武田百合子のレビュー一覧

  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    何度も読みかえしています。
    的確な表現 描写 時に乱暴(?)とも思える言葉。
    憧れの女性。
    この日記を読むと何故か元気に強くなった
    心持ちがします。

    0
    2019年08月29日
  • 絵葉書のように

    Posted by ブクログ

    著者晩年の、単行本未収録エッセイを娘さんが文庫本用に編みなおしたもの。三章に分かれている。「Ⅰ 思い出—武田泰淳と暮らした日々」には夫とのささやかで時々派手な生活が、交流のあった作家たちの姿とともに書かれている。「Ⅱ 歩く」は自宅周辺から佐渡や海外まで著者が見て歩いた人とものが静かに綴られる。「Ⅲ 食べる」はささやかな食卓を共に囲む人々が書かれ、夫と娘の存在感が一際強い。どれもなんということのない瞬間が書かれているのに、読み手の気持ちを穏やかにしてくれる、てらいのない文章。

    0
    2024年03月04日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    武田泰淳が亡くなる前の記録。下巻は病と死の予感が孕む。糖尿病からの脳血栓、胃癌転移の肝臓癌。医療者からみるとハラハラしてしまう食事や生活。業務で生活指導をするが、暮らしの中の家族の愛や魂の孤高さを痛いほどに教えられた。視点によって愚かかもしれない。でも、その人物史は誰が何と言おうとも、その人の全てでできあがっていて、正しいも過ちもない、かけがえのないものだ。死後、世に出る予定ではない日記を清書し出版された経緯は、奇跡的でありがたい。おいしいものは、ぜんぶ、毒なのかなあ。でも、おいしいってしあわせだよな。

    0
    2023年08月20日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    やっぱり百合子さんと泰淳の距離感が好き
    半年くらい前から(途中間も空けつつ)就寝前にちみちみ読んでいた
    「老害にブチギレる百合子」「プリンスメロンの件」「泣き虫でずるいんだ」「女の赤い帽子が飛ばされる、いい気味」「追突事故の後遺症がとても心配」「中華料理が多い」「北海道のリスのお土産」と覚え書きにある
    思い出して笑っている
    何回でも読み返したくなるエッセイ

    0
    2023年04月08日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    何回読んでも、最後まで読みきれない本ってやつが、たまにある。この本が読みきれなかったのは三度目。ああ、まさに3度目の正直だったのに。また今回も読みきれなかった。これはもう買おう。うん。それで読むか、きっぱり諦めよう。

    それはともかくとして。本書は田村俊子賞を取った名随筆である。人が、ご飯を食べたり買い物したり、そういう細々した事って、なんてまあ読んでいて楽しいのだろうか。富士山麓の麓の避暑地での、本当になんでもない日常。だけれど文章にすると、本当にささやかで愛おしい。大したことが書いてないと、退屈なさる方もいるだろう。でも、好きな方は本当に、武田百合子の文章にハマってしまうはずだ。

    私は、

    0
    2022年11月20日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    小説家、武田泰淳の妻、武田百合子氏の日記です。
    私は再再読くらいで、小説家、泰淳の著作は読んだことがなく、百合子氏の方が知っていますね。

    日記の中では夫、泰淳があり、妻の百合子があるって感じですけど、私の中では百合子氏が「主」というか。

    こちら上巻は、昭和39年7月から昭和41年9月までの記録です。

    主に富士山の麓での生活記録で、自然の美しさ、厳しさも「当事者」として瑞々しく描かれていますが、時折見せる鼻っ柱の強さが私は好きで。

    この時代のことなので、小説家たる夫に甲斐甲斐しく尽くして、夫も「主然」としていて……というのもあるにはあるのですが、概ね鼻っ柱の強い女性です。

    百合子が泰淳

    0
    2022年08月29日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    富士日記もこれで最後。泰淳さんの病気や死も書かれているのだろうと手にするのに躊躇していた。いい加減、カタを付けようと読む。

    忘備録的な日記は変わらない。朝、昼、晩の献立や管理所で買った食材や酒、煙草の金額などが上編、中編と変わらず書かれている。不思議と馴染んで、ゆっくり読み進める。
    大岡昇平夫妻や大工や植木屋、隣の家守の老夫婦に人々との交流の合間に、ふっと息を飲む一文が挟まれる。
    (引用)
    九時、山に戻る。灯りという灯りを全部つけた。谷底に浮かんだ盆灯籠のような家に向って、わたしは庭を駆け下る。むろあじを焼いて冷たい御飯を食べた。主人は生干しのいかを焼いて、それだけ食べた。食べながら、今日見

    0
    2022年06月03日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    読み終わった、上・中・下の3巻
    僕の経験としては、「魔の山」以来だろうか
    富士日記を読もうと思ったきっかけは「読書の日記」である。
    日記っていいな。
    武田さんと百合子さんのやり取りの中で、同じ話を何度されようとも何度でも聞いてやると言ったようなものがある。
    それだけで、素晴らしい関係だなと思う。
    時々クスッと笑えるような描写、ほっこりするところもあって、楽しく読めました。
    長い旅路だったな。

    0
    2022年05月29日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    ポコが亡くなる。
    デデがかわいい。
    リスがエサを求めてやってくるのが好き。
    しまおまほさんの巻末エッセイのBに癒される。

    0
    2022年05月20日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    阿久津隆さんの「読書の日記」にて、読まれていた本。
    以前より、気になっていてようやく手に取ることができた。
    僕は何より、ポコが好きです。
    残りの2巻もちまちま読んでいこうと思います。

    0
    2022年04月18日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    上巻で健康に不安を感じた飼犬の記述がつらかった。でも娘さんがクールで、寂しいものの、その凛々しさに救われた気がした。聡明な娘さんである。

    この犬が、百合子さんがギターを弾く時に近くに来て大人しくなる様子がかわいらしい。

    「この小母さん、へんな音さてだしたら、しばらく動かないからな。その間は叱られないし、命令もされないから、ほんとに安心」

    文芸誌『海』の編集者村松さん来訪という記述があるが、これは若き日の村松友視に間違いない。

    下巻は古本で見つけるまでお預けだ(意外と、なかなか見つからない)。『犬が星見た』を読んでしのごう。

    0
    2021年10月23日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

    Posted by ブクログ

    武田百合子が、夫・泰淳らと中央アジア→ソ連→北欧を旅した1969年の記録。
    いや、日記形式で書かせたら右に出る者がいないのは当然だが、淡々と、だが生き生きと紡がれる毎日に引き込まれた。
    当時のこととて、前半はガイドのついた団体旅行なのだが、身勝手だけど憎めない関西の富豪・銭高老人を楽しく愛しく見てる視点など、百合子さんの人格の大きさよ。
    また、泰淳の妻への見下した物言い、そのくせ交渉・買い物・記録までなんでも頼る不甲斐なさなど、現代の女はイラッとするが、それもまた大きな愛で包んでらして…昭和の女は深い。
    ただメニューだけを羅列した食事と、やったら出てくるゲロとトイレの話題。入ってから出るまでが

    0
    2021年06月12日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

    Posted by ブクログ

    一緒に過ごしているような気持ちにさせてくれる。今は見ることのできない異国での人々の息遣いが聞こえてくる。淡々としているからこそ、かなぁ。

    0
    2020年08月30日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    相変わらず、頻繁に富士通いが続く。厳冬と云っていい年末年始に何で「山」で過ごすんだろうと思わないでなかったけど、やっぱり「山」が良いんだなと段々納得してくる。
    愛犬の死、富士の姿、夕焼け、星空の短い記述を淡々と読み進む。文章のリズムが急いで読むことを拒んでくる。
    基本はホントに日誌だから、食材の買い物や三度のご飯がいつも書かれてるし、事件や謎や問題が起こるわけでないので、ゆっくりゆっくり読み進む。

    旦那の泰淳さんについての失礼な電話に対し、怒鳴り返す。お嬢さんとそのお友達の為に伝言せず出かけて心配した泰淳さんに怒られる。百合子さんんも人柄が段々立ち上がってくる。小川洋子さんのようなファンが多

    0
    2019年12月29日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    タイトルだけ知っていて、なかなか機会がなかった。
    これがちっともさくさく読み進まない。日常が細やかで、焦って読む本ではないという感じ。それでも日記のなかでは山に来れない数日とか数ヶ月が飛ぶように過ぎていくから、いくつもの季節を先を越される。
    いちばん最後の行はこんなふう。
    「楽しい旅行だった。糸が切れて漂うように遊び戯れながら旅行した。」
    これは別のエッセイ"犬が星見た-ロシア旅行"のこと。
    .

    0
    2019年08月21日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    日曜の朝10時、FMで小川洋子さんの「メロディアスライブラリー」を聴いている。それで知った本。小川洋子さんは随分気に入っているらしく、他の本を紹介する回でも「富士日記」に言及することがあり。

    興味は持ったんだけど、でも、作家の奥さんとは言え、素人の日記だよなと、手を出さずにいたのだが。先日、新版が本屋に平積みされたので、購入。

    読み始めて、う~ん、やっぱり只の日記かな、と思ったけど、ジワジワ百合子さんという人が見えてくる。

    赤い実を口に入れようとして、泰淳さんに怒られる。
    「ふらふら散歩に出かけて、やたら道ばたものを口に入れるんじゃないぞ。前に死にそうになったのに懲りないのか。」(前にあ

    1
    2019年07月21日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

    Posted by ブクログ

    終始淡々としていて、特に盛り上がりも盛り下がりもせず、少し冗長な部分もあるものの、なんだか不思議な味わいがある。
    ただ、時代なのだろうけど、「映せ」「買ってこい」「書け」とか、武田泰淳が武田百合子に終始命令口調なのがとてもとても気になってしまった。
    泰淳は百合子のこととても愛しているんだろうし、ふたりの実際の関係性はフラットなものなのだろうし、百合子も命令されても無視されたりしているから、単に口調だけの問題なのだろうとは思う。
    ただそれでも今の時代に読んだら少々ギョッとしてしまう部分も散見された。
    (『犬が星見た』の題名の由来となった「ポチ」呼びも、私だったら、どんなに可愛がってても犬扱いすん

    0
    2025年11月20日
  • 日日雑記 新装版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    武田百合子最後のエッセイ集。
    相変わらずたんたんと日常を書いているのだが、富士日記なんかと違って公開前提の文章だからか、書くことに慣れてきているのか、わかりやすくユーモアがある感じ。
    1日六回温泉に入って湯治をして若々しくしている人に、内心(年中温泉入っているだけなら若くなったってどうだというのか)と突っ込んでいたり、温泉のアヒルが食べられちゃう運命なのをさらっと書いていたり、愛猫の葬式をやるくだりで「飼い主のこういうときの気持ちを納得させ」る金額は五万円前後と得心しているところとか、面白くてくすりとしてしまった。

    しかし、夫を早くに亡くして出戻りの娘と2人暮らし、友人も次々亡くなっているよ

    0
    2025年10月31日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻は夫泰淳の体調がどんどん悪くなり、最後はほぼ看取りのような状態で過ごしているのがわかる。お祭りに行くこともなくなり、冬の山行きを取りやめ、日記も飛び飛びになっていくのが切ない。それなのに、夫が過ごす最期の夏は虫の知らせがあったかのように日記がつけてある…。長く連れ添った夫婦の呼吸のようなものが文章から感じられる。

    「生きているということが体には毒なんだからなあ」
    とこぼす夫の言葉がなんだか沁みた。老いや病を経て否応なく死へ向かっていく人間の体はどうしようもないのだ。美味しいご飯やお酒も、みんな毒になっていく。
    後半は私の夫とカフェに行って読んでいたのだが、これからは一緒に過ごす時間をもっ

    0
    2025年10月27日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    富士日記中巻。たんたんとした記述、献立と買い物リストの並ぶ様子は上巻とそんなに変わらないが、愛犬ポコが事故で死んでしまうのが大きな出来事か。
    ポコが死ぬのも富士への道中車のトランク(!)に入れていたからだし、犬への食事もすべて人間の余り物だし、よその犬に平気でチョコをあげていたりと時代の隔たりをやはり大きく感じる。でも私が子供の頃(平成前半)でも犬には猫まんまとかあげていた覚えがあるし、ペットの扱いってどんどん変わっているのだろうな。
    けっこう献立も家族バラバラで、うどんにご飯、パンにスープに佃煮みたいに自由な感じなのでたまにびっくりする。朝からうな丼とか食べてたりするのだ。
    下巻は夫の病があ

    0
    2025年10月26日