ファン・ジョンウンのレビュー一覧

  • 百の影

    Posted by ブクログ

    韓国文学…初読み。静謐で穏やかで すーっと読みすすみ、それでいて じっとりした湿度、キツイ日々がズシンと残る。オムサの章が好き。「これまであったときは気づかなかったのに、なくなったとたんにその不在ばかりが目につくものだ〜」ちょっと うるっときた。影が気になってしかたなく。ウンギョとムジェが歩いていく先には 新しい光がありますように…。

    0
    2024年05月26日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    2人の会話や影法師の存在などどこか村上春樹の『世界の終わりと〜』を彷彿とさせるような、静かで独特な空気感がとても良い。
    辛い現実に居ながらも、2人の会話や時間はあえてそうしているのかどこか飄々としていて穏やかでとても素敵だった

    0
    2024年04月10日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    ムジェさんとウンギョさんの会話がすき。
    あたたかくて、優しい。

    読んでるうちに自分の影が気になってしまった(笑)

    ふたりの幸せを祈りたい。

    0
    2024年03月27日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    静謐で、ちょっと重かったり軽やかだったりして、透明な水晶の中に登場人物…主にウンギョとムジェの2人の世界を覗き込んで見ているかのようだった。
    それは現実であるというのに、沈むように静かなこの世界は完全なフィクションにも思えるのがすごい。
    2人のささやかなやり取りが愛おしい。
    どうか早く私たちやウンギョとムジェたちに柔らかな幸せが訪れ、いつまでも続きますように。

    0
    2024年03月15日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    影は手を伸ばし、光を掴もうとする。
    それはさながら人生のように。

    手を握り歩く2人に幸在らんことを。

    0
    2023年11月04日
  • 続けてみます

    Posted by ブクログ

    家族ってただの他人だし子供を産んで育てたくなんかない。当たり前みたいにそう書いてくれるだけで好きな小説だと思った。

    0
    2023年03月25日
  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    戦争や戦後の動乱、更には社会の急激な変化に晒されつつ、家父長制にのみこまれたり抗ったりする韓国の人々の、複雑で重層的なあり様を描き出す。

    0
    2023年01月03日
  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    斎藤真理子さんの翻訳がとても読みやすいです。そして巻末の後書きの中の、韓国社会の解説を読むとより深く本作を理解できます。

    長女である私にとって、作中のハン・ヨンジンの気持ちに痛いほど共感できました。個人的に日本在住の韓国人の知人がたくさんいるのですが、偶然なのか末っ子長男が多い気がします。「キム・ジヨン」でもそうでしたが、末っ子長男たちの後ろにいるヌナたちのことが気になってしまい、少し苦い気持ちになりました。

    0
    2022年09月08日
  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    最近よく韓国の女性が書いたものを読んでいる気がしていたが違っただろうか。
    母親と2人の娘を主人公にした連作小説集。
    セリフにカギカッコがないので、口に出された言葉なのか考えているだけの言葉なのかの境界が分からない不思議な文章。
    日本もそうなのだけれど家父長制のもとで苦しめられている女性がたくさんいる国。近くて遠い国。私にとって。

    0
    2022年09月04日
  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    イ・スンイルには二人の娘と一人の息子がいる。下の娘のハン・セジンはイ・スンイルを待っていた。今日はイ・スンイルの母方の祖父の墓参りに行く。その墓は、軍事境界線の近くの山にある。朝鮮戦争の時に両親と親戚の多くが死んでしまい、残った祖父がイ・スンイルを引き取ったという。十四歳になった時、遠い親戚だという者が住む金浦へやって、そこでイ・スンイルは市場の仕事を手伝い、そのうち商店主の仲介でハン・ジュンオンと結婚した。今年が祖父の墓参りが最後になる。足が悪く、もう山にまで登ることが出来なくなるから、廃墓することにしたという。墓参りにはハン・セジンだけが付いてきた。長女のヨンジンも末っ子のマンスも行ったこ

    0
    2022年06月06日
  • 年年歳歳

    Posted by ブクログ

    言葉にすることが難しい。とても静かな小説。

    物語は、順子(スンジャ)、イ・スンイル。その娘のハン・セジン、ハン・ヨンジンの3名の視点で綴られていく。

    冒頭に家系図があり、家族の話なのかな、と読み進める。たしかに、家族の話ではあるのだけれど、イ・スンイル、ハン・セジン、ハン・ヨンジン3名の、個人の話。作者の言葉として、家族の話として読まれることを心配している、というような言葉が記されており、なるほどな、と感じた。

    順子(スンジャ)、イ・スンイルは1946年、38度線付近に生まれる。時代に翻弄された、という言葉ではあまりに簡単だが、順子たちは、忘れること、従順であることを求められた。奴隷のよ

    0
    2022年05月31日
  • 続けてみます

    Posted by ブクログ

    生きるってこういうことなのか、と腑に落ちた
    小さな偶然や、どうにもならないことにどうにか向き合って、続けていく。
    続けてみます、という呟きが読み終わっても頭の中に優しくこだまする

    0
    2021年05月08日
  • ディディの傘

    Posted by ブクログ

    この小説に描かれている圧倒的な絶望感、閉塞感、人々の怒りは一体どこからくるのだろう…とずっと思いながら読んでいた。韓国に生きる登場人物のこの揺れ動く心情を、そのまま自分のことのように実感するには、私の知識が不足しているのが口惜しい。
    訳者解説にある「現実は混沌としており、激しく変動する。そして正しさは常に一様ではない」この言葉が韓国の情勢の全てを表しているのだろう。
    様々なことを考えさせられる小説だった。

    0
    2021年03月30日
  • ディディの傘

    Posted by ブクログ

    2021 #3

    私の知らない韓国を知った
    とても丁寧に翻訳されているのが伝わってきて
    日本語で読ませてもらってありがたかった
    日本の読者へのメッセージと訳者解説まで
    おいおい泣きながら読んだ


    ---メモ---


    P192 彼はキム・ソリに大人であれと要求したが、彼自身もキム・ソリに対しては大人なのに、彼はキム・ソリに対して何も、キム・ソリが大人になることについて何も、何らの責任も負わず、非難するだけして行っちゃったんだ。彼の大人らしさはキム・ソリを観察し、判断を下し、ことが終わった後に寄っていって非難するときだけ有効に働いたが、大人らしさがそんなものならあまりに御都合主義で下品じゃない

    0
    2021年01月23日
  • ディディの傘

    Posted by ブクログ

    "まっ昼間から、恨めしくて、恥ずかしくて、涙が出たよ。そのとき私、たいがい驚いて、気がついたのさ、私が泣いてる、恥ずかしいのがわかるんだ、ああ生きてるなあと。そしたらこんどはそれが嬉しくて、涙が出て出てきりがなくて。生きなくちゃ、せっかくここまで生きたんだから最後まで生きてみようって確かに覚悟を決めたんだ……そうやってしっかりはっきり心が決まったのはあの恥ずかしさのおかげで、あれが私を生かしたの。"(p.22)



    "私は自分の答え方や考え方が子どもに及ぼす影響が怖い。"(p. 183)

    "大人になることは、恥ずかしさの後に来るんだよとキム

    0
    2020年12月20日
  • ディディの傘

    Posted by ブクログ

    個人は個人で様々な考えや思い、問題を抱えて生きてる。
    それは大切な人を亡くしたことだったり、両親との隔たりだったり、性差、同性愛だったり、過去の運動や争いだったり。

    そういうものを胸に抱く個人にも、世の中の大きな流れは影響を与え、またその個人が、各々の抱えたものを持ち寄ってより大きな流れに響きあい、新しい流れを作っていく。時に後退しながら、時に迂回しながらも。

    韓国の現代、「セウォル号事故」「キャンドル革命」を背景に語られる、個人の「小さな記憶」と人々の歴史としての「大きな記憶」。
    今は過去となり、語られながら「記憶」は紡がれる。

    0
    2020年11月04日
  • ディディの傘

    Posted by ブクログ

    「d」と「何も言う必要がない」という2つの中編小説からなる。それぞれ独立はしているが、根底ではつながりあっている。
    これについては「あとがき」等で触れられている。

    「d」は「ディディの傘」という短編小説がもとで、その後幾度かの加筆、改変を経て本書に収録。
    「何も言う必要がない」は「d」執筆後に、筆者が社会情勢を前にある種の使命感をもって書いたものだという。

    韓国現代社会で次々に噴出する社会的不合理を前で、戦い、無力感に苛まれ、生活し、悩む人間の心境小説的な作品だ。
    読み通すのにけっこう体力が必要な小説だった。
    通常の小説の半分くらいのペースで読んだと思う。

    言葉一つ一つの意味、エピソード

    0
    2020年09月29日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    金、階級、貧富、親族、環境、などの様々な理由による壁やどうしようもなさが詰まっている。
    国が違うので同じ感覚とならないところもあるが、それでも大きく人というくくりでみれば「あぁ、わかる」や「どうにかならないか」のオンパレードで閉塞感や息苦しさでつらくもなるが、実際の人生と同じくとまることはできない。

    0
    2025年08月11日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    情景は、リアルに感じられるのに、そこと、ストーリーの繋がりを、汲み取るのが、私には、難しかった

    それでも、読み終わった後のなんとあわらしていいかわからない、気味の悪い感じ、虚無感?胸が、締め付けられるような痛みが、忘れられない

    0
    2025年05月07日
  • 百の影

    Posted by ブクログ

    (自分の感受性の問題だろうが)本編はぼんやりとした印象を受けたが、著者・訳者のあとがきを読んだあと私の中に残っていたウンギョとムジェ二人の声が響いてきた。
    この物語では何気ない言葉や行動が何度も繰り返されるのだが、それらの繰り返しが「響く」ように感じる効果をもたらしている。響くということは閉鎖的な空間にいることを想像させる。この作品では不穏な空気感はあるものの息苦しさはあまり感じず幻想的な世界の中で親密な関係やあたたかな交流が光っている。

    0
    2025年03月16日