【感想・ネタバレ】ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針のレビュー

あらすじ

徳川家康の外交顧問、三浦按針とは何者か。関ヶ原合戦の半年前、英国人ウィリアム・アダムスが日本に辿り着いた背景には、大航海時代の激動する欧州事情があった。彼が見た戦国時代末期の日本では、カトリックのイエズス会がキリスト教の信仰を広げ、英蘭の東インド会社が貿易の機会をうかがうなど、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダ各国の思惑が交錯していた。家康の側近としてその渦中にあったアダムスは何をなしたのか。二代将軍・秀忠のもとで禁教と鎖国が進むなか、どんな晩年を送ったか。アダムスの生涯から世界史の中の日本史をとらえ直す。

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Posted by ブクログ

新書としては厚めの300ページ。西洋側の一次史料も用いている点が特徴的。
ウィリアム・アダムス(1564-1620)。日本漂着が1600年、35歳の時。それまでのことが前半100ページを占める。彼は12歳から12年間、イギリスで船大工の修業をした。たんなる航海士ではなく、造船もできる人間だった。
の当時、世界がどう動きつつあったか。家康は、アダムスを通して、そうした海外の勢力をどう見ていたのか。そしてその動きにどう対処しようとしたのか。臨場感あふれる筆致が読ませる。
和名は三浦按針。家康からあてがわれた領地が三浦半島の逸見。領地の地名を姓にし、職業であった水先案内人(按針)を名にした。クレイエンスによると、この逸見の領地は故郷イギリス・ジリンガムの地形によく似ているという。
脇役としてヤン・ヨーステン(1556-1623)も登場する。彼も家康から領地をあてがわれた。それは江戸城の外堀の内側、現在の八重洲付近。八重洲の地名は彼に由来する。出身地はオランダのデルフト、日本人には馴染み深いフェルメールの町。八重洲とデルフトという2つの点で、ヤン・ヨーステンがなんだか身近に感じられる。

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本の前半分は、アダムスの出生から日本までの航海について書かれている。アダムスが生きた時代は、カトリック(スペイン・ポルトガル)対プロテスタント(イギリス・オランダ)の宗教戦争が起こっており、そのような世界情勢の中で、アダムスの乗る船も、戦争の影響を受け、最終的に日本へ辿り着く。日本までの航海の中で、アダムスと同じ船に乗っていたアダムスの弟の死についても書かれており、戦争が招いた弟の死は、非常に印象的なもので心に残った。本の後半分は、日本でのアダムスについて書かれているが、アダムスについてだけではなく、江戸時代に日本がキリスト教排除へと向かう背景や、日本との貿易国としてオランダ・イギリス・スペイン・ポルトガルの中からオランダが残る理由など、日本の歴史についても知ることが多く、とても面白かった。

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2021年03月07日

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