小竹由美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯で西加奈子さんとブレイディみかこさんが激賞していたので読んでみた。
宗教と世俗との折り合いや人種の違いといった本書のテーマとなる問題はなじみがないが、悩みの果てにトリッキーな行動を取り、自分を曲げないのでちっとも成長しない登場人物たちは、面倒ながらも愛せる。
歴史上は「馬鹿者」「臆病者」と思われているマンガル・パンデーをサマードはものすごく信じていて、一冊だけども彼を「独立への基盤」と記載した本もあることが、どんな人間でも誰かは受け入れてくれるということを象徴してるのかな?と思った。
「アーチー、アーチー、アーチー、アーチー」
「ミスター・ヒーロー」
「君はどうもわからん男だなあ、アーチー -
Posted by ブクログ
短編の名手。著者近影から、優しげで快活そうなおばあさんのイメージがある作家。この方の短編集は、なぜか癖になる。起伏の少ないストーリーだが、繊細な文章をしっかり読んでいかないと、物語はいつのまにか大きな転換を迎える。その瞬間を見逃さないように、注意深く読む。ヒタヒタとした読書感が、癖になる。
いくつも気になる話はある。どれも心が少しだけきゅっとなる、居心地の悪さがある。なのに次の話も読みたくなる。癖になる。好き。
ただ…読書の合間に、作家のことを調べていたら、再婚後の次女への、いまでいうネグレクト?のトラブルがどうやらあったらしい、ということを知ってしまった。夫にも依存気質だったか。良い作品 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまでのアーヴィングと比べて,少しストーリーが散漫な気がしたのは,固有名詞にラテン系のものが多く,頭に入ってきにくかったせいもあるのかもしれない.
お話しはいつものように,普通ではないアウトサイダー達が入り乱れ,行きつ戻りつしながら,また主役級があっさり死にながら,進んでゆく.終盤でフアンディエゴによってミリアムとドロシーに関してある発見がなされたあたりから,読者は話がどこに向かっていくのか徐々に気付かされ,ラストになだれ込んでゆくところは,やはりいつものアーヴィングである.訳者のあとがきによると,アーヴィングはいつも結末を決めてから本を書くそうだが,そういう目で振返ってみると納得.