松岡亮二のレビュー一覧
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興味深いテーマではあったが、良くも悪くも結局は「東大生」という枠組み(もちろん彼らも皆それぞれ多様な人生を歩んでいるのだが)の中でのディスカッションなのだ、と感じた。しかし、このような学びの機会によって、先ずは自分たちの育ちの環境について思いを馳せることができたのは、学生たちにとってとても有益だったと思うし、書籍化によって、わたしたちも学べるようにしてくれてありがたいと思った。
平等と公正と正義の違いについての話は興味
深かった。
また、「幸福にとって一番大事な資本は、人間同士の絆、いわゆる社会的資本だというのが定説です。学歴や収入より、むしろ困ったときに助けてくれる人、人生を一緒に歩いてくれる人がいることが幸福には影響するわけです」(p264)という発言に大いに共感した。格差が無くなることというよりは、このような人と人との繋がりができる社会になることを目指していけるようになりたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半2/3ぐらいはSSM調査の結果を示すことに費やされているが、冗長な上、解釈にも慎重な姿勢が目立っているので読んでいてちょっと疲れる。
著者の主張は最後の一章。われわれには生まれによってそれぞれに異なった「ふつう」が与えられる。子供のまわりの「みんな」もそれぞれ階層化されており、日本全体の平均とは全く異なっている。「みんな」に合わせているうちに進学していく子もいれば、大学進学が珍しい高校に入学する子もいる。
スタート地点である親のSES・教育度が小学校時代の学習時間、学校への親の関与率、通塾率、メディア消費時間(YouTubeなどを眺めたりする時間)、大学進学率、、、とその後も格差を全く縮めることなく引き継がれていくという。
これを打開するには「平等」な教育の廃止、すなわち、同じ学校の同じクラスにいるから、と同じ教育を与えるのでなく、能力別の教育によって優秀なものは優秀さを追求するシステムが望ましいという。現代の日本のように、独自の価値判断や自由な風潮を強調して学校教育の間だけ表向きの平等を維持したとしても、最終的に労働市場に出た時には労働市場の価値基準で評価されることになる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデータで環境による学力格差を表した。学力格差を埋めるために、データをもっと収集し、教職課程で教育格差の履修を提案している。
現在の日本の学校の機能は、学校という集団社会での生活方法を伝えること、学力によって選抜することである。
1990年代までは、地方の方が教育意識が高かった。しかし、現在は、三代都市圏内の方が高い。また、教育環境が不利な状況からでも、大卒になる人が多かった。現在は、教育環境が不利な状況の人は大学になりにくい。つまり、教育格差は拡大している。
幼児教育期
親が大卒以上である場合の方が意図的教育をする傾向にある。→親が高学歴であるほど、子どもの教育に関するスタートが早い
例
良い音楽を聞かせる、子どものテレビ視聴時間が短い、生活の中で時間管理をしている など
小学校
親の学歴によって、世帯収入は、子どもが大きくなるにつれ拡大。→教育にかけられる金額も変わってくる。また、学校間で格差がある。学校によって、「当たり前」「ふつう」といった感覚に差が生じているのである。
そのため、意図的養育に差がある
例
読書量の差、大学進学への期待度に大きな差、習い事、メディア視聴時間 など -
Posted by ブクログ
研究者の本だなぁと思った。リアルだとめっちゃ早口で喋りそう。あとユーモアを交えた例えが良くわからん。
けども書かれていることは素晴らしくて、難病の病理を突き止めようと様々なエビデンスを用意してくれているし、分析も的確かと。人は生まれによって踊る舞台が決まっていて、教育制度もそれを助長するシステムに自ずとなってしまっているということよね?まぁそうだろうなぁを間違いなくそうですと言い切れるようになるにはとても労力がいることだし、研究の成果としては十分だと思う。
ただそれを承知で言わせてもらえれば、日本の教育制度はそれでも平等だと思う。別に入学金が払えないから低層の学校に行かされるわけでもなく、同じ教科書、同じ出題範囲で競うステージが用意されている以上、仮に進学校に通えなくても「やらなかった自分が悪い」と自分を責めることができる。生まれが違ったからだなんて如何ともし難い不条理を嘆き悲しむことがない。それって相対的でなく絶対的に平等じゃない?努力して勉強すればどっかしらには進学校はあるし、先生捕まえて理解しきればセンター試験だってまぁまぁ取れるでしょ。たかだか学生に自分の人生の舵取りの責任をすべて背負わせる訳にはいかないけど、それでも社会や他人のせいになんてできないよね?かっこわりーだろそれ。それを言わせないだけの同調圧力はむしろ若者の間に根強い気がしてる。
でも著者の言う通り、トラッキングできるデータの拡充や教育格差の科目を教員養成プログラムに盛り込むとかは至極肝要なことだと思います。 -
Posted by ブクログ
意外と読むのに時間がかかった。
データが豊富で、結論だけを読むのではいけないように感じる。
『教育格差』の松岡先生をはじめとして、最近挙げられているような教育問題、キーワードについて広く?取り上げられている。
社会経済的地位/子どもの貧困/デジタル化
ジェンダー/国籍•日本語教育/国語教育
英語入試改革/英語教育/共通テスト/大学教育
EdTech/九月入学論/学費/教員の働き方
免許更新制度改革/審議会/EBPM
全国学力テスト/埼玉県学力調査/教育DX
コロナ禍で、一気にオンライン化に拍車がかかったように見えるし、一年経ったのに何も動いていないと憤りをぶつける人もいる。
でも、オンラインにするというだけでも、格差の問題や教員の働き方との兼ね合い、そもそも学校使わないのに維持費いる?みたいな学費の問題なんかも微妙に入ってくる。
もっと言えば、そのことが子どもの心や学力にどんな効果や影響をもたらすのか、慎重な姿勢があってもいいと個人的には思う。
個別最適化も、聞こえは良いが実態は?
学校という場が、仕事を抱えきれないことは事実。
だけど、学校だからこそ、全人教育として担ってきた部分があるわけで……。
なんか、こう、学校ってどういう場所かが、少しずつ分からなくなっていたりもする。
子どもが減って、先生になりたい人も減って。
一番身近なはずの大人の仕事に、そっぽを向かれている現状。それでも、人間がしなくちゃいけない大切な仕事?でもある、と、思うんだけどなー。
面白かった。