あらすじ
入試改革はどうなっているのか? 今後の鍵を握るデジタル化の功罪は? いま注目の20のキーワード(GIGAスクール、子どもの貧困、ジェンダー、九月入学等)をわかりやすく解説。編著者の松岡氏は、研究が「教育の実態を俯瞰的に捉えた数少ない正攻法」(出口治明氏)と評される、「2021年日本を動かす21人」(『文藝春秋』)のひとり。ベストセラー『「学力」の経済学』の中室牧子氏、文部科学省の官僚ら総勢22名の英知を集結。
キーワードは、SES、子どもの貧困、デジタル化、ジェンダー、日本語教育・国籍、論理国語、英語入試改革、共通テスト、大学教育、GIGAスクール、九月入学論、大学無償化、教員の働き方、教員免許更新制度改革、審議会、EBPM、全国学力テスト、埼玉県学力調査、教育DXなど。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本の教育が直面する問題について、「子どもの貧困」「国語教育」「英語入試改革」「共通テスト」「EdTech」「学費」など20の論点から概観することができる本。多くのデータが取り上げられており、説得力がありました。
教育政策は政権が「レガシー」を残すための「思いつき」。「大学入試英語」やコロナ禍で突如沸き上がった「9月入学」問題を引き合いに出しながら、この本はそう断じます。
思いつきではなくデータに基づく政策作りの重要性を。データを生かすことの大切さが繰り返し強調されていますが、埼玉県学力・学習状況調査を主導する大根田頼尚さんの「統計上だといろいろな結果が出ますが、当てはめる子どもは一分の一の人生なのだと、自戒しています」という言葉が重い。
Posted by ブクログ
この国の教育行政は大丈夫なのか? 教育分野の研究者と教育行政官22名による共著である。20のキーワードについて書かれているが、大変面白かった。
本の帯に「データに基づいたまっとうな議論のために」と書かれているにもかかわらず、データに基づかない理念的、観念的な著者もいて、玉石混交の感が否めない。
この本を読んで特に驚いた点を2点述べると、
?EdTechを使った個別最適な学びは、経済産業省が産業界と強力に進めてきたもので、この動きは教育の「市場化」であるということ。
?日本の教育行政は、エビデンスをもとに行なっているのではなく、理念、経験、個人の感覚をもとに計画立案されている。また、結果の検証もしない。
教育は誰でも経験したことがあり、議論しやすい分野である。ネット空間も持論を展開する人で溢れている。しかし、エビデンスを語る人は皆無ではなかろうか?そしてその個人の理念、経験、感覚が大きな世論の渦という形で、教育行政を引き摺り回すという一面ももっているのではないか。
この国の教育行政は大丈夫なのか?
多くの人に読んでほしい本だ。
Posted by ブクログ
様々な観点、研究から今の日本の教育の政策、状況について論じられていて読み応え抜群でした。
これだけの方々が教育に携わって世の中の教育を良いものにしていこうと考えられているのだなと思うと頼もしいなと感じました。
反面、小室牧子さんも仰っているように、データに基づく議論があまりにされていないことに不安を感じました。
また、個人的な感想ですが高度な教育を受けてこられた方々は世の中には”正しい”、”確かな”教育環境があり、子供たちは等しく良い環境で勉強ができるはずと幻想を抱いているのではないだろうかと感じました。
家庭的な問題で全く勉強できない子もおりますし、学校と家以外に居場所が無い地域では学ぶ場所も限られています。そういった子たちの生活環境とかを無視して一人一台タブレットなどを推し進めてもうまくいかないのではないだろうかと思いました。
あくまでこれは私の感情論なので客観的なデータが無いところがもどかしい点ではありますが。。
Posted by ブクログ
<目次>
まえがき まっとうな教育論のために
第1章 教育格差
第2章 「学力」と大学入試改革
第3章 教育政策は「凡庸な思いつき」でできている
第4章 少しでも明るい未来にするために
<内容>
『教育格差』で2020年新書大賞を受賞した、松岡亮二氏を編集責任として、日本の教育政策のいい加減さを丁寧に解説した本。その解決の糸口は、見えているものの実行が難しい(政治家や実業界が自分たちの体験から口出しをしやすいから。それに文部官僚が引きづられる。さらに自分たちの出した改革に対し、実証を怠ったうえで、新しい改革をする…)。また教師たちも、同じ年代の人の中で見ると、大卒であるという家庭の経済力も学力も、偏りのある人々の集団であるので、「教育格差」ひとつとっても理解しにくいことが問題を難化させる。ただ、著者たちは真剣に分析をし、対応策を提示し、一部は実践していることを、あとがきの中で述べている。まずはエピデンスを示し、改革の失敗を証明するとともに、エピデンスに基づく改革を提案して、10~20年のスパーンの中で証明していくことだろう。教育は、日本の将来の数少ないシンボルになることは間違いない。この本をきっかけに、より良い議論がされ、良い施策が現れることを期待したい。
Posted by ブクログ
教育問題に関する20のキーワードについて、教育分野の研究者や文部科学省の行政官が研究知見やデータをもとに解説、提言した。
適切な現状把握と施策の効果検証を踏まえた議論を、という主張が全体に共通して流れている。
第3章は「デジタル化」と題する、コロナ禍でのICT活用に関する教育行政の対応についての論考。
テーマは多岐にわたる。ここでは「EdTech」、「教員の働き方」、「教員免許更新制度改革」、「教育DX」。
Posted by ブクログ
edtechをベースにして個別最適化の学びは、自律性や自由をうたっているが、その実態は、学びの自己責任化ではないだろうか?→学びの公共性が崩れるのでは?
性別が溢れる学校教育は、男女格差の認識を大きくしているのではないだろうか?
学校リスクは、教育だからという大義で見えない。教員の働き方は、子どものためだからという文化で、おかしなものになっている。
Posted by ブクログ
意外と読むのに時間がかかった。
データが豊富で、結論だけを読むのではいけないように感じる。
『教育格差』の松岡先生をはじめとして、最近挙げられているような教育問題、キーワードについて広く?取り上げられている。
社会経済的地位/子どもの貧困/デジタル化
ジェンダー/国籍•日本語教育/国語教育
英語入試改革/英語教育/共通テスト/大学教育
EdTech/九月入学論/学費/教員の働き方
免許更新制度改革/審議会/EBPM
全国学力テスト/埼玉県学力調査/教育DX
コロナ禍で、一気にオンライン化に拍車がかかったように見えるし、一年経ったのに何も動いていないと憤りをぶつける人もいる。
でも、オンラインにするというだけでも、格差の問題や教員の働き方との兼ね合い、そもそも学校使わないのに維持費いる?みたいな学費の問題なんかも微妙に入ってくる。
もっと言えば、そのことが子どもの心や学力にどんな効果や影響をもたらすのか、慎重な姿勢があってもいいと個人的には思う。
個別最適化も、聞こえは良いが実態は?
学校という場が、仕事を抱えきれないことは事実。
だけど、学校だからこそ、全人教育として担ってきた部分があるわけで……。
なんか、こう、学校ってどういう場所かが、少しずつ分からなくなっていたりもする。
子どもが減って、先生になりたい人も減って。
一番身近なはずの大人の仕事に、そっぽを向かれている現状。それでも、人間がしなくちゃいけない大切な仕事?でもある、と、思うんだけどなー。
面白かった。