ニール スティーヴンスンのレビュー一覧
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ネタバレ「月が割れる」こんなぶっ飛んだ現象から物語がスタートする。
破片が自らの重力でひと塊になり自転していることから「再び一つになることはないにしろ変わりはないのか?重力の釣り合いが変わってラグランジュ点が変わる?」などと(序盤の登場人物達と同じく)軽く思いながら読み進めた。
物語出だしの設定は突飛だが、中身は完全なるハードSFだった。
ハード・レインに向けて月の破片が分裂していく様子や月の核であった鉄を多く含む部分だけが割れにくいというような細かな部分までリアリティを持って考えられた設定や、現実には存在しない小惑星アマルテアを用意し、宇宙ステーションにドッキングしておくという、方舟がなんとか生き延びられるかどうかギリギリの設定も考えられているなと思った。
物語の随所で描かれる宇宙空間での物体の運動の描写はどれも美しく、小惑星の軌道のような大きなものから、水の泡やチェーンの回転など手元で起こる現象まで、規模も内容も多彩で面白い。
映像的な面白さだけでなく、科学の基礎知識も所々で差し挟まれる。登場人物目線やキャラクター同士の会話だったり、解説のように入っていたり、直後の場面で必要になる知識を不自然にならないように補完している。易しく簡潔に解説されている知識は、SFでおなじみのラグランジュ点や三体問題だったり、本書で最重要となる地球の衛星軌道での物体の移動(= 軌道力学)に関してだったり、「シミュレーションの結果(= 起こりそうなこと)とはどういうことか?」や「確率の解釈(:月を千回割ったことはない/割ることはできない)」のような日常生活でも触れる問題と同種のものだったりする。
まだ平穏だった物語の最序盤、ISSの”バナナ“で会議をする際の様子が面白く、印象に残っている。
慣性による擬似重力は様々なSF作品に出てくるが、その慣性重力発生機構が小規模であるがゆえに感覚として感じる鉛直方向がねじれて ”宇宙騙し絵“状態になっている描写は珍しく、「酔いそうだ」と思いながら現場の様子を面白く想像した。
序盤は宇宙空間入門編のように宇宙ステーション内外の様子や無重力空間での物体の運動が物語に何度も挟まれる。どれも鮮明に描かれ、映像作品を見ているように感じ、ワクワクしながら物語に入っていった。
「月が割れて落ちてくる」という始まりはぶっ飛んでいるが、その後の動きや影響に関してはリアルに、緻密に描かれている。情報の発表以降『株式市場が崩壊し事実上消滅した状態になっている』というのも本編の動きと直接関係ないとはいえ、地球上での経済構造が大きく変化していることを端的に表している。
粗を見せないために地球上での場面を多くは描かず、宇宙空間にいて限られた情報しか入手できない登場人物達のやりとりで完結させているのは上手いと思った。描かれている地球上での場面も、世界を俯瞰しない人間ドラマとしているから、登場人物以上に情報収集ができない作りになっている。
そして、「地球がどうなっているのか」を読者に感じさせない書きっぷりや不満を感じさせない適度な情報の提供具合も上手いと思った。
人類が手を取り合って困難に立ち向かう話かと思いきや『世界は科学者やエンジニアが動かしているのではない』展開も加わってくる。200ページの手前くらいからは政治的な暗闘が匂わされる。
全人類が同じ方向を向くには本書くらいのイカれた設定が必要だが、それでも「世界の破滅を前にしても人類は手を取り合えないのでは?」と思い始めていたところへ、この展開を打ち込んでくる。
滅亡まで2年と予想され、時間が少しも無駄にできない貴重なものとなるが、物語内ではそれが惜しげもなく経過していく。節のタイトルに『第○日目』と書かれているが、大きく時間が飛ぶことがあり、ギョッとする。
計画が回り始めて少し落ち着く第一部の中盤では、宇宙空間で人類が長期間生存するための問題点も描かれる。スカウトであるテクラの救出では無重力空間での外科手術、特に血の飛沫の問題を避けるために微小重力下のトーラスへと移動している。また、このシーンでは宇宙にいる人間が科学者、技術者に偏っているため経験豊富な外科医がいないことも暗に描かれている。
そのしばらく後では、腎臓に対する恒久的なダメージの話こそないが、長期間の無重力、微小重力下で生活する弊害も描かれ出す。プライバシーのない閉鎖空間での精神的影響も話題に出始めている。
本書の中盤(第一部では終盤)の、アークレットを初めてイズィに結合させる場面は緊迫感を上手く描けている。本書はリアルに描くがゆえに宇宙空間でのダイナミックな場面が無く、また、本書の設定にも慣れて読者が少しダレがちになるタイミングで、テクラの救出と併せて、息を飲む状況を差し挟む手腕は見事だと思った。
アークレットのドッキングのように(突発的な事故ではなく)計画の中でありながら緊迫する場面を組み込んでくるのは良いなと思った。計画通りであっても初めてのことは何が起こるか分からない。それまででは考えられないほど短期間で設計され突貫工事で作られたものであるし、地上ではできない性能試験もある。そういった常識的に考えられる緊張感に加え、直前のテクラの事件で「事故で閉じ込められる/宇宙空間に放り出されることも起きうるぞ」と暗に意識をさせられ、ドキドキしながらページをめくり、無事に完了した際は登場人物と同じようにホッと一息ついた。
この思い出深いアークレットの一号機だが、しばらくすると旧式化している描写がサラリとなされているのも良いと思った。
第二部でも時間が大きくジャンプする。ドゥーブの『まだ一年残っている』から1ページで11ヵ月が飛ぶ。日付を見て「ウッ」となる。
第一部では比較的平穏で日常生活を維持していたように見えた地球だが、ホワイト・スカイが間近に迫ると現実を突きつけられてパニックを起こしはじめている。
予定通り物資が送られてこないかもしれないと危惧しているところでのスペース・トロールとの接触はゾクゾクする。『地球上ではない』場所にいると称する正体不明の人物からの型破りな信号と、それが『トロール』ではあり得ない情報を持っていることが分かったときの鳥肌、ドゥーブが参加しての謎解きとショーンのイミールが氷の塊を連れて帰還するという期待と政治問題になる不安が高まるというてんこ盛りの展開を、モールス信号という情報量の少ないもどかしい方法でお預けをくらいながら見守る。
肝心のショーンとのやりとりは核攻撃によって場面が切り替わり中断する。
核の使用は予想できる事態だったが「遂にか・・。」という落胆があった。世界の最後が迫って現実感から逃れられなくなった人間が出てきたか。という感じ。
その後は中休み的に新しいメンバーが加わり、拡張されて様変わりしたイズィの中を見て回ることになる。
このあたりでのSF的な表現で気に入っているのは、受精卵の冷凍保管庫に冷気が“しみ込んでくる”という表現や施設内での方位に““が付いていて「便宜上そう読んでいるだけだ」と思い起こされるのも良い。
400ページを超えたあたりからまた時間の感覚が狂わされる。
と言っても狂うのは物語内の時間ではなく、ホワイト・スカイまでのタイムリミット。これが一気に、そして悪い方へ傾いていく。読んでいて緊張感が高まるも、登場人物らと同じくどうすることもできず、彼らの日常を眺めながらその時を待つしかない。地上からの支援が絶えた後の体制がようやく稼働し始め、”その時”に備えて心構えを持とうとしている矢先に物語が先手を打ってくる。憎らしいが優れた展開だと思った。
そこからは計画が前倒しされて最終段階に移行し、クラウド・アークも独り立ちの準備を急ピッチで進める。
数日の後、ハード・レインが始まり世界が崩壊していく。登場人物達が最後のやりとりをする姿が哀しい。
ここではたっぷりと時間を使って、地上と宇宙の視点を切り替えながら人類の最期を精巧に描いている。この部分も映像的で、自分も物語に入り込んで「自分はハード・レインを見るのだろうか、その前に家族と安楽死薬を使うのだろうか」と思う。
これ以降地球は『オールド・アース』と呼ばれるようにになる。
本書終盤(第二部としては中盤)では物語の中にいくつも別の物語がある感覚だった。イズィでの生活の他に、ショーン・プロブストの冒険でも中〜短編が書けそう。ニュー・ケアードでの探検も短編にできると思った。
イミールへニュー・ケアードが近づいているときは急に場面が変わり、全乗員が気絶しているというヒヤリとする光景から再開する。
大きな山場であるイミールヘのランデブーでは物語にアイディアとワクワクが散りばめられている。
乗員が死に絶えた後でもドッキングポートの位置を知らせるロボット名、ロボットを使ってイミールヘと“錨をおろす”、宇宙服での穴掘り、ドッキングから放射能汚染の可能性のある幽霊船の内部探索へ。といった具合だ。
幽霊の代わりに放射線に脅かされながら、イミールの司令船を掌握し、残されたログからショーンらに起きたことの種明かしがなされる。そこからは短い探検ホラー譚から従来のサバイバルへと物語が戻っていく。
「読者の想像にまかせ語られることがないのではないか」と思っていたショーンらの奮闘が知れたのは良かった。サラリと語られるこの物語も、片道切符での彗星への出発、予想外のトラブルでの生存状況の悪化、彗星から破片の切り出しとその際に起きる“汚れた雪玉”問題、流星塵よる燃料棒へのダメージとその破損による乗員の死亡、後継を託す最後の通信とSFのワクワクが詰まっていた。
最終盤は冒険やサバイバルとは反対側に振れて政治の話で時間へ続いていく。発見時から救うべきではないと思っていたJBFが暗躍する。アーキーを丸め込んで“オールド・アース流”とも言うべき権力闘争を始めようとしている。 -
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上巻の最後の方から、話題が古代文明(シュメール)に及びます(ネタバレになりますので深くは書きません)。そして世界を揺るがす大きな謀略が進みつつあることを主人公が知り、他の登場人物と助け合いながらエンディングを迎える、というあらすじですが、実は本書のキートピックの一つが「ウイルス」であるということに深い感銘を受けました。
本書は「メタヴァース」ばかりが脚光を浴びますが、実はウイルスには生物学的なもの(新型コロナなど)、コンピュータプログラムに影響を及ぼすもの、そして言語的・思想的なものがある、ということが語られているわけです。その意味ではコロナ禍の今、カミュの「ペスト」に並ぶウイルス本という位置づけが本書に与えられてもよいのではないかと思いました。本書を読んで「ウイルスとは何か」を深く考えさせられました。 -
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2021年フェイスブックが社名をメタに変更し、世界的に「メタヴァース」という言葉の関心が広まるなか、メタヴァースという言葉が作られた伝説的SF作品を読んでみました。下巻まで読んでからの感想になりますが、理屈抜きで面白かったです。最初の方は本書の世界観になじむのに時間がかかりましたが、上巻の真ん中位からはすらすらと読めるようになります。
ネタバレになりますのであまり書きませんが、本書の舞台は未来の米国で、そこでは連邦政府の力が完全に弱体化し、かわりに「フランチャイズ疑似国家」が乱立しています。そこでの主人公、ヒロ・プロタゴニスト(まさに主人公!)はメタヴァースを作ったハッカーの1人であり日本刀の達人であり、ピザの宅配屋である、というなんともハチャメチャな設定ではあります。そして徐々に世界を揺るがす大きな話に展開していくということで、あっという間に読めるのですが、この世界観に馴染めないと、後半以降固有名詞の意味がなんだかさっぱりわからず意味不明になるリスクもあるといえます。理屈抜きで私は楽しめました。 -
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時代は近未来。アメリカは中央政府が分断されゲートコミュニティのような小規模な“フランチャイズ国家”により分断されまくっている。
世界のグローバル化によってアメリカの優位性は消失。アメリカに残る産業はもはや音楽、映画、マイクロコード作り、高速ピザ配達しかない!
主人公は日本刀を操る黒人配達員“ヒロ・プロタゴニスト”。
彼は今のアメリカの特権階級たる配達員であり、最後のフリーランスハッカーであり、メタバース最強の剣士でもあるのだ。
ある日彼は友人の一人にしてメタバースの生みの親“Da5id”が正体不明のデジタルドラッグ“スノウ・クラッシュ”を使用し、文字通りシステムクラッシュしてしまうところを目にする。
ヒロはこのドラッグの正体を探るべく、メタバースと現実双方で個人的な捜査を始めた…
↑ヤバあらすじ
凄まじいエンタメ性とやり過ぎている設定がアドレナリンを大放出させる。めちゃくちゃクールなので発売当初はGoogle創業者とかシリコンバレーの起業家とかその辺のテッキーなティーンエイジャーにぶっ刺さりまくったらしい。
一筋縄では話は進まず、疾走感は凄まじく、最後まで訳がわからない設定てんこもり。
楽しい…
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ネタバレ連邦政府が機能不全に陥り、巨大企業が支配する近未来。主人公であるハッカーのヒロは、仮想空間「メタバース」を舞台に、謎のドラッグ「スノウ・クラッシュ」を追う。
本作のポイントは、仮想空間と現実世界の境目が曖昧になった世界観だ。 ヒロがメタバースを駆け巡る姿は、まるで私たち自身がその世界に足を踏み入れたかのような臨場感がある。
一方で、物語は多岐にわたる要素を盛り込み過ぎており、散漫な印象を受けた。 さらに中盤以降はさまざまな事件が同時進行し、どう収束に向かうのか、読んでいて物語に始終振り回された感もあった。
また、終盤の宗教に関するテーマは、少し重苦しい感じもあった。しかし、このテーマが物語に深みを与えていることも事実だ。これらの要素が物語全体にどのような影響を与えるのか、ページをめくる手を止めさせないエネルギーがある。
総じて本作は、仮想と現実がどのように交錯し合うのか、そしてそれが私たちの生活にどのように影響を与えるのか、考えさせられること間違いなしの一冊だった。 -
Posted by ブクログ
上下巻読み終えました。
メタヴァースという言葉を生み出したという、すごい
影響力のある本という認識で興味が湧いて。
まず、全体の疾走感はすごいです。
ビュンビュン走る感じ。
メタヴァースがほんとに今ほど認知されてなかったの?
って思うくらい、今としてはリアリティありです
逆に、SFの世界に現実が
近づいていることに驚きます。
次に、言葉、ウイルス
その捉え方に
メタヴァースより、それのほうが衝撃というか。
そうかもな、いやきっとそうかもと思わせられる。
ただし、、、
その部分に関しては、結構理解しづらく、
正直100%わかってません。
が、だいたいの流れがわかる、
(新訳で読み、旧訳は読んでませんが、)
訳や、ところどころの注釈は
まだ読みやすくしてもらいました。
そして、つまり、っとまとめてくれる
一文がところどころはいることで、
なんとか最後まで手放すことなく
乗り切れたところもあります。
疾走感は、上下巻通しても充分味わえたので
とりあえず、もはやSFなら読んでおきたい
みたいな本を楽しんでよめてよかったー!
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古代シュメール人は、ミーと呼ばれる神経言語学的なプログラムによってパンを焼き家を建てていた。それは、脳のうち現在の言語を理解する部分のさらに深層の基盤に作用する人間の脳のためのプログラムであり、要するにそれがスノウクラッシュであった。
古代に、エンキという初めて意識を持つ人間が現れ、ミーではなく自由意思と理性を実装させる新たな神経言語を開発し、人間達は共通のプログラムではなく意思を持った宗教をいただくようになった。
しかし、人間の脳の構造が変わったわけではなく、古代のミーは密かに語り継がれ、そしてヒロの時代に、これを拡散させて人類を支配しようと考えた者が現れた。L•ボブ•ライフである。その一味にはアウレト人のレイヴンもいた。彼らはストリートとリアル世界の両方で、ミーを拡散しようとした。リアル世界では薬物に混ぜて、ストリートではバイナリ言語を理解するハッカー達に向けてバイナリ記号を読ませる形で、これを成し遂げようとするが、ヒロとY•Tとジャニータの連携によって、リアル世界ではミーに犯された者達にエンキの言語を聞かせることによって、ストリートではバイナリ言語の爆発寸前にバーチャル爆弾のコードを書き換えることによってこれを阻止する。
インターネットの本格普及前にここまでメタヴァースの概念とモデルをリアルに描けたことに素直に驚いた。
もっというと、メタヴァースは2023年の人間は実現イメージができているが、この物語のもう一つの(メタヴァースよりもメインの)テーマであるウイルスについて、脳の基盤に影響する神経言語学的ウイルスという発想は、まさにSFならではの発想で、これまで考えたこともなかった発想であった。エンキ以前の社会を共通言語による人格のない社会として描き、ここから多様な言語と自由意思を持つ社会へと移行した様を、バベルの物語として描くあたり、秀逸であった。 -
Posted by ブクログ
本書は1992年に書かれたもので、舞台となる時代設定ははっきりわからないが、主人公の親父が第二次大戦帰りであることや、マフィアのドンがベトナム戦争経験者であることなどから、だいたい2000年代くらいのイメージか。
アメリカは国家としての力をなくし、無数のフランチャイズと呼ばれる勢力がそれぞれ独立して地域を自治している。主人公のヒロはマフィアの経営するピザ屋の配達人で、配達が遅れれば実質的に死が待っている状況で配達していたが、ヒロインのY•Tという特急便屋にプーン(特急便屋はスケートボードに乗って移動体にワイヤーをくっつけて移動する)されてミスをし、配達人をやめる(ピザは気まぐれなY•Tが配達してくれて命は失わなかった)。この時代には、いわゆるメタヴァースとしての「ストリート」というサイバー空間が存在しており、ヒロはその初期開発者で、ブラックサンという高度にコーディングされたコミュニティ空間を開発した凄腕のハッカーであるとともにストリート最強の剣士でもある。
ある時、ヒロとともにブラックサンを開発したDa5idの下にあるデータの入ったカードが渡され、それを開いたDa5idはアヴァターがクラッシュするだけでなく、リアル世界でも昏睡状態に陥ってしまう。それはスノウクラッシュと呼ばれ、ただのコンピュータウイルスではない。
ヒロの元パートナーであるジャニータはある確信の下、その鍵を探りに「ラフト」に行く。
Y•Tはマフィアのボスであるアンクル•エンゾと懇意になり、ヒロもまた、スノウクラッシュの謎を解くため、古代のシュメール人の文化に鍵があることに迫る。 -
Posted by ブクログ
上巻冒頭の「高速ピザ配達」という心湧き踊らない設定から一転、話は”スノウ・クラッシュ”からシュメール文明の”メ”というある種のウイルス、第二次世界大戦末期の歴史的経緯、それらがリアルとメタヴァーズを相互に行き来しながら壮大に展開していく。Y.Tとレイヴンの性的かつ野性的なやり取りも艶っぽくて妙に哲学っぽく面白い。
Meta社の”メタヴァーズ”から再脚光を浴びた作品であるが、新型コロナを経て一気に進展したデジタル時代と新権威主義の台頭の今だからこそ興味深く読める。ネオサイバーパンクの古典的名作としてSF好きの方はぜひ一度読んでみてもらいたい。