ジャック・ケッチャムのレビュー一覧
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オフシーズンの続編。
前作は「文明人」対食人族の戦いを通じ、人間の根幹について考えさせるお話だったのに対して、今回は母対女族長。
言わば、ミサエ(クレしん)対フネ(サザエさん)。核家族化はコミュニティの一員という自覚を欠きうんぬん。という話ではたぶんない。
食人族の長は前作唯一の生き残りで、子供を盗んで子孫を増やそうとしていた。一族の再生を目指す彼女は母でもあり、赤ん坊という存在に霊的な力を感じているらしい。「地下室の箱」にも語られた、力強くどこか不気味な誕生のエネルギーになにかを感じているようだった。ウーマンの出産についても読んでみたかったなぁ。
全体的に、人物像が丁寧に描かれていた -
Posted by ブクログ
ネタバレ忌まわしい「隣の家の少女」に続いて、著者が“監禁・虐待”テーマに挑戦した……ってことで、読む前からかなりブルーになっていた(ってこれは、この作者に関する限り「ガッカリ」とはやや意味が異なるんだが)。
愛人の子供を身ごもった主人公のサラ。中絶することを決めた日、産婦人科医院の目の前で男女二人組に拉致される。彼女は地下室に監禁され、箱のようなものを被される。待っていたのは暴行の嵐だった……。
訳者による後書きにもあるが、この作品、「隣の家の少女」「オフ・シーズン」と同様に実際にあった事件を材に取って書かれたらしい。とは言え、似ているのはその状況のみで、人物の性格や事件の経過等は異なっており、単な -
Posted by ブクログ
ネタバレもう、狂ったようにジャック・ケッチャムを読み漁った時期があります。一冊手を出したが最後(確か「閉店時間」から)、間を空けたくない。「手元にケッチャムの物語がない夜なんて、過ごせない!これはどうしたことだろう!」なんてぐらい。病んでますね。
ケッチャムの魅力といえば、実際にあった事件を元にした陰惨な物語に読者をぐいぐいとひきずりこんでしまうパワフルさと、読んでいて「あー分かる」と感じてしまう自分が嫌になるような人間描写だと思っています。
冷え切って何も感じない心のウェインくんが恋人と嫌々セックス、そのさなかに「もう・・・さー、なんてかさ」と首を絞めにかかり、ここから物語もじわじわとウェインくん -
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自分にとってケッチャム作品はこれが2作目。
構えていたよりも鬼畜度は抑え目で、どちらかと
いうと人間の内面がジワジワと崩壊していく様を
かなり冷淡に根気強く描いた、ある意味陰湿な
作品のような気がします。
もともとイカれていた? 主人公の「レイ」のある夏の
殺人事件の冒頭から入る今作ですが、そもそも、
その「レイ」が人格破綻者に至る経緯も一切なく
どこの都市にも普通にこういったヤツは普通に
暮らしているんだぜ...的な描き方が恐い。
鬱屈して行き場のない若者の苛立ち。
その冒頭の事件の犯人である「レイ」にたどり着きながらも
決定的な証拠を挙げれずに放置させている刑事の
鬱屈。このネガティヴ -
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あの衝撃の事件から11年。警官を引退したピーターズは、早朝にある事件が起こったことで警察から助言を求められる。
二人の女性が惨殺された。そして死体の一部と一緒に居たはずの赤ん坊も、持ち去られていた。11年前の「彼ら」の生き残りが起こしたと思われる事件。
あの時、混乱した現場で、被害者を「彼ら」と勘違いし射殺していたピーターズは、あの忌まわしい現場へ他の警官を引き連れてゆく。
「オフシーズン」の続編は、ある女性が帰宅しベビーシッターが惨殺された現場を眼にしたところから始まる。
いつものケッチャムのように、彼女が生と死の狭間でもがく事すらも許さない。彼女の意識と命はあっという間に断ち切られる。 -
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