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Posted by ブクログ
小林多喜二「蟹工船・党生活者」
国家体制として、今や手練手管を尽くした独裁的な手法になりつつある共産主義は、この2作品と登場人物(作者の生涯も含めて)で如実にわかるように、もっと切実な思いと公平な理論から提唱された主義だっただろう。そこには確かに、プロレタリアの悲痛な叫びと清貧な生活とが描かれている。
物語中途でもあるように、資本家と労働者は、切っても切りはなせない関係だ。労働者がいなければ資本家は存在しない、というか存在しても意味がない。だから手を取り合って、それぞれの特徴や強みを発揮した対等な関係が理想だ。しかしそうはいかない。死ぬまで駒として利用され、死んだら経費が浮くと考えるか、新しい駒を使う。この搾取体制の本質的な部分は、現代にも通底すると感じる。彼ら共産主義者の働きも少なからずあっただろう、ようやく正当な賃金を受け取るようになった日本人労働者は雇われず、安い賃金で働く外国人を雇用する。あるいは派遣労働という形で利益のためには簡単に首を切られる人材方針を取る。人が変われど根底は変わっていない。国について言い変えれば、住民がいなければ国など存在しないのだ。
僕は会社経営や政治運営について全くの門外漢だが、プロレタリアこそ、そういった虐げられた先人たちが腐らず働いてきたからこそ、戦後日本の経済成長は実現した。それだけは明言できる。
Posted by ブクログ
最初はプロレタリア文学として、その思想的背景が嫌であえて避けていた。
間違いだった。
少なくとも「蟹工船」は、共産主義やその周辺の思想的な記述はポツポツと出るだけ。
しかも見かけ上は過度の共産主義賛美な箇所は見当たらなかった。
作者の意図を度外視すれば、この小説の面白さはイデオロギー(団結、反権威など)とは別のところにあると思う。
現代に生きる我々としては、例えば多彩な人物の登場であるとか、セリフを多用した臨場感や濃密な空間を設定し、そこで起こる出来事や感情の動きを一つ一つ追うとかといったいわばオーソドックスな手法から、小説的面白さを汲み取ることができるのではないか。
そもそも「蟹工船」の設定は古臭いものなのか?
船内の狭い空間に何百人という漁夫たちが押し込められた描写は満員電車でもみくちゃになった通勤風景を想起させ、死ぬ寸前までの労働者の酷使は過重な残業を思い起こす。
蟹工船の労働者と現代のサラリーマンとが、私のなかであまりにも重なり、古さを全く感じなかった。
だからと言って「サボ」を現代人にも薦めるつもりは全く無いけど…
我々の過酷な労働環境をどう改善すべきかはまた別の機会に考えるとして。これを共産主義文学や革命文学というくくりで読もうとするから話がこじれるのであって、純粋に多喜二の小説的技法を味わう、といったノリでいいんじゃないか。
(2007/2/8)
Posted by ブクログ
蟹工船では、超ブラックな労働環境で働かされる労働者が一致団結して、監督や軍との闘争を描いている。
死人が出るような労働環境が生々しく描かれており、教科書で作品名は知っていたが、こんなにエグい内容とは思わなかった。
序盤に蟹工船の説明があり、ボロボロの船を梅毒患者に例えているところは、今からそんな蟹工船でデスゲームが始まることを暗に告げているようでゾクゾクした。
党生活者では、非合法な組織とされていた共産党主義者が、資本家や国家の目をかいくぐり、工場内の労働者を煽動する様が描かれている。
今の時代、残業規制などの労働者を保護する法整備があるが、昔はそんな法整備はなかったはず。法による労働者の保護がない中で、資本家と闘っていくことがどれだけ難しいのかを読んでて感じた。
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