無実の罪をよりによって(異世界からやって来た)聖女によって着せられたミラ。
死ぬ間際に本人からネタバレされれば、そりゃ死んでも死にきれないと思う。
それが時間逆行の魔法発動のきっかけとなった。
そこからの人生やり直しのお話。
前半は死刑宣告をした王太子フレイシスの動向にハラハラ、後半はついにやって
...続きを読むきた聖女の動向にハラハラと、前半後半でハラハラの種類が変わる。
でも死亡フラグがいつ成立するのかと、ミラと一緒に常にハラハラする羽目になるので、精神的には非常によろしくない読書となった。
あんなハラハラは極力遠慮願いたい。
緊張感ありすぎて疲れたほど(今となってはその疲労感もよかったと思えるが)
ミラの研究成果そのものが盛大な死亡フラグだと分かっているため、研究を進ませるわけにはいかず。
かといって進めないと仲間内から反感も買うし、何より病弱な王太子を救うキーアイテムにもなるので、簡単に研究を捨てられもしない。
自分の命を救うか、王太子の命を救うか。
そのジレンマが前半のクライマックスだと思う。
病弱な自分を見捨てず傍にいてくれたミラに、今回の時間軸の王太子は寧ろ惚れまくっているため、間違ってもミラに死刑宣告はしないだろうが、何がどう転ぶか分からないし、王太子の命を救うアイテムがミラの命を奪うきっかけになるのは確実なのだから、それは悩む。
それでも、ミラは王太子を救う方を選んだ。
それだけ彼女にとって王太子は大事な存在になっていたから。
そして、そのことが後の生存フラグにも繋がる。
後半は対聖女の話になる。
この聖女が本当に性格が非常にどす黒いキャラなので、一度目とは違うきっかけでもミラに無実の罪を吹っかけてきそうな状態。
おまえ、本当に聖女か?
その答えは終盤になって現れることになる(本当に凄いことになった。あれで聖女と言われても)
ここでネックになるのは、ミラが時間逆行してきたことを誰にも打ち明けていない点。
つまり未来に何が起こるかを知っているのはミラ自身だけであり、そういう意味では仲間がいない状態。
恋仲になった王太子にすら打ち明けられず、一人で抱え込んで苦しい展開になる。
ここで後半最大の選択肢。
本当のことを打ち明けるか、一人で抱えてどうにかするか。
これまでの土台固め次第で未来が変わる選択肢。
SLGのようだ。
一周目のミラだったら無理だったろう。
でも今のミラは築き上げてきたものが過去とは違った。
好感度も、仲間も、一周目の孤独だったミラとは何もかも違う。
例え証拠なく打ち明けても無条件で信じてくれる人が傍にいてくれた。
前半のジレンマを乗り越えた先につかみ取った生存フラグである。
そこからは怒涛の反撃になる。
あの頼もしさと胸熱展開は聖女様には悪いが本当にすかっとできて、これまでの緊張感を帳消しできる勢いがあったと思う。
その後はボーナストラック的なご褒美なお話。
エピローグも堪らないし、後日談は贅沢に2本。
幸せいっぱいな2人を読めたのは、本当にご褒美だったと思う。
初回限定特典付きだと、こちらもいちゃついておるSSも付くのでたまらない。
本当に精神をすり減らしながら読んだので、その後の回復まで網羅してあった点はありがたかった。
大満足の作品である。