武田百合子のレビュー一覧
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ネタバレ富士山麓に別荘を建てた作家一家の、山での暮らしを綴った日記。買い物リストやご飯の献立、その日その日に行ったところや会った人の記録がたんたんと書かれている。
エッセイ的な記述はほとんどないのだが、日常のちょっとしたやりとりなんかから自由奔放な夫泰淳、気が強くて口が悪い妻百合子、ちょっと内気な娘花子の性格が見えてくるのだ。当時(昭和39~41年)の物価の安さに驚いたり、近所の人やお店、職人の人々との食べ物のやり取りの多さには時代というか文化の違いを感じさせられた。お客様が来たらとりあえずお酒出してて、飲酒運転も当たり前にしてるみたいですごいなあ…。車の事故や不調の話題がかなり多くて、煙が出てるよう -
Posted by ブクログ
ネタバレ夫武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間の一瞬一瞬の生を、澄明な眼と無垢の心で克明にとらえ天衣無縫の文体でうつし出す、思索的文学者と天性の芸術社とのめずらしい組み合わせのユニークな日記。昭和52年度田村俊子賞受賞作(第1巻紹介文)
昭和39年7月から始まり、昭和51年9月までの日記が上中下3巻に収められている。作家武田泰淳氏の妻百合子氏の日記だが、時々泰淳氏の文章や、娘花さんの文章も挟み込まれている。
百合子氏の文章は、その生き方そのものと同じように天衣無縫。泰淳氏の文章は、さすが小説家という表現があったりするが日記の中で読むには違和感を感じる。娘の花さんは当時13歳ころと思われるが、両親 -
Posted by ブクログ
ネタバレ海外旅行エッセイが好きで、読んでみた。
このエッセイ…というか日記を読んでいて、なぜ自分が他人の旅行記を読むことが好きなのか、考えさせられることになる。
通常、旅行エッセイでは、筆者が旅先で眺めた風景や交流した人々、口にした食べ物から考えを巡らせ、反省したり、新たな知見を得たりとか、そういったことが盛りだくさんなケースが多い。そしてそれか旅行エッセイというもののフォーマル、典型的な形だと思っていた。
後書きにもあるが、これは完全なる日記である。目にしたこと、耳にした知人や夫の会話、食べた料理、他の旅行エッセイには類を見ないほど、淡々と記してある。
正直、最初はそのあまりの単調具合に読むの -
Posted by ブクログ
年末年始、富士が見えるところに行くのだからと、『富士日記』に手を出してみました。
勝手にお洒落なおばさまのお洒落な日記だと思っていたら、なんとも豪快な女性の元気な日記で楽しく読みました。
自衛隊に向かって「バカ」と言い、ご主人の武田泰淳にたしなめられ、口の悪い若者たちに言い返して、娘に「あんなことやめてね」と言われ、テヘペロしてる感じの百合子さんがかわいいです。
私は乗物酔いしやすいこともあり、車の運転にまったく興味がないんですが、車がないと暮らしていけない富士の山荘で、買い出しに出たり、原稿を出しに行ったり、湖に泳ぎに行ったり、フットワーク軽く運転している百合子さんを見ると、運