【感想・ネタバレ】富士日記(中) 新版のレビュー

あらすじ

愛犬の死、湖上花火、大岡昇平夫妻や土地の人々との交流……。執筆に加え講演、選考会など多忙をきわめる夫・泰淳の仕事の合間を縫うように過ごした富士山荘の日々を綴る。昭和四十一年十月から四十四年六月の日記を収録。田村俊子賞受賞作。【全三巻】
〈巻末エッセイ〉しまおまほ

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

寝る前にちびちび読むのが日課になっている。
今日の武田家はどんな感じですか、と楽しみに
してしまう。
日々の出来事の合間に、目にとまった花や鳥や
空の描写が美しい。
季節がどんどん移ろう。
私は、知った気になって、今年も桜が咲いたのか
とか、百合子さんまた泳いでるのかとか、すっかり
住人気分を楽しんだ。いよいよ、下巻。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

夫の泰淳がはずれた車のタイヤのホイールカバーを探しにトンネルに入っていく場面(上巻)と、犬のポコが亡くなる場面(中巻)の百合子さんの感情表現の豊かさに胸を打たれ、毎回読みながら泣きそうになる。
富士山荘の静かな生活の中でも、百合子さんのパッションが感じられ、そこにとても文学性を感じます。

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2024年01月26日

Posted by ブクログ

作家夫婦の過ごす富士山麓の別荘。何気ない平凡な日常が独特の感性で瑞々しいものになる。日記文学の不思議な魅力。

作家武田泰淳の妻の百合子。富士山麓で夫と過ごした昭和39年7月から51年9月までの日記。中公文庫で全三巻。そのうち中巻は昭和41年10月から44年6月まで。

赤坂の自宅と富士山麓の別荘との往復の暮らし。毎日の買い物と少しずつ変化する季節。ちょっとした自然の描写が面白い。ごくごくありふれた日常であるのにこれだけヴィヴィッドに描かれるのが不思議な魅力を創り出している。筆者独自の感性と世界観が産んだ奇跡なのだろう。

中巻の大きな出来事は愛犬ポコ。あまりに唐突な出来事に驚き。筆者の喪失感までも本作では淡々と描かれている。感情を廃した記述により大きな感情の動きがこんなにも表現できるとは。

別荘仲間で同じ作家の大岡昇平がしょっちゅう登場するのも平凡な日常に変化を添えている。気さくな友人の存在ってやはり人生に必要。

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2021年12月04日

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やっぱり百合子さんと泰淳の距離感が好き
半年くらい前から(途中間も空けつつ)就寝前にちみちみ読んでいた
「老害にブチギレる百合子」「プリンスメロンの件」「泣き虫でずるいんだ」「女の赤い帽子が飛ばされる、いい気味」「追突事故の後遺症がとても心配」「中華料理が多い」「北海道のリスのお土産」と覚え書きにあ
思い出して笑っている
何回でも読み返したくなるエッセイ

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2023年04月08日

Posted by ブクログ

ポコが亡くなる。
デデがかわいい。
リスがエサを求めてやってくるのが好き。
しまおまほさんの巻末エッセイのBに癒される。

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2022年05月20日

Posted by ブクログ

上巻で健康に不安を感じた飼犬の記述がつらかった。でも娘さんがクールで、寂しいものの、その凛々しさに救われた気がした。聡明な娘さんである。

この犬が、百合子さんがギターを弾く時に近くに来て大人しくなる様子がかわいらしい。

「この小母さん、へんな音さてだしたら、しばらく動かないからな。その間は叱られないし、命令もされないから、ほんとに安心」

文芸誌『海』の編集者村松さん来訪という記述があるが、これは若き日の村松友視に間違いない。

下巻は古本で見つけるまでお預けだ(意外と、なかなか見つからない)。『犬が星見た』を読んでしのごう。

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2021年10月23日

Posted by ブクログ

相変わらず、頻繁に富士通いが続く。厳冬と云っていい年末年始に何で「山」で過ごすんだろうと思わないでなかったけど、やっぱり「山」が良いんだなと段々納得してくる。
愛犬の死、富士の姿、夕焼け、星空の短い記述を淡々と読み進む。文章のリズムが急いで読むことを拒んでくる。
基本はホントに日誌だから、食材の買い物や三度のご飯がいつも書かれてるし、事件や謎や問題が起こるわけでないので、ゆっくりゆっくり読み進む。

旦那の泰淳さんについての失礼な電話に対し、怒鳴り返す。お嬢さんとそのお友達の為に伝言せず出かけて心配した泰淳さんに怒られる。百合子さんんも人柄が段々立ち上がってくる。小川洋子さんのようなファンが多いのも納得するなあ。

大岡昇平夫妻や地元の石家やガソリンスタンドの人達との交流。リス、イタチ、四十雀もよく山荘に訪ねてくる。

(下)も読まなければね。

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2019年12月29日

Posted by ブクログ

タイトルだけ知っていて、なかなか機会がなかった。
これがちっともさくさく読み進まない。日常が細やかで、焦って読む本ではないという感じ。それでも日記のなかでは山に来れない数日とか数ヶ月が飛ぶように過ぎていくから、いくつもの季節を先を越される。
いちばん最後の行はこんなふう。
「楽しい旅行だった。糸が切れて漂うように遊び戯れながら旅行した。」
これは別のエッセイ"犬が星見た-ロシア旅行"のこと。
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2019年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

富士日記中巻。たんたんとした記述、献立と買い物リストの並ぶ様子は上巻とそんなに変わらないが、愛犬ポコが事故で死んでしまうのが大きな出来事か。
ポコが死ぬのも富士への道中車のトランク(!)に入れていたからだし、犬への食事もすべて人間の余り物だし、よその犬に平気でチョコをあげていたりと時代の隔たりをやはり大きく感じる。でも私が子供の頃(平成前半)でも犬には猫まんまとかあげていた覚えがあるし、ペットの扱いってどんどん変わっているのだろうな。
けっこう献立も家族バラバラで、うどんにご飯、パンにスープに佃煮みたいに自由な感じなのでたまにびっくりする。朝からうな丼とか食べてたりするのだ。
下巻は夫の病があるようなので心して読む。

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2025年10月26日

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