松岡亮二のレビュー一覧

  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    個人的にはとても面白かった。
    そもそも教科書のトピックが興味深いものであったことが前提ではあるが、東大生達のディスカッションを読むことで自分も討論に参加している気持ちになった。

    書籍で取り上げられていた上野千鶴子先生の言葉が印象的だった。振り返ればわたし自身も環境に恵まれて今の人生を歩んでいると思う。

    日本社会を取り巻く教育格差について、様々な側面から想像力を働かせ、多様なバックグラウンドを持つ他者への思いやり、優しさ、協調ができる人間でありたいと思った。
    教科書とあわせて本棚に並べたい一冊だった。

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    2025年11月02日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    教育格差の話だが、就学前に格差が生まれていることと、隣人効果の大きさが印象的だった。
    意識的な養育によって生活を構造化すること、そして同様の意識を持った家庭が集まる地域・コミュニティに属することが、教育に大きなメリットとなるのこと。実際、今の新興住宅地に引っ越してからは、いわゆる放牧状態の子どもやポイ捨てのようなモラルの欠如を目にする機会が明らかに減った。駅前には学習塾が3つもあることを考えると、地域全体の規範意識の高さと教育に対する意識の高さ、またそのメリットも納得である。
    意識的な養育は幼児期から始まる。家庭では読書で多くの言葉に触れ親子で会話することで言語技能をつけ、机につく習慣をつけ、

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    2025年06月28日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    ネタバレ

    地域による学歴格差はいつの時代もあり、世帯収入や学歴などの住民の社会経済的な格差拡大へつながり、児童・生徒の学歴達成を左右し得る教育環境の差になる。

    23区で教育意識が高いのは、「大都市だから」ではなく、「近隣住民の大卒割合が高いから」である。すなわち、集合的な階層(近隣階層)によって、人々の選択、行動、意識は変わる。

    どの高校に入ったかで大きく異なる高校生活を送ることになり、学校間で卒業後の進路に大きな差がある。

    中流階級の親は子どもの生活に意図的な介入を行うことで望ましい行動、態度、技術などを形成しようとする「意図的教育」を行うのに対し、労働者階級・貧困家庭の親は大人の意図的な介入が

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    2025年01月02日
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来

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    経産省の思惑で、教育の市場化を狙った施策がこのSociety5.0を意識させた教育改革という指摘が面白すぎた

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    2024年07月08日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    教育社会学の入門としても読めるし、東大生の実態への野次馬根的な本としても読める。本書内で学生が、知ることと実践することには乖離がありつつも、知ること自体に意味を見出しているのが素晴らしいと感じる。
    自分が東大卒なので、学生の感想や議論には違和感を持たなかったが、他の人の感想を読むとそうではないようで、難しい。

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    2023年06月23日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    私は東大生ではないが、偏差値の高い大学で学んだので、教育格差を学ぶ学生たちの感想が自分とすごく近く、共感しながら読んだ。

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    2023年04月01日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    出身地域・親の学歴によって子どもの最終学歴は異なり、それが収入、職業、健康等様々な格差の基盤となる、そうした教育格差はどの社会にもどの時代にも存在することをデータを基に立証しています。
    日本では、1970年代半ばに高校進学率が9割を突破し、2009年には四年制大学の進学率が5割を超えました。しかし、(70~80年代のデータがないので立証は難しいですが)「大衆教育社会」と呼ばれるその頃からSES(社会経済的地位)による影響が強まる階層化社会は始まっていたことは、当時の実態から伺えます。そして、教育意識の地域格差は2000年代以降確実に拡大しているのです。
    アメリカの研究によると、中流家庭は「意図

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    2022年09月16日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    事実に基づいて、教育格差について知ることができる本。解決できた社会はないが、よりベターな方向に向かう作者の姿勢が好印象でした。

    以前『教育という病』という本を昔読んだのですが、その本と共通して、データをとってちゃんと検証することが必要と書かれていました。当たり前だとは思うんですが、こと日本においては教育となると個人情報がからんで継続的なデータ取得と結果のトレースは行われていないようです。

    面白いと思ったのは、
    学校に求められているのは、「教育(子供が社会に適用できるようにする)」と「選別(能力によって格付け、適切な進路に割り振る)」の2点だということ、学力テストを行い、適切な偏差値の高校や

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    2022年05月05日
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来

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    日本の教育が直面する問題について、「子どもの貧困」「国語教育」「英語入試改革」「共通テスト」「EdTech」「学費」など20の論点から概観することができる本。多くのデータが取り上げられており、説得力がありました。

    教育政策は政権が「レガシー」を残すための「思いつき」。「大学入試英語」やコロナ禍で突如沸き上がった「9月入学」問題を引き合いに出しながら、この本はそう断じます。
    思いつきではなくデータに基づく政策作りの重要性を。データを生かすことの大切さが繰り返し強調されていますが、埼玉県学力・学習状況調査を主導する大根田頼尚さんの「統計上だといろいろな結果が出ますが、当てはめる子どもは一分の一の

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    2022年01月31日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    非大卒の友達と会って話しますか?
    この問いに「あんまり、、、」もしくは「非大卒でくくるなんて差別的だ!」と思うのであれば
    絶対にこの本を読んでください。
    ただ、
    大学にいった方がよい、偏差値の高い学校にいった方がよい、家庭教師をつけたり、塾に通わせた方がよい
    というメタメッセージがある本です。
    そこに関しては問い直す必要があると思います。
    『学歴の経済学』とセットで読むのがおすすめです。

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    2022年01月14日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    データ・数字・ファクトを基に、
    日本に、いや社会に存在する教育格差の実情を露呈する良書。

    本人にはどうしようもない、出身地域と家庭環境、生まれによって、その後の人生の可能性に大きなセーブがかかってしまっているという事実。

    読後感はたしかに重いが、
    これがあるがままの事実に目を向けるということなのだろう。

    過去の経験を振り返って
    腑に落ちる点が本当に多々あった。

    今後の人生の見方、捉え方にも、
    生涯を通じて影響を与える本になるだろう。

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    2021年05月04日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    小中高と自分が僅かながらも感じてきた家庭間格差を如実に著していた本だった。過去の記憶を辿りグルグルと頭を巡らせながら、あの時の感覚は正しかったんだと認識するに至る。親が大卒かそうじゃないかでこうも子供の成長に影響を及ぼすとは何とも遣る瀬無い。社会的経済背景の格差をどうにかしないと教育格差に終止符は打たれないのだと思い知らされた。ズッシリと重い読後感が残るが、教育問題と向き合う良いきっかけとなったのは間違いない。自分自身大学で教育学を専攻しているのでこうした新書にこれからもどんどん広げて先々の学びに活かしていきたい。

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    2021年02月23日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    裏の帯にこうあります----<「緩やかな身分社会」この国の実態。>

    教育格差についてざっくり言うと以下のようになります。父が大卒の子は大学進学率が高い。そして大学進学率には地域格差・学校格差もしっかりある。父大卒と関係ある条件だけれども、経済的に恵まれて幼少時から習い事をしていると大学進学率が高い。親の、教育に対する肯定的意識の多寡も子の進学に影響するのでした。

    個人的には、これらはでも、未就学時点ですでに薄く感じていましたよ。習い事したいなあって思う動機のなかにはこういうことを察している部分がありました、振り返ると。


    教育システムは選別機能を持っている。社会自体もそれを望んでいる。た

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    2025年03月13日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    本質要約:文句を言うだけでは勝者になれない

    5章までの事実データと解析、考察を踏まえての本質を抽象的なまとめとしたが、教育格差において、制度や政策には当然プロコンがある
    敗者は「文句たれ」で勝者は「変化に(素早く)適応する者」と言うのが事実だろう
    制度が悪いなどと他責でいてはいつまでも勝者に移れず、変わったルールの中で「どうすれば勝てるか」を自責で考える勝者との差は開く一方で、勝者たちは勝っている以上、サイレントマジョリティである
    これは、あらゆることに一定言える本質でもあるが、「教育」においてはこの「スタンスの取り方」で恩恵/損を受けるのが子どもたちであることは、最も重要で忘れてはならない

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    2025年01月23日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    『現場で使える教育社会学』を教科書に、各章のメイントピックのサマリー、追加インプットを経て、各グループのやり取りと授業後のレポートが一冊の新書としてまとめられている。

    まずこの形式が面白いなと思って手を取った。

    投げかけられた問いを自分も考えながら、こういうバックグラウンドを持つ人はこんなふうに考えるんだな、なんて眺めていると、一部だけではなく、取り上げられなかった人のレポートも読みたくなった。

    「知って」「想像する」=「配慮する」ことの大切さを語る人が多かったが、率直な想いを語れる人や言葉にならない言葉を必死に紡ごうとする学生がいることが心強く思えた。

    想像するにはきっと原体験が必要

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    2024年07月23日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    親の社会階層や居住地域、学歴が子どもの教育機会にどのように影響するかを探り、教育格差がどのように形成され、維持されているかを解明した本。

    徹底したロジックとデータ主義によって、日本の教育格差が今にはじまったことでなく、「緩やかな身分社会」として再生産されていたという事実を突きつける。

    本書前半では、就学前の幼児教育から小・中・高校に至るまでにどのように教育格差が拡大していくかを辿り、後半では「ではどうすれば良いか」への提言もなされている。

    日本はアメリカに比べ、教育に関する大規模調査データが圧倒的に不足しているため、限られた調査結果から現状分析せざるを得ないらしい。

    本書は教育格差につ

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    2024年07月05日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    まず、東大生の言葉の運用能力が高いと思った。
    印象的だったのは、他者の合理性と異質な他者への想像力。

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    2024年04月16日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    丁寧なデータ分析を元にした、印象論や経験則ではない日本の教育の実態を示す本。
    私個人は、全体として格差の縮小に努めるべきであるというスタンスである一方で、自身の子どもには(格差の再生産になろうとも)少しでもより良い教育環境を与えたいと願う、一般的な大卒である。そのことに自覚的でありつつ、教育のあるべき姿を考えていたい。

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    2023年11月30日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    男子は上半身裸で体育、黒髪最高、生まれながらの犯罪者はいない。
    今も昔も変わらない問題を生徒が考えるのに意義があります。
    経済だけでなく教育も30年変わらないのかと涙出ました。私たちの責任ですね。

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    2023年06月13日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    ぼんやりと感じていた教育格差について深く考えるきっかけになった。同世代の人の意見を元に話が展開していくが、共感する意見も、ハッとさせられる意見もあっていろいろな気づきが得られた。
    対話形式なのでスルスルと読める。

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    2023年06月02日