兼原信克のレビュー一覧

  • 国家の総力(新潮新書)

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    「日本人ファースト」に混ざり込む排外主義の匂いが一部に警戒感を、一部に高揚感を与えるようだ。誰かが、愛国者というポジションは会費も資格も要らない、最も安上がりな求心力だと言っていた。そもそも、日本人ファーストであるべきは当然で、「日本人セカンド」を主張する派閥は論外だとしても、私が気になるのは〝敢えて言うべき状況こそが問題である“という事。日本人ファースト以外は、国家的法益に対する罪ではないか。その上で排斥差別が起こらないようにすべきだ。尚、それをコマーシャリズムに用いるやり方も気に入らない。結局、私は何もかも気に入らないが、ポピュリズムこそが大衆動員の最短距離だ。

    さて、国家の総力について

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    2025年07月19日
  • 歴史の教訓―「失敗の本質」と国家戦略―(新潮新書)

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    まず、「失敗の本質」という言い方そのものが、何を、誰が、どのような価値基準で「失敗」と見なすのかという問題を内包している。たとえば、戦前日本の軍部にとっての「失敗」は、「勝てなかったこと」であり、国際社会における地位低下かもしれないが、アジアの植民地で抑圧されていた人々からすれば、それは「成功(解放)」の契機ともなり得た。

    失敗という言葉は、視点を定めた強者の言葉だ。これを帝国主義全体の失敗と捉えると、帝国主義全体が突き進んだ「行き過ぎた自国主義」の衝突、ナショナリズムの暴走によって、最終的には各国が様々な損失を蒙ったという状態が見えてくる。一方で、結果的に植民地解放・民主化・技術進歩を生み

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    2025年04月20日
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)

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    台湾有事を起こす利点はなんだろう、というのが釈然としない。経済的には合理性がなさそうなので、完全に政治的な動機になるだろうか。半導体などの資源や技術封鎖は技術者の引き抜き等で対処、市場の大きさからも相互に不利な点が多く、大衆も日本同様にインターネットやスマホなどのエンタメで骨抜き。民主化運動は軍部の威圧でコントロールするし、そもそも一党独裁は簡単には崩せない。つまり党内の派閥争い、あるいは、アメリカやその背後の思惑が暴走するという感じになるのだろうか。

    これは読む前の考えで、動機については読後に何か変わったというと、正直あまり変わらない。動機よりも、もし有事が起きたらどうなるかが本書の視点だ

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    2025年01月19日
  • 君たち、中国に勝てるのか 自衛隊最高幹部が語る日米同盟VS.中国

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     安倍さんがいかに国防のことを考えて、世界と渡り合っていたか分かった。
     戦後80年すっかり腑抜けになった日本人の中で、国を守るために戦う準備をするという当たり前のことを安倍さんはやろうとした。
     日本人が日本を守ろうとするその気概が、中国に戦争を起こさせない抑止力になる。

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    2024年11月11日
  • 国家の総力(新潮新書)

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    中国による台湾有事を念頭に、安全保障の観点から食料、エネルギー、資源、経済の在り方を霞が関の元幹部たちが議論する。
    省庁は安全保障の観点に立って、政策を考える必要がある。台湾有事の最前線に立つのは、自衛隊かもしれませんが、食料、エネルギー確保はもちろん、食料自給率のアップも考えないといけない。
    経済面からも、安全保障に絡む分野には国が積極的に補助金を付与する必要がある。
    各省庁への自衛官や防衛省幹部たちの派遣や人事交流も大切だし、各組織が連動して有機的に動けるようにする。
    日本の力だけで、中国に対抗できなくなった現在、事態が発生した時に、生活がどれだけ制限されるのかを真剣に考えないとですな。

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    2024年09月27日
  • 経済安全保障の深層 課題克服の12の論点

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    難しい内容と思われがちですが、わかりやすく書かれてると思います。
    全てがいいとは思いませんが、実務や官僚経験者が書いてる指摘には的を得てるものが多い印象です。

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    2024年08月18日
  • 国家の総力(新潮新書)

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    兼原さんが主催して対談するシリーズは結構あると思うんだけど、直接的な防衛だけでなく総合力での安全保障という観点で、エネルギー安保と食糧安保、シーレーン防衛、特定公共施設と通信、貿易と金融について、経産省、財務省、農林水産省、総務省、防衛省国土交通省出身の官僚OBと話す。
    有事への備えというか心構えのようなものは経済官庁の官僚も持つようになっているけど、訓練とかでの実体的な協力が少ないという現状がよくわかった。

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    2024年08月01日
  • 国家の総力(新潮新書)

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    エネルギー安保、食料安保、公共施設、海底ケーブル、経済安保、金融など安全保障の裾野が広がっており、課題が山積していることについて官庁OBが座談会形式で議論する。

    論点がわかりやすく提示されており、新たな課題もあれば昔からの課題もある。現代日本が抱える脆弱性がよくわかる一方、現役時代にもっと取り組んで下さいよ、との恨みも残る。

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    2024年07月03日
  • 日本人のための安全保障入門

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    一気に読んでしまった。
    何となく戦後に生まれ、今日まで生きてきて、記憶の中にリアルに残っている時々の事実が、この本の中に歴史として記されている。
    子どもだった頃、不思議だった事や理解できなかった事などの背景をこう解釈すれば筋が通ると、納得出来るところが多くあった。
    平和も戦争も一国だけで成り立つものではないから。

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    2024年04月08日
  • 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)

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    現状認識や周辺事態の予測などは様々な方面で語られているので、特に目新しいと言うことはないが、陸海空の元将官が集まって議論する、このシチュエーションが活きているのが5章だろう。
    この章は読み応えが有ったと言える。

    しかし、自衛隊にここまでの問題意識をお持ちであれば、現役時代にもう少しでも状況改善していただけていれば、といつもながら残念におもう。

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    2024年02月07日
  • 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)

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    台湾、朝鮮半島の有事は対岸の火事などではないし、米軍基地をいくつも抱えた日本は大きなダメージを受けるだろう。これまでは戦後の新憲法と冷戦という対岸の煙のおかげで殆ど何もしてこなくても問題にならなかった。しかしながら現時点では中国、北朝鮮の軍事行動がますます活発化し、日本に居る米軍がターゲットになることを考えると、ヤバいと思わなければいけない。ロシアのウクライナ侵攻でフィンランドやスウェーデンはNATO加盟に舵を切ったが、日本も周りが問題児ばかりなんだから、この議論を活発化させないといけない。兼原信克氏の別の本「歴史の教訓」も読んでみたい。

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    2024年02月06日
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)

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    結構ポンポン専門用語が出てくるので、そこは改めて調べる必要はあるのかなと。
    ただ、今の台湾を取り巻く環境や、有事の際にどういうことが起こりうるのかということがよく分かり、危機感を抱いた。
    「国防は国民の意識以上には高まらない。」
    平和ボケしている場合じゃない。

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    2024年01月12日
  • 官邸官僚が本音で語る権力の使い方(新潮新書)

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    官僚の最高峰の人間達による談話。官邸で総理の近くで働いていただけあり、国の危機管理に関する高い知見が得られる。
    トップクラスの官邸がいかに化け物じみた頭脳、教養の持ち主かが分かる。

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    2023年12月29日
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)

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    どこも現場レベルは優秀(必死)だけど、それを指揮する頭脳(ここで言うと政治かな)は力不足、、、そんな国よね、日本て。

    もはやこの国の政治には期待できないし、そう思われるようになってしまった現状、『取り返しのつかない』状況になりつつあるのでは、、、

    そんな中、日本の危機を正面から向かい、取り組みして頂いて本当に有り難いです。
    私のような一般人は知識をつけるしかありませんが、日本を守るために少しでも行動続けます

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    2023年06月24日
  • 君たち、中国に勝てるのか 自衛隊最高幹部が語る日米同盟VS.中国

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    リアルな話、現場レベルでは負けないと思うけど、うちの国って政治が圧倒的に負けてると思う。
    岸田総理なんて中国に媚びまくってるやん。岸田さんだけじゃないか、、、

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    2023年06月18日
  • 官邸官僚が本音で語る権力の使い方(新潮新書)

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    内閣の中枢に黒子として在籍した官僚および政治記者の座談。政権の描く方向性と現実の政策展開をどのように結びつけるのか、官僚機構の動作に対して、政治はどのようにコマンドするのか。1億人を超える国家の操舵操船は、一人や二人の頭脳と意志だけで成立するはずもなく、内閣官房・内閣府の複雑な機構と自律的な運動が必要であることがよくわかる。

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    2023年03月21日
  • 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)

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    兼原さんが一流の軍人と見る自衛隊OB陸海空からそれぞれ1名と諸々のテーマについて議論。
    コロナ禍で明らかになった後方支援体制の脆弱さ、防衛装備工業会は飽くまで任意団体で統制する力はないこと、米台共同作戦は日米ですら常々共同でやっても不具合出るのだから相当難しい、朝鮮有事では船がそんなにないので北からの難民はせいぜい数千人程度ではないかという推測、核抑止の複雑さが高まっているのに核戦略の専門家がいない自衛隊、防衛装備庁は想定したメリットより欠点が目立っている等々。
    政軍関係についての議論や自分達が幕僚長として創設に関わった防衛装備庁の問題など彼らだから話せる内容は面白かった。防衛大綱の改正や統合

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    2023年02月02日
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)

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    2部構成で書かれていて、前半が台湾有事のシミュレーション、後半がそれを終えての座談会となっている。

    シミュレーションは結構リアルで実際にありそうだなと思ってしまうところがかなりあった。

    大切なのは軍備のみでなく、サイバー空間や宇宙空間含めての総合力なのだということが勉強になったし、今の日本のままだと台湾有事の際にサクッと尖閣諸島を取られそうだなと強く感じてしまった。

    政府には万全の準備を強く望みたい。

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    2022年08月30日
  • 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)

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    令和にもなって昭和を引きづっている政治とマスコミ・大衆。

    少なくとも現場レベルでは議論の種は腐るほどあるなと感じたし、危機感も強いなと素直に思った。

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    2022年08月05日
  • 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)

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    著者のひとり兼原信克氏の話をラジオで聴き、興味を持ち本書を手に取った。日本の安全保障の状況がよくわかる内容だった。

    陸海空の元自衛隊の最高幹部と元内閣官房副長官補の4人での座談会という形で本書はまとめられている。令和3(2021)年4月に発行されているので、ロシアのウクライナ侵攻の1年前の話である。危機はすでにはじまっていたのだと思い知らされる。北朝鮮中国そしてロシアの核保有国に接する日本はもっとも危険な場所に位置する。

    安全保障にかかわるトップクラスの地位にいた人が必要と感じてきた法整備や予算確保さえ進まないことに不安が募った。
    最後の「日本の安全保障に対する10の提言」に希望を持ちたい

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    2022年06月02日