あらすじ
月が七つに分裂してから2年後、〈ハード・レイン〉により地球は死の世界と化し、生存者は〈クラウド・アーク〉の1500人のみとなった。しかし、思想の違いから2つの派閥に分裂し、敵対集団は密かに独自の政治組織を組んで、火星への移住を目論んでいた。それは人類を二分する争いのはじまりであった……そして物語は驚異の5000年後の世界へ! 絶滅の危機に立ち向かう人類の未来を描き上げたSF巨篇! 解説/牧眞司
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Posted by ブクログ
長い! とにかく長い! やっと読み終わった! で、これは面白い!
上巻で月が突如7つに分裂し、人類は宇宙ステーションを避難場所に選び、そこに1500人を送るものの、2派に分裂し、、、というところまでが語られる。
下巻では、2派に分裂した人類のその後が語られ、時間は一気に5000年後に!
5000年って、、、と思ったけど、エジプトは紀元前数千年、中国4000年、平安京も1000年、と考えると、人類が次のステップに進むには5000年はそれなりの長さなのかなと思う。
実に壮大な叙事詩。
Posted by ブクログ
分裂と統合の物語。
相変わらず冗長ともとれてしまう細々としたコロニーやらメカやら古典・現代物理学の説明セリフも多く、ひぃふぅ言いながら読み進める。
頁を進める毎に細々とした説明が加速度的に、まさに”指数関数的に”増してゆくようで、あれこの人今何してたんだっけ、っていうかこの人誰だっけ・・となってしまうのはワタシの読書能力と物理学その他について教養がないせいもあるだろうけども・・
この描写は緻密を超えて、ちょっとオタクっぽ過ぎるかもしれない・・
下巻にはいってようやく題名『7人のイヴ』の正体が明らかになる。
解説でも指摘されている通り、邦題としての『7人のイヴ』はネタバレを含んでしまっているのかもしれない。
人種差別、マイノリティ差別という、全世界的な問題が生じる。
この問題はもちろん日本も例外ではないが、特に激しく噴出しやすい米国の作家であるからなおのこと、なのだろう。
どんな少人数であってもひとは集団を作って社会化する。
猜疑心、優劣、善良さ。
人類は集団の中でしか生きられないが、しかし、その集団は暴力的で排他的な一面も濃いのが悲しい事実でもある。
上巻からひぃふぅ読み続け、この作者が描くテーマは人種とか国境というものだったのではないか、と気がつく。
物語の最終章である第四部。
この第四部こそ、この長い物語の本編といってもいいのかもしれない。
第三部から第四部への唐突ともとれる移行は『2001年宇宙の旅』(映画)でサルによって投げられた骨がゆっくり回転し、宇宙ステーションに切り替わる、あのシーンを彷彿とさせる気もする。
COVID-19という時局、文脈に生きていると、人種の多様性、或いは生態系には多様性が必要であって、それらは乗り越えるものでもなく、共生という暴力的なものでもなく、理解しあう共感という文脈が種族存続のキーワードになるのではないか。
この物語のラストシーンを読むと、そんなことを考える。
ふぅ。