武田百合子のレビュー一覧

  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    とうとう読み終わってしまった。
    最初は刊行するつもりでなかった日記は、むき出しでありのままが綴ってある。
    百合子さんは、目にしたものを切り取るのがうまくて、感性の人だなと思う。
    夫の泰淳さんが体を悪くされてからの後半は、胸をつかれるような場面もある。
    一つひとつの布をパッチワークしたみたいに、日々連なっている。
    遠くからみたら、一枚の絵のように、グラデーションが際立っている。
    読んでると元気がもらえて、ずっと楽しかった。

    0
    2025年07月17日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    寝る前にちびちび読むのが日課になっている。
    今日の武田家はどんな感じですか、と楽しみに
    してしまう。
    日々の出来事の合間に、目にとまった花や鳥や
    空の描写が美しい。
    季節がどんどん移ろう。
    私は、知った気になって、今年も桜が咲いたのか
    とか、百合子さんまた泳いでるのかとか、すっかり
    住人気分を楽しんだ。いよいよ、下巻。

    0
    2025年07月13日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    手に入れたのが嬉しくて、大事にしすぎてしばらく
    寝かせてあった「富士日記」を読み始めた。
    早速夢中になる。
    日常の日記なのに、なんでこんなに惹かれて
    しまうのだろう。

    0
    2025年07月10日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    上中下巻、ゆっくりゆっくり読んだ。
    読んでいるあいだ心が穏やかで贅沢な時間だった。
    好きな箇所→
    「はんぺんなど無意味」
    「この景色、あすこからここまで全部あたしのものだぞ」
    「台所の椅子に腰かけて、ドアを開けておいて、夕焼や花の様子を眺めたりしながら煮物をする、この、ゴッドファーザーのような気分。」

    0
    2025年04月24日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

     夏休みに旅行に行きたいけど暑すぎるし人も多いし...という方は、読書で旅行気分を味わうのもお勧め。
     本書は武田泰淳の妻百合子が富士山麓の山荘生活を綴った日記。本宅は赤坂のマンションで、流行中の二拠点生活を半世紀以上前に先取りしている。食事のメニューと毎日の行動、買い物の細々した記録を読んでいると、東京と地方の文化的格差が激しく、不便で、良くも悪くも大らかだった昭和40年代にタイムスリップした気分になる。行動的で煙草を嗜み、口は悪いが料理上手の百合子が恰好良い。
     この夏は昭和40年代の富士山麓への旅はいかがでしょう。

    0
    2024年08月15日
  • 武田百合子対談集

    Posted by ブクログ

    武田百合子の対談・鼎談集。相手は深沢七郎や金井久美子・美恵子姉妹、吉行淳之介といった面々。さらに岸田今日子のラジオに出演したさいのインタビューも収録。
    内容的にはやはり深沢七郎相手のものが気負いがなく武田百合子らしさが良く出ていて面白い。

    0
    2024年05月09日
  • 絵葉書のように

    Posted by ブクログ

    武田百合子の没後にまとめられた単行本未収録エッセイ集「あの頃」より54編を選んだより抜きエッセイ集。前半は主に夫の武田泰淳や交流のあった文人たちの思い出を語ったもの、後半は土地や食べ物に関するものという構成。
    どれも良いけど、やはり前半の思い出話が好きだな。武田百合子の目を通して描かれた武田泰淳や埴谷雄高などが愛おしい。特に武田百合子の書く埴谷雄高が本当に良くて、病床の竹内好の元へ毎日見舞いに行く姿や武田百合子から泰淳が末期の膵臓癌であることを聞かされ慟哭する姿とか「尊い」としか言いようがない。

    0
    2024年03月26日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    『富士日記』三巻を再読して思ったこと。
    百合子さんがお世話になった人に必ずといっていいほどお礼を渡している、その姿勢がさすが大正生まれだな、と。
    奔放な人と思われがちだけど、実は律儀。
    あと、聡明だから色々なことが見えてしまって、辛いだろうけど、書くことで発散していたんだろうな。
    飾らない、ありのままの自分をさらけ出している所が本当に魅力的。
    辛い時にも百合子さんがいるからと思い、この三巻を蔵書としている。

    0
    2024年02月20日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    夫の泰淳がはずれた車のタイヤのホイールカバーを探しにトンネルに入っていく場面(上巻)と、犬のポコが亡くなる場面(中巻)の百合子さんの感情表現の豊かさに胸を打たれ、毎回読みながら泣きそうになる。
    富士山荘の静かな生活の中でも、百合子さんのパッションが感じられ、そこにとても文学性を感じます。

    0
    2024年01月26日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    途中で主人(武田泰淳)の病気及び死後の話が出てきたり、日記の中断が出てきたりしていた。
     ネコの話が出てきてさらに主人の病気の悪化で山荘の日記ではなく、東京でのことが書かれるようになってきた。主人の死の記載で終わるかと思っていたら、入院前の記載で終わってしまった。しかし、あくまで陽気な話として持っていきたかったのであろう。

    0
    2023年11月24日
  • 絵葉書のように

    Posted by ブクログ

    単行本(『あの頃』)で読んだときには日記ほどのすごさを感じられず、さらさら読んでしまっていたが、改めて読むと見落としていた良さがたくさんあった。夫や作家仲間の不在が文章の節々に溶け込んでいて、胸がしめつけられる。そして百合子さんももういない。

    0
    2023年08月30日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    読み終わっちゃった
    山荘の日々が優しくて温かくて寂しかった
    毎日の食事が美味しそうで読んでて幸せだった

    0
    2023年06月04日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

    Posted by ブクログ

    武田百合子さんは、「富士物語」と本書においては、ただただ天賦の才能としか思えない天才的な文章を買いています。

    本書も随所に「信じられない…どうしたらこんなことが書けるんだ…」と感嘆するような表現があるのですが、ひとつ際立った箇所をあげるとすれば、著者のあとがき。とにかく彼女のあとがきを読んでください。何度読んでも、いつ読んでも、鳥肌が立つ。

    0
    2023年05月08日
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行

    Posted by ブクログ

    「富士日記」の番外編。武田夫婦と竹内好の三人のソ連、北欧の珍道中。独自の淡々とした描写がこちらでも魅力。

    出版されることを想定していなかった記録だからこその魅力。子供の絵と同様、変な邪念がないのが良い。

    0
    2023年05月07日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    私は泰淳没後の百合子さんの随筆も何冊か読んでみたけど、彼女の良さが一番「生きて」いるのはやっぱりこの『富士日記』と『犬が星見た』の日記においてだと思う。

    この2冊においては、文章のキレ・表現の新鮮さ・着眼点の独特さにおいて、他の一切の追随を許さない。こんな文を書く人がいたのかと、読んでいて何度も信じられない気持ちになった。

    今まで本を読んでいて、自分が好きな本ですら、その著書を生まれつきの天才だと感じたことは一度もなかったけど、武田百合子さんはその例外でした。彼女はマジモンです。

    0
    2022年11月06日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    昭和40年12月の車の故障の描写がうますぎて、笑えない状況に笑ってしまった
    昭和41年6月のタイヤホイールカバーが外れた日の話が切なくて胸がきゅってなる
    百合子氏の気強いけど家族の前だと甘えられるところに惹かれる
    武田一家も好きだし、富士山麓の人たちがいいな
    知らない人たちなのに知ってる人みたい

    0
    2022年09月20日
  • 富士日記(中) 新版

    Posted by ブクログ

    作家夫婦の過ごす富士山麓の別荘。何気ない平凡な日常が独特の感性で瑞々しいものになる。日記文学の不思議な魅力。

    作家武田泰淳の妻の百合子。富士山麓で夫と過ごした昭和39年7月から51年9月までの日記。中公文庫で全三巻。そのうち中巻は昭和41年10月から44年6月まで。

    赤坂の自宅と富士山麓の別荘との往復の暮らし。毎日の買い物と少しずつ変化する季節。ちょっとした自然の描写が面白い。ごくごくありふれた日常であるのにこれだけヴィヴィッドに描かれるのが不思議な魅力を創り出している。筆者独自の感性と世界観が産んだ奇跡なのだろう。

    中巻の大きな出来事は愛犬ポコ。あまりに唐突な出来事に驚き。筆者の喪失感

    0
    2021年12月04日
  • 富士日記(下) 新版

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんが「死の床に着いた時、枕元には富士日記を置きたい」と紹介されていたので読んだ。私にとっても宝物になった。上中下巻をエンドレスループで読み返しています。今は3周目。

    0
    2021年09月11日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    家や車がしょっちゅう不具合を起こして修理していたり、これって飲酒運転じゃないかしら…?と思った場面がありました。(日記に登場する大人がよくビールを飲んでいる)

    夏は湖で泳ぎ、冬は雪遊び、地元の人たちとの交流など、山での生活を楽しんでいる感じがしみじみと伝わってきて、興味深い本です。毎日の献立がおいしそう。
    中・下巻も読んでみたい。

    0
    2021年09月03日
  • 富士日記(上) 新版

    Posted by ブクログ

    平凡な日常の中にこそ人生の楽しみは隠れていることを教えてくれる。

    武田泰淳、百合子夫妻は富士山麓に別荘を買い求める。そこでの暮らし、極めて平凡な、食事や季節の変化を記録しただけの日記。なのになぜこんなに面白いのだろう。

    まだ高速道路の開通する前の時代。甲州街道経由か国道246号経由か。当然トラックが多いし、事故も多い。渋滞は少ないが。

    ちょっとした買い物と地元の富士吉田の人々との会話の羅列。構成がなくとも、淡々と続く日々。武田百合子の視点の斬新が本書の魅力の多くの部なのだろう。

    何か楽しいことがないか、刺激がないかと求める向きには、本書の視点は極めて有用であろう。
    別荘というだけで非日

    0
    2021年02月08日