ボブウッドワードのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は原題は"WAR"副題に3つの戦争とあるように、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのハマスへの報復、そしてアメリカ国内の深刻な対立(静かな戦争というべきか)というアメリカが直面する課題が、膨大で詳細な取材と分析から見事に描かれる。
プロローグでかつてウオーターゲート事件を共に追及した懐かしいバーステイン記者を通じて当時デベロッパーとして野心家だったトランプとの出会いが描かれ(1989年)、その後も変わらない彼の本質(決して負けや非を認めない)を再確認することになる。
それが犯罪者だったニクソンよりひどく、アメリカ史上最悪の無謀で衝動的な大統領候補として2024年に立候補したトランプだったことを直截的に言い切ったのは今までの第1次トランプ政権を描いた著作のタッチに比べると少し驚きだった(P512)。
2~41は主にロシアのウクライナ侵攻が描かれ、バイデン政権においてロシアの野心(ウクライナ併合)に関する情報収集・分析が正確で侵攻する可能性が高い(確実)ことを把握しており、事前にウクライナやNATOに情報提供していたにもかかわらず、真剣に対応してこなかった事実が明かされる。
またロシアに対して様々なチャンネルから警告した様子も鮮烈だ。
ただ侵攻前のアメリカのアフガニスタン撤退及び事後策の不首尾(政府軍の脆弱さ、タリバンの復活)が、ロシアにアメリカの弱体化(世界の警察官ではない)というシグナルになったのでは?との指摘は重い。
反面バイデン政権が自国軍を外国に派遣しなかったことを評価する著者の視点もやや一面的すぎる気がする。
42~54は主にハマスのイスラエルに対するロケット攻撃や民間人の人質、テロ行為に対する反撃ないしパレスチナ一般人を含む報復を、どう抑制させるかバイデン政権の苦労が読み取れる。
また反イスラエル、反イランの複雑な中東の国際関係を仲介して中東戦争に拡大しないための労苦を通じてリアルな世界を知ることが出来る。
55以下は以上の2つの戦争状況の推移とバイデンの再選とトランプの大統領選が描かれる。
バイデン政権で国内の移民政策に対する批判が根強かった事実、81歳の高齢となったバイデンに対する国民の不安が民主党からも噴出してきたことから選挙途中でハリスに交代した事実は物悲しい。
ただエピローグで著者は本書が政治家や政権の疑惑や疑念を暴く従来の姿勢とは異なりバイデン政権の国益に沿った責任ある誠実な安全保障の実情を称賛していることが珍しくも清々しく感じた。 -
Posted by ブクログ
500ページ超の大作。ある意味現在進行形。
ただし、この本の主人公にとっては、終わったのかもしれない。
主人公はジョー・バイデン前アメリカ大統領。
彼はロシアのウクライナ侵攻と、イスラエルとハマスの戦いの2つの戦争に
現職アメリカ大統領として直面、対応した。
そしてもう一つ、トランプ大統領候補と、大統領の座を巡って戦った。
結果彼は、唯一米兵を戦地に送り込まなかった大統領となった。
あわせて、立候補を取り下げ、ハリス副大統領に民主党候補の座を譲った。
それにしても、、ウクライナについてはヨーロッパ、アメリカはウクライナを支援し、
イスラエルとハマスの戦いは、こぞってイスラエルを支持する。
ガザ地区に対するイスラエルの行動をどうして支持できるのかね。
何が人道支援なのか。ガザ住民に何の非があるのか。
ハマスを匿っている?ガザを窮地に押し込むから窮鼠猫を噛むでこうなったんだろうに。
ヨーロッパもアメリカも信じられん。
そこに来てアメリカ。トランプが復活した。
彼の言動に一貫性があるとは到底思えない。
ドル安を希望しながら、彼の言動はどう考えてもドル高を誘導している。
世界の王のような振る舞い、、、
アメリカのポチと化している日本政府、痛い目に遭うぞ。
この本を読んでいて、アメリカとイスラエルがなければ世界は平和なのではないか、
とさえ思ってしまった。
バイデンさん、さぞや心労がかさんだろうな。お疲れさまでした。
著者の個人的覚書
プロローグ
1章~77章
エピローグ
読者への覚書
謝辞
訳者あとがき
情報源について -
Posted by ブクログ
【WAR 3つの戦争】 ボブ・ウッドワード 著
久しぶりに遅くまで読み耽りました。「訳者あとがき」で書かれているように「ボブ・ウッドワードの数多い著作のなかでも屈指の読みごたえのある傑作」と思います。
バイデン政権下での「ウクライナ戦争」「ガザ戦争」「対トランプ大統領選」の「3つの戦争」を軸に描いています。全て実名表記で、よくここまでホワイトハウスの内情を調べ上げたと感心しました。圧巻は、何と言ってもガザ戦争の部分。バイデン・ブリンケン、ネタニヤフ、さらにサウジやカタールを始めとした中東諸国首脳らの会話が事細かに記載されており、現在のイスラエル・イラン紛争など中東を考える上での解像度が一気に上がります。猪突猛進のネタニヤフを相手に、トランプ政権でも同様のやり取りがなされたものと推察しますが、この地域の安定化はとても難しいことが読み取れます。
新聞・ニュースでは知ることのできない舞台裏が活き活きと描かれており、何かの小説を読むようです。日本については数行しか出てきませんが、逆に考えれば「戦争」に巻き込まれていないためとも言え、日本外交には感謝です。一方で、同様のことが起これば、ここまでのチーム・ワークは難しく、「シン・ゴジラ」のような首脳陣の右往左往になるのではないかなど、色々と考えさせられた秀逸な一冊です。 -
Posted by ブクログ
トランプ1期目と、バイデン1期目の序盤を描いた労作。政権奪取前は威勢の良かったバイデンが徐々に萎んでいくのは見ていて厳しく、政治家というのは野党の時こそ輝いて見えるのは万国共通だなと感じた。
全体を通して、トランプ2期目との最大の違いは側近の質であると強く感じた。たとえば1期目はウィリアム・バーやマーク・エスパーといった実務家がトランプに異を唱えてでも職務に忠実であろうとしていた。大統領選挙結果を巡って、マイク・ペンスがトランプの意に反してトランプの敗北を認めたのは最大の例だろう。
その結果、トランプ2期目では絶対的な忠誠をもとに側近を起用したのだなと納得できた。その結果としてアメリカが早くも破壊されかかっているのだが……
軍がどこまで耐えられるのか。制服組トップには耐えてもらいたいのだが、本書でトランプがやりたがっていたイラン攻撃が現実にされたことでゲンナリしている。 -
Posted by ブクログ
【「いいかね」トランプはいった。「国を運営していると、意外なことばかりなんだ。すべてのドアの向こうにダイナマイトがある」】(文中より引用)
トランプ大統領本人に対する複数回のインタビューも行いながら、トランプ政権の内幕を描いた作品。発売されるやいなや全米で大ベストセラーとなりました。著者は、前作『Fear』でもトランプ大統領について記したボブ・ウッドワード。訳者は、米国関連のノンフィクションの翻訳を多数手がける伏見威蕃。
歴代の大統領を取材したウッドワード氏のトランプ大統領評ももちろん興味深いのですが、それ以上と言っても良いほどに読ませるのは娘婿のクシュナーによるトランプ評。側近中の側近が語る内容だけに、思わずなるほどと膝を打つ言及が多数見られました。
アメリカのメディア界はトランプ特需とも言える4年間だったんだろうな☆5つ -
Posted by ブクログ
【トランプが燃えているとき、その軌道を周回している人間はすべて熱を感じ取る】
関係者への膨大なインタビューを基に、トランプ大統領下のホワイトハウスの内実について迫った作品。アメリカを始めとした世界各国でベストセラーに輝いています。著者は、「調査報道」という用語の確立に多大なる貢献をしたジャーナリズム界の巨人、ボブ・ウッドワード。訳者は、これまでも同著者の作品の翻訳を手がけてきた伏見威蕃。原題は、『Fear: Trump in the White House』。
衝撃的なタイトルと宣伝文句につられ、「感情的なトランプ大統領 vs. 理性的な側近」という先入観が成り立ってしまいそうですが、本書が明らかにしているのは、誰しもの感情と感情が真正面からぶつかり合う壮絶な決闘の様子でした。読み物として抜群に面白いのと同時に、トランプ政権の意思決定の在り方を考える上でとても参考になる一冊だと思います。
それにしてもリンゼー・グラム議員の交渉術が凄まじい☆5つ -
Posted by ブクログ
トランプが一国の、しかも超大国の舵取りをするにはまったくふさわしくなく、危険満載な存在であることは改めて理解できた。しかし、この本で注目したいのは、そうしたクレイジーをなだめ、なんとか国家としての正統性を逸脱しないようにと心を砕く周囲の人間たちの姿だ。自分たちが忠誠を尽くすべきは現在の大統領でなく、「より高い忠誠」の対象である米国そのものである、と言うことだろう。ここが、中心人物への忖度を繰り返して恥ずることのないこの国の政権周囲の人間達と決定的に異なることだ。トランプは自分への忠誠を人々に求める。しかし多くの高官は(例外はもちろんいるが)、職務に対して忠誠を尽くすのである。
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Posted by ブクログ
ネタバレニクソン大統領を最終的に辞任に追い込んだウォーターゲート事件を報道したジャーナリスト、ホブ・ウッドワードとバーンスタインが自らその顛末を語ったのが本書だ。ロバート・レッドフォードによって映画化もされている。
ジャーナリズムとしては記念碑的な事件を扱った本作は、ウォーターゲート事件というものの顛末を分かりやすく読もうとすると大きく期待を裏切られる。本作はむしろ彼らがウォーターゲート事件をきっかけとして、ニクソン大統領の陰謀を明らかにするまでの苦闘を描いているのであり、とにかく登場人物も多く出てくるし、描写もかなり行ったり来たりする。
正直に言って当時のアメリカに住んでいれば理解できたかもしれないが、その長大な量と合わせて、全体を一回で理解するのはとてもではないができない。読んでいてくじけそうになったことも何度もあったがそれでも最後まで読み通せてしまったのは、やはり本場のジャーナリズムの息遣いが聞こえてくるような描写と、扱っているテーマが非常に大きなものだからだろう。
本書を読むとジャーナリズムというのはとにかく足で稼ぎ、人の話を聞いて物事を明らかにする職業などということがよくわかる。また驚きなのは、アメリカの(少なくとも当時は0ジャーナリストに対してそれなりのに多くの情報を与えてくれる政策当局者や行政官が多くいたということだ。それらの一部は素状が明らかにされているが本書の中でも多くの人物は、ニュースソースとしか書かれていなくてその情報源が明らかになることはない。
決して多くの人にお勧めできるようなタイプの本ではないが、ジャーナリズムに興味があるひとは一度は目を通しておくと良いだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマスコミ、特にテレビについての不信感が個人的に強いです。バラエティは面白く見れるのですが、報道という観点からすると、ポジションテークを明示しない報道姿勢が私にはとても狡猾に感じるのです。とりわけ政治問題に対する報道はそうです。どういう立場での報道なのか、旗幟鮮明にせよ、さもなくば立場が分からない、問いたくなります。
さらに時代は一応総つぶやき社会へ。誤字脱字にあふれたネットニュース(人の事言えないけど)、個人の伝聞(ポスト)が即確からしく語られる昨今、何が信じられるニュースソースなのかよくわからくなってきました。むしろ気概のある個人の発信情報の方が時として信頼できる可能性も増してきました。口コミやインフルエンサーなどはその一例かと思います。
もちろん、個人という最小単位は、何かが起こると「仕組み」でカバーできないので(一人だけですから)、お金・健康・家族などが脅かされたらあっという間に信念が曲がる可能性もありますが。
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そんなことを考えているさなかに読んだのが本作『大統領の陰謀』です。
本作は、ワシントン・ポスト紙の若手記者二人が、政府からの圧力に耐えつつ、真実に近づき、ニクソン政権を追い込んでいくノンフィクションであります。
これを読みつつ改めて考えたのですが、真実を伝えること、真正なる報道というのは実に目に見えない努力に支えられていると感じた次第です。
まずもって感じたのは、真正の報道は恐ろしく手間がかかるということです。
本作では政府内部のタレコミ情報がワシントン・ポストに集まるものの、これをそのままスクープとして発表することができないシーンが数多く出てきます。悪さをしたニクソン政権ですが、当然記者とつながりのある内部者に意図的に虚偽情報をリークさせることも可能なのです。そのため、検証や裏取り、それが難しい場合は断定表現は避けるなど表現上の工夫を施す必要が出てきます。
作中では、ほぼ確からしい情報をどのように確かにするかという裏取り、検証の作業に呻吟する記者二人に感嘆いたしました。
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また、本ワシントン・ポストでは、社主(オーナー)から編集長まで、主人公の若手記者二人の集めてきた事実をキチンと受け止め、適切なテクニカルな指示(裏取り、出稿のタイミング等)のみを下におろす形にしていました。
政府からの攻撃(記事の内容を『でたらめ』と声明発表し、加えて記者クラブ的集まりに呼ばなくなる)を受けても、トップマネジメント以下状況に耐え、記者二人に取材をやめるよう圧力をかけなかった姿勢は立派という他ありません。
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また、主人公の若手記者の一人がニュースソースを外部に漏らすというあってはならないことをしてしまうシーン、大陪審の陪審員への接触を試みる(陪審員は知りえた情報を外部に漏らしてはならない)シーンなど失敗に関する場面も克明に描かれていました。作中では、記者二人が自らが作り上げる報道のもつ意味を考え呻吟し、そして表現に落とし込む様は、むしろ清々しさすらを感じた次第であります。
解説で常盤氏がこうした自己陶冶的側面を指摘していましたが、同感であります。
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本作は所謂ウォーターゲート事件発覚に至る様子を克明に描くノンフィクションものであります。ただ、スポットライトは、ニクソン政権の陰謀というよりも、むしろ政府からの攻撃に耐えつつ、報道人の矜持を保ったその誠実さ・清々しさ、に当たっていたように思われます。
昨今の違いを認める・受容する社会では、本作のワシントンポストのような全社的頑固一徹さもはや難しいかもしれません。でも、大きな風穴を作るときは、支えあい・忍耐・そして同じ方向を向くことが非常に大事である、とそう感じました。 -
Posted by ブクログ
時期的には「恐怖の男」とかぶる時期もあるが、本書はトランプ本人のインタビューを17回実施したり、金正恩との親書のやりとりの公開等取材対象の材料が広がった。
テイラーソンの就任経緯や解任、マティスの就任経緯や辞任といった重要閣僚についてはより両方の立場から描かれている。
北朝鮮との子供っぽい罵りから、親書によるおだてに乗ってまんまと手玉に取られるパフォーマンス大統領の愚劣な対応ぶりに唖然とする。
また本作で最大のテーマはコロナウィルスとの長く深刻な対応のやりとりだ。
医療専門家たちの助言に基ずく対策から経済再生にかじを切る中で感染拡大,死亡者の増加への判断に対するビジネスライクな割り切り方に国民性の違いを痛感する。
攻撃的な行動は大好きで得意だが、防御的な政策は苦手で不得意な有様が如実に描かれトランプの本質の大きな1面がよくわかる。