松岡亮二のレビュー一覧

  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    特別SESが高い家庭ではなかったが、親が教育熱心だったお陰で(隠れた意図的養育)学業に困ってこなかった。一方で、大学進学、就職と周囲の環境が変わるにつれて、周囲に優秀な人が増え、自分の家庭との経済格差を感じるようになった。塾に行くこと、浪人すること、幼少期の種々の習い事等に制限のあった自分と裕福な家庭の子を比較して卑下することがあったが、この本を読んですこしそのもやもやが解消された。

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    2023年05月19日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    教育格差、生まれによる格差はある。その上でどういう社会を望むか。

    ■初期条件(「生まれ」)である、出身家庭の社会経済的地位(Socioeconomic status, 「SES」)と出身地域
    ■意図的教養と放任的教養
    意図的教養:中流階級 習い事の参加、大人との議論・交渉の奨励→結果、子供は相手が社会的立場のある大人であっても臆さず交渉し 自分の要求を叶えようとする意識を持つようになる
    放任的教養:貧困層 子供の日常生活は大人によって組織化されてない。「自由」な時間が多い(テレビ無制限とか)。親は命令口調が多く、言語的な伝達は最小限にとどまる。→結果、子供は大人に対して自分の要求を伝えること

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    2023年05月06日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    学生の感想パートを通読すると、何とはなく、いかにも東大生だったらこう答えるよな、という臭みが目立つような気がする。といっても、きれいに視点や論点を敷きならべているので、標準的な教材としての価値はあるのだろう。
    中学校、高校の部活動は、教科学習以外の軸で生徒の自己実現のチャンスを用意するとか、生きていれば避けて通ることができない社会の「決まり事」を体得するための複線教育という意味合いは、たぶんあるかもしれない。しかし、パワハラ、いじめを、根っこのところで大なり小なり肯定するような、体育会系の気質を再生産し続けている元凶でないか、そしてその毒素を現実のオトナ世界に投射し続けているのではないのか、と

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    2023年04月10日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    教育は正解がないからこそ最善の道を模索し続けなければならない。また、どれだけ手を尽くしても格差が0になることはあり得ないため、その事実を心に留めておくことも必要であろう。

    ✏学校教育には教育機会の平等化装置として格差を縮小する機能があるといえる。

    ✏教育は誰もが何らかの実体験を持っているので自説を持ちやすい。どんな見解であったとしても白黒つけることは難しく、大半の教育論はその性質から完全な肯定も否定もできない。

    ✏個別化制作の「効率」性の高さという「正しさ」に酔うだけではなく、その政策の「差異化」機能が格差を拡大する可能性を意識することで、「個別化を推進しながら、なんとか格差にも対処でき

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    2023年01月04日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    日本は生まれた社会的な階層や地域によって歩む人生が最初から異なる凡庸な格差社会であり「自己責任」で済ますことは統計データからは許されない。教育格差を教職課程の必須科目にと言う著者に同意するし教育や子ども支援に関わるすべての人はまず本書を手にしてみるべきでしょう。どう分析しても格差社会であることがデータで延々と示される前半は苦痛かもしれないがそれでも知るべきだし、教育政策や制度を語る上で「自由」や「平等」がすでに存在している「格差」にどのような意味を持つのか、誰しも一家言持ちたくなってしまうテーマだからこそ議論の前提として知って欲しい。

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    2022年12月04日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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     子供が受け取れる機会は、親が与える環境による格差がある。これが公共教育で埋められない学力差を産んでいることをデータを基に示された本。
     また、その格差を意識せず、あの子は頭が良いから良い大学に行っていい職に着く、と済ましてしまうことは、公平平等であるべき公共教育の瑕疵であると整理された本。

     第1〜5章までは社会調査データにより、上記の内容が複数の側面から検証されている。しかし同じ結論の主張が繰り返し説明されるため、正直退屈で読みづらい。
     第6章は、前章までの経緯を総括したうえで筆者の意見を述べられている。面白くて読みやすい。教育は、全員に良い機会を与えるべきである。一方で教育後に就く仕

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    2024年12月08日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    データや同じ単語の繰り返しになるのはテーマ上しょうがないし、それだけ説得力はある。


    生まれが学力や進学先に影響してくるのはもちろん、考え方(そもそも子供が大学に行きたい、と思うかどうか)にも関わってくるのは、当然と言えばそうだけれど残酷


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    この教育格差を完全に消すのはたぶん難しくて

    それ自体よりももっと危険なのは、格差が広がることで「学力が高いことで得られた数字やレッテルが、その人の価値や幸せを決定づける」という風潮が助長されることだと思う。

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    2022年01月13日
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来

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    様々な観点、研究から今の日本の教育の政策、状況について論じられていて読み応え抜群でした。
    これだけの方々が教育に携わって世の中の教育を良いものにしていこうと考えられているのだなと思うと頼もしいなと感じました。
    反面、小室牧子さんも仰っているように、データに基づく議論があまりにされていないことに不安を感じました。
    また、個人的な感想ですが高度な教育を受けてこられた方々は世の中には”正しい”、”確かな”教育環境があり、子供たちは等しく良い環境で勉強ができるはずと幻想を抱いているのではないだろうかと感じました。
    家庭的な問題で全く勉強できない子もおりますし、学校と家以外に居場所が無い地域では学ぶ場所

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    2021年11月30日
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来

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    <目次>
    まえがき  まっとうな教育論のために
    第1章   教育格差
    第2章   「学力」と大学入試改革
    第3章   教育政策は「凡庸な思いつき」でできている
    第4章   少しでも明るい未来にするために

    <内容>
    『教育格差』で2020年新書大賞を受賞した、松岡亮二氏を編集責任として、日本の教育政策のいい加減さを丁寧に解説した本。その解決の糸口は、見えているものの実行が難しい(政治家や実業界が自分たちの体験から口出しをしやすいから。それに文部官僚が引きづられる。さらに自分たちの出した改革に対し、実証を怠ったうえで、新しい改革をする…)。また教師たちも、同じ年代の人の中で見ると、大卒であるとい

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    2021年11月09日
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来

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    教育問題に関する20のキーワードについて、教育分野の研究者や文部科学省の行政官が研究知見やデータをもとに解説、提言した。

    適切な現状把握と施策の効果検証を踏まえた議論を、という主張が全体に共通して流れている。

    第3章は「デジタル化」と題する、コロナ禍でのICT活用に関する教育行政の対応についての論考。

    テーマは多岐にわたる。ここでは「EdTech」、「教員の働き方」、「教員免許更新制度改革」、「教育DX」。

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    2021年09月30日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    教育政策学の権威である著者による、日本に蔓延る「教育格差」を論じた著作。豊富なデータとファクトをベースに、淡々と日本にある「生まれ」によって分断された社会を論じていくのが特徴的。

    父親が大卒の子供は80%が大卒となり、父親が非大卒の子供は35%が大卒となる。このように、親の学歴・親の収入・居住圏等の「生まれながらの性質」によって子供の進路が決まってしまう。

    論調が淡々としているだけに飽きが来る本ではあるが、教養として非常に価値が高い。良書。

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    2021年09月06日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    ネタバレ

    参考文献として読んだ。社会的格差が教育格差につながるよってことを様々なデータを使って何度も主張している感じ。ちょっと飽きた。今うちの大学にいるから松岡教授の授業とってみようかな。

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    2021年06月23日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    これは学校教育を考える人は必読。子どもの社会化の装置としての学校はどうあるべきか。学校/教育政策における「公正さ」とは。そういった議論のために押さえておくべきデータがまとめて読める本(松岡さん、書いてくださってありがとう!)

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    2020年12月02日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    本書は、近現代日本には昔から変わらず緩やかな階級社会がである、ということを詳細なデータで示した教育社会学の1冊。

    親の学歴や家庭環境によって、就学前から子供の教育や進学状況に統計的な格差が生じているので、それが受け継がれて階級ができてるし、親の収入や学歴によって住む地域も偏りがあるので、公立の小学校でも地域差、ひいては階級差が存在するということが述べられてます。まあ、普通の人は指摘されなくてもそんなの分かっているとは思うことが、データで示されてます。もちろん制度として這い上がることはできるが、それは少数派で、一部の例外がいることを示してもあくまで例外にすぎない。

    それでも日本は、他の国に比

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    2025年05月30日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    質疑応答を含んだ講義形式となると、複数講師でのリレー形式もあって講師の個性が後景化してしまい類書を辿るという筋道が辿りにくいと感じる。学生側にも思ったよりかは多様性がなくもなかった。

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    2024年12月05日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    データが多く読みにくさがあるけど、内容はとても興味深かった。

    教育格差は高校や大学など、分かりやすい学歴として可視化されるよりずっと前から存在する。生まれた時からそれぞれが生きる環境によって「ふつう」が異なり、行き着く先も異なる傾向が高い。

    振り返ってみると、学生時代の私にとっての"社会"なんてせいぜい学校やら習い事やらの関わりにとどまるもので、もっと大きな"社会"の中で自分がどこにいるかなんて分かってなかった。

    自分自身で選択できない子どもにとって、自分が見えてるものが「ふつう」でないことを認識するのは難しい。"親ガチャ"とい

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    2024年09月15日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    何となく気付いてはいたけど、様々なデータに基づいて改めて気付かされた感じ。
    特に幼少期の環境は大事だなと感じた。

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    2023年11月09日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    まず、知ることが大事だと感じた。
    偏差値の高い東大生でも自分が恵まれた環境にいることにさえ気付けない人がいるのだなと。

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    2023年10月21日
  • 東大生、教育格差を学ぶ

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    興味深いテーマではあったが、良くも悪くも結局は「東大生」という枠組み(もちろん彼らも皆それぞれ多様な人生を歩んでいるのだが)の中でのディスカッションなのだ、と感じた。しかし、このような学びの機会によって、先ずは自分たちの育ちの環境について思いを馳せることができたのは、学生たちにとってとても有益だったと思うし、書籍化によって、わたしたちも学べるようにしてくれてありがたいと思った。
    平等と公正と正義の違いについての話は興味
    深かった。
    また、「幸福にとって一番大事な資本は、人間同士の絆、いわゆる社会的資本だというのが定説です。学歴や収入より、むしろ困ったときに助けてくれる人、人生を一緒に歩いてくれ

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    2023年09月07日
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴

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    世界中で似たような傾向にはあるが、日本にいると特に一部地区で受験熱が偏って高い事に気付く。通勤圏や地価からある程度収入の似通った家族が集まり、塾などの教育施設も充実。周囲との交流の中でも加熱していくのだろう。レールに沿って似たような価値観が集まる中学、場合によっては小学校を受験する事に、教育の格差以上に多様性の偏りが生まれる事に不安がある。島田紳助が昔、学校の教室は社会の縮図で、能力や親の年収、素行の良し悪しが混ざり合った公立に我が子を通わせたいと言っていて共感した事を覚えている。偏った集団意識から差別意識が生まれ、そこで刷り込まれた狭い承認欲求は社会生産性を高めるためのもので、必ずしも複雑な

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    2024年01月03日