井上岳一(日本総合研究所)のレビュー一覧
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MaaSに関する世界動向をまとめた本で非常にわかりやすい。田舎に住んでいる私のプライベート視点での感想は、早くMaaSが普及して、自動車の保有が不要となる世の中になって欲しい。そうすれば子供の送り迎え、駅から自宅までの嫁への送迎のお願い等、ややこしい部分が一気に解決。なお自動車業界で働くサラリーマンの視点での感想は、かなりヤバイ!自動車部品を作って儲けるビジネスモデルは長く無く、何らかの新しいスキームを作り上げないと生きていけないという危機感を強く感じた。幸いにしてS/W開発が専門なのでまだMaaSの領域への入りやすいのかも知れないが、上流のシステムを構築する価値のある所を押さえないとジリ貧かもしれない。
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モビリティ社会で実現されようとしているのが、「MaaS(Mobility as a Service、マース)」です。
一口で言うと、「あらゆる交通手段を統合し、最適化を図った上で、マイカーと同等か、それ以上に快適な移動サービスを提供する」概念です。
例えば、旅行に行く際に、行き先に何時に着きたいか、スマホの専用アプリで検索。アプリを通じて予約すると、指定の時間に自宅に迎え(将来は自動運転車)がきて、最寄りの駅からターミナル駅へ向かい、そこで新幹線に乗り換え、目的地の駅に着けば、そこで迎えの車が待機している。これがアプリ一つで決済まで可能になる。そんな世界です。
そんな未来予想図をわかりやすく書いているのが本書です。
自動車業界がどのような方向に向かっているのか、理解と思考を深める一冊と言えます。
ぜひ読んでみてください。 -
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伊豆MaaSの後に読んでみた。その中で否定されていた「日本版MaaS」という言葉。バス・鉄道などの公共交通が多様な事業と共に展開されてきたこと、交通をなんの協力関係もない多くの民間企業が担ってきたことがその所以だという。それは伊豆MaaSの中でまさに著者が感じた今後の可能性であり、直面した困難だ。
さらには、ポジティブリスト方式に基づく日本の法令なども日本版MaaSの実現を困難にする(なぜ日本がポジティブリスト方式なのかはまた別の機会に学びたい)。その中で、「健康、地域活性化、生活の満足度」に力点を置いた日本版MaaSを実現するためには、民間企業だけでなく都道府県等までを巻き込んだ努力が欠かせない。
いまのMaaSを見ていると、先進的な企業だけが意欲的にMaaSに参加し顧客を取り囲む。多くのデータを集積して自分たちのサービスに顧客を呼び寄せる。というサイクルになっているのではないかと感じてしまう。しかし、MaaSの本来目指すべきは特定の企業を潤すことではなく、サービス全体を最適化し、都市を最適化していくことなのだ。そのためにデータはオープンでなければいけないし、データを集める「権利」だけでなく、集めたデータを何に役立てるかという「義務」もまた大切である。
MaaSを多くの生態系で成り立つ1つのエコシステムとして捉えるという考え方は非常に面白いと思った。まだ実体のよくわからないものをどう捉えるか、何と結びつけるのかという思考には学ぶところが大きい。
Deep MaaS
中でも学びになったのが、トヨタのウーブン・シティに関する記述。「トヨタが街をつくる」そのインパクトは大きかったが、正直なんのために?という疑問が拭えなかった。実在の街と対になる仮想空間=デジタル・オペレーティング・システムを作り、様々な分野の技術・サービスをまとめ上げるMaaSコントローラー(p150)を自社が担うことにこそ価値があるのだ。モビリティを軸に多様な事業との接点を持ち、多様なデータを集積するという新たなポジションを確立していきたいのだろう。
Beyond MaaS
MaaSが実際にどんな産業と関わりうるのか。その可能性は思っていた以上に幅広い。中でも印象的だったのは電力(エネルギー)×MaaS。EV化の波が思いがけず電力と自動車を近づけていることを知った。電力会社が自ら事業を手がけているわけでもないのに別のサービスとセット販売しているのは、他産業が電力を結びつけて競争力を高めているのに対抗せざるを得ないからなのだろう。こうして、思わぬところにビジネスが拡大していくのならば、常に広い視野を持っておかなければと思い直した。 -
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今日本のサーキュラーエコノミーやローカルエコノミー、サステナビリティに関わる人たちの背景をうまく整理してある一冊。主に50代以上の世代の方の地方への見方を変えるために、高校や大学の若者たちにおすすめしたい。
特に歴史は教師がこういう風に解説できたらいいのだが…偏見を恐れずにいうと、日本史教員は史学科の人や政治学の人がやらない方がいい。
経済学か民俗学的な人の暮らしを軸に、これから生きていくのに必要な知恵として学ぶべきだろう。そういう意味でわかりやすくまとめてくださっていておすすめ。
ただ、この本になんらかソリューションがあるわけではない。それはこれから作られていくということ。 -
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ネタバレ
Chapter1モビリティ革命「MaaS」の正体
Chapter2 なぜMaaSのコンセプトは生まれたのか?
フィンランド アプリ「ウィム」
公共交通の補助金を見直し、MaaSに投資
あらゆる交通手段を組み合わせていかに提供するか
Chapter3 日本におけるMaaSのインパクト
MaaSとまちづくりの連携が意識されているのが未来投資戦略2018の特徴
ファスト風土 ロードサイドに広がる均一な光景
車前提の社会→高齢化で対策が求められる
クルマがなくても困らないまちに
都市部としては、公共交通の使い勝手を高めるためにMaaS導入が必要
MaaS導入による移動ビッグデータが街を変える
MaaSは地域に資金を還流させる
MaaSは日本の観光振興を支える
訪日外国人は「映画・アニメゆかりの地の探訪」など二回目以降日常的な体験を求めている
3 個人の生活は低コストでスマートに
シームレスで効率的な移動体験をもたらす
免許がなくても困らない暮らしがもたらされる
4 国家としてのMaaS戦略の必要性
モノづくりから一気通貫のMaaSエコシステム
Chapter4 「新モビリティ経済圏」を制すのは誰か?
豊田市 トヨタ主導
小田急電鉄
グループの強み生かす「私鉄版MaaS」
4 自治体&MaaS
ロサンゼルス市
5 通信サービス&MaaS
ソフトバンク
NTTドコモ
6 ナビゲーション・地図&MaaS
Google
SkedGO
Chapter5 プラットフォーム戦略としてのMaaS
Chapter6 テクノロジー戦略としてのMaaS
Chapter7 MaaSで実現する近未来のスマートシティ
Chapter8 産業別MaaS攻略のアクションプラン -
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ネタバレスマートシティについての最新の知見に触れたいと思い読んでみた。
長々と書いてあるが、通底しているものは共通していて、これまでの交通システムがそれぞれでICT化してきたものが、全体としてつながって、決済機能もついて、さらに観光など別の領域ともつながっていく世界がこれからやってくるんだ、というお話だったかと思う。
そうなると、前提として多様な交通サービスが存在することが必要となり、車とタクシー、バスぐらいしかない地方部ではなかなか難しいんじゃないと思うところで、実際におそらくは都会部に比べるとMaaSというレベルにはなかなかならないようだが、オンデマンドタクシーなども使えばうまく機能するかもしれない。むしろ需要が少ないがためにすぐに赤字になってしまう地方公共交通においては、ICTをうまく活用して需要に応じた交通システムができあがれば経済的に回る仕組みができるかも、という希望は持てた。
しかし、これを読んでいるタイミングで、グーグルがカナダ・トロントで進めていたスマートシティからの撤退を表明した。ドラスティックな変化、というのはやはり難しいのかな。利便性から徐々に広まっていくというこれまでのICT化のセオリーが結局はここでも適用されるのかな。 -
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前作ではMaaSの基本的な概念や各国各社の幅広い取り組みを紹介している良著でした。でその続編にあたる本著はMaaSのネクストステップとして、Deep MaaSとBeyond MaaSという2つの切り口を紹介している。
Deep MaaSは既存の交通手段(鉄道、バス、タクシーなど)の進化について深掘りしていて、Beyond MaaSはモビリティと他の業界とのシナジーについて説いている。
正直、Deep MaaSパートは全く深掘りされてないように思えたけども、タイトルからもわかる通り、メインテーマはBeyond MaaSである。
日本の公共交通機関は他国と比べて極めてサービス品質は高いし、マイカー所有率が高過ぎる訳でもない。つまり、MaaSが盛り上がっている他国とはそもそもの課題点が違っている(他国は主に、都市部におけるマイカー比率を下げて、公共交通機関の利用率を上げたい、というのが大前提)
そのため、日本のモビリティ事情における本当の課題に対して解決していこうというのが多分Deep MaaS(というか単にMaaSと言えばいい)だけど、むしろ日本にとって本当にポテンシャルがあるのは、モビリティが高度化することで波及的に他の業界が発展することなんだろう。すなわちBeyond MaaSのほう。
ただ、この領域ももともと日本は他国より進んでる。日本の公共交通機関は(公共とは言うものの)民間が経営していて、すなわち営利目的である。他国は名前の通り公営が多い。利益率が低い鉄道事業自体ではなく、関連する不動産や住宅や小売業やアミューズメントなどを鉄道路線沿いに配置して、そこで利益を生む。そういう構造がすでに日本には当たり前にある。
そこを更に発展させないと経済効果はない訳で、かなりハードルの高いスタートである。(実際、この本の中でも「MaaSのビジネスモデルはまだ発明されていない」と書かれている!)
本の中でもBeyond MaaSの例として、「○○ × MaaS」というのがたくさん紹介されている。しかし、いずれも現実味が今一歩という感じで、しばらく業界として模索していく段階が続きそうだと言う印象。
同じことを何度も書いているのは、著者が4人いて分担しているからだろうか。そこの読みにくさは残念。 -
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昔から、洪水が起こりやすい平野部ではなく、山の麓「山水郷」がもっとも住みやすい場所であり、それは今でも豊富な資源な源であると。それが明治維新以降、唱歌「ふるさと」や学問のすすめなどに表れているように、地方から都会に出てくることが美徳とされ、山水郷は「想うもの」となってしまった。しかし高度経済成長が終わり、人口減少社会となった今、山水郷にまた回帰しよう。そういうことかな。
山水郷に限定するつもりもないが、最先端技術こそ地方部で始めるべきというのは賛成するところで、人口減少や高齢化など課題が先進的であるためその解決法となる技術の実験に適していること、人がすくないため規制緩和しても問題が大きくならないことなど、society5.0を実証するのに適していると思う。地方は積極的にそうした動きをフォローし、手を上げていくべきだろう。