上野元美のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
イスラエルを守るために軍が作戦行動を遂行する。敏腕パイロットやスパイなどの工作員、首相などの政治家が生々しい活動をする--。読んでいると冒険小説のように感じる。
この本はノンフィクション作品だ。実際に起こったことが語られている。気を付けないと小説のように楽しんでしまうが、実際にテロリストや軍人が死に、関係ない市民も犠牲者が出ている。これは楽しんではいけない事実だ。
小説と違うと感じるのは、ストーリーに盛り上がりやクライマックスがないこと。最初から最後まで淡々とイスラエルから見た中東情勢が語られる。イスラエル周辺では第二次世界大戦後もずっと事実上の戦争状態なのが分かる。文章は読みやすい、でも -
-
Posted by ブクログ
小惑星マイアが半年後にぶつかり地球は終わるそんな世界でひとり殺人事件を捜査するヘンリー・パレス刑事。おまえはどうして平気なんだみたいなことを言われたりするけれど、ヘンリー・パレスも本当は平気じゃないし、気にやんで眠ることができなかったりする。そりゃそうだと思う。半年後に世界は滅亡するんだから。殺人事件を追いかけて、くそったれな世の中で精一杯刑事であろうとしているヘンリーに入り込んでしまった。というより、この世界に。半年後にマイアが来るような気がしてしまう。現実に。それくらい力のある作品だと思った。さて、次は『カウントダウン・シティ』読みます。
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
世に警察小説は数あります。ですが、本作ほど個性的な作品は警察小説はおろかミステリ全体を見渡しても数えるほどでしょう。
何といっても基本設定が
小惑星衝突による破滅的災厄を間近に控えた世界。古びたファーストフード店で一人の男が首を吊った。未来に悲嘆しての自殺と誰もが思った。だが、新人刑事ヘンリー・パレスは他殺を疑い、終局に向かう世界の中、地道な捜査を開始する……
だというのですから。
本作『地上最後の刑事』はかように特異的かつ魅力的な背景を持つ一作です。メインとなる舞台も、起こる事件も、主人公たる刑事と彼を取り巻く登場人物たちも、全てが「警察小説」という言葉から浮かぶイメージと一致します -
Posted by ブクログ
この本にも時々登場するイスラエル人ジャーナリストのロネン・バーグマンのシークレット・ウォーズがホメイニ革命以後のイランvsモサドを中心に書いているのに対し本書では特に1948年の建国から1980年代までのモサドの活躍を中心に書かれている。バーグマンもかなりイスラエルよりだと感じたが、本書は完全にイスラエルの立場で書かれており、暗殺や国外での誘拐など他国の主権を無視する行為も肯定的に書かれている。イスラエルでベストセラーになった理由がよくわかるがちょっと一方的すぎる。モサドの失敗談も書かれているがバーグマンの方が辛辣だ。
全21章にはナチスのアイヒマン誘拐と処刑、ミグ21の略奪、黒い9月のミュ -
Posted by ブクログ
最強の諜報機関であるイスラエルのモサドの様々な諜報・スパイ活動がこれでもかと紹介されている。
イラクの核開発を阻止するための科学者の暗殺、ブラジルからナチス残党を拉致する話、エジプトの大統領の義理の息子をスパイにする話、PFLPのテロ組織壊滅のための攻撃、シリアに住むユダヤ系女性のイスラエル脱出作戦、ミグ21の機体を欲しいとイラクの空軍少佐をそそのかしたりと兎に角これでもかとばかりにモサドの合法・非合法を問わず、また成功・失敗を問わずに活動内容が次々と紹介されている。
知られざる中東の歴史の背景にある様々な国の思惑、特にイスラエルから見た中東の近隣諸国との関係の裏面史には目を見張るものがあ -