【感想・ネタバレ】蟹工船 一九二八・三・一五のレビュー

あらすじ

おい地獄さえぐんだで-函館から出港する漁夫の方言に始まる「蟹工船」。小樽署の壁の日本共産党万歳! の落書に終わる「三・一五」。小林多喜二(1903-1933)25歳のときの2作は、地方性と党派性にもかかわらず思想評価をのりこえプロレタリア文学の古典となった。搾取と労働、組織と個人。歴史は未だ答えず。[解説=蔵原惟人]

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蟹工船は再読。歴史的意義を鑑みて★5。内容はとにかく暴力的描写がきつい。3.15事件を共産党員側の立場で見ることができるのはすごいことだと思う。小説に描かれたような暴力により多喜二は死ぬわけだが、その死に方により小説の真実性を裏付けることになる皮肉。

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2024年09月26日

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蟹工船に集められた人たち。
彼らは日雇い労働者のようなもので、かつては土地の開墾や炭鉱で働き、たまたま今回はここに流れ着いた。
淡々と描かれる労働の描写は返って凄惨さを増す。
ひどいの一言では済まない感情が湧く。
炭鉱で働いていた祖父を思う。
昔々の話ではない。まだこのような状況が残っていたに違いないのだ…
戦争だけが祖父母の代の代名詞ではない。
過酷な過去を背負い、生きていくのはどんな心情だったことか。いくら年月が過ぎて幸せを手に入れても、拭いきれない思いがあったはず。
一般的にはプロレタリア文学として知られる本書であるが、個人的にはそんな想いを起こさせる小説だった。

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2022年09月21日

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かなり政治的なところがあるので今まで遠ざけていたが。思い切って読んでみることにしました。かつて日本にあった理不尽かつ残酷な労働環境の実態がありありと伝わってきました。こういったプロレタリアートの考え方は100%賛成は出来ませんが、そうでなくとも楽しめる(?)作品です。

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2021年04月04日

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小林多喜二の「蟹工船」と「一九二八・三・一五」を読んだのは約30年前。
30年前も岩波文庫で読んだが、今度はワイド版岩波文庫。

最初に読んだときは、

漁夫たちは寝てしまってから、
「畜生、困った! どうしたって眠れないや!」と、体をゴロゴロさせた。「駄目だ、伜が立って!」
「どうしたら、ええんだ!」―終いに、そういって、勃起している睾丸を握りながら、裸で起き上がってきた。大きな体の漁夫の、そうするのを見ると、体のしまる、なにか凄惨な気さえした。度肝を抜かれた学生は、目だけで隅の方から、それを見ていた。(蟹工船 p56)

のような強烈な描写に圧倒され、それが小林多喜二の作品のイメージになっていたが、今回読んでみて、特に「一九二八・三・一五」のあちこちで繊細な描写や叙情性とユーモアのある表現に出会って、彼がどれだけ作家としての才能と可能性に恵まれていたかが分かった。

真夜中に警察に踏み込まれ連行される父の姿を、娘の幸子が寝たふりをしながらそっと眺めているシーン。

力一杯に襖が開いて、父が入ってきた。後ろから母がついてきた。五人は次の間に立って、こっちを向いている。
「ズボン。」
父は怒った声で母にいった。母は黙ってズボンを出してやった。父はズボンに片足を入れた。しかし、もう片足を入れるのに、何度も中心を失ってよろけ、しくじった。父の頬が興奮からピクピク動いていた。父はシャツを着たり、ネックタイを結んだりするのにつッかかったり、まごついたりして―殊にネックタイがなかなか結べなかった。それを見て、母が側から手を出した。
「いいいい!」父が邪険にそれを払った。父は妙に周章てていた。(一九二八・三・一五 p148)

ふと―幸子は分った気がした。それもすっかり分った気がした。「レーニンだ!」と思った。これらのことが皆レーニンから来ていることだ、それに気付いた。色々な本の沢山ある父の勉強室に、何枚も貼りつけられている写真のレーニンの顔が、アリアリと幸子に見えた。それは、あの頭の禿げた学校の吉田という小使いさんと、そっくりの顔だった。(同 p149)

娘のことを夢に見る父親。

「お父さんはねえ、学校の人と一緒に旅行に行くんだよ。」
幸子が黒い大きな眼をパッチリ、つぶらに開いて、彼を見上げる。
「おみやに何もってきて?」
彼はグッとこたえた。が、「うんうん、いいもの、どっさり。」
と、幸子が襖の方へ、くるりと頭を向けた。彼はいきなり両手で自分の頭を押さえた。ピーン、陶器の割れるその音を、彼はたしかにきいた。彼は、アッと、内にこもった叫び声をあげて、かけ寄ると、急いで幸子の懐を開けてみた。乾葡萄ををつけたような乳房の間に、陶器の皿のような心がついているー見ると、髪の毛のようなひびが、そこに入っているではないか!」(同 p180)

この部分のイメージは、ちょっとありきたりな気がするが、それにしても、警察権力による拷問を内容とする作品にもかかわらず、陰惨な印象はあまりしない。作者の労働運動に対する希望と確信から来るものだろうが、豊かで瑞々しい表現力によるところも大きいと思う。

それだけに最後の二章が編集者の蔵原惟人氏の判断で除かれ、原稿が戦争で消失してしまったことは実に残念。

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2020年04月20日

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下級労働者達の苦闘のお話。いや、面白かった。後半は実は読めてないんですが、面白かったです。
赤化とはこの様に行われるのかと笑いつつも、恐らく今現在でも通用するであろう悲惨な労働現場で働く方々のお話でした。

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2011年08月16日

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現代でも、資本主義である以上は資本家の方が「賢く」「(フィジカル的には)効率よく」暮らせる。
実務でがむしゃらに体や手やを動かす存在より、意思決定の主体になれば「成功者」と言われる。

肝心なのはその成功者さんたちが、全体で見た時にいかに過酷な環境を強いることがないか。そうできないシステム(法律や規制)、そうさせない技術(AIやロボット)があるか。なのだろうと推測された。

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2024年11月26日

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「蟹工船」からは文学、「一九二八・三・一五」はルポのような雰囲気を感じた。三・一五というタイトルや、明らかな日本名を完全に無視できるなら、同時期のロシア文学と言われても違和感がない。

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2024年11月23日

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メモ
・独特な言い回しに苦戦
・資本主義と帝国主義の関係
・赤化が歴史で習ったようなマクロなレベルでなく、一人一人の労働者から見たミクロなレベルで描かれている(教科書で学ぶのとはやっぱりちがう)

・はじめは、皆同じように不満を抱いているのに、資本家に対して何も行動を起こせず、過酷な労働環境を受け入れ、病を抱えていく労働者たちに対してもどかしさを感じた。しかし、そのように思うのは私自身が「資本主義」と「社会主義」という枠組みを当然あり得るものとして認識、学習しているから。当時の労働者たちにはその知識が欠けていた。学びの大切さはここにあるなと。(→選択決定のプロセスに大きな影響)
 また、不満を抱く労働者のなかでもヒエラルキーが存在し、その異なる階層のうち複数が強調して動くときに集団は大きく動くことをストライキが示していた。同時に、社会運動の匿名性の重要度を労働者たちが身をもって経験する点に情報の流入を統制する政府の大きな力を実感した。

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2022年02月18日

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日本の代表的なプロレタリア作家、小林多喜二の代表作「蟹工船」が収録されています。
プロレタリア文学自体は小林多喜二以前にも存在していたのですが、「蟹工船」が雑誌「戦旗」に連載されたことで、プロレタリア文学が脚光を浴びるきっかけとなりました。
武者小路実篤らの"白樺派"、菊池寛らの"新思潮派"などと異なり、小林多喜二ら"戦旗派"は、低賃金でこき使われる労働者の権利を主張し、現実と立ち上がる力を民衆に啓蒙するような内容となっています。
ただ、小林多喜二氏の作品は、労働者への啓蒙に加えて、共産主義へ先導するような内容となっています。
プロレタリア自体は低賃金労働者を示す言葉ですが、日本のプロレタリア文学は自由競争への警鐘、共産主義あるいは社会主義的の主張が交じることが多いので注意が必要ですね。

収録作は「蟹工船」と「一九二八・三・十五」の二作です。
各話の感想は以下の通り。

・蟹工船 ...
プロレタリア文学の代表的な作品です。
戦旗は三・一五事件がきっかけで作られた合同組織全日本無産者芸術連盟(ナップ)の機関紙として発行されました。
蟹工船は戦旗に連載された作品で、本作により日本中の低賃金労働者は決起し、戦旗はプロレタリアの旗手となりました。
また、本作がにより小林多喜二は後に不敬罪により起訴、投獄されることとなります。

内容は過激で、共産党賛歌がすぎると感じるところもありましたが、命さえも奪いかねない拷問のような労働環境の中、共産主義という夢のような制度に憧憬を抱くのは仕方ないと感じました。
漁獲したカニを缶詰にする蟹工船「博光丸」、オホーツクの極寒の海が舞台となっており、そこでは貧困層からかき集めた労働者に対し、非人道的な酷使がまかり通っています。
特定の主人公はおらず、その船の上での地獄のような有様が書かれた内容となっています。
脚気に侵されて動かない脚を動かし、凍傷で動かない指を動かして働く労働者を様は酷いの一言につきます。
今がどれだけ恵まれた状況であるか、ということを実感できる内容と思います。今が極楽であるというわけではありませんが。

なお、文体は独特で、ストーリーのつながりがぼやけていて、直前まで菊池寛や芥川龍之介を読んでいたこともあってか、思ったより読みやすくないと思います。
普段文学を読まない人が挑戦する場合は少し気合が必要と思います。

・一九二八・三・十五 ...
三・一五事件を題材にした作品。本作も戦旗に連載されました。
題材が題材故に、無産政党や共産主義的な考えが表に出た内容でした。
ただ、共産主義運動家達をある晩、急に検束し、拷問にかけてゆく内容で、特に拷問シーンの比重が高く、読みにくい作品ではないように思います。
特高警察による、善良な市民への不当な拷問描写を克明に書いた本作は、当然、特高警察の怒りを買い、小林多喜二は警察に要注意人物として目をつけられることとなります。

本作も特定の主人公がいるわけではないですが、思想を持って活動をしている人々一人ひとりが主役であるような書き方になっていて、それぞれの人は活動家だが、それに至る生き方があり、生活があり、家族がある。
そんな人々を突然拘束し、目を覆うような酷い拷問にあわせる様が書かれていて、事件の告発という感じを強く受けました。
どれだけ忠実なのだろうか、と思うくらい、拷問描写はとにかく凄まじいです。
その後、小林多喜二自身も拷問死したことを思うと、そういう時代だったんだろうなあと思いました。

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2021年02月11日

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今の労働環境にも通じるところがある。本作中にでてくる台詞で、慣れこそが一番の弱点。既成概念を捨てろ!このフレーズが心の底まで鋭い矢になって突き刺さっている。

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2019年11月17日

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プロレタリア文学として、前から読みたかった一作。
当時の過酷な状況を知ることが出来て、とても有意義だった。

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2012年06月02日

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ネタバレ

戦前に使い捨てにさせられた労働者たち。彼らがいてこそ今の私たちがあることを忘れてはなりません。この作品が、いつの時代にも初めて社会に出て労働する若者たちへのエールであってほしいと願います。

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2012年02月03日

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以外に短いお話だったことに驚いた。
でも、読んだ後、「自分のやりたいこと」って何だろうか?と考えた。
歯車になって働くことに、不満も抱かなくなってしまってるんじゃないかと思ってしまった。
蟹の缶詰を作る人たちの名前が一切出てこず、集団として、また駒として扱われていることが伝わってきた。

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2009年10月04日

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大昔の学生の時読んでみたが、、暗くてつまらないで終わった。仕事と生活に疲れた今読むと、雑夫から監督にまで感情移入が出来、細部がリアルで、これは名作なんだなあと再確認(蟹工船の方ですが)「一九二八」については、少々複雑。共産主義がね、好きでないのよ。

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2011年07月17日

Posted by ブクログ

 小林多喜二の「蟹工船」はあまりにも有名な小説です。ですが、読んだ事がなく、また興味も持てませんでしたが、ふとした時に「読みたいなぁ!」と衝動的に思って、購入しました。

 蟹工船は蟹を捕まえて処理する船の中での出来事に関するお話ですが、リアリティがありすぎて、読むに耐えないくらいでした。
 なんだかこちらもその場にいるような気がして、異臭とか、漂ってきそうな気分でした。

 力強い文体に惹かれました。

 一九二八・三・一五も、特高に暴行されるお話ですが、小林多喜二も共産党だったため、やられました。
 その経験に基づいてかかれたものでしょうか……。
 あまり詳しくはないので、分かりません。

 いずれにせよ、この頃は言論の自由なんてあってもなかった時代でしたね。

 今の日本は言論の自由が保障されており、理不尽な暴力はされなくなってきた平和な時代なので、

「平和だなぁ」

 と思わずにいられません。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

プロレタリア文学。
多喜二ってこんなん書いてて政府に目ぇ付けられて死んじゃったんだ。って思うと凄く重い本になります。実際はページ数の少ない本なんですけどね。

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2009年10月04日

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歴史の教科書に登場する本ですので、気になってました。
弱い者達が夕暮れ、更に弱い者達を叩くような劣悪な労働環境の描写を通して、名もない労働者たちの団結を焚き付けるかのような印象でした。
短く、方言そのままで、臭そうな表現は、共産主義への共感と資本主義への反感を高めるための計算的思惑だったのかなとも思えて、当時はそういったところが言論弾圧される口実になったのでしょうか。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

以前から無性に読みたかった小説。
悲惨な労働環境や拷問の強烈な模写が著者の訴えたい事を倍加させてとにかく刺激が強かった。
当時の労使環境は劣悪だったけど、現在も根本的には変わって無いような気がするな。
資本家と労働者、使う者と使われる者・・・。
自分もこのままじゃいけないよな。

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2018年11月19日

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プロレタリア文学の代表的作品。函館から出航し樺太やカムチャッカ周辺の水域で蟹を水揚げし船内で加工する蟹工船内という、劣悪な労働環境の中で酷使され使い捨てにされる労働者を描いたものである。作品中に主人公が存在せず、客観的に描かれた集団としての労働者が物語の中心である。労働者達は物語中、個別の名前も与えられず、その心理描写すらない。個の存在を徹底的に排し、あるのは集団としての人間であり、共産主義の思想そのものである。発表当時、発禁処分となったのは当時の時代背景からすると当然ともいえる内容である。一方で、洋上の蟹工船における実質的支配者である作業監督は、物語中で唯一名前を与えられている浅川という登場人物である。作業員達を人間扱いせず、残酷無慈悲に酷使し単なる生産の道具として扱うさまはまさに労働者の敵である。

しかしながら、共産主義が本来敵視しなくてはならない資本家は全くといっていいほど描かれていない。本物語中において労働者は一貫して酷使される対象として描かれているものの、あくまでも直接的な憎悪の対象として描かれているのは監督である浅川だ。資本家による搾取の構図が繋がりをもって描写されてはいない。労働現場で行われている不条理を以って、資本主義という社会体制そのものを疑うには少々理論不足の感がする。

終盤、陸に戻った浅川が、結局は担当船の成績不振を理由にあっさりと会社を解雇されてしまう様子が描かれている。資本家とは得体の知れない怪物なようなもので、鬼として描かれた監督すらもこうすることの出来ないものということなのであろうか。

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2018年10月08日

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「蟹工船」は資本家が,「 一九二八・三・一五 」は国家権力が,いかに労働者を残酷・無慈悲に搾取・迫害していたかを描く。

しかし,労働環境では過労死・ブラック企業が蔓延り,人質司法がまかり通っている現代と,どれほど違うだろうか。

ちなみに,青空文庫の「 一九二八・三・一五 」は,検閲された本を底本にしているようで,削除されている部分がある(「共産党」など)。

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2014年05月01日

Posted by ブクログ

難しかった…。やっぱり、昔の本は読み難い。自身の読解力の低さを再認識させてくれた一冊。
蟹工船というとあまりイメージが湧かないが、つまるところよく話に聞くマグロ漁船と同じようなものだと考えてよかったのだろうか。辛い工船上での生活を書いた物語だった。
一九二八の方は、蟹工船と比べると割合イメージしやすい話だったと思う。ただこちらも辛い物語だったなぁ。小林多喜二の本を読んだのは初めてだったのだが、こういう作風の人なのだろうか。うーん、精進しないとなぁ。

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2011年02月19日

Posted by ブクログ

プロレタリア文学の代表的作品。函館から出航し樺太やカムチャッカ周辺の水域で蟹を水揚げし船内で加工する蟹工船内という、劣悪な労働環境の中で酷使され使い捨てにされる労働者を描いたものである。作品中に主人公が存在せず、客観的に描かれた集団としての労働者が物語の中心である。労働者達は物語中、個別の名前も与えられず、その心理描写すらない。個の存在を徹底的に排し、あるのは集団としての人間であり、共産主義の思想そのものである。発表当時、発禁処分となったのは当時の時代背景からすると当然ともいえる内容である。一方で、洋上の蟹工船における実質的支配者である作業監督は、物語中で唯一名前を与えられている浅川という登場人物である。作業員達を人間扱いせず、残酷無慈悲に酷使し単なる生産の道具として扱うさまはまさに労働者の敵である。しかしながら、共産主義が本来敵視しなくてはならない資本家は全くといっていいほど描かれていない。本物語中において労働者は一貫して酷使される対象として描かれているものの、あくまでも直接的な憎悪の対象として描かれているのは監督である浅川だ。資本家による搾取の構図が繋がりをもって描写されてはいない。労働現場で行われている不条理を以って、資本主義という社会体制そのものを疑うには少々理論不足の感がする。終盤、陸に戻った浅川が、結局は担当船の成績不振を理由にあっさりと会社を解雇されてしまう様子が描かれている。資本家とは得体の知れない怪物なようなもので、鬼として描かれた監督すらもこうすることの出来ないものということなのであろうか。

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2011年03月16日

Posted by ブクログ

『おい地獄さ行くんだで!』

流行に若干乗り遅れて読みました。
流行の理由として「現代の社会状況と通ずるものがあるから」というのがあったと思うんですが、果たしてどうなんでしょうか。
私は別に読んでいて現代社会との共通項は見出さなかったです。
ちょっとこじつけっぽいと思いました。

内容に関しては、匿名性(個人の感情の描写の無さ)という点が気になりました。
プロ文の根底にある思想を思えばまぁ確かに。という感じでしたが。
前にレビューをあげた「こころ」などのいわゆる王道文学とはまた違った味わいがあります。
蟹工船ブームということで舞台化に映画化にとさまざまなメディアミックスが展開されているのでブームに乗り遅れないうちにぜひご一読ください。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

東京ミルクホールのお芝居を観たときから読もう読もうと思っていて、やっと手にとってみた。
蟹工船のラストは、あんな風になっていたのだと知って納得。
何だか読み終わった後に重苦しくなる本。
何箇所か、あまりにも生々しすぎる表現にまともに読むことが出来ない箇所もあった。
著者自身も、拷問によって殺されていることを考えると、更に気分が重くなる。
目を背けてはいけないことなのだとしても。
一時ブームになっていたのは、いつの時代も労働者が苦しいのは一緒という事実からなのかもしれないけれど、自分がやりたいと思った仕事を目指すことが出来ている自分は幸せなのだと思った。
結局そうやって比べてしまう自分の小ささにまた少し嫌気がさしたり。
一九二八〜も読んで、特有の時代背景や環境があったにせよ、自分達が次の時代の人達のために世を変えようと犠牲を払って運動を進める馬力は、今の自分には絶対にないものだし、そこまで信念を持って行動出来るということに自分がすごく甘えた人間に思えたりもした。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

8/4 蟹工船 心にさざなみすら起たず。
        歳のせいか?
        資本主義が洗練されたのか?
        きっとローンのせいだろう。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

高校生の頃、歴史の時間にタイトルだけは聞いたことがありましたが、読みたいとは思っていませんでした。
最近、新聞などでよく聞くようになったことから興味をもち、試しに読んでみました。
もっと堅くて難しい本かと思っていたけれど、案外読み易かったです。船上での出来事がリアルに描かれていました。
それにしても、最近この本に共感する人が増えてるっていうのは、本当なのかしら。私には、蟹工船で描かれているものは、ワーキングプアの言葉では片付けられないように感じられました。もっと主体的に闘っているようにみえました。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

どうも、面白くないし、理想が充満しすぎている気がするけれど、でも、こういう作品を書いた人が獄死するわけだからなあ。知らないといけない、と云う風な分野でしょうか。

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2009年10月04日

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