的な組織と結合すること(或いはそういうものを作り、その中で働くこと)を具体的に問題にしなければならない。そのための実際の計画を考顧しなかったなら、矢張りこの45人の、それだけで少しも発展性のない、独り角力(ずもう)に終わってしまうのだ。、