あらすじ
わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の三年生。うちの学校はフランス風の魔女養成学校で、生徒の半分は妖魅、つまり妖怪なの。わたしは抜け首、仲良しの宮さんは女郎蜘蛛よ。今夜は寮で月蝕の観察会なんだけど、もう一人の仲良し、幽谷響の透子さんがまだ来ない。宮さんと二人で捜しにいったら、山下町にいた透子さん、迷子の女の子を連れていた。その子は一見普通の女の子なんだけど……。折も折、横濱では分限者の子どもを狙った連続誘拐事件が発生。次に狙われるのは我が校の聴講生千秋くん? 大正期の横濱を舞台にした好評シリーズ第2弾。
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シリーズ第2弾
魔女見習いたちの前に現れた迷子の幼女
その子や千秋君は、今話題の誘拐事件に巻き込まれてしまう
そしてそこに現れる別の影
幼女は何者なのか
誘拐犯の目的は?
別の影の正体は?
テンポよく進む物語に飽きることなく読み進めてしまう
夜空を飛行する魔女見習い
飛びゆく場所には騒動の兆しありし
空を見上げたら、袴姿の少女の影が見えるかもしれない
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ぬばたまおろちの五作目、というか横濱魔女学校二作目。
ティグレこと若槻千秋は聴講生として魔女学校に通うことに。
ダンス(飛行)のレッスンを受けたり、
薬草学の授業を受けたりと小春たちと仲良くやっている。
その千秋が誘拐にあったり、迷子がきたり、
千秋の叔父がペルーが来たり、
絵からイグアナが出てきたりとどたばた。
ペルーの呪術師が使う葉の臭いが強烈で
小説家の幸さんが狸の姿にもどってしまったのが、
かわいかった。
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小春も宮さんも透子さんも大活躍でしたね。お疲れ様。
箒にまたがって飛ぶためには人外の者にならないとダメか。魔力を持つ方法を見つけられれば…… ムリそう。せめて夢の中では飛べるように。アナちゃん無事でよかった。
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横濱魔女学校シリーズの2。どうやら3冊完結の中巻に当たるらしい。
前のお話で、魔女学校の生徒達に助けられた千秋くんは、どうやら聴講生として女学校に通うことになった。無論男の子は彼だけ。けれど小春・宮さん・透子の三人娘とは気が合うようで、楽しい学校生活のよう。そんな折、横濱天狗団なる、人攫いの噂が喧しくなり、資産家の子である千秋も被害を受けてしまう……。といった導入。折しも異人さんの迷子を助けた小春達。天狗団を警戒しているところへ、南米から千秋の叔父さんが訪ねてきて…というふうに展開していく。
私、一巻目の『シトロン坂』の感想の時、吉屋信子さんとかお好きな作者では?と書いたのだけれど、それだけではないらしい。ご自分の読まれたものが,素直に作品の血肉になる方のようだ。この感じだと、乱歩とか、あとがきにもあったけど香山滋とか。世界少年少女文学全集だと、『ジャングル・ブック』とか…男の子たちの胸を熱くして来たものも、お好きではなかろうか。
一貫して『緑の館』がモチーフに使われているが、私はオードリー・ヘプバーン主演の映画の方でイメージがある。白い表紙の文庫が、家にあった気がするけど、惜しいことに処分してしまった。それも読まないで。こんなことなら見ておけば。後の祭りである。
今回も、不思議な異国情緒と、日本の古来の妖怪譚が不思議に混ざり合う。原色の絵のイメージが、ぐっと強さを増すのは、独特の面白さ。そう、まるで当時の紙芝居の描く秘境の匂いがするのだ。いい男だけれどややこしい、千秋の叔父さん、最後の謎がとける場面で、ぐっと来る。このひとと、全体のトーンが南米っぽい。
少年の大冒険ものを思い出させるのだ。小春達の言葉遣いが、目下の男の子やアナにも端正なのは、このあたりの影響なのか。作品の格を上げている。