武田百合子のレビュー一覧

  • 富士日記(上) 新版

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    富士山麓に別荘を建てた作家一家の、山での暮らしを綴った日記。買い物リストやご飯の献立、その日その日に行ったところや会った人の記録がたんたんと書かれている。
    エッセイ的な記述はほとんどないのだが、日常のちょっとしたやりとりなんかから自由奔放な夫泰淳、気が強くて口が悪い妻百合子、ちょっと内気な娘花子の性格が見えてくるのだ。当時(昭和39~41年)の物価の安さに驚いたり、近所の人やお店、職人の人々との食べ物のやり取りの多さには時代というか文化の違いを感じさせられた。お客様が来たらとりあえずお酒出してて、飲酒運転も当たり前にしてるみたいですごいなあ…。車の事故や不調の話題がかなり多くて、煙が出てるよう

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    2025年10月22日
  • 富士日記(下) 新版

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    夫武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間の一瞬一瞬の生を、澄明な眼と無垢の心で克明にとらえ天衣無縫の文体でうつし出す、思索的文学者と天性の芸術社とのめずらしい組み合わせのユニークな日記。昭和52年度田村俊子賞受賞作(第1巻紹介文)

    昭和39年7月から始まり、昭和51年9月までの日記が上中下3巻に収められている。作家武田泰淳氏の妻百合子氏の日記だが、時々泰淳氏の文章や、娘花さんの文章も挟み込まれている。

    百合子氏の文章は、その生き方そのものと同じように天衣無縫。泰淳氏の文章は、さすが小説家という表現があったりするが日記の中で読むには違和感を感じる。娘の花さんは当時13歳ころと思われるが、両親

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    2023年06月16日
  • 富士日記(上) 新版

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    富士山麓の山荘での日常を綴った日記。筆者の家族の日常を書いているので、何も大きな事件は起きない。ただ日常が描かれる。少々退屈。
    買い物の記録も多く、50年以上前の物価が分かる。今と比べて全然安いものもあれば、あまり変わりがなくない?というものもあり面白い。
    日記の文体が参考になった。

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    2023年02月27日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

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    海外旅行エッセイが好きで、読んでみた。
    このエッセイ…というか日記を読んでいて、なぜ自分が他人の旅行記を読むことが好きなのか、考えさせられることになる。

    通常、旅行エッセイでは、筆者が旅先で眺めた風景や交流した人々、口にした食べ物から考えを巡らせ、反省したり、新たな知見を得たりとか、そういったことが盛りだくさんなケースが多い。そしてそれか旅行エッセイというもののフォーマル、典型的な形だと思っていた。

    後書きにもあるが、これは完全なる日記である。目にしたこと、耳にした知人や夫の会話、食べた料理、他の旅行エッセイには類を見ないほど、淡々と記してある。

    正直、最初はそのあまりの単調具合に読むの

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    2021年08月27日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

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    本人が後々世の人に読ませることを想定してたのか、あるいは夫が妻の作家性を見抜いて書くことそのもので事足りると思っていたのか、いずれにせよ才ある方々の珍道中です。
    で著者の抜き取り方が絶妙に斜めを行っていて、まぁこのお方も変わった人なんでしょうな。
    そしてこの度が終わった後、登場人物が生気を取られたかのようにこの世を去ったこと、何か色々考えさせてくれます。
    ところで錢高という老人、かの有名なゼネコンの方ですかね。

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    2020年06月07日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

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    旧ソ連から北欧へと至る旅行記。
    日記の形式で綴られる。
    かなりドライでウィットに富んだ内容。
    50年前のソ連はこうだったのかと思わされる。ソ連からスウェーデンに行き、不便な生活から便利な社会に変わったはずなのに。
    筆者はソ連の方がたのしんでいたように思う。
    なかなか破茶滅茶な珍道中。

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    2020年05月04日
  • 富士日記(上) 新版

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    年末年始、富士が見えるところに行くのだからと、『富士日記』に手を出してみました。
    勝手にお洒落なおばさまのお洒落な日記だと思っていたら、なんとも豪快な女性の元気な日記で楽しく読みました。
    
    自衛隊に向かって「バカ」と言い、ご主人の武田泰淳にたしなめられ、口の悪い若者たちに言い返して、娘に「あんなことやめてね」と言われ、テヘペロしてる感じの百合子さんがかわいいです。
    
    私は乗物酔いしやすいこともあり、車の運転にまったく興味がないんですが、車がないと暮らしていけない富士の山荘で、買い出しに出たり、原稿を出しに行ったり、湖に泳ぎに行ったり、フットワーク軽く運転している百合子さんを見ると、運

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    2020年01月12日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

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    2/3くらい読んだところで挫折してしまった。ロシアに興味が持てず、これ以上どうしても読めない...。でも、武田百合子の感性と文章がのびやかで気持ちがよい。また、あとがきがすばらしい。旧版の解説を色川武大がしていて、よい。武田泰淳と武田百合子の人となりについて書いてあるから、色川武大の解説を読んでから本文を読んだ方がいいんじゃないか。昭和44年の旅だというから、もう50年も前。当時の大らかな空気をうらやましく思った。

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    2019年01月06日