森バジルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テレビ好きのバラエティープロデューサー幸良は、進退をかけた生放送番組の本番を控えていた。
その名も「ゴシップ人狼」。
内容は、出演者がゴシップを持ち寄って披露し合い、1人だけ紛れ込んだ嘘つき=人狼を見つけるというものだ。
放送準備で慌ただしくなる中、彼女はスタジオの一角で死体を見つけてしまう。
それは番組に出演予定の大御所俳優、勇崎だった。
そしてそこには新しい台本とともに、とある指示が置かれていた。
放送を止めず、この通りに番組を進行すること。
失敗した場合は、スタジオに設置した爆弾が爆発するという。
幸良は、ともかく指示に従って番組を最後まで放送することを決意する。
序盤から、実在するバラエティーや芸人の名前が自然に登場しているのが印象的だった。
現実と地続きの世界線なのだと意識されて、思わずニヤけてしまう。
本作で特に面白いと思ったのは、生放送番組の出演者の思考や心情の描写だ。
一発屋からの再起を図ろうと空回りする芸人や、クレバーに立ち回るバラドル。
「ゴシップ人狼」に取り組む彼らのパートは、自分が知らないバラエティ業界の裏側に触れられたような楽しさがあった。
個人的には、事件の犯人は誰かというミステリーよりも、お仕事小説のような魅力が大きかった。
その分、プロデューサー幸良が生放送を成立させるために危機に対応する場面やその思考・心情の描写は少なめに感じた。
もっとテレビ制作側のリアリティある動きを読めたらより楽しめたかもしれない。
また、現実と地続きの世界線だと意識して読んでいたからこそ、死体の扱いに関して少し入り込みにくい部分もあった。
森さんはデビュー作「ノウイットオール」でもM-1を目指す高校生のパートがあり、生き生きとした描写が印象的だった記憶がある。
またお笑い業界を描いた作品を書いてほしいなと期待してしまう。