貫井佳子のレビュー一覧
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本書は、「下からの戦略」として、ガンジーらの非暴力運動、キング牧師らの公民権運動、アメリカ大統領選挙戦などの戦略が論じられる、さらに自動車王フォードなどの経営者、ドラッカーなどの経営理論家の思想などの戦略理論が追究される。
上巻に比べると、読み進めるのが大変だった。
下巻はまったく戦争とは関係ない公民権運動の戦略やビジネスの戦略などがひたすら論じられており、『戦略』という言葉だけで飛びついた人はかなり読解するのに苦労する。
しかし、古代の戦争の歴史から現代のビジネスまでの戦略をこうまでも詳細に論じられる著者はすごいを通り越して、唖然とする。
はっきり言って本書は、一般の読書人向けではなく学 -
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本書は、あくまでも「世界史」の本であって、「戦略」の本ではない。
第1章、第2章でチンパンジーの闘争から始まり、聖書のアダムとイブの楽園追放、古代ギリシャにおける戦争、ナポレオン戦争、第一次、第二次世界大戦、核戦争、ベトナム戦争を代表とする非正規戦争、アルカイダとの対テロ戦争までと戦争についての総論を孫子、クラウゼヴィッツを初めとする戦略家の理論を絡ませて、古代から現代までの戦争について戦略が述べられる。
第3章からは民衆の戦略論となり、国家の戦略ではなく民衆からの視点で戦略論が述べられる。最初は、マルクス、レーニンを初めとする共産主義の台頭について語られ、下巻ではビジネスにおける戦略論が語 -
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軍事戦略や経営戦略といった「戦略」を概略する本ではない。戦略史の発端から変遷までを綿密に追う大著である。まず冒頭のマイク・タイソン氏の引用が最高にかっこいい。
我々が想像する戦略の基本である孫子やクラウゼヴィッツはもとより、旧約聖書やギリシャ神話に描かれる「戦略」の起源めいたものから、核戦争・社会主義など前近代の高度政治戦略や戦略理論の盛衰、ジョミニやトルストイといったほかではあまりお目にかからない話題など、本書の網羅する範囲は膨大だ。(まだ上巻なのに)気軽に読める本ではなく要約もしにくい本のため戦略論を学びたい人にはお薦めできないがとにかく知的好奇心が満たされる本である。 -
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本著は優れた投資家とは何か、また、市場との向き合い方とはを示す良書である。
著者は市場を二次思考という角度で市場を見ることを推奨している。単に自分が考えている視点は、自分だけの視点ではなく多くの人がその答えに辿り着いていると自覚する視点を提案している。つまり、企業一つにつき多角的な視点で物事を見る訓練をせよと問いている。
そして、絶対的な成功は無いと断言する。運の影響も多分にあるとした上で投資家としての余白を持つことを強調している。市場に投資するうちは一喜一憂しがちだが、それでは優れた投資家とは言えない。短期的な利益獲得ではなく、中長期視点で市場を見る大切さを述べる。
投資家として、どのような -
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経済や市場はパターンに従って動き、その中に「サイクル」と呼ばれるものがある。
サイクルは自然発生的な現象に起因するが、人間の心理や行動に端を発する場合もある。
投資の世界では、サイクルが中心点や長期トレンドの周りで浮き沈みを繰り返し、振り子が行きつ戻りつする。
サイクルの形は様々だが、根本的な原因・動きのパターンには共通する部分が多く、時代が変わってもある程度、一貫している。
投資家にとって重要なサイクル・振り子には、次のようなものがある。
・景気サイクル
・景気サイクルへの政府の干渉
・企業利益サイクル
・投資家心理の振り子
・リスクに対する姿勢のサイクル
このうち最も重要なのは「リスク -
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出来事のあとに次の出来事が続くのではなく、次の出来事を引き起こす。
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」
ブームが生じなければ暴落の可能性は低い。
工業製品や原材料、部品業界と食品業界の違い。
市場は、強気と弱気のロープの引き合い。
ニュートンは、南海泡沫バブルのころ、バブルを見抜いていたにもかかわらず、他人の利益を傍観できず、自分も損をした。
高いリスクに高いリターンがついてくるのではなく、リスクが高そうな資産は、高いリターンを生み出しそうに見える必要がある、という意味。
新聞社は堅固とみられていたが、インターネットの発達でそうとは限らなくなった。
年間で±2%に収まる年は47年のう -