根本聡一郎のレビュー一覧
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学生の就活を舞台にした作品といえば最近では「六人の嘘つきな大学生」という傑作があるが、それと設定は大きく異なるものの「現代的」な感じがするユニークな作品。
大手広告会社によるゲームの設定とその実際の推移が緊張感あって非常に面白い。広告代理店やマスコミは他人の人生を金銭に変えているといった主旨の記述があるが、まさにこのゲームを放送したらバズるだろうなという感じがした。いくらでもマネタイズの方法はありそうだ。読み物としてはこのゲーム自体がかなり面白かったので、その後の陰謀論にも似た背景の推理はちょっと風呂敷を拡げ過ぎな気もして興ざめた点は残念だ。
本作を読んで思うのは、先日の兵庫県知事の件のように -
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ネタバレ綾子、健康ランドに行ったのかな?ディズニーランドと同じ「ランド」だからって・・・。その勘違いがとてもかわいかったし切なかった。
「富の再分配」だとか「復讐」とか、超金持ちの老人からほんの数人の若者にお金が渡ったとして意味があるのか?やってる人たちの正当化の理屈にしかならない。犯罪やってるのに正義のつもりなのは気持ちが悪い。「社会」っていっても結局のところ「人間」が作っているものだから完璧ではないし、切羽詰まった人たちが考えたものではないから的外れだったりするし。わかるけどね、気持ちは。理不尽な目に遭い続けたらちょっとくらい返してもいいでしょって思うよね。でもさ、今の若者が割喰ってるとは思えな -
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詐欺の実態に迫る良作。
詐欺の片棒を担ぐ主人公の視点と、詐欺師を追う刑事側の視点で主軸を成す展開。
部屋に閉じ込めてやらせる、というのが実際にそうなのかはわかりませんが、物語としては面白かったです。
お金を欲しいというのにも、ただ遊ぶためではなくほとんどの人は切実な理由から欲している。詐欺というのは、その切実な内面を利用し、お金を騙し取る犯罪なんですね。騙される側も、末端として犯罪を犯す側にも心があり、理由がある。
この本を読んで、頭がいい人が詐欺のシステムを考え実行してしまうのは、真っ当に働くよりもよほど簡単にお金が手に入るからなのだと改めて思いました。その頭脳を助ける側に使おうとならないの -
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ネタバレ「短所を見つけて言葉にするのは、長所を言語化するより、ずっと簡単なんだと思う。自分の良いところを見つけるのを諦めてしまった人たちが、相手の短所だけを見つけて『宣伝』する。あのゲームで起きたのも、きっとそういうこと」
この言葉が印象に残った。
今回のプロパガンダゲームに限らず、短所を見つけることって長所を見つけることよりも凄く簡単だし、自分や誰かを褒めるよりも批判する方が簡単。噂話や他人に関する会話も、広い意味で言えば、自分や誰かの『宣伝』をしてるのかもしれない。自分がしている宣伝は、長所を言語化するようなものではなくて、きっと短所を見つけてしまっている。
上手く言えないけれど、短所を見つける -
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大手広告代理店にて、政府とレジスタンスに別れて戦争の是非を問う就活の最終選考が行われる。
ストーリーの大部分は8人の最終選考の様子が描かれる。
プロパガンダとは、政治的宣伝のこと。
戦争は一部の人間の狂気と、多くの人間の熱狂で行われるものだとと感じました。
それを煽るのはマスコミであり、そこには正しい戦争も正しくない戦争もなく、人々を如何に自分たちの疑惑に導くか。
単なる就活の最終選考のお話かと思いましたが、最後は巨悪に立ち向かう正義のお話となりました。起こり得ないと思っていたウクライナとロシアの戦争もあり、日本も周辺国との戦争に巻き込まれない保証がないと思えば、そのようなプロパガンダが起