ダニエル・カーネマンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
あらゆる本で引用されてる古典なのでずっと気になっていて、いざ手に取って読んでみたが、いやはやなんとも素晴らしい。
SNS中毒、スマホゲーム中毒、フェイクニュース、陰謀論、ポピュリズム、トランプ現象など昨今の問題を理解する上で必読と言える。
ビジネス書では研究エビデンスを本文中に盛り込むことが多いが、取ってつけたような形が多く、読みにくいし印象に残りにくい。その点、本書は項それ自体のテーマを裏付ける研究であるし、著者本人が考えて生み出した研究であるから固有のエピソードもあって面白い。
やはり一次情報は強い。
身近な人を思い浮かべると、システム1優位な人もシステム2優位な人も思い浮かぶ。
しか -
ジャン゠フランソワ・マルミオン / セルジュ・シコッティ / イヴ゠アレクサンドル・タルマン / ブリジット・アクセルラッド / アーロン・ジェームズ / エヴァ・ドロツダ゠サンコウスカ / ダニエル・カーネマン / ニコラ・ゴーヴリ / パトリック・モロー / アントニオ・ダマシオ / ジャン・コトロー / ライアン・ホリデイ / フランソワ・ジョスト / ハワード・ガードナー / セバスチャン・ディエゲス / クローディ・ベール / ダン・アリエリー / ジャン゠フランソワ・ドルティエ / ローラン・ベーグ / アリソン・ゴプニック / デルフィーヌ・ウディエット / ジャン゠クロード・カリエール / ステイシー・キャラハン / トビ・ナタン / 田中裕子3.7 (26)
Posted by ブクログ
様々なバカがあちこちに蔓延する現代、そもそもバカとは何なのかを考察している一冊。
「頭が悪い人」がバカなのか、あいつをバカだと思っている私とあなたはバカではないのか…などのバカげた深遠なる探求へ本書が読者を導きます。
天才には限界があるがバカには限界がなく、しかも彼らは増殖しているように見えるほど目立つ性質を持った生き物です。
様々な専門分野からバカを考察した結果では定義も様々となるわけですが、子供=バカなのかという問いには一貫してNOとなります。
思慮不足、経験不足から引き起こされるバカげた結果は“粗相”であり、もたらされる結果がどんなものかわかっていながらバカげた行動を起こしてしまう大人こ -
Posted by ブクログ
【書名】
ファストアンドスロー上 ダニエル・カーネマン
【目的】
自身のバイアスに自覚的になり、自身の判断エラーを防ぎたい。
そのために、システム1、システム2という概念を知り、判断エラー事例に触れる。
結論、辛かったがその分何かが身についた気がする。
【要点】
アンカリング効果、プライミング、問題の過度な単純化、平均回帰、ハロー効果、後知恵効果、が事例を通じてどう判断エラーにいたるか提示されている。
多くの直観に反する実験結果が提示されている。
【印象に残ったポイント】
わたしの理解力だと、難解で読みにくい。
ただ、数々の書籍で参照されていた本書の概念が身体知的にインストールできた気が -
-
Posted by ブクログ
判断あるところにノイズ(バラつき)あり。
この本を読んで、本当に肝に銘じるべき言葉だと思った。
裁判や医師の判断、人事評価、間違いなく客観的と思えるような科学的捜査法など、
均一な判断が下されるべきものにも、実はその判断には想像以上にバラつき(ノイズ)がある。
裁判であれば、裁判官ごとや、同じ裁判官でも事例や時と場合によって、判断にバラつきがある。
それは言わば、くじ引きやガチャのようなものと言っていいくらいにバラつきがある。
ノイズ(バラつき)はエラーを引き起こす要因になるが、
バイアス(偏り)が注目されやすい一方で、ノイズ(バラつき)は見落とされやすい。
本書では、そのノイズの例を上 -
Posted by ブクログ
# 組織的エラーの仕組みと正しさへの道標
## 面白かったところ
- バイアスが強いエラーなのか、ノイズ起因のエラーなのか、この下巻を読むことでより明瞭になった点
- 企業理念やルールや規範が人間社会で長生きしている理由がわかる点
## 微妙だったところ
- 特になし
## 感想
組織により踏み込んだ、エラーとバイアスについての内容。
特に面白かったこととして、アメリカの指紋分析官の話があった。国家随一の専門職である指紋分析官という役職に加えて、指紋鑑定という信頼度の高い(より正解に近い)証拠という組み合わせだからこそ、容疑者の冤罪をなかなか立証できなかったという事実。
これ -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻感想
自分の判断、会社としての判断は正しいのか?大丈夫?と考え読み始めた。
例えば難民認定の許可は審査官によって大きく違い、ある人は5%ある人は88%の許可していた事や100人の精神科医の診断結果は54%しか一致しなかったなどなどの沢山の事例や調査結果に驚かされた。そう言った判断は明確な基準があり間違いがないと考えていたがほとんどの場合、大きな乖離があるという。ではそれが何なのか?その原因は大きくバイアスとノイズに分類され違いは簡単に言うと、銃で的を狙い一定方向に的を外す要因はバイアス、上下左右などランダムに外す要因がノイズということだった。ノイズにもいろいろなものがあり、発生の事例や要 -
-
ジャン゠フランソワ・マルミオン / セルジュ・シコッティ / イヴ゠アレクサンドル・タルマン / ブリジット・アクセルラッド / アーロン・ジェームズ / エヴァ・ドロツダ゠サンコウスカ / ダニエル・カーネマン / ニコラ・ゴーヴリ / パトリック・モロー / アントニオ・ダマシオ / ジャン・コトロー / ライアン・ホリデイ / フランソワ・ジョスト / ハワード・ガードナー / セバスチャン・ディエゲス / クローディ・ベール / ダン・アリエリー / ジャン゠フランソワ・ドルティエ / ローラン・ベーグ / アリソン・ゴプニック / デルフィーヌ・ウディエット / ジャン゠クロード・カリエール / ステイシー・キャラハン / トビ・ナタン / 田中裕子3.7 (26)
-
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
バイアスについての名著『ファスト・アンド・スロー』の内容の繰り返しにならないかを懸念してたのですが、杞憂どころか、ノイズという全く新しい視点で書かれた目から鱗の内容でした。統計学的な中央値のずれがバイアスなのに対し、標準偏差の大きさがノイズです。
経営判断や司法判断などの一度きりの判断は、繰り返しや結果の検証がされないために、信じられないほどのバラツキを持っていることが認識されていません。本書はその衝撃の事実をデータで示してくれむす。さらに、判断者ごと、判断ケースごと、または偶然性によるもの、などの要素にノイズを分解して、ノイズ全体がその要素の二乗和になっていることが説明されます。
バイア -
Posted by ブクログ
第16章 パターン
パターンノイズについて話そう
「あなたはずいぶん自信ありげだが、この問題はそうかんたんではない。情報はいろいろな可能 性を示している。別の解釈も可能だということを見落としていないだろうか?」
「君と私は同じ候補者と面接し、いつものように同じような質問をした。なのに、君と私は正反 対の判断に達している。このパターンノイズの原因は何だろう?」
「人間いろいろで性格もちがうからこそ、イノベーションが生まれる。さまざまな個性は興味深 いし、刺激的でもある。だが判断ということになると、話は別だ」
第17章 ノイズの原因
ノイズの原因について話そう
「判断の平均レベルのちがいにはすぐ -
Posted by ブクログ
第1章 犯罪と刑罰
量刑のノイズについて話そう
「調査によると、同じ犯罪に対して刑の厳しさに大幅なちがいがあるらしい。これは不公平だ。どの判事が担当するかで量刑がちがうのはどう考えてもおかしい」
「重さが裁判官の機嫌だとか、その日が暑いとか寒いといったことに左右されるべきではない」
「量刑ガイドラインはこの問題に対処する方法の一つだ。だがガイドラインを嫌う人も多い。適切な判断を下すにはある程度の量の余地が必要なのに、それを狭めてしまうからだという。たしかに、どのケースもそれぞれにちがうとは言えるかもしれない」
第2章 システムノイズ
保険会社のノイズについて話そう
「保険会社では、プロフェッ -
Posted by ブクログ
下巻は、統計的な手法から距離を置き、各人の資質、個人の判断を中心として、バイアス、ノイズの排除に関する考察です。
下巻の範囲は以下
第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中から)
第5部 判断を改善しエラーを防ぐ実際的な問題への取組み
第6部 ノイズの適正水準はどの程度なのか。経済的な要請からの考察
終章に展開される結論は以下です。
人間の判断を補うために、今日よりずっと幅広くアルゴリズムが導入されるようになる
複雑な判断はシンプルな媒介評価項目によって分解される
できるだけ多くの独立した判断を集めて統合される。
統計的な視点が組織的な判断プロセスに組み込まれるよ -
Posted by ブクログ
ノイズ(Noise)とは、原因不明な異音、転用して、判断に含まれている説明のつかない誤り
628頁、29章にも及ぶ大作、統計学、心理学、行動経済学にまたがる
理解困難な難書でした。見慣れない用語が、複数の章にまたがって、現れるので
その確認を含めて、一読に1週間以上も時間がかかってしまいました。
冒頭には、本書をまたがる、大きな地図があり、また、各部の冒頭、各章の終わりにはまとめがあって理解を助けてくれます。
刑罰への量刑とか、病気への診断とか、人事評価とか、似たような状況なのに、人間によって、その判断が大きくことなっていて、理解不能な不平等がこの世に広がっている。その差は人々が考えてい -
Posted by ブクログ
行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。
行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが