ジャック・ケッチャムのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ケッチャムのいろんな面をたっぷりと味わえる短編集。
一話一話は短いのに長編と変わらないずっしりした読後感。
ケッチャムを読むのは我慢大会か耐久レースに似ていて、なんでわざわざお金払ってメンタル痛めつけてるんだろう、と首を捻ることもあるのですが、この本も読み終わるのにすんごい時間がかかった。
ジャンルを超えた多種多様な物語が満載で、ケッチャム世界の奥行きの深さに恐れ入る。
読み終わって改めて本当にすごい作家だったんだなぁと感嘆。まだまだ新作読みたかったなぁ…(合掌)
以下、自分の忘備録のための読書メモ。
・冬の子
「オフシーズン」と「襲撃者の夜」の間に当たる話だそうな。「オフシーズン」大好 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2018年に物故したジャック・ケッチャムの短篇集3冊(未訳)から、翻訳者の金子浩氏が19篇をセレクトした日本オリジナルの傑作選。暴力や死、オフビートなお馴染みの作品世界はもちろんのこと、超自然的要素や幻想味に満ちたものなど、この作家の違った顔も堪能することができる。
大雪の続いた2月の夜、父子の住む家のドアをノックした少女は口が利けなかった……という表題作は、ケッチャムの代表的長編『オフシーズン』とその続編『襲撃者の夜』との間に起きたエピソード―ということで、何れかを読んだ人間ならばその後の展開も凡その察しは付くだろう。
その他、不治の病に罹った女流作家が死後も自作を生かすために行なったある -
Posted by ブクログ
子どもの頃に親から虐待を受けた人は、大人になると我が子にも同じことをしてしまうのだろうか?
また、その受けた虐待が異常な性格を作り上げてしまうのだろうか?
母親からの虐待を受けながら育ったアーサーは、暴力、異常な言動や性的行為にとり憑かれた男に成長する
そのような衝動を抑えきれない人間だが、それを巧みに操作する冷静さと頭脳を持ち合わせている
イッちゃってるのに頭がいい厄介な野郎だ!
そんなイッちゃってる野郎の表面的な人柄の魅力に惹かれて結婚したリディア
アーサーの異常な言動や変態プレイの強要に疑いを抱きつつも、拒否することでアーサーが息子のロバートに悪い影響を与えたらと思うと不安で仕方 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「オフシーズン」の続編。あの凶行が再び。
今回の人肉レシピも吐き気がするほど。
しかしオフシーズンよりは恐怖感が薄かった。オフシーズンに続けて読んだので、あの空気に慣れてしまったのか。
また食人族が襲ってくるのだが、狩の仕方はオフシーズンよりさらに手が込んでいる。
食人族はもう、かけ離れすぎて同じ人間とは思えないのだけれど、狩のやり方を読んでいると知性を感じてぞっとしてしまうのである。いっそ、知性のまったくない、野獣として狩をしてくれたほうがよっぽどマシだった。
そういう意味では恐ろしかったのに、全体的に見ると「あれ、前ほど怖くないな」という感想。
後味の悪さもオフシーズンのほうが上だった。 -
-
-
Posted by ブクログ
食人族の恐怖を描いた『オフ・シーズン』『襲撃者の夜』に続く続編的な内容。
ハンティングに出かけた弁護士のクリスが半裸の女(ザ・ウーマン=食人族)を見つけ、自宅の倉庫に手足を拘束して監禁。自分の家族も巻き込んで、ウーマンを家畜のように飼育し始める。レイプはするわ、暴力は振るうわ、やりたい放題だったが、もちろんウーマンの反撃を食らうことになり…。
3作目にして初めて、食人族に肩入れしてしまった。それほど、クリスと息子のゲスでクズっぶりが酷かった。
後日談を描いた「カウ」も収録。こちらの結末はおぞましいの一言。こんな状況になったら、男としての自信、いや人間としての誇りを失いますね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレジャック・ケッチャム著、金子浩訳、『地下室の箱』のレビューです。
むかし読んだ『隣の家の少女』よりもマイルドな(といっても普通にエグい)内容でした。
被害者は40代前半の美しい女性、サラ・フォスター。不倫相手との子供を堕ろそうと病院に向かっている途中に拉致されます。
モデルというか着想を得た事件があるようで、「箱」が特徴的に使われます。
しかし、原題はRight To Lifeみたいですが、邦訳タイトルは何とかならなかったのでしょうかね。
―サラが徐々に壊れていくさまを想像した。時間がかかるのはわかっていたが、だからこそやりがいがあるのだった。なぜなら、いちばんおもしろいのは壊れるまでの過程 -
Posted by ブクログ
家族や人間の繋がりを奇怪な世界観で描く! ホラーの巨匠、ジャック・ケッチャムの短篇集 #冬の子
■きっと読みたくなるレビュー
ホラー作家、ジャック・ケッチャムの短編集です。恐怖で震えあがるって作品というより、じわっと心に沁み広がっていくような作品ばかり。
奇怪な世界観を背景にはしているものの、描かれているのは家族や人間の繋がり。全部で19編、読みやすく日本人好みのお話でバラエティに富んでます。余韻深くジーンとする作品もあれば、切れ味が鋭くスパっと突き放される作品もある。きっと最後まで読み飽きずに楽しめると思いますよ!
■おすすめ作品
○冬の子
山奥の村、父と二人暮らしの僕、ある日見知らぬ -
Posted by ブクログ
ゾクっとするホラーではない。
非現実的というわけではなく、日常の延長にありそうな、ちょっと嫌な感じ。
とくに好きだったのは、最後の「炎の舞」。
森の中でいろいろな動物たちが弱肉強食の摂理に反し、焚き火を囲んで輪になって踊っている。
恐怖を抱いた男たちが銃に弾を装填するけれど、子どもと女たちが輪に加わって踊り出す。
やがて、男たちも諦めたように輪に加わる。
原始の人間がそうしたように。
動物たちは、火を受け入れ、互いを受け入れ、踊る。
新たな自然の始まり。
人間が特別だった自然の終わり。
これが、平和な王国なんだと、はっきり言えない。
ここからどんな自然が始まるのか。
火の破壊性になぐさみを感じ