フレデリック・クレインスのレビュー一覧

  • ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針

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    新書としては厚めの300ページ。西洋側の一次史料も用いている点が特徴的。
    ウィリアム・アダムス(1564-1620)。日本漂着が1600年、35歳の時。それまでのことが前半100ページを占める。彼は12歳から12年間、イギリスで船大工の修業をした。たんなる航海士ではなく、造船もできる人間だった。
    その当時、世界がどう動きつつあったか。家康は、アダムスを通して、そうした海外の勢力をどう見ていたのか。そしてその動きにどう対処しようとしたのか。臨場感あふれる筆致が読ませる。
    和名は三浦按針。家康からあてがわれた領地が三浦半島の逸見。領地の地名を姓にし、職業であった水先案内人(按針)を名にした。クレイ

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    2025年06月05日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    江戸時代は戦争がなく平和な時代だというイメージがあったので、地震や火事、噴火といった災害が多発しているのが意外でした。災害で大変な中、焼け野原の上にすぐ新しい家を建て、被害を冷静に受け止める日本人のたくましさにオランダ商館長と同じように驚きました。地震の被害に遭っても、オランダ商館長達をできる限りサポートする日本人の姿に、日蘭の絆の深さを感じました。

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    2025年02月18日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    ネタバレ

    新書であまり5は付けないんですが、いやー
    これは良かった。日本人ならぜひ一読すべき。

    長崎にいたオランダ商館長が、毎年将軍への謁見として江戸参府を義務付けられていて、
    その過程の中で火災や地震に巻き込まれており、その詳細を商館長それぞれの個性で日記に描いている、という新しい視点で
    日本の江戸災害史をまとめた1冊。
    明暦の大火を生き抜いた冷静なワーヘナール、
    神経質で元禄地震に敏感なタント、
    地震が怖すぎて描写が全て悲劇的なハルヒト、
    京都大火に偶然にも遭遇したファンレーデ、
    全て個性が違ってて非常に面白い。またわかりやすい文体で読みやすい。
    随所に入る磯田さんの解説もいい。

    面白いなと思う

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    2022年03月05日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    第一章、第二章では、江戸時代に火災が非常に多かったということに驚いた。細かな火災に関する記録だけではなく、商館長の心情も記録されていて興味深い。また、火災が多い理由や明暦の大火以降に発展していく深川の町についても書かれており江戸時代を知ることができる部分もおもしろいと思った。第六章の島原大変肥後迷惑に関する記載は、細かく描写され、頭の中で映像化されやすく、津波が起きた時の海の様子はとても印象に残った。

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    2021年03月25日
  • ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針

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    ネタバレ

    本の前半分は、アダムスの出生から日本までの航海について書かれている。アダムスが生きた時代は、カトリック(スペイン・ポルトガル)対プロテスタント(イギリス・オランダ)の宗教戦争が起こっており、そのような世界情勢の中で、アダムスの乗る船も、戦争の影響を受け、最終的に日本へ辿り着く。日本までの航海の中で、アダムスと同じ船に乗っていたアダムスの弟の死についても書かれており、戦争が招いた弟の死は、非常に印象的なもので心に残った。本の後半分は、日本でのアダムスについて書かれているが、アダムスについてだけではなく、江戸時代に日本がキリスト教排除へと向かう背景や、日本との貿易国としてオランダ・イギリス・スペイ

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    2021年03月07日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    江戸初期から幕末まで日本との貿易が続けられたオランダ。布教目的を持たない東インド会社で、商館長をはじめ幹部には報告書を兼ねた日記を義務付けていたことで、はからずも江戸の災害を記録・保存できた。明暦の大火、元禄地震など商館長が体験した大災害の様子がよく理解できた。長崎でも地震が頻発していたとは、管見にして知らず。しかし、雲仙岳という活火山の近くに位置する長崎であることを考えると納得できる。人工島である出島では、地割れが起きた記録はあるが、液状化の記録がないことに驚く。当時の土木工事の技術力の高さもすごい!

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    2020年09月12日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    江戸時代というのは、戦乱のようなことが無かったことから、様々な社会制度や経済活動が色々と進歩して種々の文化が花開いた平和な時代であったが、その他方で地震や洪水や火山噴火、更に年が壊滅的被害を受ける大規模火災というような災害が相次いだ時代という一面も在った。
    地震や火山噴火や大規模火災というような出来事の衝撃、被害状況の伝聞、現場や近くに居合わせた場合の経験というようなことに関しては種々の記録も伝えられていて、それが現在も研究されている。そういう種々の記録の中に、少し異色かもしれないが、非常に興味深いモノが在る。「欧州の人達が綴ったモノ」である。
    江戸時代を通じて、「欧州の人達」と言えば、公に滞

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    2020年01月07日
  • 戦乱と民衆

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    面白く興味深くバラエティ豊か! 民衆はつねにか弱いのだろうか? 戦乱の一方的な犠牲者だったのだろうか? 名だたる戦乱の遠景として扱われてきた、名も無き当事者としての「民衆」の別の姿を、時代ごとに語り明かしていく。応仁の乱の前後に頻発した土一揆が、乱の期間中にぱったりと無くなっていたのは何故なのか。明治時代に入った時点で、京都市街の六割は焼失した状態だった。この視点を持って、もう一度同時代のあれこれを読み直したい、と考えさせてくれる好著。

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    2019年10月29日
  • 戦国武家の死生観 なぜ切腹するのか

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    著者はエミー賞「SHOGUN 将軍」時代考証家。著者は戦国時代を応仁の乱が始まった応仁元年(1467年)から大坂夏の陣で豊臣家が滅んだ元和元年(1615年)までと定義する。江戸時代には武士の役割は再定義され、職業軍人であった武士たちに対して平和な時代の中で担うべき役割と立場を示すために儒教が理論的基盤となり道徳的規範となった。現代から戦国時代を振り返るとき、その間に横たわっている江戸時代の残像を重ねてしまうため、儒教を基盤とする江戸時代バイアスを消去する必要があると説く。
    そのうえで、主従関係については、儒教的な君臣関係とは異なり、より感情的、能力主義的な主従関係であったという。
    サブタイトル

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    2025年10月06日
  • 戦国武家の死生観 なぜ切腹するのか

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    <目次>
    序章   なぜ本能寺の変は“謎”に満ちているのか
    第1章  アナーキーな社会を生きた人々と戦国の思想
    第2章  武将たちの激しい信仰と宗教戦争
    第3章  不安定な主従関係と戦国の忠義
    第4章  足軽と鉄砲が変えた戦国の合戦
    第5章  戦国時代の切腹と武士の名誉

    <内容>
    ベルギー人の戦国時代研究者(国際文化研究センター教授)の本。日本人ではない分、日本人の常識を超えて語ってくれている。宗教面とかは「なるほどな」と思う一方、「そうかな?」とも思う。読みやすくするため、選んだ文献が2次史料的なものだが、それをわかった上で扱っているのも良心的。やはり冷静に書いていますね。

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    2025年08月10日
  • 戦乱と民衆

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    単純に被害者としての民衆という視点だけでなく、兵士や加害者としての民衆の話も出てくるのが目新しい。さんざん戦争に揉まれているはずの京都の民衆が幕末の蛤御門の変ではすっかり平和ボケしているのが興味深い。江戸時代ってよっぽど平和な時代だったんだね。
    最後、京都人(洛中人?)への怒りが爆発してるしwww

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    2021年05月09日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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     オランダ商館長や関係者など当時の滞在外国人が残した日本の災害が記されています。この本での”江戸”は、江戸時代と考えるのが良いでしょう。大火、地震、火山災害と主な災害について書かれていて、彼らの在任期間にほぼ全ての災害が網羅されている印象がありそれは改めて日本が災害大国であることを強く感じさせます。
     翻訳者の名がないのを訝しんでいたのですが、著者が日本語で書いたようです。歴史は単国では存在しないのですから多国語が操れることは良いことだと思いました。

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    2020年09月13日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    江戸時代、鎖国下の日本。オランダ商館長が残した日本の災害の記録。国内資料とは異なる冷静な事実の記載は貴重な一次資料。

    鎖国下の日本で交易を続けられたオランダ。商館長が残した日記。それは奇しくも災害大国日本の記録でもある。

    たまたま江戸参府に際し、明暦の大火に遭遇し江戸の街を逃げ惑った記録。元禄地震で大きな被害を受けた小田原ほか東海道沿いの被害地域。長崎からも近い島原での「島原大変肥後迷惑」など。

    母国オランダに比べ地震も多く火災も多かった日本。被害の状況と共に災害慣れしてすぐに復興に向けて動き出す人々。

    後世の創作や解釈の余地のない貴重な記録である。

    現在の日本人には分かりづらい、江

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    2020年06月21日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    このような本をつい手に取ってしまうのも、パンデミックと災害に、非日常という点で一脈通じるところがあるからだろう。

    ワーヘナールによる明暦の大火の記録はまさにパニック映画さながら。江戸で大火事に巻き込まれるオランダ人一行だなんて本当に絵になるのではないか。そこまで直接的に災害に巻き込まれた商館長は他にはいないものの、頻発する余震の描写など東日本大震災後の日々を思い出させる。

    江戸の町が焼けても焼けても懲りずに瞬く間に再建される様子も。日本人の災害に対する一種の無常観は、同時代のオランダ人から見てもなにか特異なものに見えたようだ。

    オランダ人(この本の著者はベルギーの方ですが)と江戸の災害と

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    2020年04月09日
  • 戦乱と民衆

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    戦史というと記録に残りがちな武将や貴族の物語であることが普通だが、ここでのテーマのように民衆をフィーチャーしたものは珍しい。昨今歴史ブームと言われて久しいが、ブームのおかげでこういう広がりが出てくるから目が離せない。

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    2019年06月18日
  • 戦乱と民衆

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    戦乱の中における民衆の生き方、というような視点で、日本史を見る視点を変えてみましょう、という啓蒙的新書です。その意味では現在の日本で十分役割は果たしていると思います。
    けれど、同じような視点での研究、著作ならこれまでも少なからずあったんじゃないの?という気がしてならないのですが。たとえば藤木久志さんとか。

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    2018年09月02日
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害

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    江戸の災害、この場合は江戸時代の災害の話。災害大国と言われる日本は、鎖国時代に日本に来ていた外国人の目にどう映ったのか。実際に見たことから人伝に聞いたことまで色々なことが載っていた。誤記なのか通訳のミスなのか当時の人々の心境なのか被害数字は誇張されたものもあるが、それが当時の情報の混乱を表してるようにも思えた。外国人の目に映った災害が細かく知れる資料。

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    2022年01月13日
  • 戦乱と民衆

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    ネタバレ

    白村江の戦いと民衆:ではなぜ、倭国軍は敗れたのか。答えは明らかです唐の軍勢は国家軍であり、訓練されて統制のとれた軍隊ですが、倭国軍は豪族軍の寄せ集めであり、国家軍ではありません
    戦いにおいて最も重要なのは、実は戦意を支える忠誠心とモチベーションです。国家軍にはそれがありますが、豪族軍にはありません
    応仁の乱と足軽:民衆が必ずしも反権力の動きをしていたわけではないと言う事実です。民衆は、その時の状況に応じて本権力的な動きを見せることもあれば、権力の手先として動くこともあった
    私が不思議でならないのは、例えば新選組の視点に立って京都の幕末を見る人は極めて多いのに、先ほどご紹介したような、夏の暑い盛

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    2021年01月04日
  • 戦乱と民衆

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    白村江、大坂の陣、禁門の変など、
    時代はバラバラだが、戦乱の際に庶民が
    どう振る舞ったかという視点が面白い。

    意外にしたたかな、一般ピープルの横顔が
    浮かび上がる。

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    2018年11月25日
  • 戦乱と民衆

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    民衆の視点から戦争を再定義する。ここで取り上げられるのは、白村江、応仁の乱、大阪の陣、蛤御門の変。シンポジウムでの論説を掲載するもの。第2部として座談会も収録されているのだが、井上章一を交えたこの座談会が爆笑もの。なぜか「京都ぎらい」になっている。
    なかで倉本先生の「歴史から学ぶ教訓があるとすれば、ひとは歴史から学ばないということ、そして人は同じ過ちを何度でもくりかえすということ」に100%同意しちゃう。

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    2018年11月22日