ダニエル・カーネマンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻は、統計的な手法から距離を置き、各人の資質、個人の判断を中心として、バイアス、ノイズの排除に関する考察です。
下巻の範囲は以下
第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中から)
第5部 判断を改善しエラーを防ぐ実際的な問題への取組み
第6部 ノイズの適正水準はどの程度なのか。経済的な要請からの考察
終章に展開される結論は以下です。
人間の判断を補うために、今日よりずっと幅広くアルゴリズムが導入されるようになる
複雑な判断はシンプルな媒介評価項目によって分解される
できるだけ多くの独立した判断を集めて統合される。
統計的な視点が組織的な判断プロセスに組み込まれるようになる。意見の不一致が表面化するようになり、それを建設的に解決できるようになる
その結果、ノイズの少ない世界が実現され、無駄な支出や、損失が大幅に減り、公共の安全と健康が改善される。
下巻にて気になったことばは次です。
・良い判断は、良い人材から。専門家の中には、同業者から尊敬されるリスクペクト専門家がいる。
・IQ(知能指数)よりも、GMA(一般知的能力)とよい判断との相関性がある。つまり、知的であれば、判断もよりよくなる。
・認知スタイル:判断すべき問題に直面したときのアプローチ 問題を深く考えるタイプか、それとも、直感的に判断をするタイプか。
あきらかに、直感的に判断をするタイプの方が、判断エラーを犯しやすい
・判断からバイアスを排除する方法は2つある。
事前方式 体重計がくるっている場合、事前に調整をして、計測の結果を正確にする ⇒ナッジという
事後方式 体重計がくるっている場合、計測して、誤差を計測結果から修正する
・バイアスは存在するが、すべてを排除することはできない
・リアルタイムでバイアスを排除するアプローチ:オブザーバー
・判断ハイジーン:ノイズは予測不能なエラーであるが、ノイズを減らすアプローチ
バイアスの排除⇒病気の治療
ノイズの排除 ⇒予防的な衛生管理:これを判断ハイジーン という
・予測精度の向上:各判断者には、状況や他判断者の判断結果を知らせずに情報を与える。それぞれの判断を最後に総合的に判断する
・判断にガイドラインを利用する
・グーグル面接の3つの原則
①媒体評価項目 構成要素に分解し、ガイドラインとして作成する
②独立:評価項目ごとに質問し、情報を収集し、個別に評価する。項目ごとに独立して行う
③総合判断:最後の最後まで判断を遅らせる
・ノイズの排除 ノイズをゼロにすることはできない
・アルゴリズムはノイズを排除するがバイアスを排除できない
・データにバイアスがかかっているケースがある
・ノイズを削除するためにルール化をするのかそれとも規範とすべきか。ルール化するためには、多様な人々の賛同を得にくい。
目次は以下です。(上下巻 通し)
上巻
序章 二種類のエラー
第1部 ノイズをさがせ
第1章 犯罪と刑罰
第2章 システムノイズ
第2部 ノイズを測るものさしは?
第4章 判断を要する問題
第5章 エラーの計測
第6章 ノイズの分析
第7章 機会ノイズ
第8章 集団によるノイズの増幅
第3部 予測的判断のノイズ
第9章 人間の判断とモデル
第10章 ルールとノイズ
第11章 客観的無知
第12章 正常の谷
第4部 ノイズはなぜ起きるのか
第13章 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ
第14章 レベル合わせ
第15章 尺度
下巻
第16章 パターン
第17章 ノイズの原因
第5部 よりよい判断のために
第18章 よい判断はよい人材から
第19章 バイアスの排除と判断ハイジーン
第20章 科学捜査における情報管理
第21章 予測の選別と統合
第22章 診断ガイドライン
第23章 人事評価の尺度
第24章 採用面接の構造化
第25章 媒体評価プロトコル
第6部 ノイズの最適水準
第26章 ノイズ削減のコスト
第27章 尊厳
第28章 ルール、それとも規範?
まとめと結論 ノイズを真剣に受け止める
終章 ノイズの少ない世界へ -
Posted by ブクログ
ノイズ(Noise)とは、原因不明な異音、転用して、判断に含まれている説明のつかない誤り
628頁、29章にも及ぶ大作、統計学、心理学、行動経済学にまたがる
理解困難な難書でした。見慣れない用語が、複数の章にまたがって、現れるので
その確認を含めて、一読に1週間以上も時間がかかってしまいました。
冒頭には、本書をまたがる、大きな地図があり、また、各部の冒頭、各章の終わりにはまとめがあって理解を助けてくれます。
刑罰への量刑とか、病気への診断とか、人事評価とか、似たような状況なのに、人間によって、その判断が大きくことなっていて、理解不能な不平等がこの世に広がっている。その差は人々が考えている以上に大きく深い。
その原因は、何か。また、その不平等を改善するために、判断の質を上げるためにはどうすればいいのか が本書の目的です。
その判断を誤らせるものは、バイアスとノイズの2つがあると説きます。
バイアス 偏見 偏りがある
ノイズ 説明のつかないランダムなばらつき
上巻の範囲は以下
第1部 ノイズとバイアスとの違い、
第2部 人間の判断というのはどういうものかの分析
第3部 予測的判断の分析
第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中まで)
上巻にて気になったことばは次です。
・世界は複雑で不確実であり、判断は難しい
・不一致の度合いは一般に予想されるよりははるかに大きい
・「もしこうだったら」「もしこうでなかったら」と事実と異なる仮定を立ててみれば、きっとそこにはノイズが見つかるはずだ。
・判断とは、「人間の知性がものさしとなるような計測」と定義することができる。
・判断には、「予測的判断」と「評価的判断」がある。
・バイアス、各ノイズの各量は、標準偏差で分布すると仮定し、平均二乗誤差(MSE)で計量化しています。
・ノイズは、システムノイズ(レベルノイズ、パターンノイズ)、機会ノイズ、
システムノイズ 誤った判断からバイアスを差し引いて残るもの
レベルノイズ 各人の平均的な判断のばらつき、レベルエラーのばらつき
パターンノイズ システムノイズからレベルノイズを差し引いて残るノイズ
機会ノイズ 1回目の判断と2回目以降の判断が異なるというノイズ
・カスケード効果 順番に前の人の選択情報を参照しながら判断する場合に、自分自身のもつ情報に基づかず、多数派の選択肢を選ぶ傾向。
・置き換え 2つの事実の順番を変えることによって、判断がことなってしまうこと
目次は以下です。(上下巻 通し)
上巻
序章 二種類のエラー
第1部 ノイズをさがせ
第1章 犯罪と刑罰
第2章 システムノイズ
第3章 一回限りの判断
第2部 ノイズを測るものさしは?
第4章 判断を要する問題
第5章 エラーの計測
第6章 ノイズの分析
第7章 機会ノイズ
第8章 集団によるノイズの増幅
第3部 予測的判断のノイズ
第9章 人間の判断とモデル
第10章 ルールとノイズ
第11章 客観的無知
第12章 正常の谷
第4部 ノイズはなぜ起きるのか
第13章 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ
第14章 レベル合わせ
第15章 尺度
下巻
第16章 パターン
第17章 ノイズの原因
第5部 よりよい判断のために
第18章 よい判断はよい人材から
第19章 バイアスの排除と判断ハイジーン
第20章 科学捜査における情報管理
第21章 予測の選別と統合
第22章 診断ガイドライン
第23章 人事評価の尺度
第24章 採用面接の構造化
第25章 媒体評価プロトコル
第6部 ノイズの最適水準
第26章 ノイズ削減のコスト
第27章 尊厳
第28章 ルール、それとも規範?
まとめと結論 ノイズを真剣に受け止める
終章 ノイズの少ない世界へ -
Posted by ブクログ
行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。
行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが”バイアス”と呼ばれる人間のものの見方の偏りである。
しかし、不合理な行動やエラーを起こす要因としてもう一つ大きなものがある。それが本書のテーマ、”ノイズ”である。本書は行動経済学の中で”バイアス”ばかりが語られている点を是正すべく、いかに”ノイズ”が我々のエラーを巻き起こしているのか、そしてその対処法までを明らかにする。
ここでいう”ノイズ”とはいわゆる分散の概念である。
例えばダーツに的を投げたときに、
・投げたダーツが一定のエリアに集中している⇒”バイアス”
・投げたダーツがバラバラに散っている⇒”ノイズ”
ということになる。
合理的な意思決定をしているようで実は”ノイズ”によって人間の意思決定がてんでばらばらであるということを明らかにする事例として、同一人物による病気の診断や保険金の支払査定などのバラつきのデータを見ると、これが恐ろしいほどの分散を見せる。その分散はあまりにもひどいため、過去に自身が判断したデータを用いて簡単な機械学習モデルを作ると、遥かに機械学習モデルの方が高い精度を出せるという。
”ノイズ”の要因は色々あるが、大きいのはそのときの人間のストレス、気分などである。疲れを知らず感情に惑わされることがない機械学習モデルが高い精度を出すのも、むべなるかな、というところであろう。
さて、そうした”ノイズ”の実態、それがどれだけのエラーを巻き起こし、結果として社会にどれだけの余剰コストを生み出しているかを考えると、この対処策が重要になってくる。本書では簡単なテスト形式で、具体的に組織の”ノイズ”を減らすための処方箋も示されている。
”バイアス”が行動経済学のキーワードとなったように、ワーディング自体は全く珍しくもなんともないものの正しくその弊害が認識されていない”ノイズ”をいかに扱うか、これは行動経済学の実践としてより良い社会・組織を作っていく上で、必須のものになっていくのではないか、という強い期待すら感じた。 -
Posted by ブクログ
行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。
行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが”バイアス”と呼ばれる人間のものの見方の偏りである。
しかし、不合理な行動やエラーを起こす要因としてもう一つ大きなものがある。それが本書のテーマ、”ノイズ”である。本書は行動経済学の中で”バイアス”ばかりが語られている点を是正すべく、いかに”ノイズ”が我々のエラーを巻き起こしているのか、そしてその対処法までを明らかにする。
ここでいう”ノイズ”とはいわゆる分散の概念である。
例えばダーツに的を投げたときに、
・投げたダーツが一定のエリアに集中している⇒”バイアス”
・投げたダーツがバラバラに散っている⇒”ノイズ”
ということになる。
合理的な意思決定をしているようで実は”ノイズ”によって人間の意思決定がてんでばらばらであるということを明らかにする事例として、同一人物による病気の診断や保険金の支払査定などのバラつきのデータを見ると、これが恐ろしいほどの分散を見せる。その分散はあまりにもひどいため、過去に自身が判断したデータを用いて簡単な機械学習モデルを作ると、遥かに機械学習モデルの方が高い精度を出せるという。
”ノイズ”の要因は色々あるが、大きいのはそのときの人間のストレス、気分などである。疲れを知らず感情に惑わされることがない機械学習モデルが高い精度を出すのも、むべなるかな、というところであろう。
さて、そうした”ノイズ”の実態、それがどれだけのエラーを巻き起こし、結果として社会にどれだけの余剰コストを生み出しているかを考えると、この対処策が重要になってくる。本書では簡単なテスト形式で、具体的に組織の”ノイズ”を減らすための処方箋も示されている。
”バイアス”が行動経済学のキーワードとなったように、ワーディング自体は全く珍しくもなんともないものの正しくその弊害が認識されていない”ノイズ”をいかに扱うか、これは行動経済学の実践としてより良い社会・組織を作っていく上で、必須のものになっていくのではないか、という強い期待すら感じた。 -
Posted by ブクログ
上巻の方では、ノイズとは何かについて紙幅が割かれていた。
今回の下巻の方では、ノイズを防ぐ方法について言及されている。
本書(上下両巻)を読んでいくと「ノイズは厄介だ!良い判断をするためにも、全ての意思決定プロセスを厳しく取り決めよう!」という発想に陥りやすい。たしかに、筆者たちは「判断ある所にノイズあり」と繰り返し訴えている。ノイズが意思決定において好ましくない存在であることはその通りなのだ。その領域が、医療業界など、専門性の高い分野なら尚更のことである。
しかし、全ての判断をアルゴリズムやAIに委ねることも危険だと筆者らは言う。結局のところ、最終的な判断は人によって下されることが望ましい。筆者らが訴えるのは、最終判断を下すまでの過程に問題があるということなのだ。
ノイズを減らす方法として、筆者たちは「判断ハイジーン」という手法を提供している。ハイジーンというのは日本語で「衛生管理」を意味する。本書を読めばわかるが、往々にしてノイズの存在は気付きにくいもので、それゆえに対策をしたところで明白な効果が出ているかどうかが分かりにくい。が、確実にノイズによる影響は存在するし、それが悪いものなら対策をするに越したことはない。これは、私たちが日常的に行う「手洗い」と似たようなものだ。手にどんな菌が付着しているかわからないけれども、手を洗えばそれらの菌は消滅する。
このように、ノイズ対策と手洗いは、悪影響をもたらす正体が不明瞭だがそれが悪い影響をもたらすのは確実なので事前に対策をしたほうが良い、という点で非常に似ている。それゆえに「ハイジーン(衛生管理)」という名前がつけられた。
下巻では「判断ハイジーン」における6つの原則が紹介されている。良い判断を下すためにはこれらを遵守することが求められる。
原則1
判断の目標は正確性であって、自己表現ではない
原則2
統計的視点を取り入れ、統計的に考えるようにする
原則3
判断を構造化し、独立したタスクに分解する
原則4
早い段階で直感を働かせない
原則5
複数の判断者による独立した判断を統合する
原則6
相対的な判断を行い、相対的な尺度を使う
以上の原則を守れば、良い判断が下せる可能性が高い。本書における最重要部分はこの原則だと言えよう。この部分さえ意識し判断を行えば御の字である。
人は往々にして自分の力のみで判断を下したい生き物だ。しかしそれは自分が懊悩して出した結論に対する自分へのご褒美のようなものだと筆者たちは指摘する。その判断がたとえ気持ちの良いものであったとしても、そのことが優れた判断だと言える根拠にはならない。
しかし、悲しいかな、彼らはその快楽に浸りたいために、意思決定プロセスにおけるノイズの削減を拒む。それが最悪の状況を招く可能性があったとしても。挙句の果てには、ノイズの削減はコストが嵩むなどと主張して己の怠慢を正当化する。
実際、ノイズの削減には多くの批判が投げられ回避されていきたと筆者は言う。たしかに、判断ハイジーンのみならず、アルゴリズムやAIですら間違うことがある。だからと言ってノイズ削減を怠るのは優れた決定者としてあるまじき行為だろう。良い意思決定者として行うべきは、ノイズを削減する効果的な方法を模索することなのだ。断じて、それを等閑にすることではない。
本書の最後では、筆者らがノイズのなくなった世界を夢想する。その世界では、「無駄な支出や損失が大幅に減り、公共の安全も健康も改善され、何より公平性が向上して回避可能な多くのエラーが防止される」そして、この世界に少しでも近づくために「ノイズ」という厄介者に目を向けてほしいと読者に訴えていた。 -
Posted by ブクログ
行動経済学に興味がある人ならきっと聞いたことのある本であるし、そうでなくとも、出てくる話や実験をどこかで耳にしたことがある人は少なくないはず。
でも、そんなことは抜きにぜひ読んでほしい一冊。掛け値なしに面白い。
直感や熟考といった私たちの様々な思考の形態が、実際のところどんな働きをしているのか。
数々のユーモアあふれる実験結果とともに、筆者が紐解いてくれる。
読み進めるうちに、自分の身近な例で思い当たることも色々と出てきて、より引き込まれるだろう。
余談だが、上下巻としてもかなりのページ数と文章量があり、正直なところ物理的にそれなりに重い。
比較的平易な翻訳がされているので、手段があるならオーディオブックを探して聞くのも有効な手かと。
※自分は上巻途中から耳に切り替え -
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システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。
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マイケルルイスの本の主人公であるダニエル・カーネマンによる人間の意思決定の研究を解説した本である。
マイケルルイスの本を読んだ後だけに、すんなりと読むことができた。実際、ルイス本は、本書の抜粋ではないかと思うくらいだ。
人間の意思決定は、直感的で感情的なファースト思考のシステム1と、意識的で論理的だが怠惰なロー思考のシステム2から成ると説いている。そこから本書の題名が来ている。
様々な例を挙げてそれを説明するが、自身でも心当たりのあるケースもあり、十分説得力がある。なにしろノーベル賞を受賞しているのだ。
もっと本書を読み込んで、自分の行動や思考を分析し、難しいかもしれないが自分を変えてみたい気がする。それには、もっと理解を深めないといけないが。
とても興味深い内容で、おすすめできる本である。 -
Posted by ブクログ
下巻では、上巻で述べられた認知バイアスのフレームを受けてさらに議論が進み、一般的傾向としての「自信過剰」の問題と、実はそれが資本主義の原動力になっていることや、計画の錯誤、保有効果、稀少確率の過大評価、メンタル・アカウンティング、感情フレーミング、「経験する自己」と「記憶する自己」の2つの自己、物語として記憶される人生、幸福の基準などなど、どれをとっても興味深い話題がてんこ盛り。おもしろくて最後まで一気に読み通しましたが、読み流して終えてしまうにはもったいない深い話ばかりでした。
この手の話題は、年齢を重ね、経験を経るに連れて一層理解が深まるように思いますし、いずれ時間を経てぜひまた読み返してみたい本だと思います。 -
Posted by ブクログ
著者ダニエル・カールマンは2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。
本書は氏の研究業績が上下2冊に収められており、下巻は「自信過剰」「選択」「二つの自己」の3テーマからなる。いずれも、経済学が想定する合理的な「エコン」と現実の「ヒューマン」がとる行動の違いを解き明かしている。
「エコン」は自信過剰にならないし、矛盾する選択もしないし、自己は一つである。すなわち、エコンは一貫性がある。
だがヒューマンは一貫性をもたない。どういった場合に一貫性が損なわれやすくなるのかを、本書は様々な実験結果を踏まえて解説する。
・自信過剰が起こるのは、不都合な要因の過小評価・手持ちの情報の過大評価をするから
・同じ質問も表現を変えるだけで矛盾する選択を誘導できる。多くの場合、選択した当人は矛盾に気付かない
・ある体験から生じる「幸福感」は、体験を通じてもっとも幸せだったときのピーク値と、体験を終えたときの程度で決まる。持続時間は関係ない。
また「幸せ」はさまざまな意味をもつので、人生の一つ一つのできごとにおける満足と、全体としての幸福感の評価は別物である。
本書を読みながら自分の行動を振り返ってみたとき、著者が「矛盾」と指摘する選択を自分自身がとっていることに気付かされる。
自分としてはその選択はごく自然な選択であり、合理的に判断したつもりであったにも関わらずだ。
本書は研究業績の総括である。ノウハウ本ではない。したがって、本書を読めば合理的な判断ができるようになるものではない。
とはいえ自分の思考を客観視する手がかりがたくさんある。また、思考のフレームワークを作る手がかりにもなる。