あらすじ
破天荒な、戦国日本人のリアル
エミー賞「SHOGUN 将軍」
時代考証家・衝撃の一冊
戦国時代の武士たちは、刹那的で激しく、常に死と隣り合わせで生きていた。
合戦での討死は名誉とされ、主君の死や敗戦の際には、ためらうことなく自ら切腹を選んでいる。命より家の将来や社会的立場を重んじ、死を〝生の完成形〟と捉える死生観が、その覚悟を支えていたのだ。
こうした戦国独特の価値観を古文書から読み解き、その知見をドラマ『SHOGUN 将軍』の時代考証に存分に活かした歴史学者が、戦国武士の生きざまを徹底検証。
忠義と裏切り、芸術と暴力――相反する価値観の狭間で気高く生きた兵たちの精神世界を、鮮烈に描き出す一冊。
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Posted by ブクログ
著者はエミー賞「SHOGUN 将軍」時代考証家。著者は戦国時代を応仁の乱が始まった応仁元年(1467年)から大坂夏の陣で豊臣家が滅んだ元和元年(1615年)までと定義する。江戸時代には武士の役割は再定義され、職業軍人であった武士たちに対して平和な時代の中で担うべき役割と立場を示すために儒教が理論的基盤となり道徳的規範となった。現代から戦国時代を振り返るとき、その間に横たわっている江戸時代の残像を重ねてしまうため、儒教を基盤とする江戸時代バイアスを消去する必要があると説く。
そのうえで、主従関係については、儒教的な君臣関係とは異なり、より感情的、能力主義的な主従関係であったという。
サブタイトルである切腹については、特に忠臣蔵との対比がわかりやすかった。戦国時代においては、最後まで自分の生き方を自分で決める自己決定の行為であり、決して命令されて切腹するものではなかった。一方、忠臣蔵においては、幕府の決定により切腹を行った。
戦国時代の価値観との違いを著者は難点か挙げている。まず、浅野家があっさり幕府に城を明け渡すことはなかった(戦国時代の価値観では無血開城は全面降伏の意思表示)。また内匠頭切腹から吉良邸襲撃まで2年近く経ってること(戦国時代であれば内匠頭切腹直後に行動を起こす)。家名再興の嘆願など法的な手続きを重視していたこと(戦国時代には実力行使優先)。幕府に法的な処分をゆだねたこと(自らの死を他者にゆだねる発想はない)。
本書を読むと江戸時代以降は原題と陸続きだが、それ以前は全く異なる価値観だったことがわかる。
【目次】
序章 なぜ本能寺の変は”謎”に満ちているのか
第一章 アナーキーな社会を生きた人々と戦国の思想
第二章 武将たちの激しい信仰と宗教戦争
第三章 不安定な主従関係と戦国の忠義
第四章 足軽と鉄砲が変えた戦国の合戦
第五章 戦国時代の切腹と武士の名誉
Posted by ブクログ
<目次>
序章 なぜ本能寺の変は“謎”に満ちているのか
第1章 アナーキーな社会を生きた人々と戦国の思想
第2章 武将たちの激しい信仰と宗教戦争
第3章 不安定な主従関係と戦国の忠義
第4章 足軽と鉄砲が変えた戦国の合戦
第5章 戦国時代の切腹と武士の名誉
<内容>
ベルギー人の戦国時代研究者(国際文化研究センター教授)の本。日本人ではない分、日本人の常識を超えて語ってくれている。宗教面とかは「なるほどな」と思う一方、「そうかな?」とも思う。読みやすくするため、選んだ文献が2次史料的なものだが、それをわかった上で扱っているのも良心的。やはり冷静に書いていますね。