上野元美のレビュー一覧

  • AI世界秩序 米中が支配する「雇用なき未来」

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    ネタバレ

    前半は現状および今後のAI開発の潮流について、後半はその影響と対応について記載されている。
    米中の価値観とそれがもたらすAI開発競争の予測はある程度想像はつくものの、やはりという印象。
    ただ、それ以上に、AIがもたらす失業、分断が印象的だった。自分も『ラッダイトの誤謬』を信じていたのだが、AIは既存の仕事を置き換えるのではなく、仕事そのものをなくしてしまうというのは衝撃的だった。また、UBIについても肯定的に考えていたが、『AIエリートが想像を絶する巨万の富と浮世離れした暮らしを楽しみ、大量の失業者に最低限の施しをしてなだめるような社会』という記載を見て考えを改めた。今は、ただお金を分け与える

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    2022年02月22日
  • 世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち

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    ・主人公はフェイスブックの創始者ザッカーバーグと確執のあるウィンクルボス(Winklevoss)兄弟を.フェイスブックをテーマにした映画ではザッカーバーグに敵対する悪役として描かれており,実世界でもそのイメージのせいで苦労したらしい.
    物語はシルクロード壊滅あたりを最後とする1.5年 2011〜2013年.

    ・兄弟はフェイスブックの誕生に際しザッカーバーグと衝突.裁判沙汰となり巨額の和解金を得た.その資金をもとにファンドを立ち上げるもフェイスブックと因縁ある彼らはシリコンバレーでは受け入れられず上手くいかなかった.立ち行かない中スペインで緩慢と過ごしていたときビットコインと出会う.さらにビッ

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    2022年02月20日
  • AI世界秩序 米中が支配する「雇用なき未来」

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    AI革命の4つの波(インターネットAI、ビジネスAI、認知AI、自律型AI)や米中の動向など具体的なエピソードが多くて面白い。

    著者は、汎用型AI(Artificial General Intelligence)につながるブレイクスルーには数十年は必要であり、その前に、AIの普及による雇用と不平等という危機が到来し、人間がみずからの手で人類の文明を破壊するのではないかと懸念。

    AI経済への移行をスムーズにするための技術的解決法として、労働者再教育、労働時間短縮、所得再分配(UBI)について検討。

    時間とエネルギーのほぼすべてを仕事に注ぎ、世界のトップAI研究者の1人となり、グーグル中国を

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    2022年02月07日
  • 世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち

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    ビットコインの1%を持つと言われるウィンクルボス兄弟(映画ソーシャルネットワークに登場したfacebookの発案者?でザッカーバーグと裁判していた)が主役のこの本とても面白い。

    Facebookから勝ち取ったお金の大半をいかがわしい時期のビットコインにオールインって、なかなかできない。
    そして投資しただけじゃなく、自ら働きかけてアントレプレナーシップを持って動いた。ウィンクルボス兄弟も実力で暗号資産長者になったんだなぁとわかる一冊。
    そしてウィンクルボス兄弟の父が、炭鉱の現場から
    自動車整備工場(当時は馬車が主流の移動手段で、車が一時的な流行でユースケースが限られるので普及しないと思われてい

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    2022年01月16日
  • 秘録イスラエル特殊部隊 中東戦記1948-2014

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    【我々の使命は,人々が確実に平穏に生活できるようにすることだ。それは戦略的にも戦術的にも脅威ではないかもしれない--だが,道義的な脅威なのだ】(文中より引用)

    建国から今日に到るまで,イスラエルの特殊部隊が実行に移してきた任務の内幕を綴った作品。安全保障のために奮闘した数々の記録と証言が収められています。著者は,スパイ小説の書き手としても名高いマイケル・バー=ゾウハーとイスラエル国営テレビの社長を務めたニシム・ミシャル。訳者は,英米文学の翻訳家として知られる上野元美。原題は,『No Mission Is Impossibe: The Death-Defying Missions of the

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    2020年06月01日
  • マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦

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    面白すぎて一気に通読。

    現実は小説よりも奇なりというバイロンの言葉のごとく、SF小説を超えるリアルの面白さ。

    これが現在にリアルに起こっていることなのか考えると、ほとばしる高揚感と未来への想像。

    遺伝学世界のトップであるハーバード大のジョージ・チャーチを中心として、マンモス再生への軌跡。

    現在の遺伝子工学は数十年前では考えられなかった境地にすでに今の時点で達しており、さらに加速度的にあらゆるテクノロジーの進歩が今まさに起こり続けている。

    ヒトゲノム計画、マラリア撲滅運動、遺伝子移植による老化の逆行。
    デザイナーズベイビーから、不死の可能性までをも匂わせる。

    すでに、マンモスはハイブ

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    2019年01月13日
  • マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦

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    ノンフィクションであるが、構成が工夫されており読み物としてとても面白く一気に読み通す事ができた。マンモスを再生する目的が地球温暖化の抑制の為である事には驚いたがもしそれが理論上本当に正しいのならぜひ実現してほしいと思う。

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    2018年08月21日
  • モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

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    世界最強のインテリジェンス機関と言われているイスラエル モサドの過去のエピソードが綴られている。
    ただし、単にエスピオナージを踏み越えた、国家権力としての国際法を踏み越えたオペレーション(拉致、暗殺)には、ただただ震撼するのみ。
    平和国家日本にとどまっているだけではイメージできないこの地球上で実際に起きた事実が体感できます。
    ただし、イスラエルの方が著者なので、その点は多少のバイアスを考慮した方がいいかもしれません。

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    2017年05月07日
  • 世界の終わりの七日間

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    確実に大量絶滅を引き起こす小惑星衝突まで半年となったところからスタートしたこの3部作。
    この作品ではついに衝突まであと1週間。一気読みでした。

    人はいつか死んでしまうけど、来週には確実に死ぬとわかったらどのように生きるのでしょうか?
    やっぱり「死ぬまでにやりたいことリスト」を作って自由にやるのでしょうか?
    元刑事のパレスのように最後まで職務を果たそうとするのでしょうか?(もはや仕事でもないけど)
    それとも侍のように今死ねる覚悟で今を生きるのがいいのでしょうか?

    ハードボイルドなプロフェッショナリズムを究極に押し進めた死生観を問うてくる名作だと思います。

    不覚にもラストで涙がぽろりと・・・

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    2015年12月23日
  • 世界の終わりの七日間

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    三部作完結編。発売を待ち望んだ本は久しぶり。
    あっという間に読み終えた。
    惑星マイアが地球に衝突するまであと7日。ヘンリーは妹ニコを探しに、仲間たちのもとを旅立っていた。
    終末の狂乱と狂騒を描いた2作目の時に比べると、ぐっと人びとが落ち着いている。落ち着いている街が舞台だったからかもしれないが、あと7日で地球消滅となったら、実際はこんなものなのかもしれないとも思ったり。
    諦め、達観、祈りといった静けさの中、ヘンリーは妹と再会できるのか。惑星マイアは本当に堕ちてくるのか。その時を誰とどのようにして待つのか。
    相棒として物語に色を添えていたフーディーニも皆勤賞で出演。

    謎が解けてその時を待つヘン

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    2015年12月19日
  • カウントダウン・シティ

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    いい・・・
    前作のひんやりとして靄がかかったようなノワール感も素敵だったけど、今回はホットかつ混沌という感じ。すべての要素が心許なく不安定。出処がわかりすぎているのに対処しようのない焦燥と狂気がじわじわと飲み込んでいく。

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    2015年08月29日
  • モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

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    [事実は小説よりも危なり]その全貌については知られていないけれど、泣く子も黙るという形容がピッタリとくるほど圧倒的な存在感を誇る、イスラエルの諜報機関「モサド」。彼らが手がけてきた数々の秘密オペレーションの成功、そして失敗を徹底的な調査を基にしてまとめた作品です。作家としても活躍するマイケル・バー・ゾウハーとニシム・ミシェルによる共著作品で本書はベストセラーとなりました。訳者はミステリー作品なども手がけている上野元美。原題は、『Mossad: The Greatest Missions of the Israeli Secret Service』。


    スパイ小説顔負けの作戦の数々に驚かされる

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    2015年08月19日
  • 地上最後の刑事

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    『半年後、小惑星と地球が衝突し、世界は終わる。しかし、新人刑事は捜査をやめない。』
    帯のこれだけでガッチリ掴まれた。中身も期待以上のノワール小説感。こんなセンチメンタルな人類滅亡があるのか。

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    2015年07月15日
  • 地上最後の刑事

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    「小惑星不景気」
    なんて素晴らしい造語なんでしょう!

    小惑星「マイア」が10月には地球に衝突するのが確実である事が判明した1月のある日。マクドのトイレで首を吊った男が発見される。
    厭世気分が蔓延する世界で、一見自殺に見える事件を掘り下げていく新米刑事。自殺する人間も多く、誰も事件に真面目に取り合わない中を主人公は地道に一つ一つ証拠を積み上げていく。この辺は全くオーソドックスな推理小説。設定がSFなだけ。
    終末世界には必然的に登場する宗教団体、地球脱出を真剣に考える輩、人類のエリートだけを極秘施設に囲う計画があると信じる人々、「マイア」を核攻撃すると息巻く危ない国。シュールな且つリアリティのあ

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    2015年03月26日
  • カウントダウン・シティ

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    本書は、先日読んだ「地上最後の刑事」の続刊です。

    あらすじは、かつてベビーシッターをしてくれた女性に頼まれ、失踪したその夫を探すという物です。
    そしてその過程で、社会の変化や何やらきな臭さを醸し始めた政府の動き、政府の企みを糾弾し、それに抵抗しようとするグループの存在や、そのグループに属している主人公の妹と主人公との関係が明らかになって来ます。

    事件捜査が主体となった前作とはまた違った感じですが、前作でもチラリと触れられていた意図不明の政府の動きが本作では徐々に重みを増してきており、これはこれで中々面白かったです。

    果たして人類に救済はあるのか、それともこのまま滅亡を迎えるのか。

    シリ

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    2015年02月08日
  • 地上最後の刑事

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    地上最後の刑事。

    まるで人類最後の一人(自分で言うのもなんですが、二重表現的ですね)と言った感じの題名ですが、その想像の通り、本書は6か月後に巨大天体が地球に衝突、人類は死に絶えるとの設定を持つミステリー小説です。

    この絶滅間際の世界において、主人公のアメリカ・ニューハンプシャー州・コンコード市の新米刑事が偽装殺人の真犯人を追うのですが、ここに徐々に進行する社会基盤の崩壊と、残された時間を本当にしたい事の為に使おうとする周囲とのギャップが加わり、ストーリーに深みが出ています。
    特に社会描写や主人公とその妹とのやり取りが印象的でした。

    ちなみに本書は作者のデビュー作にして3部作の1作目との

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    2015年02月06日
  • カウントダウン・シティ

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    77日後に直径6.5kmの小惑星が地球に衝突する確立が100%となった世界。3部作の2作目です。もと刑事のパレスが知人から失踪した夫探しを依頼されます・・・

    人間いつかは死ぬのでしょうが、はっきり終わりが見えたらどう生きていくのでしょうか。自分の周りでは、働き盛りの同期や先輩が、病気などでなくなっていく方が徐々に増えていっています。もはや他人事ではない年齢層に入っている自分としても、あと何年生きられるとして、あれをやろうこれをやろうなんて整理し始めています。
    でも、77日となると・・・じゃぁ半年後だったら、10年後だったら、明日だったらと考えさせられてしまうところが、ミステリーでもない、サイ

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    2014年12月07日
  • 地上最後の刑事

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    半年後、小惑星が地球を直撃し人類は絶滅に近い打撃を受けると確定したら、自分はいったいどうするだろうか?

    そんな世界で、自分の仕事を全うしようとする新人刑事の物語。映画「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」、クラークの「神の鉄槌」も小惑星衝突の危機を阻止する人々の姿を描いたSFでしたが、この物語はそんな状況下の地上の人々の物語。しかも自殺とも思える死因に疑問を抱いた新米刑事の地道な捜査を描くミステリーなのです。今年はロシアに大きな隕石も落ちて話題になったしもはやSFとはいってられないのですね。

    ほとんどの人は死ぬまでにやってみたい事をやるべく仕事をやめるか、酒か薬で紛らそうとするか自殺し

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    2013年12月31日
  • モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

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    モサドの活動記録を綴った短編集である。建国まもない頃から最近2010年頃までの大失敗も含めた21事例を実名を挙げて、誰が決断し、どのように行動したかを具体的に手口を記している。よくまあ執筆出版を許したと思う。20カ国以上でほぼ同時出版もさもありなんと言う内容だ。あの事件はやはりモサドの仕業だったかとも思うが、巻頭の長官やテロリストなど関係者の写真が新旧さまざまに並んでいるのを見ながら本章読むと、現実は小説より奇なりという常套句が浮かんでくる。テロリストやあからさまに敵視する国々に狙われたイスラエルには生き延びるために不可欠な機関だろうが、時には作戦が失敗し要員が死に至ってしまう。それを政府がき

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    2013年02月11日
  • モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

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    世界最強の諜報機関とも言われるイスラエルのモサド。その知られざるエピソードをまとめたノンフィクション。周囲を敵に囲まれたイスラエルが生き残るためには、軍事力で打ち勝つだけでなく、諜報活動によって兵器開発など敵の軍事計画を事前に察知し、その進行を遅らせる必要があった。アドルフ・アイヒマンの誘拐、スターリン批判文の入手、イラン核開発の阻止など、歴史の裏側で世界を動かしてきた手に汗握るエピソードが数多く収められている。

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    2025年12月05日