國友公司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2018年刊行。
駆け出しのライターである著者が、西成に潜入し、その経験を基に著したルポ。
西成。現在は大阪市西区あいりん地区と名を変えたこの地区は、関西最悪のゲットー、日本最大のドヤ街と呼ばれる。
地元の人間も、夜はまず近寄らない。
本著では、著者が実際に西成の真ん中に住み、飯場(ばんば)に入り、土工として働き、その過程で西成の人々と交流した実体験が描かれる。
非常に生々しく、どこまでが著者の演出かは分からないが、リアルな西成の姿が感じられた。
現在の西成は、かつてとは異なり、活気のあるドヤ街というよりは素行の悪い老人たちの掃き溜めとなっている。
住人が老い、若い人たちはあまり近寄らず、西成を仕切っていたヤクザも力を落としているためだ。
このルポを読んでそのような印象を受けた。
たまにあのエリアを通る時も、同様のイメージを受ける。
西成の住人たちは、様々な事情故に、どうにもならなくなって西成に辿り着く。
そして西成で最下層の暮らしをして、なんの発展も成長もないままに寿命を減らしていくだけだ。
しかし、そうなっても尚、人間は仮面を捨てられない。
「私はこういう体で生きています」という、「設定」があって、それを周りに開示しながら暮らしているということだ。
本書ではこのことが繰り返し語られる。
ここに人間の空虚さ、不憫さを感じた。
どこまでいっても、人間は見栄や自尊心を捨てられないのだ。
反面、「何のために生きるのか?」や、世界の発展・循環を全く考えずに、曖昧模糊に働き、ただその日を生き延び続ける姿というのは、動物の本来的な姿であるとも言える。
人生の意味や自分の存在意義を考えるのは「暇な」証左であり、衣食住が満ち足りた有閑階級の発想なのかもしれない。
もっと何も考えずに、ただただ毎日を繰り返す方が幸せなのかもしれない。
そんなことを考えさせられた本だった。 -
Posted by ブクログ
2023年刊行。
フリーライターである著者による現在の歌舞伎町こルポ。
このルポを書くために著者は歌舞伎町の中心地、その道の人が多く住む「ヤクザマンション」にしばらく居を構えているという。
「深く知るために、自らも潜る」という姿勢がライターとして素晴らしいと思った。
歌舞伎町は現在の日本における一番のゲットーである。
この世界にほとんど縁のない自分としては、本作は新鮮かつ興味深い内容だった。
キャバ嬢、風俗嬢、ホスト、スカウト、ヤクザ、半グレ、立ちんぼ、中国マフィア、台湾マフィア、黒人、これらが歌舞伎町における主要プレーヤーである。
まさに坩堝、カオスな街である。
著者は彼らへのインタビューを行い、内容を本書にまとめている。
基本的に文に変な癖はなく、フラットに読める。
ただ、所々で妙な断定をしてくるところが面白い。
「女である以上は必ず風俗に流れるタイミングがある」
「ホス狂いに、「足るを知る」という仏教的な考えなど存在しない」
狭い世界のサンプルをあたかも一般論のように解釈しているのが、(意図的なのかはわからないが)本書のひとつの魅力だと思う。
知らかったことも多く、下世話な好奇心を満たせて面白かった。
また、本文中でたびたび言及されるように、著者は「昔の歌舞伎町」にコンプレックスを感じている。
もっと危険で、無秩序だった時代の歌舞伎町を自分が味わうことができないことに、その時代を知る住人たちに自慢されることに、大きな負い目を持っている。
このコンプレックスが著者の原動力になっており、故に本書が単なる客観的なルポではなく、反骨心に支えられた作品たらしめているのだと感じた。
歌舞伎町は、側から見ている分には刺激的で面白い街だ。だが、住んでいる当人にとっては地獄そのものだろう。
ビジョン、主体性、自負心が欠如した人間はこのような場所に行き着くのだ。
堕ちないための努力、抜け出すためのビジョンをもたなければ、日本であっても人は地獄に落ちてしまう。 -
Posted by ブクログ
夏は公園やビルでペットボトルに水を汲む。
ホームレスはすぐに歯をだめにしてしまうため、砂糖を食べない人もいる。
無料低額診療事業。経済的な理由で医療を受けれない人は、無料・低額で医療を受けることができる。
アルファ化米。ご飯を急速乾燥させたもの。水や熱湯を注いで食べる。非常食用。炊き出しに使われる。
ホームレスの荷物をホームレスが盗んでいく。
激減したとは言え、ホームレス狩りの危険がある。周りに誰もいない場所では寝ないこと。
上野公園でホームレスをしていると、キリスト教や信仰宗教に勧誘される。
パチンコ屋の朝。並んで抽選を代行して千円もらう。 -
Posted by ブクログ
その日暮らし
ってな事で、國友公司の『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』
筑波大学を7年かけて卒業した著者が就職を諦めフリーライターの道へ。
その第一発目が西成ルポタージュ。
ドヤ街に入り、飯場で仕事をしながらドヤ街に住む底辺と言われる人々の生き様、街の様子を描写する。
まともな人間は居ないと言うくらい、元ヤクザ、元犯罪者、元ヤク中、現犯罪者、現逃亡者、現ヤク中と身元も過去も訳ありな人々が行く着く巣窟。
リンゼイさんを殺害して逃亡してた市橋も西成のドヤ街で身を隠し飯場で働いてと言う…
覚せい剤、麻薬なんかは日常的、昔ほど暴動とかは年寄りが多くなった為、殆ど無くなったが、大声で喚き散らすヤク中等はご健在みたい。
昔ほどの日雇労働者の街では無くなり、生活保護者が多くなり福祉の街となってきてるらしい。
まあ、福祉と言ってもヤクザ絡みで生活保護費を摂取してるとの事。
まあ、面白い内容じゃったんで、これ読んだら西成に行ってみたくなるかもね
何のために生きてるの?って聞くと
『みんな死ぬまでの暇つぶししとるだけや』
まあ、確かに…
読んでると色々と考えさせる事もあるね。
10年くらい前に引き継ぎで大阪担当になる時に、前任者から『三角公園行ってみる?』って聞かれたからアメ村の三角公園かと思って、ええねと付いて行ったら、西成の三角公園へ連れて行かれたんよ、昼間に…
まあ、溢れとるわな浮浪者達が。
あちこちで罵声や叫び声を上げててビビってた
そして晩に飯食いに行こって、また西成に連れて行かれて…
じゃが夜の西成は皆さんお疲れなのか殆ど人は居らず、たまに天然ドレットのおじさんが道端で寝てた(死んでたかも?)位で割と安全じゃったね。
更に今は観光地化と再開発で段々変わってるんじゃろね。
また、西成行ってガード下のホルモン食いに行って、飛田新地を散歩しに行きたいな
2021年40冊目 -
Posted by ブクログ
29歳の筆者が3ヶ月間ホームレスとなって暮らした日々のルポ。
読む前は、荒れた暗い気持ちになってしまうかもと心配したが、そんな気持ちにはならなかった。
わたしが想像すら出来ないような辛いこともたくさんあるだろう、けれど意外と彼らは逞しく生きている。
都内にいれば、炊き出しがあるし、冬になればボランティア団体から寝袋や防寒着をもらえたりする。
中途半端な田舎よりも大都市にたくさんホームレスがいる理由がここにある。支援が手厚いのだ。
わたし自身としては、なかなかそういうボランティア活動をしようという気持ちが起きず、はなはだ後ろめたい気持ちになった。
わたしの狭い行動範囲ではホームレスを見ない。炊き出しに遭遇したこともない。近くにないから遠い存在なのかもしれない。
が、排除建築は見たことある。
なぜこのベンチにこんな柵が?と不思議に思っていたのだが、そういうことだったのか。
インドに通っていたとき、様々な人を見た。
スラムで生活する人、路上で生活する人。
過酷な暮らしではあるだろうが、どんな人にも場所があった。
差別は厳然と存在していたけれど、排除されることなく、場所はあった。
どんな境遇の人も認められて生きていける世界になればいいと思う。
どんな気持ちを持って生きていくか、ということが大事だと思った。
それは路上生活者だけでなく、全ての人に言えることだ。