あらすじ
「眠らない街」「東洋一の歓楽街」と呼ばれた歌舞伎町は、時代の波に呑まれ、今や何の変哲もない歓楽街へと成り下がった──それは本当だろうか。
前作『ルポ西成』でドヤ街暮らしを送った著者は、2019年に歌舞伎町のヤクザマンションへと居を移し、現代に残る歌舞伎町の魅力を探すべく街に入り浸った。
そこで出会ったのは、得体の知れない、そして味わい深い人間たちである。輝くネオンの裏に底知れぬ闇を抱えたこの街で、彼らはどのように生きているのだろうか。歌舞伎町のディープな魅力と暗部に迫った潜入ルポ。
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Posted by ブクログ
東京出張の際に宿泊地として利用することもある歌舞伎町。
本書読めば読むほど、新宿・歌舞伎町の極々表面しか知らなかったことを痛感
筆者のまさしく体を張った取材力と巧な文章力、構成に脱帽
以下、特にお気に入りのエピソード
・心優しきストーカー退治人との交流
・巻末のベテランカメラマンの写真と対話集
概要
「眠らない街」 「東洋一の歓楽街」と呼ばれた歌舞伎町 は、時代の波に呑まれ、今や何の変哲もない歓楽街へと 成り下がった ―それは本当だろうか。
前作『ルポ西成』でドヤ街暮らしを送った著者は、2019 年に歌舞伎町のヤクザマンションへと居を移し、現代に 残る歌舞伎町の魅力を探すべく街に入り浸った。
そこで出会ったのは、得体の知れない、そして味わい深 い人間たちである。輝くネオンの裏に底知れぬ闇を抱え たこの街で、彼らはどのように生きているのだろうか。 歌舞伎町のディープな魅力と暗部に迫った潜入ルポ。
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おもしろかった!
昔よく行ってた上海シャオツーが思い出の抜け道にあったとは。通りの名前も知らずに行っていた。
ストーカー退治のチャーリーの話も印象的。
読み終わってから映画新宿スワンを観てみた。そっちは2015年の映画なだけありホストのために夜職をやってる子は出てこなくて、時代の流れの早さを感じた。女の子のファッションもぴえん系じゃなくボディコンみたいな感じ。
Posted by ブクログ
「さらばのこの本ダレが書いとんねん!」で紹介されていて、かつ「ルポ路上生活」の著者の潜入ルポだったので、拝読。歌舞伎町の最ディープ部分を、ヤクザビルで生活することによってつついていくところは、迫力満点。異世界を垣間見せてくれる、これこそノンフィクション(ルポルタージュ)の面目躍如。
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YouTubeで知った國友公司さん。
歌舞伎町のあれこれ取材のためにヤクザマンションに入居してしまうとは…。
その辺のありがちな特番よりもずっと身に迫るものがありました。何てったって住人ですから。
ルポってジメジメ悲観的な印象を受けてしまうのであまり得意ではないのですが、國友さんの文章はさら〜としていてとても読みやすいのでルポ苦手な人にはお勧めしやすいかなって思いました。
Posted by ブクログ
怖い、怖い、怖い、本当に怖かった。
ホラーは所詮は人間が作り出したフィクションだが、著者が潜入して体験したことを書き記された本書、これは現実である。
しかもあの有名なマンションに住んでいたというのだから、さらに驚きだ。
最後の章では五十年間、歌舞伎町の変遷を写真に収め続けてきたカメラマンの話も出てきて興味深かった。
この本を読んで歌舞伎町を訪れると、きっとそれまでとは違う思いを抱くだろう。
Posted by ブクログ
大胆にも暴力団の事務所が複数入居している通称「ヤクザマンション」に居を構え、仮初の愛とカネが交差する欲望の街、『歌舞伎町』の実情を見つめて書かれた一冊。
昭和の面影を残す抜け道に関するエピソードや、歌舞伎町と言えば勿論欠かせないであろうホストや風俗嬢(ホス狂い)の話も書かれている。
だが、個人的にはコンカフェ嬢や風俗嬢に熱心に入れ込んだ結果ストーカー化してしまった悪質な客を退治するチャーリー氏の章は非常に興味深かった。彼曰く、こういったケースでストーカーとなる人物は大体の場合に思い込みが激しく、女の子によるマメな営業活動を勝手に好意に変換してしまうのだという。
(わたしも随分前の話にはなるが、所謂メイド喫茶でアルバイトをしていたことがあり、その際は顧客との関係性や適切な距離の築き方に思い悩んだことがあるのを思い出し、少々懐かしく感じた。メイド喫茶やコンカフェに通う男性客は、異性とのコミュニケーションに不得手な人が多い。故に、優しく接しすぎるとそこから必要以上の好意的な感情を見出し、店として提供できるサービス外の要求をされることがある。しかし、逆に冷たくすると落ち込んで姿を見せなくなってしまうので、なんともちょうど良い塩梅を見出すのが難しい。思い返せば、安定した売上を出しているメイドの先輩はそうした多少厄介な節のある顧客を上手く宥めたり、時に諌めたりしながら店へ繋ぎ止めていた。対人コミュニケーションが上手すぎると思う。)
悪質なストーカーによる殺傷事件が絶えない中、チャーリー氏は依頼人である女性からは一切金銭を受け取らない他、自宅の場所を押さえられてしまった場合は、ストーカーの魔の手から逃れるための一時的なシェルター(仮住まいとなるアパート)までもを提供している。
コンカフェ店舗の近くに車を停め、"推し"の出待ちを図るストーカー客。本人はあくまで純粋に彼女を好いており、忠実な騎士の如く無事に家に帰り着く姿を見守っているという思考でいるらしい。故に、自分が悪質であることに無自覚なのが厄介だ。そして「見守る」という行動は残念ながら、直接的な危害を加えたとは見なされない。なので、警察は動かない。どんなに薄気味悪い行動を取っていても、彼らが明らかな他害行為に走らなければ、動けないのだ。
ならば、その何かが起きてしまう前に自分が動くと言うチャーリー氏。最悪の場合は捕らえたストーカーから一銭も取れないケースもあるようだが、自身の手元に何も残らなくても女の子を救えたことが嬉しいと語る彼からは、著者同様にわたしも人情味を感じた。章内で書かれているストーカーを捕らえて懲らしめるチャーリー氏の行為は、勿論「やってはいけないこと」のカテゴリーに入るのだが、それを一概に責めることはできない。なぜならこうした彼の(黒に近い)グレーな制裁行為により、厄介なストーカーおじさんが悔い改めることで犯罪者の発生を抑止している他、今日も何人もの女の子が救われていると思うからだ。
ストーカーはダメ、絶対。
Posted by ブクログ
あの時代の歌舞伎町、テレクラの宣伝音が通りという通りに大音量で鳴り響き、街角にはルーズソックスの女性、大久保公園の周りには東南アジア系や中南米系とおぼしき女性が立ち、風林会館と明治通りの間は今よりずっと暗くて怖かった。
街の喧騒に疲れた時、ハイジア2階にあったL.L.Beanに入ると癒されたなー。
グリーンプラザは終電逃した時に居心地良くて便利で良かった。カプセルもあって新宿のどのサウナよりも安全な気がしたな。
バッティングセンター、今も残ってて良かった。
歌舞伎町がホストの街と化した分、秋葉原や新橋が風俗の街と化して来たのかな。
脈絡のない感想ですが、当時の歌舞伎町にはたくさん思い出があるので、色々興味深い本でした。
Posted by ブクログ
続きが気になり夢中で読んでしまいました。この本を読んで自分も身を売らなければいけない環境だったかもしれないことや前職で外国人に連絡先を渡されたこと、ストーカーのことを思い出しました。今ある環境に感謝しつつそうやって生き抜いている方々がいることを忘れずにいたいし、在留目的で言い寄る人もいることを気をつけ、困っている人を助けようとする人もいる(絶望の中でも光はある)ことを覚えておこうと思います。
特に印象に残っているのはDVする人しか好きになれないと言っていた方です。どうしてそういう人を好きになるのか、今までどういう人生を送ってきたのかもっと詳しく知りたかったです。
人に歴史ありといいますが、本当に私は知識不足を実感してるため多くのことを本から学びやがて自分の考えをまとめたいです。
Posted by ブクログ
それにしても執筆依頼する方も受ける方もすごいな
ホストに狂う人が今まで理解できなかったが、これを読んだ事でどういう人がメインターゲットでどうやって稼いでいるのかがわかったのは大きい
あとはやっぱり闇の部分が放つ妖しい魅力だよね
特に最終章で知れる歌舞伎町の歴史が持つ魅力には
体験してないが昭和ノスタルジー的な面も含めて抗えない感じがとてもあった
Posted by ブクログ
2023年刊行。
フリーライターである著者による現在の歌舞伎町こルポ。
このルポを書くために著者は歌舞伎町の中心地、その道の人が多く住む「ヤクザマンション」にしばらく居を構えているという。
「深く知るために、自らも潜る」という姿勢がライターとして素晴らしいと思った。
歌舞伎町は現在の日本における一番のゲットーである。
この世界にほとんど縁のない自分としては、本作は新鮮かつ興味深い内容だった。
キャバ嬢、風俗嬢、ホスト、スカウト、ヤクザ、半グレ、立ちんぼ、中国マフィア、台湾マフィア、黒人、これらが歌舞伎町における主要プレーヤーである。
まさに坩堝、カオスな街である。
著者は彼らへのインタビューを行い、内容を本書にまとめている。
基本的に文に変な癖はなく、フラットに読める。
ただ、所々で妙な断定をしてくるところが面白い。
「女である以上は必ず風俗に流れるタイミングがある」
「ホス狂いに、「足るを知る」という仏教的な考えなど存在しない」
狭い世界のサンプルをあたかも一般論のように解釈しているのが、(意図的なのかはわからないが)本書のひとつの魅力だと思う。
知らかったことも多く、下世話な好奇心を満たせて面白かった。
また、本文中でたびたび言及されるように、著者は「昔の歌舞伎町」にコンプレックスを感じている。
もっと危険で、無秩序だった時代の歌舞伎町を自分が味わうことができないことに、その時代を知る住人たちに自慢されることに、大きな負い目を持っている。
このコンプレックスが著者の原動力になっており、故に本書が単なる客観的なルポではなく、反骨心に支えられた作品たらしめているのだと感じた。
歌舞伎町は、側から見ている分には刺激的で面白い街だ。だが、住んでいる当人にとっては地獄そのものだろう。
ビジョン、主体性、自負心が欠如した人間はこのような場所に行き着くのだ。
堕ちないための努力、抜け出すためのビジョンをもたなければ、日本であっても人は地獄に落ちてしまう。
Posted by ブクログ
歌舞伎町の裏側を書いた本。。
ヤクザマンションに著者が実際に住んで、
取材を行っています。
ホスト、風俗嬢、ヤクザ、マフィア、
色々な話が書いてあります。
中でも、風俗嬢とホストの
関係が非常に印象的でした。
ホストにハマっている人(ホス狂い)は
風俗嬢が9割だそうです。
ホストを支えているのは風俗嬢、、
弱者男性からお金を搾取して、
ホストに貢ぐ。。
世の中のお金って、
そうやって循環してるんでしょうね。。
まぁ読んで損はない作品だと思います
Posted by ブクログ
以前、歌舞伎のホス狂いに特化して取材された本を読んだが、この手の本はストリートビュー片手に読むと面白さが倍増する。本に出てくる道や建物の名前をストリートビューで見ると、画面上ではさほど危険がある様には見えないのだが、それは昼なの顔なのだろう。
行こうと思えば誰でも行ける場所に、エロだけでなく薬物や暴力、貧困など別世界の様にも思える顔がある。フィクションじゃなく全て事実。凄まじいエネルギーだと思った。
あと、人気シリーズの某ゲームはかなり歌舞伎の歴史を調べた上で作られていたんだな〜なんて思ったりした。
Posted by ブクログ
歌舞伎町にあるヤクザマンションに住み、歌舞伎町に潜り込み、現在の歌舞伎町を描き出すルポ。
元怒羅権のウェイ、スカウトの正木、歌舞伎町の黒人イブラヒム、キャバ嬢兼風俗嬢のアユ、買春中毒のギャラクシー、ゲイのラブホテル清掃員のゴーグルマン氏、拉致監禁のプロ・チャーリー、歌舞伎町伝説のカメラマン篝一光氏。
この取材先の面子の羅列だけで面白そう、と興味を引かれた。
場所柄もあるかもしれないが、著者の取材力なのか、非常に濃いルポタージュ。
正直自分とは全く関係のない話としか思えないが、今もこんな世界が繰り広げられているのかと興味深かった。
一生をささげてしまったり、のめり込んでしまう人達がいるのも納得の、唯一無二の街なのだろう。
歌舞伎町に魅せられてしまった著者にはぜひこれからも歌舞伎町を追い続けて、20年後の歌舞伎町も同じようにルポを見たい。