春名幹男のレビュー一覧
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この本を読んで、まず衝撃としか思えない。
一般論としてこの本だけで全て判断するのは正論とは言い難いが、私は20数年間生きてきて、いかに普段の生活の中で触れるメディアの情報を得るがまま、鵜呑みにしてたんだと実感した。
特に、異なる言語を通すことによって、翻訳の仕方、異文化のニュアンスの解釈で、さらに紆余曲折している可能性があることを受け止める必要がある。
特に、アメリカは日本を守ってくれるという錯覚。
『英語版ガイドラインでは、日本が武力攻撃を受けた場合、作戦の実施は自衛隊が主たる責任を持つとしている。が、日本語版ガイドラインでは、責任を省略して翻訳せず、あいまいな作為的翻訳をしていた。 -
Posted by ブクログ
最初の3章だけでも読む価値ある。新しいガイドラインでは意図的かどうかは別にして誤った翻訳によりアメリカが日本を守る態勢が後退している現状が隠されている。米軍は日本防衛のためでなく自国の世界戦略のために駐留している、そのために日本を守ることはある、こんな考えてみれば当たり前のことを本書は米国の文書を繙いてそれを証明した。集団的自衛権を行使できるようになることにより日米同盟の片務性を解消して日米同盟を強化して抑止力を高めようなど…
後半は沖縄の返還、繊維問題、尖閣諸島と今の日米同盟に関わる歴史を解説。尖閣諸島について米国のスタンスがわかる。 -
Posted by ブクログ
15年の長期取材による本書。数々の公文書等を丹念に調べておられ、説得力があった。
重苦しい気持ちになった。
「ロッキード事件なんて昔の話をなんで私は読むのか」と思ったが、「昔の出来事」と、そこで途切れているわけではない。当たり前か。
これはアメリカと日本の政府、自民党、政治家、今も続いていることなのだろう。アホみたいに、アホみたいな戦闘機を大量に買わされて多額の支払いをかかえる今の日本。
自民党政府が続く限り仕方がない。反米の政治家はアメリカによって潰される。アメリカの国益にかなう政治家しか勝てない。まあ、そうでない政治家を立たせる、選挙の力で、というところまでも今の日本国民はできていない。い -
Posted by ブクログ
熟練の国際ジャーナリストがロッキード事件について15年かけて洗い直した作品。以下の大きく5つの陰謀説を中心に米国で公開されている資料にも丹念にあたってその真贋の検証を中心に展開されている。
1.ロッキード社の秘密資料(ピーナッツの領収書とか)が偶然誤って議会に配送されて事件が発覚した。
2.ニクソンが自分の意に沿わない田中角栄を嵌めた。
3.三木武夫が政敵である田中角栄を葬るために強引に追求を行った。
4.田中角栄が資源外交で米国から睨まれて嵌められた。
5.キッシンジャーが意に沿わない田中角栄を嵌めた。
こうして書くといくつか重なっているように見えるが…興味深かったのはこの米国そのもの、また -
Posted by ブクログ
『ロッキード疑獄』を中心に据えた戦後日本とアメリカの政治の裏舞台を見事に調べ上げた作品。
“ロッキード疑獄”をその事件に閉じて書かれたものではなく、その背景となるあの時代のアメリカ、日本、そして冷戦体制下で見据えたアメリカの姿が描かれている。
それは、自由、民主主義を表面にかざしてわれわれ戦後日本人に憧れを感じさせた憧れのアメリカの裏に潜む『巨悪』を十分に伝えるものでもあった。
日本の政界においても同様で、佐藤栄作→田中角栄→(三木武夫)→福田赳夫→(大平正芳)→中曽根康弘と続く自民党政権の中でも脈々と受け継がれていたのだ。
田中は、アメリカに嫌われていた。(米政権のコント -
Posted by ブクログ
ネタバレトランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト
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Posted by ブクログ
ネタバレサブタイトルが本題。
チャーチル、キッシンジャー。世界の歴史に影響を与えた人物がユダヤに傾倒しているのは偶然か。これは陰謀論の第一歩。クワバラクワバラ。
時事などに興味のなかった幼い日々、言葉を覚えてしまうほど連日、ニュースで「ロッキードじけん」や「じゅたくしゅうわいざい」は報道されていた。大雑把に知ってはいても、具体的に知らなかったので読んでみることにした。
第一部はフラットに読めた。
第二部からが本番で、本丸は第三部の終盤。だんだんと素直に飲み込み難い印象を覚えるようになる。読み手は事件に詳しくないので書いてあることを否定する根拠を全く持ち合わせていないのだが、飛躍、もっといってしまえ