あらすじ
「スウィンダラーハウスへようこそ。皆様にはこれから、ここで詐欺師として働いていただきます」。フードデリバリーサービスの配達員として働くアオイは、依頼者の自宅内でふいに意識を失う。目覚めるとそこは、どことも知れぬ謎の密室。集められた若者6人は、道化の仮面をつけた女性から「詐欺で1億稼ぐまでこの部屋からは出られない」と告げられる。果たしてアオイたちはこのハウスから、警察の捜査の手から逃れられるのか? 「義賊を名乗る特殊詐欺グループ」vs「あらゆる手段で逮捕を目指す警察」の息詰まる頭脳戦を描いた、令和の傑作コンゲーム小説!
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Posted by ブクログ
警察側の捜査が上手くいってほしいと思う反面、詐欺チームの作戦もケイパーものとして(不謹慎ながら)面白く、あっという間に読んでしまった。
若者の貧困問題・コロナ禍での社会不安がリアルに描かれており、掛け子や受け子に手を染める登場人物には同情や共感すら覚えてしまう。
ACジャパンのCMの、「こんなに頑張ってるのに私は一生追いつけないんですか」って言葉を思い出した。
ただ、「年寄り」という世代で括って主語を大きくし、仮想敵を作る思想は恐ろしいよな、と思う。(社会不安が蔓延している時は必ず起こることだけども。)
最後に伏線が回収されて全て繋がり、逆にリアリティない感じもするけど、構成が巧みだと思った。
Posted by ブクログ
現代に起きている話だと思いました。
詐欺の手口が巧妙化されている中前半の方は私でも身近なこととして感じておりありそうな話だなと思いましたが、後半の内容は内容を理解するのに手こずり、頭が切れる人の考えてる事は壮大で私自身騙されそうになりました。
前半の伏線が後半で徐々に回収されていくのも中々爽快感があり後味スッキリして読めました。
Posted by ブクログ
特殊詐欺に関わる掛け子、受け子、出し子
被害者、そして警察と
それぞれの場面が次々と小気味よく転換し
話の流れにどんどん乗せられていくようだった。
ひとつのシーンやひとつのセリフが
のちの出来事や人物と密接につながっていたり
結末の意外性なども
全てが計算されつくされていた。
他人を救う嘘が
唯一許される嘘であるならば
許される詐欺というのもあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
特殊詐欺と警察の戦いというコンセプトが好き。特殊詐欺の「金主」は高齢社会やコロナ禍で苦しむ若者への富の再分配という理想を掲げていて、犯罪ではあるが社会のシステムの正しさを再考させてくれるところが現代的で面白い。ストーリーの進行も早く、警察と詐欺グループの視点が交互に来て時系列も常に一致しているのでドラマのようなリアル感もワクワクできて良かった。
Posted by ブクログ
読んでるうちに特殊詐欺がひとつのビジネスと感じさせる説得力があった。
登場人物のバックグラウンドもしっかり練られており読みやすかった。
映画化しそうと思った。
Posted by ブクログ
綾子、健康ランドに行ったのかな?ディズニーランドと同じ「ランド」だからって・・・。その勘違いがとてもかわいかったし切なかった。
「富の再分配」だとか「復讐」とか、超金持ちの老人からほんの数人の若者にお金が渡ったとして意味があるのか?やってる人たちの正当化の理屈にしかならない。犯罪やってるのに正義のつもりなのは気持ちが悪い。「社会」っていっても結局のところ「人間」が作っているものだから完璧ではないし、切羽詰まった人たちが考えたものではないから的外れだったりするし。わかるけどね、気持ちは。理不尽な目に遭い続けたらちょっとくらい返してもいいでしょって思うよね。でもさ、今の若者が割喰ってるとは思えない。貧富の差は昔からあったけれど今は入手可能な情報が多いから誰の目にも明らかになっただけ。
前半の伏線を後半綺麗に回収していったのは気分良かった。
Posted by ブクログ
少し現実味にかける部分がいくつかあったので話が上手く行き過ぎていると感じる事はあったが、フィクションと割り切って読めば楽しめる作品だと思う。一度ストーリーを読み終えた上でもう一度読み返しても違う楽しみ方ができる
Posted by ブクログ
詐欺の実態に迫る良作。
詐欺の片棒を担ぐ主人公の視点と、詐欺師を追う刑事側の視点で主軸を成す展開。
部屋に閉じ込めてやらせる、というのが実際にそうなのかはわかりませんが、物語としては面白かったです。
お金を欲しいというのにも、ただ遊ぶためではなくほとんどの人は切実な理由から欲している。詐欺というのは、その切実な内面を利用し、お金を騙し取る犯罪なんですね。騙される側も、末端として犯罪を犯す側にも心があり、理由がある。
この本を読んで、頭がいい人が詐欺のシステムを考え実行してしまうのは、真っ当に働くよりもよほど簡単にお金が手に入るからなのだと改めて思いました。その頭脳を助ける側に使おうとならないのは、助けても助けても、社会全体の仕組みが変わらない限り終わりがないからなのかも。犯罪者を擁護するつもりもありませんが、年金が払われるかすらわからない身分としては、手元にあるお金が全てで、お金によってある程度の日数の保証が得られてる、と言えるかもしれません。