小竹由美子のレビュー一覧

  • タトゥーママ

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    どのページもすべて切ない。
    物語に引きこまれ、毎晩寝るまえに一章ずつ、
    だいじに読んでいました。ドルが1人でなんとかしないとならなくなった場面からは一気読み。ラストも泣けて−いつのまにか深夜。
    ときに自分の過去はどうだったかとふりかえりながら、ときに似たような立場に重ねあわせながら、するどい台詞や心理描写にハッとさせられながら。復刊されて、こうして読む機会を与えられてほんとうにうれしいです。素敵な作品に出会わせていただき、ありがとうございました。 

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    2025年10月29日
  • タトゥーママ

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    児童文学としてはかなり重い内容ではあったんですけど、自分の親がもしこんな雰囲気だったらどうするかを考えさせられましたし、子ども達だけじゃなく、大人の人達にも読んでほしいです

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    2025年10月19日
  • ホワイト・ティース(上)

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    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース

    当時の混沌としたロンドンがここにはある。まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強み。これこそが私も好きなロンドン。

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

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    2025年09月09日
  • 神秘大通り(下)

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    冗長で退屈だったが、最後に来て、急激にスローモーションになり、死を描ききる手腕に、この作家の精髄を見た。

    意識を上下させながら、今と過去、現実と希望を交錯させる、新しい手法。

    生に織り交ぜることでしか死は描けない。しかし、生の延長に死があるのではなく、

    妹ルペ、ぺぺ修道士、主人公フワン・ディエゴ。養親アイオワン(エドワード・ボンショー)とフロール。忘れられない人たちだ。

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    2023年08月10日
  • マナートの娘たち

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    知らないこともわからないこともあるけれど、ぐいぐい読まされる。1本目『浄め(グスル)の悲しみが鮮烈で強烈だった。『失踪』は何故かマラマッドあたりを連想したり。『アリゲーター』は複雑な構成で最初戸惑ったが、この構成こそが、重さやリアリティを生んでいると気づく。
    力のある作品集。

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    2023年06月19日
  • ホワイト・ティース(上)

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    帯で西加奈子さんとブレイディみかこさんが激賞していたので読んでみた。
    宗教と世俗との折り合いや人種の違いといった本書のテーマとなる問題はなじみがないが、悩みの果てにトリッキーな行動を取り、自分を曲げないのでちっとも成長しない登場人物たちは、面倒ながらも愛せる。
    歴史上は「馬鹿者」「臆病者」と思われているマンガル・パンデーをサマードはものすごく信じていて、一冊だけども彼を「独立への基盤」と記載した本もあることが、どんな人間でも誰かは受け入れてくれるということを象徴してるのかな?と思った。

    「アーチー、アーチー、アーチー、アーチー」
    「ミスター・ヒーロー」
    「君はどうもわからん男だなあ、アーチー

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    2021年11月01日
  • タトゥーママ

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    20年以上も前に書かれた本だけどまったく古びていない(いいことなのか悪いことなのか...)。むしろヤングケアラーや親ガチャという言葉が広く使われるようになった今だからこそより響くものがある。

    子どもは親を選べない。側から見たらどんなにひどい親でも、子どもは無条件に親が好きだし、守ろうとしてしまう(本当は子どもの方が守られるべきなのに)。

    大学生の心理学の授業で教材としても使えそう。

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    2025年11月04日
  • 小説のように

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    短編の名手。著者近影から、優しげで快活そうなおばあさんのイメージがある作家。この方の短編集は、なぜか癖になる。起伏の少ないストーリーだが、繊細な文章をしっかり読んでいかないと、物語はいつのまにか大きな転換を迎える。その瞬間を見逃さないように、注意深く読む。ヒタヒタとした読書感が、癖になる。

    いくつも気になる話はある。どれも心が少しだけきゅっとなる、居心地の悪さがある。なのに次の話も読みたくなる。癖になる。好き。

    ただ…読書の合間に、作家のことを調べていたら、再婚後の次女への、いまでいうネグレクト?のトラブルがどうやらあったらしい、ということを知ってしまった。夫にも依存気質だったか。良い作品

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    2025年08月09日
  • 神秘大通り(下)

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    アーヴィングらしい、長い長い小説。ファンとしては読んでるだけで幸せな気持ちで一杯になる。そんな小説。

    登場人物もいつもの通り。色々な意味で不具を抱えた愛すべきキャラクターたち。そして全く予想がつかないストーリー展開とトリッキーなのに深みのある描写。アーヴィング以外にはこんな小説は書けない。

    正直読みやすいとは言えないので初心者には全くお薦めできませんが、こういうのが好きな人はもうたまらんと思います。

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    2022年05月14日
  • ホワイト・ティース(上)

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    ネタバレ

    新聞の書評に載っていたので読んだ。
    イギリス人のアーチーとベンガル系のバングラデッシュの物語。
    二人は第二次大戦で従軍し友情を育む。
    そしてアーチーは若いジャマイカ出身の女性と再か婚し、二人の人生は続く。
    50代の男性の心理を20代の女性がかくも巧みに描いたことに驚いた。

    下巻にいくとさらに物語は暴走します。

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    2022年01月11日
  • ホワイト・ティース(下)

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    下巻になると上巻の二人の娘や息子が主人公になる。ジャマイカやベンガルの文化的背景だけでなくイギリスの文化の影響、青春の迷いや欲望、麻薬やアルコールなど様々な小道具で話が進む。何に向かって進むかというかより、どのように物事は展開するのかという微分に重きが置かれているように思えた。20代前半に色んな文化的背景を持つ様々な登場人物の心理をこれほどまでに巧みに描いた筆力に脱帽。

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    2022年01月11日
  • ホワイト・ティース(下)

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    下巻では、上巻で活躍したアーチー、サマードの子供たちが、誰一人親の望むようには成長せず、関係し合い、主張して、対立する。
    本書のキャストが全員そろってもつれこむラストまで、それぞれ全く歩み寄らない。全員とんでもなく生きづらそうではあるものの、人間臭さが魅力的で、多様性について考えさせられる。
    最終章のアーチーに、結局人を繋ぐのは、理屈を超えた本能的な、あるいは偶然の結果による、人を助ける行動なのかなあと思う。上巻の冒頭で命を救われたアーチーが、下巻の最後に人の命を救う展開が美しい。

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    2021年11月14日
  • ホワイト・ティース(下)

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    恐らく世界的な名作。現代をこれほどうまく捉えた小説は少ないだろう。話の内容は若干付いていけないほど混乱しているが、作者の主題がハッキリしているので読んでいて迷わない。読後の印象はサルマンラシュデイの真夜中の子供たちと、かなり似ている。それだけの傑作だと思う。

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    2021年08月21日
  • ホワイト・ティース(上)

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    恐らく世界的な名作。現代をこれほどうまく捉えた小説は少ないだろう。話の内容は若干付いていけないほど混乱しているが、作者の主題がハッキリしているので読んでいて迷わない。読後の印象はサルマンラシュデイの真夜中の子供たちと、かなり似ている。それだけの傑作だと思う。

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    2021年08月21日
  • 地中のディナー

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    『中東紛争に踊らさせた諜報員の数奇な人生』

    パレスチナ紛争を背景に、紛争に振り回されたイスラエルの諜報員を巡る人達の物語。背景知識がもう少しあれば、もっと楽しめたかな〜。

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    2021年07月10日
  • 神秘大通り(上)

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    まず、装丁がいい。
    それから、アーヴィングの個性ともいえる、同性愛者や両性愛者、障害を抱えたキャラクターなど、個性的でどこか不完全な人々が次々に登場して、ワクワクする。まるで完全な人などいないと言われているようである。

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    2018年02月10日
  • 神秘大通り(下)

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    死へ向かって行く現代のマニラへの旅と過去のダンプキッドからアイオワへの旅が,薬の飲み間違いなどのちょっとした状況でとても自然にあるいは唐突に切り替わって行くのが本当に巧みだ.幽霊までも含めた多彩な登場人物と万華鏡のような構成の中で,ルペが言ったように,ファン・ディエゴとルペの兄弟こそが奇跡だというのが,スッと腑に落ちた物語だった.

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    2018年02月02日
  • 神秘大通り(下)

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    ネタバレ

    これまでのアーヴィングと比べて,少しストーリーが散漫な気がしたのは,固有名詞にラテン系のものが多く,頭に入ってきにくかったせいもあるのかもしれない.
    お話しはいつものように,普通ではないアウトサイダー達が入り乱れ,行きつ戻りつしながら,また主役級があっさり死にながら,進んでゆく.終盤でフアンディエゴによってミリアムとドロシーに関してある発見がなされたあたりから,読者は話がどこに向かっていくのか徐々に気付かされ,ラストになだれ込んでゆくところは,やはりいつものアーヴィングである.訳者のあとがきによると,アーヴィングはいつも結末を決めてから本を書くそうだが,そういう目で振返ってみると納得.

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    2018年01月29日
  • 神秘大通り(上)

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    久しぶりにじっくりとアーヴィングを読んだ。
    愛おしくなる不遇な登場人物たくさん。
    混乱の極み。
    宗教に明るくないので、そのあたりの背景などが捉えられないけど。
    でも、アーヴィング、やっぱり嫌いじゃない。
    過去と現在を行き来する構成も、面白かった。
    この装丁は、一番すき。

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    2018年01月19日
  • 神秘大通り(下)

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    ネタバレ

    いつものとおり、アーヴィングらしい寓話です。
    決して幸せとは言えない境遇、親しい人たちの予言される死、死後にさまよう幽霊などなど、ストーリーだけ追えば悲劇なはずなのに、なぜかユーモラスで哀しくない物語。
    この作家さんは、本当にこういうお話がとても上手です。
    あまり現実的じゃないけど、かけ離れすぎていない、この微妙な距離感。
    ほっと一息つきたい方は、是非。

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    2017年11月17日