【感想・ネタバレ】ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃スのレビュー

あらすじ

「われわれがそれ(角栄潰し)をやった」。K長官が漏らした真意とは!?
「自主外交」で角栄はアメリカに潰された。
国際ジャーナリストが15年に及ぶ取材で掴んだ、数多くの決定的新事実!!

田中角栄はなぜ逮捕されたのか? その理由は「角栄の外交」に隠されていた。
アメリカは「日中国交正常化」などの「角栄の外交」をひどく嫌っていたのだ。
その後発覚した、戦後最悪の国際的疑獄となったロッキード事件。そこでアメリカ政府高官は、密かに角栄の訴追を可能にする「ある細工」をした。
外交の対立も、角栄訴追に関わる秘密も、米機密文書には記されていたが、日米の根幹に絡む『巨悪』の深い闇は文書が公開されず、解明されなかった。

本書は「陰謀説」の真偽を徹底検証し、初めて証拠を挙げて解明する!
ロッキード事件の全容は、上記のように長らく解明されてこなかった。
結果、数多くの陰謀説が流布する事となる。「誤配説」、「ニクソンの陰謀」、「三木の陰謀」、「資源外交説」、「Kの陰謀」……。
米国立公文書館、ニクソン・フォード各大統領図書館、CIA、日本側資料、日米関係者らを取材・調査。
インテリジェンスの機微を知り尽くした国際ジャーナリストが15年に及ぶ取材から、初めて真の「巨悪」の正体を描き、巨悪の訴追が阻まれた理由に迫る!!
なぜ、首相の犯罪は繰り返されるのか? その構造までが浮かび上がる巨弾ノンフィクション――。

【目次】
まえがき
第一部 追い詰められる角栄
第二部 なぜ田中を葬ったのか
第三部 巨悪の正体
あとがき
ロッキード事件年表
主要参考文献一覧

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Posted by ブクログ

日本昭和史の中で、大きな事件となったロッキード事件の調査記録。客観的な事実、記録を踏まえて、真実に迫っているため、説得力を感じた。地道な調査に基づくアプローチの仕方に共感した。
巨悪と評した内容までは容易に迫る事ができなかったが、巨悪の輪郭を伝えてくれたおかげで、曖昧だった近現代の歴史を、流れと全体像で理解できた気がします。

1
2021年09月24日

Posted by ブクログ

面白くよんだ。読みやすい構成と思う。キッシンジャーの陰謀から児玉ルートへと話は白熱していく。あの頃の時代がよみがえる。巨悪によって現代日本が形作られているわけだな。角栄は巨悪でもなく、単に利権にまみれて葬られてしまった。

0
2021年03月20日

Posted by ブクログ

熟練の国際ジャーナリストがロッキード事件について15年かけて洗い直した作品。以下の大きく5つの陰謀説を中心に米国で公開されている資料にも丹念にあたってその真贋の検証を中心に展開されている。
1.ロッキード社の秘密資料(ピーナッツの領収書とか)が偶然誤って議会に配送されて事件が発覚した。
2.ニクソンが自分の意に沿わない田中角栄を嵌めた。
3.三木武夫が政敵である田中角栄を葬るために強引に追求を行った。
4.田中角栄が資源外交で米国から睨まれて嵌められた。
5.キッシンジャーが意に沿わない田中角栄を嵌めた。
こうして書くといくつか重なっているように見えるが…興味深かったのはこの米国そのもの、またはニクソンかキッシンジャーの虎の尾を踏んで嵌められた、というのは伝聞というか噂話をもっともらしく田原総一朗が広めたものらしくそれだけでも彼がジャーナリストを名乗る資格が無いことが分かる。実際にはニクソンやキッシンジャーが意に沿わない田中角栄を嫌っていたことは事実のようだがかなり厳しく対応を検討していて陰謀と言えるようなことではなかった、ということがよく分かる。当時経営不振に陥っていたロッキード社が地元にあるニクソンはロッキード社への融資に国の保証を無理矢理付けていた。なのでなんとしても倒産だけは避けたく販売不振の旅客機をなんとしても日本に売りたかった。つまり陰謀を巡らせるようなゆとりはなかった。また融資に保証をつけていた関係で議会はその経営をチェックする必要があり監査法人から正式に提出された資料に領収書などが含まれていた。キッシンジャー率いる外交筋は日米関係に亀裂が入るのを恐れて日本の政治家の名前が分かる資料を日本の司法当局に渡すことにむしろ難色を示していた。三木は強硬に資料の公開を迫ったがあくまで司法当局の者だけが見られる、という条件をつけられ強引な追求はできなかった、などなど面白おかしい陰謀説が次々と検証されていって本当はどういう事件で誰が一番悪かったのか、が暴かれていく。キッシンジャーがかなりとんでもない奴だということもよく分かるのだがそれを超える巨悪がいる、という展開でかなりのページ数も苦にならず読めてしまった。日本にもこういう時代あったんだな、としみじみ思わせられた。あっと驚く展開こそないけれども非常に面白い作品。おすすめです。

1
2021年10月26日

Posted by ブクログ

『ロッキード疑獄』を中心に据えた戦後日本とアメリカの政治の裏舞台を見事に調べ上げた作品。

“ロッキード疑獄”をその事件に閉じて書かれたものではなく、その背景となるあの時代のアメリカ、日本、そして冷戦体制下で見据えたアメリカの姿が描かれている。
 それは、自由、民主主義を表面にかざしてわれわれ戦後日本人に憧れを感じさせた憧れのアメリカの裏に潜む『巨悪』を十分に伝えるものでもあった。  
 
 日本の政界においても同様で、佐藤栄作→田中角栄→(三木武夫)→福田赳夫→(大平正芳)→中曽根康弘と続く自民党政権の中でも脈々と受け継がれていたのだ。
 
 田中は、アメリカに嫌われていた。(米政権のコントロールが効かなかったから)
 
 インテリジェンス出身のキッシンジャーの狡猾さと性格の歪み具合。

 児玉誉士夫のことをもっとリアルにしりたくなった。出生や世に出て身をなした経歴は書かれてはいるが彼自身のリアルな言動は闇に包まれた部分が深く大きい。なぜ、ロッキード社は21億円もの金をポンと渡すことにしたのか、そんな大金をどうしたのか?

 中曽根の児玉誉士夫との昵懇さと、正義派の三木武夫のもとで幹事長を務めながら、『裏で揉み消し』工作を図っていたしたたかさが、表の言動と裏腹に中曽根政治姿勢の不気味さを感じさせられる。

 岸信介をはじてめ戦後囚われた戦争犯罪者たちが、アメリカの政策変換で見事に復活し、『反共の砦としての日本』作りのためにアメリカに操られながら、国民の血税をかっさらっていく姿が恐ろしく描かれている。


 
 

1
2020年12月13日

Posted by ブクログ

長期に渡る綿密な資料の再検証に加え、アメリカ側から公開文書の検討、関係者への取材など著者の執念がここに実ったと言える一冊。

0
2025年09月05日

Posted by ブクログ

15年の長期取材による本書。数々の公文書等を丹念に調べておられ、説得力があった。
重苦しい気持ちになった。
「ロッキード事件なんて昔の話をなんで私は読むのか」と思ったが、「昔の出来事」と、そこで途切れているわけではない。当たり前か。
これはアメリカと日本の政府、自民党、政治家、今も続いていることなのだろう。アホみたいに、アホみたいな戦闘機を大量に買わされて多額の支払いをかかえる今の日本。
自民党政府が続く限り仕方がない。反米の政治家はアメリカによって潰される。アメリカの国益にかなう政治家しか勝てない。まあ、そうでない政治家を立たせる、選挙の力で、というところまでも今の日本国民はできていない。いつまでもこのままでいいのか。こんなことでいいのか。

0
2024年01月25日

Posted by ブクログ

キッシンジャーによる謀略によって角栄は葬られたが、日米安保に関わる戦争犯罪容疑者であり、逆コースの中で釈放され、CIAと共に今の日本を作った”愛国者”である児玉誉士夫、岸、中曽根=巨悪に迫れなかったその顛末に迫る。

日商岩井や丸紅など、商社もその責任は重い。最近は兵器を扱ったフェアをやったりでまた話題になっているのを見かけるが、歴史に学ぶ必要をまた強く感じた。

0
2020年12月13日

Posted by ブクログ

キッシンジャーによる選別で、児玉ルートの先は隠蔽され、田中は切り捨てられた。
面白いストーリーではあるが、田中をそこまで追い落とす理由が、やや説得力に欠けるように感じた。

1
2021年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サブタイトルが本題。
チャーチル、キッシンジャー。世界の歴史に影響を与えた人物がユダヤに傾倒しているのは偶然か。これは陰謀論の第一歩。クワバラクワバラ。

時事などに興味のなかった幼い日々、言葉を覚えてしまうほど連日、ニュースで「ロッキードじけん」や「じゅたくしゅうわいざい」は報道されていた。大雑把に知ってはいても、具体的に知らなかったので読んでみることにした。

第一部はフラットに読めた。
第二部からが本番で、本丸は第三部の終盤。だんだんと素直に飲み込み難い印象を覚えるようになる。読み手は事件に詳しくないので書いてあることを否定する根拠を全く持ち合わせていないのだが、飛躍、もっといってしまえば恣意があると感じられてしまった。本書は既存の陰謀論を丁寧に否定していくが、同類の匂いがしなくもない。

そう覚えてしまえばこれが決定版と思うことはできなくなる。とはいえ、昭和は身近なようでいて、隠れた暗部があることを思い出させてくれたのは良い成果だった。

0
2025年11月11日

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