李琴峰のレビュー一覧
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
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どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうしたら、女であることの不安や恐怖から解放される。ピンク色でかわいいし。丸くてかわいいし。そういった願望があるけれど、身体からは解放されない。生殖器があるからだろうか。生殖器が私の身体にばっちり組み込まれてるからかな。テトリスだったらセックスしたときに消えそうだけど、そうもいかない。私の身体は消えない。だから、愛するしかないのだ」。
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高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく好いている、と書かれていたことがとても印象的だった。
いろんな思い、様々な経験をした上での発言だと思うが、ぜひともこのリレーエッセイに、大谷さんも寄稿してもらいたい、と思った。 -
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西加奈子さん、村田紗耶香さん、千早茜さん、、他にも豪華な方々のお名前が、、
もうこれ買うしかないやんと思って購入して即読みました。
それぞれの女性作家さんたちがご自身の身体をテーマにリレー形式でエッセイをつづられていて、どのエッセイもすごく赤裸々に描かれていて同じ女性として共感するところもあれば、驚かされることもあり、、それこそ、読んでからは「私の身体は私のもの」を強く感じた。
それぞれの身体に色々な経験や傷が合ったり、コンプレックスが合ったり。
それでも一つしかない自分の身体。
こんな私でももっと堂々と生きていていいんだと思わせてくれる作品でした。 -
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ネタバレラスト1ページが衝撃的で、文字を追いながらあまりのグロさに無意識に呼吸が止まり身体が硬直していた。身体が邪魔という感覚についてこれまで考えたことがなかったが、主人公は究極まで悩まされていたことが分かる。
キャラクターとしてはパワハラを受けていた新人社員の福島亮太の存在が一番気になった。会社でミスばかり、居場所がなくなり退職を余儀なくされてしまう。しかしそれを逆手に退職までの話をテーマに文学会新人賞をとる。会社でミスばかりしてしまい評価されなくても、個人として脱皮し、逆境を乗り越えて輝ける人は強いと思った。
文章はすごく読みやすく、物語に集中しすぎて電車を数駅乗り過ごしてしまった。 -
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ネタバレ芥川賞の作品って難しい。
帯以外の前情報なしで読み始めて
え?これフィクション、、?だよね??と考えながら読み進めた。
ノンフィクションの文化なのか?と思わされるほど精巧な設定だった。
それにしては奇妙な言葉と文化だなと、半分くらいまでは上述がしっくり来ず、淡々と読み進めてなかなか感情移入や腹落ちがしなかった。
けれど表現力が豊かで情景は安易に浮かんだ。
半分を超えたあたりから漸く物語が見えてきて
性差(珍しく女性に力があるパターン)、
文化の継承(規律を守って伝えていくのか)
同性愛、いろんなテーマが組み込まれていていき、どういった結末を迎えるのか楽しみになる本だった。
きちんと締められていて読み終わった後は清々しい気持ちになれた
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U-NEXTの100min.NOVELLAシリーズ、四冊目は、日中二言語作家で翻訳家でもある、李琴峰(り・ことみ)さん。
本書の物語の主人公「寒川マヤ」は、台湾人の母と日本人の父を持つハーフであり、瀬戸内海の島で生まれ育った彼女は、小二の頃に亡くなった父の常軌を逸した母への暴力を目の当たりにした後、今度は母から種類の異なる、一方的な束縛を受けたことにより、母には何も告げず逃げるようにして東京へ行き、そこで知り合った「ジェシカ」と共に暮らすため、先に帰国した彼女の後を追うようにして台湾へ渡る。
父親だけではない男達への恐怖心に近いイメージと、母の束縛が影響したのか、台湾で暮らす今でもマヤ(茉彌)の中で渦巻くのは、支配や従属への過敏な拒絶反応であり、更に彼女を思い悩ませていることに、善意から派生したものが含まれていることによって、善意に満ちた国民性が宝でもある、台湾に対する印象も悪くさせていることには、以前、オードリー・タンに関する本を何冊か読んでいた時の、私の台湾に対する印象が、まさにそうした素晴らしいものであったため、そんな立場の異なる人から見れば全く違った景色に変わる、一通りではない国の姿に感じられた、台湾生まれの李さんならではのニュートラルな視点が、私にはとても新鮮だった。
そしてマヤの、頑なまでに自分の領域をはっきりと線引きしたような拒絶反応には、実は別の大きな理由があり、その真相に意外性こそ無かったものの、そこに至るまでの過程には確かな説得力を感じられた、そんな李さんの物語の構成には、過去の作品の人物を再登場させることも含め、どこか自ら構築する作品の世界観に対する温かさや信頼感があるようにも思われる。
そんな信頼感は、決して相容れないように思われた親子関係が、台湾から日本へ来た母と日本から台湾に行った娘とが交差するのをきっかけとして、様々な共通点が幾重にも重なり続けてゆくように、マヤの中ではおそらく、結婚したジェシカとも分かち合えないのではないかと思われた、その彼女の壮絶な過去に起因した、絶対的とも思われた見えない鎖から解き放たれるような展開には、まるで彼女のことを後ろからそっと見守ってくれている仏様の慈悲を感じられるようで、そうした今の時代に於いて蔑ろにされがちな昔からある変わらないものと、コロナ禍に於ける国の姿勢から垣間見えた保守的な日本と、多様な価値観を認めている台湾との比較から、ごく自然な形で映し出された同性婚の在り方といった、それら新旧のものが溶け合いながら不思議な融合を遂げた物語には、いつの時代に於いても、世の中に絶対なんてものは無いのだということを、私に実感させてくれた。 -
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【私たちを隔てているもの、通わせるもの】
著者の李琴美さんが小説を6冊お出しになった後に、まとめられたエッセイ。
彼女は、台湾で生まれ、大学卒業してから初めて日本を訪れたとのこと。
両言語で執筆活動をされていて、翻訳もされていて、
言語に対する高い意識、自らのご経験があり、その点についてもエッセイでは多く触れられていた。
日本語に恋をしたようなもの、と書かれていたが、
強い思いがあって初めて、人は可能性を証明することができるのだと思ったり。
言語は、得意不得意があったりするけれど、
私は英語は話せるものの、母語の日本語お言語力に欠けるので、外国語も、ある程度まで習得できたとしても、今のままのモチベーションでは、うまく操れるまでにはなりえないな、と思ったりしている。
でも本当に、何事も、やると信じることで可能性が広がる。
透明な膜。李さんがそう表すのは、言語の壁のように頑強ではなく、ときに見えなかったり忘れてしまいがちだけれども実際には私たちを隔てている何か。
言語だけではなく、李さんはいろいろなカテゴリー化について語られている。
それは彼女自身が社会的に纏う様々な膜を言語を通して感じているとともに、言語を通してまたそれらを越境したいと願ってもいるからなのだと思う。
言語化することは、人と関わるうえで不可欠。他者について語る時、それは時に暴力的になってしまう可能性もはらむ。
どうやったらそれを避けられるか、避けることは無理かもしれない。
自分の経験していないことを理解することはできない。
シンパシー。前の本でも出てきたけれど。
李琴美さんのように、自分の纏うさまざまなアイデンティティを誇りに思い、社会認識とのギャップについて公に言語化、主張できる人はそう多くはなかったりする。
他者を理解していると思うのではなく、理解できないからこそ、敏感になること、想像し続けること、が、私にできることかなーと思ったり。
そして自分の纏うさまざまなアイデンティティについても意識してみるのも大事かなと思った。私たちはみんなが、そんな膜を持っているのだろうし。 -
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ネタバレ淡々と日常の恋愛、悩みを短編という形で小説に書いている同性愛者、他にも用語がたくさんあり覚えきれないが様々な形があることをこの作家から知る。内容は事件や衝撃的なインパクトある話ではないので忘れてしまうけど何故か読みたいと思うのは何が魅力なのか考えた結果、主人公の内奥を覗いているからだと気づく。だからミステリーや刑事物を読みたいとは思わなかったのだ。この歳で読書傾向に気づくとはどんだけ暇つぶしだけのために読んでいたのかがわかる。そして本を読むことは教育にいいのは読んで考えるひとらに当てはまり暇つぶしで読んでいたらためになった、影響を受けたということはいっさいない。
この作家から影響を受けた、読んでよかったと読み終えて余韻に浸りながら自分の糧になったこともこのサイトに書いていく事を今年の目標にしよう。 -
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生を祝う を書いた李琴峰さんのエッセイ
エッセイを読んだ経験が少ないが、作者さんとおしゃべりしているような感覚
特にマイノリティに関する言及が多く、自分とは異なる視点で世界を見つめているってことに気づく
それは小説を読んで思うこともあるが、それ以上にどんな背景や意図で書いているか、その当時の社会情勢はどのようなものか、作者の過去の遍歴や生き方はどのようなものか
そう言った観点に触れることができるのがエッセイの良さかもしれない。
まだまだエッセイというジャンルを楽しめている気はしないが、いい経験をさせてもらった。
もっと、いろんな人の作品読んでみたいなーって思った。 -
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ネタバレサクッと読める文章量の小説。
100分で読めるように作られている中編小説らしいです。
家族とは?をレズビアンという目線で描いた作品。
正直に言うと恵まれた家族環境の私には感情移入し難い作品だった。
ただ帯にもある「幸せもいうものに対する母親の想像力が、あまりにも偏っていて、あまりにも限られていた」という言葉が心に残った。
主人公のマヤの母親だけではなく、現実の多くの人の考える幸せは偏っている。
幸せの形は人それぞれであり、誰も他人の幸せを否定する権利もないし、ましてや、奪い、制限する権利なんてない。
それを多様性が叫ばれるこの時代に生きる私たちは、心にしっかり刻み込まなければならない。
そんな当たり前のようなことを、突きつけられる作品でした。