ファブリツィオ・グラッセッリのレビュー一覧
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■一般にイタリア人が、のんきに働かず人生を謳歌しているというイメージは間違いで、北イタリアの工業生産性はドイツよりも高い。
■南北格差は大きいが、これはイタリアが個性溢れる独立した小国家が多かった北イタリアと大国に隷属した歴史が長い南イタリアの問題も大きい。
などなど、普段は知る機会の少ないイタリアの政治経済、人々のくらしについて、在日経験の長いイタリア人エンジニアがストーリー仕立てで解説する良書。
それにしてもイタリアと日本は良く似ている。
政治のリーダーがコロコロ変わる、外交はじめ何となく腰が引けてる。でも女性はキレイだし、食べ物も美味しくて、世界から愛されている。 -
Posted by ブクログ
著者は日本に住んで20年のイタリア人。イタリア語で書いたものを日本人が翻訳している。なので、人の容姿や服装、香りなどの情景描写が、やっぱり日本人とはちょっと違うんだなあ。
カエサル、ロドリゴ・ボルジア(法王アレッサンドロ6世)、レオナルド・ダ・ヴィンチ、カラヴァッジョ、カサノヴァ、プッチーニ、ムッソリーニの7人を、それぞれの部下や友人の目を通して小説仕立てで描いていて、イタリア人から見ると、イタリアの歴史上の偉大な人物たちはこんなふうに書かれるのかあ、という発見はある。
正直、もっと硬い内容と思って手にしたのだけど、でも、思いがけず大昔に旅行したイタリアの街並みを思い出しながら読み進めていけた -
Posted by ブクログ
題名だけ見るとおふざけ比較論のような感じですが、
中身は至極まっとうで、様々な警句が散りばめられています。
著者は日本にほれ込んでる在日イタリア人、滞在は20年を越えるとのこと。
アメリカ発の「新自由主義」の名のもとに、ズタズタにされたイタリア経済と、
そしてなにより、イタリアらしさという「国体」をも見失っていると、述べています。
“(イタリアが)今の経済危機に至った責任の多くを負っているのは、
労働者の「既得権」を守るということばかり考えて、
若い人の雇用の問題を無視し、
経済の活性化を促す政策の実現を怠ってきた、
既存の左翼政党や、そのバックについている労働組合だっ -
Posted by ブクログ
こんな題名がついていますが、内容は大マジです。
日本に住んで20年以上になるというイタリア人が著した本。
国の借金が膨大で、新自由主義に基づく政策が推し進められ、社会保障制度は先細りになり、若者が定職に就けず、格差が拡大し、政財官が癒着している。日本とイタリアはものすごく似ているようです。
この状況をどうにかするためには、テレビや新聞などのマスメディアからの情報を鵜呑みにするなと著者は言います。広告主であるスポンサーの意向に沿った情報しか流れてこないのだから。日本人は「報道の中立性」などという幻想を早く捨てるべきだと。
そのうえで、自ら情報を集め、自分の頭で考え、必要以上に「空気を読む」 -
Posted by ブクログ
タイトルだけ見たら、皮肉や自虐だらけのギャグ本、かとも思ったのですが、とあるイタリアの一家を軸にした、イタリアの経済や南北問題、そして明日は明日の風が吹く、と考えるけど、明日はまたどんより、というストーリー。そして日本のネタが最後に登場します。イタリアのバカっぷりに日本がぐんぐん追い上げて、ほぼ互角になったのでは、というのが著者の見方。しかしバカの種類が違うのだと。「空回り型バカ」と「思考停止型バカ」。どっちがどの国かは、いわずもがなですね。
追い上げた数十年というのは、日本にアメリカ的思考が色濃くなった期間でもあり、そう考えると一番バカはやっぱりアメリカだ!と人のせいにしてみたいけど、それは -
Posted by ブクログ
巷に溢れている、日本在住の外国人から見た日本批判本、もしくは礼賛本とは一線を介している日本批評本。
祖国イタリアをひとつの物差しとして登場させており、その部分だけ取っても読む価値のある本だと思う。
イタリアの生い立ち、その過程で産まれた歪、現代イタリアが抱える社会・政治問題を一般市民の視点から非常にリアルに描写している。そしてその描写された内容と著者が思う現代日本社会の問題を対比させている。
日本人の私から見ても客観的に書かれており、また日本に対する警句についても決して穿った内容にはなっていない。
警句の中にも著者の日本への愛情がひしひしと感じられる。
日本人からすると耳の痛い話も含まれる