ボブウッドワードのレビュー一覧
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本書は原題は"WAR"副題に3つの戦争とあるように、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのハマスへの報復、そしてアメリカ国内の深刻な対立(静かな戦争というべきか)というアメリカが直面する課題が、膨大で詳細な取材と分析から見事に描かれる。
プロローグでかつてウオーターゲート事件を共に追及した懐かしいバーステイン記者を通じて当時デベロッパーとして野心家だったトランプとの出会いが描かれ(1989年)、その後も変わらない彼の本質(決して負けや非を認めない)を再確認することになる。
それが犯罪者だったニクソンよりひどく、アメリカ史上最悪の無謀で衝動的な大統領候補として2024年に立候補 -
Posted by ブクログ
500ページ超の大作。ある意味現在進行形。
ただし、この本の主人公にとっては、終わったのかもしれない。
主人公はジョー・バイデン前アメリカ大統領。
彼はロシアのウクライナ侵攻と、イスラエルとハマスの戦いの2つの戦争に
現職アメリカ大統領として直面、対応した。
そしてもう一つ、トランプ大統領候補と、大統領の座を巡って戦った。
結果彼は、唯一米兵を戦地に送り込まなかった大統領となった。
あわせて、立候補を取り下げ、ハリス副大統領に民主党候補の座を譲った。
それにしても、、ウクライナについてはヨーロッパ、アメリカはウクライナを支援し、
イスラエルとハマスの戦いは、こぞってイスラエルを支持する。
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【WAR 3つの戦争】 ボブ・ウッドワード 著
久しぶりに遅くまで読み耽りました。「訳者あとがき」で書かれているように「ボブ・ウッドワードの数多い著作のなかでも屈指の読みごたえのある傑作」と思います。
バイデン政権下での「ウクライナ戦争」「ガザ戦争」「対トランプ大統領選」の「3つの戦争」を軸に描いています。全て実名表記で、よくここまでホワイトハウスの内情を調べ上げたと感心しました。圧巻は、何と言ってもガザ戦争の部分。バイデン・ブリンケン、ネタニヤフ、さらにサウジやカタールを始めとした中東諸国首脳らの会話が事細かに記載されており、現在のイスラエル・イラン紛争など中東を考える上での解像度 -
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トランプ1期目と、バイデン1期目の序盤を描いた労作。政権奪取前は威勢の良かったバイデンが徐々に萎んでいくのは見ていて厳しく、政治家というのは野党の時こそ輝いて見えるのは万国共通だなと感じた。
全体を通して、トランプ2期目との最大の違いは側近の質であると強く感じた。たとえば1期目はウィリアム・バーやマーク・エスパーといった実務家がトランプに異を唱えてでも職務に忠実であろうとしていた。大統領選挙結果を巡って、マイク・ペンスがトランプの意に反してトランプの敗北を認めたのは最大の例だろう。
その結果、トランプ2期目では絶対的な忠誠をもとに側近を起用したのだなと納得できた。その結果としてアメリカが早 -
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【「いいかね」トランプはいった。「国を運営していると、意外なことばかりなんだ。すべてのドアの向こうにダイナマイトがある」】(文中より引用)
トランプ大統領本人に対する複数回のインタビューも行いながら、トランプ政権の内幕を描いた作品。発売されるやいなや全米で大ベストセラーとなりました。著者は、前作『Fear』でもトランプ大統領について記したボブ・ウッドワード。訳者は、米国関連のノンフィクションの翻訳を多数手がける伏見威蕃。
歴代の大統領を取材したウッドワード氏のトランプ大統領評ももちろん興味深いのですが、それ以上と言っても良いほどに読ませるのは娘婿のクシュナーによるトランプ評。側近中の側近が -
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【トランプが燃えているとき、その軌道を周回している人間はすべて熱を感じ取る】
関係者への膨大なインタビューを基に、トランプ大統領下のホワイトハウスの内実について迫った作品。アメリカを始めとした世界各国でベストセラーに輝いています。著者は、「調査報道」という用語の確立に多大なる貢献をしたジャーナリズム界の巨人、ボブ・ウッドワード。訳者は、これまでも同著者の作品の翻訳を手がけてきた伏見威蕃。原題は、『Fear: Trump in the White House』。
衝撃的なタイトルと宣伝文句につられ、「感情的なトランプ大統領 vs. 理性的な側近」という先入観が成り立ってしまいそうですが、本書 -
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トランプが一国の、しかも超大国の舵取りをするにはまったくふさわしくなく、危険満載な存在であることは改めて理解できた。しかし、この本で注目したいのは、そうしたクレイジーをなだめ、なんとか国家としての正統性を逸脱しないようにと心を砕く周囲の人間たちの姿だ。自分たちが忠誠を尽くすべきは現在の大統領でなく、「より高い忠誠」の対象である米国そのものである、と言うことだろう。ここが、中心人物への忖度を繰り返して恥ずることのないこの国の政権周囲の人間達と決定的に異なることだ。トランプは自分への忠誠を人々に求める。しかし多くの高官は(例外はもちろんいるが)、職務に対して忠誠を尽くすのである。
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ネタバレニクソン大統領を最終的に辞任に追い込んだウォーターゲート事件を報道したジャーナリスト、ホブ・ウッドワードとバーンスタインが自らその顛末を語ったのが本書だ。ロバート・レッドフォードによって映画化もされている。
ジャーナリズムとしては記念碑的な事件を扱った本作は、ウォーターゲート事件というものの顛末を分かりやすく読もうとすると大きく期待を裏切られる。本作はむしろ彼らがウォーターゲート事件をきっかけとして、ニクソン大統領の陰謀を明らかにするまでの苦闘を描いているのであり、とにかく登場人物も多く出てくるし、描写もかなり行ったり来たりする。
正直に言って当時のアメリカに住んでいれば理解できたかもしれ -
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ネタバレマスコミ、特にテレビについての不信感が個人的に強いです。バラエティは面白く見れるのですが、報道という観点からすると、ポジションテークを明示しない報道姿勢が私にはとても狡猾に感じるのです。とりわけ政治問題に対する報道はそうです。どういう立場での報道なのか、旗幟鮮明にせよ、さもなくば立場が分からない、問いたくなります。
さらに時代は一応総つぶやき社会へ。誤字脱字にあふれたネットニュース(人の事言えないけど)、個人の伝聞(ポスト)が即確からしく語られる昨今、何が信じられるニュースソースなのかよくわからくなってきました。むしろ気概のある個人の発信情報の方が時として信頼できる可能性も増してきました。口 -
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時期的には「恐怖の男」とかぶる時期もあるが、本書はトランプ本人のインタビューを17回実施したり、金正恩との親書のやりとりの公開等取材対象の材料が広がった。
テイラーソンの就任経緯や解任、マティスの就任経緯や辞任といった重要閣僚についてはより両方の立場から描かれている。
北朝鮮との子供っぽい罵りから、親書によるおだてに乗ってまんまと手玉に取られるパフォーマンス大統領の愚劣な対応ぶりに唖然とする。
また本作で最大のテーマはコロナウィルスとの長く深刻な対応のやりとりだ。
医療専門家たちの助言に基ずく対策から経済再生にかじを切る中で感染拡大,死亡者の増加への判断に対するビジネスライクな割り切り方に国民