白鷺あおいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ実在した女性旅行家イザベラ・バード。
そして、同じく実在した彼女の通訳兼従者の伊藤鶴吉。
彼女たちが北海道を目指す日本旅行中に遭遇した妖怪絡みの不思議な事件のお話。
それをイザベラが頼まれていないけど暴いてしまうぞ。
彼女にはイギリスから既にブラウニーとピクシー(らしき妖精)がついてきているので、今更妖怪がいるかいないかの議論の余地はない。
鶴吉はなかなか信じはしなかったが。
ただ人間側の思惑も絡んでくるので、特に最初の話は人間の話なのか妖怪の話なのか、随分悩むことになった。
悩んだ分、最終的に大立ち回りが発生して、妖怪的な存在を信じざるを得なくなる訳だが。
鶴吉はそれでも否定していたのがまた面白い。
「そういう存在はいる」と分かってしまえば、今度は彼ら側にも様々な思惑がある訳で、最後の話は妖怪側の思惑の謎解きとなったように思う。
謎解き、ミステリとして読む分には面白かった。
彼らの思惑や企みなどが明らかになるのは、痛快でもある。
中には二段構えになっているものもあったし。
一方で、イザベラのキャラがどうにも好きになれず、最後までイライラはした。
いい年齢の筈なのに落ち着きがなく、あちこち首を突っ込んでは危ない目に遭っているという。
少しは落ち着いてくれと思った。
史実の彼女はここまでではなかったように思うのだが……
あと鶴吉が何かしらの末裔的に書かれているのはユニークだった。
結局、彼の任務もイザベラの旅も途中。
解説にもあったとおり、続きがあるのかもしれない。
余談。
この時のイザベラは独身だが、史実を調べると、この後に結婚した模様。
そのお相手は……作中に何故わざわざあのシーンを埋め込んだ理由がこれではっきりした。
史実を知っている人には嬉しいシーンだったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
学校 ★★☆ 大人読書 ★☆☆
ドイツ人だった祖母の十三回忌で、高校生のかりんと大学生の従兄の慧は伯父から遺品のドイツ語小説を渡される。
祖母が大切にしていたという本をかりんは読んでみたいと思い、ドイツ語が読める慧に翻訳を頼む。慧はその代わり祖母の思い出のケーキが食べたいといい、お菓子つくりの上手なかりんにそのケーキの再現を頼んだ。
ドイツ語小説の主人公はロッテ。
ドレスデンの郊外キルシュバウムの女学校に転校してきたロッテは、この地に伝わる謎に大きく関わることになる。
1つ目はキルシュバウムの森が赤ずきんの舞台であり、退治された狼の毛皮が月がきれいな夜に現れるという謎。
2つ目は女学校の昔の城主の肖像画を描いた画家ルンペルシュティルツヒェンは未来を知っていて、その未来を書いた月光文書が城のどこかに隠されているというもの。
女学校の大部屋で同室の少女たちを巻き込み、二つの謎は大きな事件へとつながっていく。
舞台の中心はドイツ語小説の世界だけれど、ドイツ人の祖母が切っ掛けとなっているので現代の話が途中で差し込まれる。世界観が違う二つの物語だ同時進行するので読みにくさを感じるかもしれないけれど、最後まで読むと納得できる。
青春・推理・ファンタジー・恋愛をちょっとずつブレンドしたようなお話で、縦横の物語の糸がからまっているので、じっくり読みたい派の人にはお勧め。 -
Posted by ブクログ
横濱魔女学校シリーズの2。どうやら3冊完結の中巻に当たるらしい。
前のお話で、魔女学校の生徒達に助けられた千秋くんは、どうやら聴講生として女学校に通うことになった。無論男の子は彼だけ。けれど小春・宮さん・透子の三人娘とは気が合うようで、楽しい学校生活のよう。そんな折、横濱天狗団なる、人攫いの噂が喧しくなり、資産家の子である千秋も被害を受けてしまう……。といった導入。折しも異人さんの迷子を助けた小春達。天狗団を警戒しているところへ、南米から千秋の叔父さんが訪ねてきて…というふうに展開していく。
私、一巻目の『シトロン坂』の感想の時、吉屋信子さんとかお好きな作者では?と書いたのだけれど、それだけではないらしい。ご自分の読まれたものが,素直に作品の血肉になる方のようだ。この感じだと、乱歩とか、あとがきにもあったけど香山滋とか。世界少年少女文学全集だと、『ジャングル・ブック』とか…男の子たちの胸を熱くして来たものも、お好きではなかろうか。
一貫して『緑の館』がモチーフに使われているが、私はオードリー・ヘプバーン主演の映画の方でイメージがある。白い表紙の文庫が、家にあった気がするけど、惜しいことに処分してしまった。それも読まないで。こんなことなら見ておけば。後の祭りである。
今回も、不思議な異国情緒と、日本の古来の妖怪譚が不思議に混ざり合う。原色の絵のイメージが、ぐっと強さを増すのは、独特の面白さ。そう、まるで当時の紙芝居の描く秘境の匂いがするのだ。いい男だけれどややこしい、千秋の叔父さん、最後の謎がとける場面で、ぐっと来る。このひとと、全体のトーンが南米っぽい。
少年の大冒険ものを思い出させるのだ。小春達の言葉遣いが、目下の男の子やアナにも端正なのは、このあたりの影響なのか。作品の格を上げている。