森バジルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いきなり21章から始まる。え?と思い、本書にさっと目を通せばよいものを、前作が20章で終わっていたに違いないと勝手に思い込み、前作を引っ張り出して読み返すことから始めた。
もちろん、勘違いではあったけれど、復習してから本書に入り込めたのは、結果としてよかった。結局、本書は21章、20章と時系列を遡っていくタイプだった。しかも、小石大ピンチのセンセーショナルな場面から始まるものだから、「戻らない」って、そういうこと⁈ と衝撃が走る。いったい、なぜこんなことになったのか。時系列が過去に遡るにつれて、その経緯が明らかになっていく。今までとは違ったドキドキ感がある。
読む前は、今回は騙されないぞと意気込んでいた。時系列を遡る構成もあって、意識はWHYに向いている。これなら完璧なはずだった……しかし、完敗だった。気持ちのいい負け。著者の鮮やかな手口に、むしろ清々しい気分になる。楽しかった。
今回は書籍で購入したのだが、紙でよかったと感じた。タイトルを回収する素敵な一文が、ちょうど1ページめくった先にある。その演出も含めて、味わい深い読書体験になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作にあたる「探偵小石は恋しない」が大好きだったので続編も発売日に購入した。
森バジル先生らしい見た事ないトリックが施された一冊。21章から始まってどんどん遡っていくなんてミステリー初めて過ぎて最初は戸惑ったが、段々謎が解かれていく様は楽しかった。
最初は「どう考えても小石が犯人じゃん」としか思えなかったが、遡っていくにつれて「七瀬しか怪しくないんだけど、小石が嵌めてんのかな」と思える構成は流石。結果、七瀬が蓮杖に異常ともいえる恋情を抱いていた為に起きた殺人計画。小石が創作した殺人事件に準えて七瀬を嵌める結末となった。
小石が過去に受けた恋愛絡みの辛い出来事を、今度は蓮杖に向けるとはなぁ。
その結果小石も嫉妬?なのか自分の気持ちに気づけたわけで、タイトルの「探偵小石は戻らない」というのは【現状維持にこだわる】過去には戻らず、【蓮杖との関係を進める】という未来に向かうという意味なのかと思った。
最後の「わたしね、蓮杖くんのことが好きみたい」を読んだ時は声出たよ。
--恋愛話大好きなおじさんより -
Posted by ブクログ
待ちに待った文庫化
「探偵小石は恋しない」で
森バジルさんにハマって、
その時点で他の著書を探した時には
本書はまだ文庫化されていなかったので
今回、文庫化されて嬉しかったです。
即購入し、ドキドキワクワクしながら
読みました。
生放送中にこんな事が起こったら…
現場の緊張感が伝わってきました。
色々と(いい意味で)裏切られ、
最後の最後(解説)まで楽しめました。
解説が、本書と一緒に購入した
本の著者(阿津川辰海)という
偶然にもびっくり!
加地さんや佐久間さんなど現実のPの名前や
水ダウなどの番組名も出てくるので、
いま読んだ方が楽しめると思います。 -
Posted by ブクログ
「ねえ、七瀬。わたし、どこで間違えたんだろうね」
自問として、自分の胸にも刺さる問い。
「知らないよ。一つ一つ、遡って振り返って見れば?」
深いため息をひとつこぼす。
吐いた量の分、吸い直す。
静まった場に、言い捨てる。
「正論きらーい」
「生野菜サラダにオニオンドレッシングかけてるときさ、野菜に野菜かけて食べるのって何らかの倫理に違反してないかな、って不安になるよね」
「身体もばきばきだし。もういますぐマッサージ行って"お客さん相当凝ってますねぇ”って言われたい。あれさ、”凝ってますねぇ”って言う方も言われる方も、なんであんなに嬉しそうなんだろうね」
「まあ、もし何か書くとしたら、叙述トリックは絶対入れるかな。王道の誤認系のやつをしっかり押さえて、読み手を騙してやりたい」
「性格の歪みが窺えますね」
「今、叙述トリック書いてる作家を全員敵に回したけど大丈夫?」
「だからさ、もしこの先わたしが誰かにはめられて、誰かを殺したって疑いがかけられても、わたしを疑ったりしないでね。わたしは殺人どころか、その言葉を冗談で言うことすらしないんだから」
「別に、怒ってはないよ。まあただ、今澪自身が言ったとおり、わたしのことは、わたしに決定権があるから」
「そうですよね。ほんと、失礼しました」
「澪も一緒だよ。自分で決めたいことがあるなら、決められるように努力するべき」
「やば、含蓄感じる」
小石の顔が目の前にくる。吸い込まれそうな瞳と、シャーペンの芯が数本置けそうなくらい上向きで長いまつげ。
「かもしれない運転すぎ」
頬から手が離れ、こつん、と額に挙が当てられる。
「もしもを重ねて、全部自分の責任だって思おうとするのはやめなよ。自責ってそういうことじゃないよ。仮に竜児さんが犯人だったとしても、蓮杖くんの失敗は一切関係ない」
「そもそも他者なんて、一緒に過ごしてない時間の方が長いし、一緒にいたとしても、相手の心の中までは分からない。だから言葉を使って少しでも埋めようとするんだけど…それでも、言葉にしたことが全てだって思わないでほしい。全部は、知り得ない」
「ミステリと違って、現実ではさ、過不足なく情報を提示することなんてできないじゃん。感情だって記憶だってなんだって、そのものの体積のほうが圧倒的に、もう比較にならないくらいでっかくて、言葉で表現できるのはそのほんの一部、氷山の一角のひとかけらだけ。七瀬視点だと、後出し情報多すぎる、聞いてねーよそんなの、って思ったことがたくさんあっただろうけどさ、それと同じで…わたしが言葉にしてない感情は、めちゃくちゃでかいよ、ってことを、こう、そよ風を感じるみたいに、受け取ってもらえたらいいな、って思って。叙述トリックってさ、何が叙述されてないかを考えるのが面白いじゃん」
「だから、さっき言ったばっかじゃん!言葉にしてることが全てじゃないって。叙述されてないことを、読み取ってよ」
「昔だったら絶対、こんなことは言わなかったと思う。けど、昔のわたしの言葉に、今のわたしを縛られたくない。認知的不協和は、発生した側から却下する。昔のわたしと今のわたしは連続してるけど、人は変わりながら前に進む存在だから。過去を振り返ることはあっても、大事なのは常にいまのわたし。他人の視界の中にいる小石像も、これまでのわたしの発言録も無視して ー 今ここにいるわたしが、最新最良なわけ」
「そういうわけで、前置きが長くなったんだけど ー 敢えて、ちゃんと言葉にして、言うね。ここ十日間くらいで蓮杖くんに起きた、恋愛感情絡みの嫌なこと、怖いこと、傷ついたこと…今から言う言葉で、全部上書きしてほしいんだけども」
小石が、くるりと蓮材に背を向けた。
「わたしね、蓮杖くんのことが好きみたい」 -
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ネタバレ
21章からはじまる。
七瀬「小石が犯人でしょう」
3人を殺した?
20章
士郎さん、亡くなってる。
七瀬、なぜ小石がここにいるのか訝る。
19章
ペットビデオで家を確認してみると、小石が。
18章
3人目の被害者。
烏丸の胸から願依の胸へと伸びる矢印が、烏丸の動きに合わせて揺れた。
願依の胸からは、矢印は伸びていない。だが、言葉の端々から烏丸への信頼の片鱗を感じた。
芥川士郎というメッセージ。
第一の事件──東野瑞希。 第二の事件──青山馨。 そして、七瀬の推測通り、第三の事件は島田千尋が狙われた。 全て、士郎から聞き出した、あの会食のメンバー。
17章
願依は絞り出すような声で、告げた。 「昨日、三人目の被害者が出ました」
16章
MGコンサルティング社の女性社員をターゲットにした、連続傷害事件。
15章
七瀬が刺された。
七瀬もMGコンサルティングの社員だ。第三の被害者ということになる。
場所は、小石が気を失っていた公園。
蓮杖は別の質問をぶつけてみることにした。 「小石さんは、竜児さんが犯人だって、思いますか」 「どうだろうね。家を抜け出した日と襲撃の日付が重なってて、同じ会社の社員で、ってなると怪しくは見えるかもね。断定はできないけど」
14章
蓮杖、小石の家で小石を介抱。
なぜ、公園に放置されていたのか。
小石は記憶にない。
七瀬が刺された。
13章
小石、蓮杖の胸から自分に恋の→が向いている。
気づいたら、公園のベンチ。
小石の胸からも蓮杖に向いている。あれから、意識しまくってしまう。
12章
目出し帽を被った男。ナイフ。
七瀬が腕に怪我。
それを見て、小石は気絶。
11章
七瀬は一応周囲に誰もいないことを確認して、色恋案件の依頼人──雫に発信した。
「一回失敗しちゃってるのに、申し訳ないんだけど……今日の調査、一晩だけ休ませてほしい。どうしても今日の夜に、しなきゃいけないことがあって」 『いや、急にどうしたん』雫が訝しげに言う。『そりゃ、私だってきつい依頼してるな、ってのは分かってるけど。七瀬以外のメンバーに交代して、やってよ』 「私以外のメンバーも含めて、時間が必要で。今日だけ、自力で竜児さん見張ってくれない?」
10章
「被害者は古賀澄花ちゃんっていう、私の一つ下の後輩なんだけど。昨日の晩に、会社近くの道端で切りつけられて、左腕に傷負ったらしくて」
一人目と同じく、『女のくせに』と言っていた。
昇進した若手女性社員を狙っている?
9章
七瀬は結婚して、元の黒井という苗字から、芥川という苗字に変わっている。 「芥川って言いづらいでしょ。言う度に文豪の顔がちらつくし」 「別にちらつかないですし、ちらついてもいいでしょ」 「だめだよ。例えば私が夫の愚痴言って、蓮杖が共感してくれて、ああ嬉しいなって思ったとして。実は蓮杖の頭には文豪の顔がちらついてて話にまったく集中できてなくて生返事だった、みたいなことが起きたら、すごく嫌だもん」
「取りあえず、呼び方の件は分かりました、下の名前で呼びます。ああ、でも教えたとおり、尾行中は符帳で呼びますから。僕は上田で、七瀬さんは……矢部で」
高校生、佐藤澪。前の依頼で知り合った。
芥川七瀬、本業が休職中は調査員。
第8章
七瀬、調査員に申し込みにくる。
蓮杖と昔、付き合ってた。かつては、七瀬が浮気して別れた。
小石は推理案件。
蓮杖と七瀬とは別案件。
7章
七瀬、九吾の姉。
七瀬、旦那の士郎とは離婚したいと伝えている。
6章
小石の妹、願依。
烏丸、記者。烏丸の胸からは願依への恋の→は見えているが、逆はない。
願依、連続毒殺事件を調査している。姉ちゃん、助けて。
5章
願依、両親が離婚後、父の方の苗字。小石は母の方の苗字。
願依、烏丸とはセックスしない。
蓮杖と小石も告白的なことはしたが、変わらない関係を続けている。
4章
九吾、面接。小石探偵事務所に。
黒井九吾。
手を怪我している。
3章
小石「何の知り合い?」
蓮杖「友達の弟」
2章
依頼人、伊堂雫。三十一歳。夫の不倫調査を希望。
「わたしの見立てだと、旦那さん……竜児さんは、たぶん不倫してるね」
矢印は、二本出てた。行為の有無は分かんないけど、浮気は確定。先月から変わってなければね。
雫の胸には何も→が伸びてない。
22章
蓮杖「僕は小石さんが犯人だとは、最初からずっと、一片も思ってないです」
→まー、読者も絶対シロだとは思っているな。。
「まず、一人目……東野さんの件ですが、願依ちゃんも、小石さんも──東野瑞希さんが亡くなったのが、今年の十一月二十日とは言ってないんです」
「東野さんが殺されたのは、たとえば去年──二〇二四年の十一月二十日の可能性もある」
「そっちも、一年前かもって?」 「いえ、こっちは願依ちゃんが説明する際、前日のことである旨が言及されていたので、一年前ということはありえません」 「だったら、日時は確定でしょ。願依は確かに、十二月三日の夜、二十時ごろに青山馨さんの遺体が発見されたって、言ってた。毎日電話してるのに出ないから、義理の母に確かめさせたって……そのタイミングで小石は、調査を急に休んでた。一致してるよ」 「その話は、あくまで配偶者の日向さんの視点での話です。十二月三日の二十時ごろというのも、日向さん主観での日時でしかない」 「主観での日時ってなに。実際の日時と何が違うの?」 あからさまに苛立つ七瀬に、 「日向さんがもし、海外に住んでいたとしたら。
三番目の被害者、島田千尋は男性。シャツを引きちぎって、左手にボタンがあったということから推理。
小石が銭湯で毒を飲ませるのは不可能。
東野瑞希、青山肇も男性。
中村真奈さん、古賀澄香さんの傷害事件、七瀬が犯人。
狙われているのはマネージャーにあがった女性。犯人は男性の声で喋っていた。
というのは七瀬から聞いたこと。それらが嘘。
七瀬が襲われたのは自演。協力者に依頼して傷つけてもらった。
竜児、あやしかったが犯人ではなかった。中村真奈さん、古賀澄香さんとは不倫。
士郎、生きてた。
1章
九吾、七瀬に指折られた。
九吾が七瀬のタブレットで旦那を殺害しようとしているのに気付いた。
小石、架空の連続殺人をでっちあげる。その最後の被害者が士郎。
23章
かつて、七瀬、蓮杖の心が自分から離れてしまっているのに気付いた。だから、他の男ども寝たことにして別れた。蓮杖がショックを受けていたら、それで自分を求めていたことがわかるから。
だから、結婚もした。
プロローグ
蓮杖との恋の→、消えてしまうのが怖い。
小石は今までの関係を続けることを選択。
エピローグ
小石「ここ10日間くらいで蓮杖くんに起きた、恋愛感情絡みの嫌なこと、怖いこと、傷ついたこと……今から言う言葉で全文上書きしてほしい」
わたしね、蓮杖くんのことが好きみたい。
→全体的に満足。前作を超えたかというと、そうでもないが、続編のハードルは超えた。
前作と違った意味で読みにくさはあるが、逆行小説なので。ジェフリー・ディーバーのオクトーバーリストみたいな感じ。ただし、完全な逆行小説ではないのが、作者都合が見えてしまって残念。そこをもうちょっとうまく完全な逆行にしてほしかったところ(無理な注文か)。
また、調査員が犯人なのかとも思ったが(前作は調査員プラスアルファはあったが)、シリーズものでは身内が犯人なのはありがちか? でも、蓮杖はあんなサイコパスとかつて付き合ってたのか?と疑問も持ってしまうが。。
表紙は、前作よりいいかな。小石が前作よりかわいいので。
特典のss
不幸中の幸い
財布忘れの話。
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Posted by ブクログ
ネタバレお兄さんはね、こういったミステリー要素と恋愛要素が合わさった作品がだ〜いすきなんだ
時間を遡りながら読んでいくシステム。
初っ端からそのシステムに入れられるとは思ってなかったので、初めてメモを取って情報整理しながら読みました。新しい体験。
時間が巻き戻る表記も戸惑いましたが、これも良い役割してたんだな…
あと、ミステリー作品のタイトルが色々と出てくるのも好き。
…上田と矢部はTRICKか?
恋愛は本シリーズの核となる要素。今回もクソデカ愛が炸裂してた。
お気に入りはエピローグの小石のシーン。たまりません。お掃除したり、時短の化粧をやってみたり、というか蓮くんに会うためにめっちゃオシャレしてたり、も〜〜〜すき(語彙力欠如)
探偵小石は「戻らない」んですよね!?進むんですよね!?ということは次回作もあるということですよね!?!? -
Posted by ブクログ
ネタバレ厳禁なので読み心地のみ。
他のミステリ感想で「ミステリにおいて常識や思い込みは最大のノイズ」と書いたが、本作はそれを極限まで煮詰めた感じだった。
ノーヒントだと推理が苦しすぎるので、ヒントを作中で何度も示してくれるのが有難かった。
清々しいほどフェアなので、謎の答えに辿り着いた人も多いだろう。
私は二番目の事件の真相が、可能性すら思い浮かばなかったので最も驚いた。
キャラクター同士の掛け合いやミステリの小ネタも楽しく(少女漫画は一つも元ネタわからず……)ゲートウェイミステリは「〇〇」という意見が小石と一致して嬉しい。
「コミカルなやり取り」と「怒涛の伏線回収」という言葉に抵抗のない人には、是非おすすめしたいミステリだ。