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海軍の保護のもとオホーツク海で操業する蟹工船は、乗員たちに過酷な労働を強いて暴利を貪っていた。“国策”の名によってすべての人権を剥奪された未組織労働者のストライキを扱い、帝国主義日本の一断面を抉る「蟹工船」。近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描いた「党生活者」。29歳の若さで虐殺された著者の、日本プロレタリア文学を代表する名作2編。
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Posted by ブクログ
わかりにくい部分もあったものの、引き込まれる内容のプロレタリア文学。 構成が秀逸。 方言や時代の前提(川崎船など)が一部わからない部分もあったものの、徐々に労働者の状況が説明され、自然と共産思想に近づいていく様が段階的に描写されていた。 人を使う側/使われる側という構造は今の時代にも通じるものを感じ...続きを読むた。 また、当時の情勢でこの本を発した小林多喜二が凄惨な最期を遂げたのもわかるなと思ってしまうような(この本を書いた時点で資本家ひいては国家権力に疎まれる構造かと思うが)秀逸な作品だった。
プロレタリア文学というものを初めて読んだ。文学というものの存在意義、文学の持つ力、芸術性、それら全てを感じられる作品であった。文学とは、芸術とはこうあるべきであると思う。
プロレタリア文学の代表作。 行き過ぎた資本主義への抑制、という観点では、現代社会においても、共感できるところ、学ぶべきところはあるのだろう。 最後に監督が解雇され、自分もまた大きな社会構造の歯車でしかないことに気づかされる。 厳しい労働環境を具体的に描く一方、この終わり方を以って社会構造全体の問題...続きを読むとして提起することの効果はあるのだと思う。(文中にも、そのようなことは触れられているが) 小林多喜二自身は、国家権力に抹殺されたわけでが、この作品が今なお読み続けられているということは、イエスキリストではないが、殉教者として将来への影響を却って大きくしているのだろう。
いつの時代でも社会に与える影響は不変。 読むタイミングによって感想が大きく異なると思う。 現代日本の物価高や賃金の上がらなさ、将来への見通しの無さに端を発する不満や暗い雰囲気は、世情は全く違えど蟹工船の時代から一周したのかと思うほど。 現代の20代が読んだら共感する人も多いのではないかと思う。
カニ光線 中学生の頃恥ずかしながらカニ光線だと思っていた。それから15年経て、読んでみた。 気付き ・搾取されないために勉強は必要 ・何も考えずに仕事をしていてはいけない ・共産主義の良い面の影響 ・日本を築いた先人達に感謝したい 汚い、重い、辛い、の三拍子揃った本だが、自然とスラスラいける。...続きを読む骨太の映画を観たあとのような達成感がある。 労働する人全員に読んでほしい。
日本史で小林多喜二の名前をした時からずーっと読みたくて、でもいつも本屋さんに行くと違う本を買っていて…ようやく読めた蟹工船!!! シンプルに、両作品ともめっちゃめちゃ興味深いし奥深い。プロレタリア文学にハマりそう
正に近年の日本。 もうすぐ衆院選だが、選挙の大切さを身に染みた。 国や周りを変えるのは己とその組織。 資本主義が世界で崩壊されつつある今こそ読んで良かったと思った。 一時期に確かこの本はかなり売れ行きが尋常ではない時期があり、これは「ブラック企業」が出始めた頃だったように記憶している。 声を上げるこ...続きを読むとの大切さ。 その資格は選挙にあると考えている。
その時代を生きていない私でも時代逆行なことがわかる、命を懸けて書かれた文学。 命懸けなのに希望に満ち溢れていて「いつか日本はこうなれる」と信じて疑わない小林多喜二の思い。 希望を持つことで殺されたことに心痛く感じる。
多分中学生のときに読んだ。確か徳永直の「太陽のない街」と合本になった新潮文庫。半世紀以上経って読み直してみると、小説としてはやや生硬でプロパガンダ臭が強い。しかし大正デモクラシーの余韻があるとはいえ、大正15年に制定された治安維持法が改正・強化された昭和3年の直後、昭和4年に発表されたという時代背景...続きを読むを考えれば、やはり意義深い。帝国海軍の駆逐艦が密猟の手助けをするあたりは生々しい。ベーリング海での蟹漁の過酷さは、ディスカバリー・チャンネルのドキュメンタリーと重なる。
ー蟹工船ー マルクスは労働力の商品化を唱えたが、蟹工船では、労働者(人間) が器と化している。その器とは、「労働」という機能を果たすための器である。家畜ならば、働けなくなっても、 その肉を食らうことができるが、壊れた器は捨てるしかない。なので、蟹工船の労働者たちは、家畜にも劣る扱いを受けている。作者...続きを読むはこれを、ぼかすことなく明確な言葉で、寒々と した海や船を背景に描いている。虐げられた労働者は、少しずつ、抵抗の方法を模索し、こわごわと実行しいく。その中で、大金持ちがその手下を従え、その手下が労働者を絞り上げるという図式に「国」 が加担していることが見えてしまう。手下はここでの労働を「お国の ため」と労働者に刷り込んできたが、「国」は大金持ちやその手下と一蓮托生だ。しかし、 蟹工船の労働者の抵抗は、資本家 VS 労働者という構図よりももっと根源的な、労働者が生き延びて故郷に帰るための行為として捉えられる。当時の労働者の扱われ方の現実、主義、 思想などに絡む重たいテーマを取り上げながら、情景をまざまざと思い浮かべさせる描写の妙、登場人物が語る方言に人間味とユーモアをも含む、質の高い文学作品だと感じた。 ー党生活者ー 題名からイメージされる、活動家たるが故にさらされる緊迫感や、潜伏生活での不自由さやストレスなどはあまり伝わってこなかった。どちらかと言えば、自分たちの活動に懐疑的なところからの自虐的なおかしみや虚しさを感じる。 気になるのは、所々に使われる意味の分からない活動家用語。登場人物たちは、もちろん、言葉の意味は分かっているのだろうけど、その活動がどういう意味を持つのか、最終目的の具体的なイメージは何なのか、その活動はそのイメージに近づくためにどのような位置づけなのか、分かっていないような気がする。その言葉や、その言葉で表わされるアクションに酔って踊っているだけではないのか。更に、彼らは、安全なところでぬくぬくとしている誰かに酔わされ踊らされているだけなのではないか。そんなことすら考えてしまった。
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蟹工船・党生活者
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小林多喜二
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蟹工船 1
蟹工船
蟹工船 一九二八・三・一五
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