「ファスト&スロー 上 あなたの意思はどのように決まるか?」
この本では脳には2つのタイプの脳があり、それらを追求することで人間の持つ意思決定の仕組みを知ることが本書の目的である。
脳には「システム1」と「システム2」がある。
システム1…自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずか
...続きを読むである。また、自分の方からコントロールしている感覚は一切ない。(P32引用)
システム2…複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り充てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。(P32引用)
次からは脳の仕組みに関するいくつかの効果を述べる。
1.怠け者のコントローラー
システム1は、努力なく自動的に使用されている。システム2はなにかに意識的に集中しなければ使うことができない。また、システム2が忙しく活用されているときにその他のことを考えるにはシステム1が使用される。そのため、思い付いたことを考えなしに口にする、深く考えずに発言をする人などはシステム2が忙殺されておりシステム1が活用されていないか、システム2をそもそも使っていないのである。
2.連想マシン
この章ではプライミング効果について取り上げている。最初に取り上げるものが「プラス」のものであれば後に「マイナス」のものを聞いても「プラス」にとらえやすい傾向があるだろう。逆もまたしかりである。また、「高齢者」などの言葉を見ただけでも自分は足が遅くなったりする。誰でも人は、自分自身が意思決定を行っていると思っているがそうではない。無意識に意思決定をしていることも多々あるのである。なんらかの「先行刺激」に私たちは誘導される。
3.認知容易性
私たちは慣れ親しんだ言葉に対して信頼性をもちなじみやすくなる。慣れ親しんだものに対して記憶は取り出しやすくすぐに理解する。たとえば スイス ケーキ 小屋 きっチーズケーキを思い浮かべたに違いない。私たちが慣れ親しんだものをすぐに浮かべるのだ。逆に関連性のない馴染みない者同士の言葉ではすぐには浮かばずシステム2が働く。他にもたとえとしては「フォントが読みにくいという理由だけで、彼らの事業計画を却下するのは、ちょっとひどいのでは?」など〇〇だからこうということに対して疑問を持つことが大切である。
4.基準、驚き、因果関係
システム1はいつも情報を複数に処理しアップデートをしているようなものだ。どんな大きな事件が起こっても2度同じことが起これば驚かない。基準が緩くなっているからだ。また、システム1は瞬時に物事の因果関係をつなぐ。これは便利な時もあるが、なんにでも因果関係を結びつけようとするのはいささか危険である。何か不祥事があった際の理由など…。
5.結論に飛びつくマシン
システム1は起こった物事をなんでも信じようとする。それに対してシステム2は材料を提供する。そしてストーリーを作りすぐに結論を出す。これはシステム2が忙殺されているとき、システム1がなんでも信じてしまうことを意味している。
また、私たちは見たものがすべてであり、それらしい情報が出されてしまっては信用してしまう。本当に必要な裏付けがそろっているのかなどプレゼンテーションの際には注意をしてほしい。「ハロー効果」…最初に良い印象を受けるとその良いことに影響されてなんでも良いように見えてしまうこと。
6.判断はこう下される
今までの経験をもとに判断は下される。(この顔の形の人は優しいなど…)
また、あまりに難しい問題の時に人は問われていることに対してもっともらしい他の質問に対する答えを用意する。自分の応えることについては疑ってかからなければいけない。
「メンタル・ショットガン」…脳は常に目に映るすべてのものに対して情報処理を行っている。システム2が意識的に銃口を傾けなればである。それはあたかも散弾のようであり、そのために正常な意思決定ができなかったり、意思決定が遅くなることもある。
7.より簡単な質問に答える
難しい問題に直面した時、脳はその問題よりも簡単な質問に問題を置き換え答える。また、「感情ヒューリスティック」というものがあり一度気に入ってしまったものに対しては、デメリットよりもメリットばかり見てしまうこともある。私たちは、常に自分自身がそのような坂国陥亭愛花考えなくてはいけない。
8.少数の法則
脳は目の前に起こった少ない標本数で物事を判断し全体の標本数を見ない。(この経営者は3回連続事業を成功させている。次も成功するなど)あまり標本巣を気にせずに内容の因果関係の身を強く見る傾向もある。
9.アンカー
アンカーとは人々が参考にする基準である。たとえばフリーマーケットでものを買う際の値段など。妻女から高い(けれど高すぎて買うのをやめるほどでもない)値段にするとものを高く売れるということ。ぎゃくもしかり。人は最初に知った数字にとても影響を受ける。
10.利用可能性ヒューリスティック
私たちは思い出しやすさによって、その物事に対する規模をきめる。これが利用可能性ヒューリスティックである。たとえば、最近ニュースで立て続けに飛行機事故のニュースを見た時には、人は飛行機に乗ることに危機感を持つ。いつも乗る時と危険度の確率は変わらないにも関わらずだ。
11.利用可能性、感情、リスク
上記と同じで利用可能性によって感情の持ち方やリスクの感じ方が違うということ。
12.トム・Wの専攻
これは代表制についての論議である。私たちは受付嬢が有能そうで、家具が素晴らしく、芝生が刈られているからといっていい会社だとは限らない。それはあなた自身が持つ「代表性」に基づいて決められている。いい会社はこうであるという代表制を私たちは持っているがそれに惑わされてはいけない。
13.リンダ
「過ぎたるは及ばざるがごとし」ものをつけすぎるとかって安く見えたり、物事を正しく判断できなくなる。沢山の文章をつけてもっともらしさを増やし、正しく判断できなくなることがある。本質を見なくてはならない。
14.原因と統計
人は全体から子を推論することには不熱心だが、まさにそれと釣り合うように個から全体を推論することには熱心である。人は統計結果ら自分に当てはめることはできない。個別の事例を知った時に初めて自分に当てはめ全体を見ることができるのだ。
15.平均への回帰
両親から生まれる子供は両親と同じ身長にはならない。身長が高い親から生まれたなら平均並みの身長に少し近づいた身長になる。どんなに良い結果でも必ず、平均をとるために悪い結果も起こりやすいということ。
16.直観的予測の修正
直感芋とすく判断に対しての修正はそれとはまったく逆のことを自分に質問することである。標準情報(平均など)を参考に相関関係数なども考慮に入れ物事を統計的に考える。
17.わかったつもり
私たち人間はどの物事に対しても意味づけをしたがる。過去のことに対してもだ。そのために結果を知ってそれは○〇でこうなることはわかっていた。と思ってはいけない。成功したのがたまたまであっても〇〇が関係していると勝手に意味づけをする。結果として誤った成功体験を記憶してしまうこともある。だから成功したからその要因を探るのではなく本当にそれはよかったのかということから考えなくてはならない。過去成功したからとこれからも同じく成功するわけではない。
18.妥当性の錯覚
自分の中でストーリを作ってしまってあまりにも流れが良いから自信を持つ働き。
19.直感 対 アルゴリズム
技能を積んだ人たちの長年の勘よりも統計的(簡単な計算式でも)に答えを出した方が正しいこと絵ある確率が高い。これは30年にわたって研究された結果である。しかし、手術の成否など、こうすれば高い確率で救えるからなど、統計的に処理されたがために納得がいかないなどの問題も起こりやすい。