あらすじ
第二次大戦での敗戦、その後の奇跡的な経済復興、近年の政治的な不調と経済システムの劣化、アメリカ主導のグローバル化に対する態度、教育制度の危機……。イタリアと日本には多くの共通点が存在する。20年以上前に来日し、日本での永住を決意したイタリア人建築家の、イタリアという国を貶める為でも、日本という国を批判する為でもない、日本を少しでも良い国にするための提言。
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Posted by ブクログ
近頃、一生懸命に旗色の悪い国の本を読んでいる。次はギリシャかな。
読んで分かるのは、イタリアにタフな時代があり、かつよき時代があったということ。そしてどこかで歯車が狂い始め。。。歴史家から見れば、奢った瞬間があったということになると思うか、かと言って奢らなかった国なとあるのだろうか。で
Posted by ブクログ
■一般にイタリア人が、のんきに働かず人生を謳歌しているというイメージは間違いで、北イタリアの工業生産性はドイツよりも高い。
■南北格差は大きいが、これはイタリアが個性溢れる独立した小国家が多かった北イタリアと大国に隷属した歴史が長い南イタリアの問題も大きい。
などなど、普段は知る機会の少ないイタリアの政治経済、人々のくらしについて、在日経験の長いイタリア人エンジニアがストーリー仕立てで解説する良書。
それにしてもイタリアと日本は良く似ている。
政治のリーダーがコロコロ変わる、外交はじめ何となく腰が引けてる。でも女性はキレイだし、食べ物も美味しくて、世界から愛されている。
Posted by ブクログ
どっちがバカという話ではなくて、イタリアがどういう状況でどうしてこうなったか、がある家族の生活を通じて理解できる話。
下手な説明をダラダラするより、エピソードで概要をつかんだあと、詳細の説明がある形式なのでわかりやすい。
特に南イタリア好きで、北イタリアの人が南をひどく言うのが気になっていたのでなんとなくではあるが気持ちが理解できた。
あの国は、国であって国じゃない。
日本への嘆きもごもっとも。でも、どうにもならないかな。日和見だしな。
Posted by ブクログ
題名だけ見るとおふざけ比較論のような感じですが、
中身は至極まっとうで、様々な警句が散りばめられています。
著者は日本にほれ込んでる在日イタリア人、滞在は20年を越えるとのこと。
アメリカ発の「新自由主義」の名のもとに、ズタズタにされたイタリア経済と、
そしてなにより、イタリアらしさという「国体」をも見失っていると、述べています。
“(イタリアが)今の経済危機に至った責任の多くを負っているのは、
労働者の「既得権」を守るということばかり考えて、
若い人の雇用の問題を無視し、
経済の活性化を促す政策の実現を怠ってきた、
既存の左翼政党や、そのバックについている労働組合だった”
少し前の民主党政権下の日本ともリンクしそうな、そんな状況が見て取れます。
こちら2012年の9月出版ですから、相当に危機感があったのかな、とも。
“現代社会では「マネー」にばかり人々の関心が集まって、
モラルや倫理といったものが、あまりに軽視され過ぎている”
元来、イタリア人は勤勉で、朝から晩まで普通に働いていると、、
今は、一部のシェスタなどが誇張されて伝わっているものの、
労働時間から見るとヨーロッパでも高い方とは、失礼ながらに意外でした。
“マスメディアによる「思想誘導」は今でも、
世界中のほとんどの国で(独裁政権でない、
民主主義国家を標榜している国でも)行われているのです。”
これまたなるほどと、どこも状況に大差は無いのかな、と。
個人的には、現地におられる塩野さんの感覚とクロスさせてみたいとも。
また、政治思想的に「右派」「左派」とは分かれていても、
やっていることの実体に大差は無いとも話されていて、
この辺りは、フィクションの部分を上手く融合させながら、
今のイタリア社会の実情を描きだしているのではないかな、とも。
翻って今の日本を見た時に、、首の皮一枚でつながっているなと、
あと半年、民主党政権が続いていたら同じ穴にはまっていたとも思います。
もちろん、今の状況を楽観視していていいわけでもないですが。
自身の立ち位置も含めて、今後どうしていくべきかを考えさせられた一冊でした。
Posted by ブクログ
こんな題名がついていますが、内容は大マジです。
日本に住んで20年以上になるというイタリア人が著した本。
国の借金が膨大で、新自由主義に基づく政策が推し進められ、社会保障制度は先細りになり、若者が定職に就けず、格差が拡大し、政財官が癒着している。日本とイタリアはものすごく似ているようです。
この状況をどうにかするためには、テレビや新聞などのマスメディアからの情報を鵜呑みにするなと著者は言います。広告主であるスポンサーの意向に沿った情報しか流れてこないのだから。日本人は「報道の中立性」などという幻想を早く捨てるべきだと。
そのうえで、自ら情報を集め、自分の頭で考え、必要以上に「空気を読む」ことはせずに敢えて声を上げるときは声を上げよ、と。無関心、諦観、「見ざる・言わざる・聞かざる」では、独裁者のやりたい放題となり、自らの首を絞めることになるんですよ、と教えてくれています。
日本人は、必要以上に「同調圧力」をお互いにかけ合って、自縄自縛になっていると私も思います。これでは私たちは、自公政権にいいようにされるだけの羊の群れです。飼われている羊の行く末は、肉か毛皮です。食べて使うのは1%の権力者・富裕層だけで、私たちは屠殺される側になります。
思っていること、おかしいことにはおかしいじゃないかと、家族や友人や同僚に話すこと。身の回りの小さな風通しを良くするところから、世界は少しずつ変えることができます。その輪が、市民集会などにつながり、世論を動かし、デモなどの世論の可視化につながり、社会に変化をもたらします。面倒くさがらずに国民がみんなでそうすることが、生き残るための自衛策なのだと思いました。
Posted by ブクログ
日本に永住しているイタリア人による本。自分の親戚を登場人物として、彼らの物語と解説を交互に挟む構造。こういう本って想像以上に頭が疲れることが判明しました。泣
途中でつまらなくなって最終章だけ読んだら、衝撃。ハンマーで頭を殴られた感覚。自分に当てはまることが多すぎる。就職や教育やライフプラン。もう一度きちんと再読して感想書きます!
2013.8.13(火)
Posted by ブクログ
著者は日本に長く住んでらっしゃるイタリアの方、なので非常に中立的かつリアルな内容だったと思います。
日本人による自虐的な表現を聞き飽きたら、読んでみると新鮮かも。
途中ちょっと物語っぽくなったりもしてイメージしやすい。
私の知り合うイタリア人は案外(というと失礼)真面目な働き者で時間にも正確な人が多かったので、南北格差などイタリアに興味が湧いていました。この本を読んで納得。
Posted by ブクログ
タイトルだけ見たら、皮肉や自虐だらけのギャグ本、かとも思ったのですが、とあるイタリアの一家を軸にした、イタリアの経済や南北問題、そして明日は明日の風が吹く、と考えるけど、明日はまたどんより、というストーリー。そして日本のネタが最後に登場します。イタリアのバカっぷりに日本がぐんぐん追い上げて、ほぼ互角になったのでは、というのが著者の見方。しかしバカの種類が違うのだと。「空回り型バカ」と「思考停止型バカ」。どっちがどの国かは、いわずもがなですね。
追い上げた数十年というのは、日本にアメリカ的思考が色濃くなった期間でもあり、そう考えると一番バカはやっぱりアメリカだ!と人のせいにしてみたいけど、それはどういう種類のバカかな。暗いけどなぜか少し元気が出る本。
Posted by ブクログ
巷に溢れている、日本在住の外国人から見た日本批判本、もしくは礼賛本とは一線を介している日本批評本。
祖国イタリアをひとつの物差しとして登場させており、その部分だけ取っても読む価値のある本だと思う。
イタリアの生い立ち、その過程で産まれた歪、現代イタリアが抱える社会・政治問題を一般市民の視点から非常にリアルに描写している。そしてその描写された内容と著者が思う現代日本社会の問題を対比させている。
日本人の私から見ても客観的に書かれており、また日本に対する警句についても決して穿った内容にはなっていない。
警句の中にも著者の日本への愛情がひしひしと感じられる。
日本人からすると耳の痛い話も含まれるが、是非ご一読を。
Posted by ブクログ
日本で活躍するイタリア人建築家による現代イタリア解説書。
イタリアの家庭を題材にして、イタリアの政治経済の解説をしつつ、アメリカ型の新自由主義に対して警鐘を鳴らす。