エミンユルマズのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
先日ネットを見ていて気になった本です、この本の著者はトルコ出身の方で、自国で何度も起きたハイパーインフレを実際に経験されています。多くの人は現在はすでにバブルの状態にあり、中には故・森永氏のように今までのバブルとは異なって元に戻らないとも言われています。
この本によれば、その中にあって日本株は有望とされていますが、果たしてどうなのでしょうか。アメリカの夏休みが終わる9月に何らかの動きがあるかもしれないので、この数ヶ月は特に注視していきたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・トランプ関税政策が彼の思いつきではなく、合衆国のスタンスの変化を意味するのであれば、これは第二次世界大戦以降続いた世界秩序(=防衛や先端技術はアメリカに任せて、その代わりにドルを基軸通貨としてきた、p56)が大きく変わることを意味する(p4)トランプ政権の計算では、日本は米国に46%の関税を課しているとみなした(p16)日本は米国に1482億ドル、対米黒字は685億ドルなので、685/1482=46%となった、ただしすでに25%の関税を課せられた、自動車・銅製品・半導体・医薬品は対象外(p17)
・大統領選は、スイングステートでトランプが選挙人数で勝ったにも関わらず、上院選で負けたのは、民主党の人選(ハリス氏)が原因であったことを雄弁に物語っている(p34)
・トランプ一期目と二期目は全く異なることを意識しなければならない、一期目は共和党の伝統人事にトランプはある程度従わなければならなかった、今回は完全にトランプ・ロイヤリストが勢揃いしていて、トランプよりぶっ飛んでいる人が多い(p52)
・日本政府が円安を誘導したのか、つまり「円の隠れ切り下げ」と捉えるべきである。これには2つの意味があり、1)海外に投資している日本企業がかなり多く含み益を得ている、2)日本へ投資しやすくなった(p62)日本企業も資産運用期間も、為替差益(円安)でとんでもない利益になっている(p178)
・米国の関税や追加関税がドル需要を増やすことから、ドル高を促す、これは最終的にインフレを高めるのは必至である。エネルギーはカナダから、メキシコから農作物など(p64)追加関税を払うのは、売っている側(輸出メーカ)でなく、輸入業者が払う、当然ながら輸入業者は、その分を全て価格に転嫁させる(p66)
・日本ではあまり知られていないが、トランプの大統領返り咲きを実現に導いた重要な公約「米国内の卵の市場価格を下げる」である、これが叶わなかったとき、次の中間選挙でトランプはボロ負けをするに違いない(p75)
・米国の製造業を復活させるとしているがこれはできない、理由として、1)サプライチェーンができていない、そして人材が揃わない、理系出身者は必ずしもエンジニアを目指さずウォール街を目指す、2)インフレを抑えるためにドル高(=製造業に不利)となる(p91)
・米国は2025年に満期を迎える国債のうち、2025年前半、すなわち今後半年間で7兆ドルの国債が償還を迎える、そのうち4.9兆ドルが長期債で、短期債は2.1兆ドルのロールオーバーとなり、米国史上最大のリファイナンスとなる(p101)
・2025年2月末の米国株式市場の時価総額は61.4兆ドル、ところがこれだけ株高にも関わらず、利益は2兆ドル、これは米国で株式に投資したら、元を取るには27年間も待たなければならないことを意味する、米国株は途方もなく割高である(p108)
・現在の日本国債の10年金利はすでに2008年時点のレベルまで上昇している、アベノミクス(=異次元緩和スタート)レベルに戻っている、今回も2006年のように長期金利は2%にいくのではないか、その時点で円キャリートレードが完全に崩壊する。それが米国のバブル崩壊に拍車をかけ、米国リセッションが本格的に始まる、日本の金利が低かった(緩和)ので、米国株は上昇してきた(p128)
・ゴールドは1オンス3000ドルを超えていて、半端でない上げっぷりである。この強さの真の背景は何か、トランプ政権の不透明感によるものではないか、関税で最大の標的とされる中国はかねてよりドル依存を軽減させるために、ゴールドを買い増ししてきた(p139)ゴールド需給問題もあり、シルバーとプラチナが恩恵を受ける可能性がある(p142)
・雇用統計には、事業所調査と家計調査の2つがある、家計調査の雇用が減ったのに対して、事業所調査の雇用が増えていた。これは正規雇用が減って、パートタイムの掛け持ちが増えているからではないか。事業所調査は、同一人物が3箇所別のところで働いているなら、3名の雇用増とみなすが、家計調査は1名増である(p152)
・FRBが0.5%の利下げを行ってから3週間で、米国の借金が0.5兆ドル(75兆円)増えた、それだけドルを刷らなければならなかった。こうした現象を見ると、米国のみならず日本やEU諸国も同様に、国が抱える借金が巨大化しすぎて、容易く金利を上げられないジレンマに陥っている(p174)
・日本の「円」の隠れ切り下げに対して、米国からも欧州からも何の抗議もなかったのは、サプライチェーンを移行(台湾から日本へ)させるためには致し方ないとの合意が欧米側にあったと考えるべきであろう(p179)
・中国のスタートアップ企業のディープシークが新たな生成AIをリリースした、ChatGPT並みに性能が高い上に、開発費用がわずか10億円程度(ChatGPTの50分の1)さらに開発期間がたったの2ヶ月、しかも設計情報を公開するオープンソースモデル、つまり開発した言語モデルを誰もが無料で使えるタイプである、かねてからビックテックが主張してきた「AI開発にはスケールが必要」「巨大なデータセンター建設が必要」とする大前提が覆された(p212)
2025年7月1日読破
2025年7月5日作成 -
Posted by ブクログ
おかしな企業には手を出すなとユルマズ氏。
自己資本比率が低く、有利子負債の額が大きく、キャッシュフローが回っていない企業。
本筋はP119-144なのでその辺りと、知りたい銘柄などはp146からなのでそこを読むとカバーできる。
アマノリーについての話が印象的で具体的な根拠がなく理論的には説明できないけど、1種の経験則として『あり』と思えること。例えば経営者が替わるとか世代交代を示すようなキーワードがあった時は、その後から株価が上昇に転じるというパターンがある。業務提携というワードもより大きな企業と組んだりするとその後でそれが資本提携につながるパターンがある。
逆に株価にとってネガティブなワードは値下げである。米の値段はいくら下げてくれても嬉しいが、企業にとっとは利幅が削られるものである。
P130 エミンは株式総会に参加した際に3つの質問をするという。
①御社がビジネスを展開している市場の規模感をどのくらいと見ているのか。
②その市場規模は今後どのくらいまで伸びるか。
③5年後、あるいは10年後に御社はどれくらいの市場シェアを握っていると考えているのか。
だいたいこの3つの質問をすると企業のポテンシャルがわかるようだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ四季報は、変化に気づくためのツール。長年読み続けるからこそわかることがある。
「見出しランキングで見る業績トレンド」ポジティブな言葉で埋まると反落しやすい。
ネガティブな言葉ばかりのときは、悪材料を織り込み済み。
世代交代、経営者が代わる、などは上昇のサイン。
小さな企業が大きな企業と業務提携、は買収などがありうるので買うチャンス。
世界初、とあったらウォッチリストに入れる。値下げは業績悪化につながるので、売り候補リスト。
日本株のPERはずっと16倍のまま。まだ上る可能性がある。アメリカは20倍程度。
時価総額以上の現預金を持っている場合、タダ銘柄。そのまま放置もあるが、跳ね上がる可能性はある。
逆張りする場合は、債務が大きすぎないか、キャッシュフローが回っているか、に注意する。倒産の可能性があるから。
損切りのラインは設けないが、含み損はそのままにせず、実現損にして買い直す。税金で損益通算ができる。
長期トレードでは、利益が出ていたら放置していい。適切な利食いは難しいから、利益が出ている株は基本的にほっておく。上がっているときは買い足す。市場規模が飽和してきたら手放す。PSRが1倍に達したら売る。
PERは参考にならない。
クオリティバリュー銘柄を中心のポートフォリオにする。
バフェット指数=時価総額/名目GDP。80%以下は過小評価、126%以上は過大評価。
日本株が本格的に上昇するのは、米国株のバブルが崩壊してから。
四季報の巻頭に注目する。見出しランキングで見る業績トレンド、市場別業績集計表。
すべてが絶好調の企業は投資しない。悪い話しかない企業は倒産リスクをチェックして買い。
近年は流動性重視のため、大型株が高い。新興市場は安い。グロース250は上がっていない。過去の数字と比較する。
全部の銘柄に目を通す。最初からでなくてもいい。興味を持っているセクターを中心に見る手もある。
気になる銘柄には付箋を張る。セクターごとに色を変える。150~200社に付箋をはると、4.2%に絞れたことになる。
具体的な銘柄から見る場合は、四季報オンラインが適している。
事業拡大、業務提携の記事を見る。
キャッシュフローの欄と有利子負債を比べる。
営業キャッシュフローがマイナスの会社は避ける。
予想配当利回りを見る。
1銘柄で、最初は5分、なれると1分。
自己資本比率が高く、有利子負債が小さく、記述がネガティブな企業を買う。
急反発、底打ち、史上初、史上最大、過去最高、国内トップなどには注意。株価は変化を好む。
株価よりも時価総額で見る。
過去最高益と過去最高値を比べる。最高益が出ていて株価が更新していない場合は買い。
付箋を付けた株をもう一度見直す。
株主構成を見る。オーナー企業かどうか。大株主に大企業がいる場合は、買収されて高騰することがある。
外国人持ち株は多いほうがいい。
中小型株は、浮動株比率が低いほうがバク上がりする。
ホームページで社長の顔が出ているか。
個人向けの説明会には参加する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ会社四季報を「どう読むか」「どう使うか」に特化した実用書。
実際にしっかり使いこなしているプロの意見など聞いたことなかったので、珍しい本なのではないでしょうか。
単なる用語解説ではなく、エミン氏の市場観や銘柄選定の基準が明確に語られていて、四季報を“投資の武器”として活かしたい人に最適。
特に参考になったのは、
数字の読み解き方(売上・利益・ROEの見る順序)
テーマ株や成長株の探し方(上方修正や事業セグメントに注目)
割安株に惑わされず、将来性を見極める視点
実際に自分でスクリーニングやワークシートと合わせて使えば、かなり実践力が身につくのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
2022年の本なので、記憶の彼方となっていた当時の市場を思い出しながら読みました
最近の市場の変化が激動すぎて、いろいろ忘れてました(いま2025年春はトランプの関税発動でてんやわんやしてます)
恒大集団とか、アメリカのアフガニスタン撤退とか、ウクライナ侵攻など、当時の出来事をトルコ出身のエミンユルマズさんがどのように見て考えたかが書かれています
最後のほうに仮想通貨について取り上げている中で、ビックテックが政府が悪だと考えている、政府をなるべく小さくすべきというリベルタリアンがビットコインなどを支持しているという話が書かれているのが興味深い
当時は予測不可能でしたが、現在イーロン・マスクがアメリカ政府側としていろんなことを削ろうと動きまくってます
エミンユルマズさんもこんなことが起こるとは想像もできなかったでしょうが、その片鱗を2022年時点で感じ取っているのはすごい嗅覚です
ただ、全体としては編集者の力不足を感じます
個人的には、エミンユルマズさんのエックス(ツイッター)のほうが読み応えがあるかな
もっと深い話を書けたはずです
それとも、著者が多作な人なので、1冊に沢山要素を詰め込まない方針なのでしょうか
また、前半はいいのですが、後半はエブリシングバブルの話から離れて、当時の社会情勢で書きたいことを寄せ集めたようで、話がバラバラになっている印象を持ちました
文章も日本語ネイティブでないからか、あるいは頭が良すぎて前提をとばしてしまうのか、言葉の繋がりや話のつながりに違和感を持つ部分が見受けられます
もう少し話が伝わりやすいように編集者が手を入れるべきだと思います
総括としては、国際情勢の見方が独自で興味深く面白かったので星4にしました
著者の他の本も読んでみたいと思います
-
Posted by ブクログ
【評価】
内容 :★★★★☆
読みやすさ:★★★☆☆
難易度 :★★☆☆☆
ボリューム:★★☆☆☆
【所感】
地政学を中心に今後のグローバルマネーの行く先を考察した一冊。米ソ新冷戦における中国や日本、インド、中東(イスラエル、イラン)などの立ち位置や地政学的リスクも書かれている。今後AIが本格的に社会実装されると仕事がなくなる人が増えるのは不可避。そうなるとベーシック・インカムの導入が考えられるが、それを実行しようとした際に減少している日本の人口が良い方向に働くとしている。その他さまざまな要因で海外マネーが日本に流入するという展開。歴史宗教観点での地政学はしっかり学ばないと今起きている事象の根本理由が見えないのでもっと勉強しようと思った。読みやすく頭にも入って来やすい一冊だった。 -
Posted by ブクログ
トピックのひとつひとつはおもしろいけど、マクロ経済の大局観としてはもう少し言及されていたらよかったと思う。今の経済が複雑すぎるのと、全部の要因を洗いざらいにするのは無理があるにしても。
結局日本株に投資する理由もふんわりしてたかな...
今のアメリカ経済がバブルにあるのは間違いないと思うけど、日本経済指数が右肩上がりに牽引する材料がないと思う。中国の資産待避や、米国バブルが弾けて、日本のバリュー株が注目されたとしても、それこそ実体が伴わないバブルと言えるんでは?
地政学の話とか、暗号資産にしてももう少しそれが与える影響とリスクヘッジについて書いてくれるとありがたかった。(そういう本だと思ってた)
出版された当時に読んだらためになったかもしれないけど経済観としてはちょっと古いので答え合わせみたいな感じで読むくらいがいいかな。
エミンユルマズのエッセイとしてみたいな読み方だと普通におもしろい本です笑
もう一冊くらい著作読んでみようと思います。