井上岳一(日本総合研究所)のレビュー一覧
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前作MaaSで100年に1度のモビリティ革命について非常にわかり易く描かれており、その第2弾・続編も読んでみた。
日本における「移動」と「都市」の未来、そのプレーヤーがどのような動きをしようとしているのか、具体的な企業とその事例が描かれている。
「DeepMaaS」「BeyondMaaS」2つの方向性から、大きな社会変化について挑戦している企業の実例がとても興味深い。
MaaSを起点とした社会の変化、様々な業界への波及、相乗効果に、敏感となり、日々の活動を行っていく必要性、時代から取り残されない、時代を先取りする事が今後のビジネスはとても大事である事を再認識した。 -
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MaaS時代においては、公共交通機関の関係性は「競争」から「共創」へ変化していく。これまでは同一地域の競争関係の中で切磋琢磨しながら、互いのサービスを向上させてきた。いわゆる競争関係である。今後は、良い意味での緊張感のある状況で、共創関係をどのように構築するか、エコシステムをどのように構築するかがポイントになる。それは同一地域においても、遠く離れた地域でも同じような課題を抱えている事業者間や、同じシステムを活用できる場合には積極的に連携メリットを模索していけるといい。
(引用)Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命 ー移動と都市の未来ー、著者:日高洋祐・牧村和彦・井上岳一・井上佳三、日経BP、2020年、211-212
本書を読み終えるまで、私は、MaaSについて、単にアプリを用いたナビゲーション(地図、経路検索)や予約・決済機能のことだと思っていた。しかし、その考えは、根底から覆させられた。MaaSは、交通分野のサービス深化となるDeep MaaSの世界、そして異業種連携で新たな価値を創出するBeyond MaaSの世界へと続く。Beyond MaaSの世界では、少子高齢化に伴う社会問題(買物難民等)を解決し、近未来的な、新たな都市構築の可能性を秘めている。つまり、より快適で、スマートな生活スタイルが実現可能になる。
本書には、GOJEKのシンガポール ゼネラルマネジャーのLien Choong Luen氏も登場する。GOJEKでは、既に生活に密着したスーパーアプリを開発し、東南アジアの人々の暮らしに欠かせないものになっているという。私は、本書を読み進め、車による配車サービスから買い物代行サービス、リラクゼーション関連の出張サービスに至るまで、「人々が移動する」という負担を極力排除し、ライフスタイルを豊かにする取り組みであると感じた。
冒頭に記したとおり、MaaSは、異業種とのコラボも可能だ。本書では、様々なビジネスモデルが紹介されており、例えば、電力✕MaaS、住宅・不動産✕MaaS、保険✕MaaSなどがある。また、観光✕MaaSや災害・防災✕MaaSなど、産業界のみならず、自治体とのコラボにも十分な可能性を秘めている。
ただ、私は、Society5.0の時代が到来し、各都市が「スマートシティを目指す」と言い放っても、そこに住む人々の暮らしが快適で真にスマートでなければならないと思う。その答えは、海外の先進事例を参考に、「どの点が真に人々の生活に役立ったのか」、そして「なぜ人々に支持され続けているのか」という視点で本書を読み進めれば、きっと探し出せる。なぜなら、この一冊で、MaaSの世界、そしてそこから発展する近未来の都市像が浮かびあがってくるからだ。
私も、今の仕事がBeyond MaaS世界構築の一助となればと思う。そして、いつの日か、自分の街にBeyond MaaSの世界が訪れることを心待ちにしたい。 -
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結局のところMaaSってなんなの?何をもってMaaSなの?ってのを説明できるようになりたいなと思って購入。
日本市場でMaaSの実現に向けて、プレイヤーとして活動するMaaS Tech Japan社長の日高氏と、その他3名による共著。(ただし、本著の中でMaaS Tech Japanについては触れていない点は好感)
MaaSはレベルが4段階ある。各交通手段が全く連携していないのがレベル0。Uberなどは新しいモビリティサービスではあるが、他と統合されているわけではないので、それだけでは電車やバスと変わらない、レベル0だ。
レベル1は、情報が統合されている段階。GoogleマップやNAVITIMEのように、電車、バス、タクシー、徒歩などを横断的に最適なルートを案内してくれたり。
レベル2は、予約や支払いも統合されている段階。日本ではまだ一部実証実験が行われているレベルだが、海外ではルートを選ぶと特急の指定席を予約とタクシーの配車を合わせてできたり、同じアプリで支払いまで完結することができるようになってきている。(ここまで来ると、なんかMaaSっぽいなと感じる)
レベル3まで来ると、すべて引っくるめた単一のサービスとしてパッケージ化されて、例えば月額○万円という定額で、鉄道、バス、近距離タクシーが使えるようにやる。これはフィンランドのwhimが実現している。(ここまで来ると、なるほど、これでこそMaaSだなと感じる)
レベル4は、社会目標との統合され、スマートシティのコンセプトとも一致すると言う。これはまだ世界でも実現されていないけど、例えば、MaaSの実現によりマイカーが少ない前提で、パーキングが少なく、歩行者専用道路などを中心に構成された街作りなどだ。
本著ではコンセプトだけでなく、世界中のプレイヤーがどのような動きをしているかも解説してくれている。
当然MaaSの世界は日々進歩しているが、その後の状況は2020/3に発刊された続編『Beyond MaaS』で書かれているのだろう。 -
Posted by ブクログ
近年、IT技術が目覚ましい進化を遂げています。例えば、自動運転の開発や、AIを用いた技術など様々な技術が誕生しています。
その技術をつかって、新しい社会をつくる構想があります。それがMaaS(Mobility as a Service)です。MaaSとは、マイカーという魅力的な移動手段と同等か、それ以上に魅力的なモビリティサービスを提供し、持続可能な社会を構築していこうという全く新しい価値観やライフスタイルを創出していく概念です。
鉄道やバス、タクシーなど様々な交通手段を個人の好み・自由に選択できるようになるような取り組みです。それに加え、選択した経路をスマホで予約し、決済まで行うことができるようになります。
これが実現すれば、都市に集中している人も地方に住みやすい環境になり、また、観光客の方も地方に行くことの抵抗感がなくなります。そうなれば、地方でも活気がうまれる可能性が生まれ、よりよい社会につながるのではないかと思います。
交通機関以外の産業もこの取り組みを活用することで、新たな市場が開拓することが出来るかもしれません。
この本は、日本の方が書いているので、これからの日本がどのようになっていくことができるのか、どのようなことをすればいいのかなどが書いてあります。これからの社会を考えるきっかけになるのではないでしょうか。もちろん、世界でもMaaSというサービスに向けて、取り組みがされています。それを読むと、日本はまだまだだなと思います。しかし、日本が得意の技術力の高さを発揮すれば、世界で認められるサービスができるのではないかと思います。これからの社会が楽しみです。 -
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ネタバレmaasに関する教科書的な一冊。現在の状況がよくまとまっており素晴らしい一冊。
<メモ>
・Maasのレベルと社会インパクト
レベル1 情報の統合 異なる交通サービスの情報が統合。マイカー以外の多様な選択肢の提供
レベル2 予約・支払いの統合 チケットレスキャッシュレスによるシームレスな移動の実現。移動の安心向上
レベル3 提供サービスの統合 定額制パッケージにより移動の価値観、コスト意識の変革。新たな移動需要の創出
レベル4 社会全体目標の統合 スマートシティの実現。都市全体の目的の整合、QOLの向上
・今後は川下のモビリティサービスが付加価値の源泉となる。Maasの導入はそれを地域経済に取り込むことを意味する。
・Maasにより賃貸住宅の駐車場を違うスペースに活用できるにように。
・配車サービスの普及によって縁石をセットバックして、配車サービス用の乗降場所を作ることが渋滞緩和の視点から重要になっている。
・モネテクノロジーズ、Maasオペレーターの立ち位置を目指す。需給最適化システムを利用し、人、もの、サービスを好きな時に呼べるモビリティサービスの提供を考える。2020年代前半からイーパレットを活用したモビリティサービスの実現を目指す。トヨタはホーム&アウェー戦略として、グループ企業との関係を強化し、事業の集約を図りつつ、競争力を強化する。競争力のある製品はトヨタグループ以外に販売する。
・ソフトバンク孫正義氏は孫子の兵法から着想した群戦略。各分野のナンバーワンを集めて20〜30%出資し、筆頭株主として影響力を保持しながら、小会社かはせず、各社が独立した形でシナジーを出してゆくもの。一方で日本国内においては、プラットフォーマーとの合弁会社などにより、サービスビジネスを自ら手がけたりもする。実業=現場を持つが故の強みはある。株主として世界の最先端の情報とノウハウを得ながら、国内で合弁事業を立ち上げ、実社会でも無視できない影響力を持つ存在となり、現場を持つ立場から政官財へ働きかけて旧来の慣習や規制を打破し、市場を創造する。
・米国のオフィスビルは将来のカーシェアリングや配車サービス普及を想定し、駐車場スペースの縮小を最初から前提としビル設計がなされている。駐車場はオフィススペースに転換できるようフロアが設計されている。
・Maasと自動運転が融合した社会においては、これまで中心部に整備された駐車場は別の空間に生まれ変わる。
・Maasによる変化のポイント。
1移動のパーソナライズ化 個々人のニーズに合わせた移動手段をアレンジ、新たな移動需要の創出が可能に
2都市交通の全体最適化 モビリティの移動を統合的に制御する仕組みの登場
乗り放題定額パッケージの出現で、交通以外のビジネスとのワンパッケージ化が可能に
3都市や場所の再定義 カーシェアや配車サービスの普及で駐車場が消滅、秋スペースの有効活用が可能に。交通体系の再構築で立地によらないビジネスが可能に。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ広告に推されて購入。
感想。よくわかりました。MaaSは面白い。本自体も面白い。
備忘録。
・フィンランドのMaasグローバル社によるWhim。これが最先端か。ヘルシンキ市内の鉄道・路面電車・バス・カーシェア・レンタカー・タクシーが一つのサービスとして統合され、一つのアプリでルート検索・予約・決済まででき、かつサブスクリプションモデルとなっている。既にヘルシンキの実行63万人に対し6万人程度が会員。
・MaaSのレベルの定義。レベル1は情報のみの統合、例えばナビタイム、ルート検索時に複数種類のモビリティの情報を提供。レベル2は予約と決済も統合、レベル3はサービスの統合(料金体系とか、シームレスなサービス提供)、レベル4は社会全体との統合。
・国家単位でMaas戦略が必要。欧州では米国のプラットフォーマにデータを支配されない様にしている、中国も。日本では、今更個人データでGAFAに対抗できないが、配車サービスが自由化されていない為、MaaSについては鎖国状態でチャンスあり、他にも医療や産業機器のデータ活用はチャンス。
・自動車メーカーでいち早くMaaSに動いたのはダイムラー社。日本勢より10年早い。対抗として、トヨタ&ソフトバンクで話題のモネ・テクノロジー。特にソフトバンクの群戦略。
・鉄道会社としては、ドイツ鉄道。自動運転の発展→鉄道会社はピンチと考え、自ら自動運転も研究しているらしい。
・MaaSの次のフォーカスは住宅産業か?モビリティサービスが行き届いた地域での住宅とか。
・MaaSプラットフォーマ―の出現パターン。①自由市場モデル(複数のMaaSプラットフォーマが併存)、②交通連合(特定地域の交通業者が連合)、③独り勝ち。
・Maasや自動運転に対応する車のメンテナンスニーズが増える。
・MaaSの先。エネルギー事業、保険事業、観光、金融(決済)、不動産、医療等も連携したサービスが期待される。 -
Posted by ブクログ
実際この書籍で描かれてる未来がちょうど今くらいで、あまり世の中は進んでないと思った。ラストワンマイルまで完結するのが先か、ラストワンマイルが必要になるような地域が過疎化してそれが不要になるのが先か、、という風に感じた。(≒ルーラルMaaS?)
MaaSについてはサービス自体は自転車なりスクーターなりが増えてきており、あとは本当に交通事業者がAPIまわりを整備することで、顧客側から1つのUIでの体験が実現できるのではと思った。
で、そのAPI整備は大きな民間交通事業者がいかに先陣切って外部公開していけるかにかかっていると思った。基幹システムの更新と併せて進めてもらい、その部分に政府から補助金を出すことで促進されればなお良いと思った。