リチャード・セイラーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
行動経済学の発展を当事者の立場からたどる。たんなる行動経済学の紹介をする本とは違い、異端視されていた黎明期から、無視できない地位を築くまでの足跡をたどれるようになっている。とくに本書では、「エコン」(経済モデルが想定する合理的な人間像)の牙城と見られていたファイナンスの世界に、多くのボリュームが割かれているのが特徴だ。
自分が行動経済学に惹かれるのは、自分を含む「ヒューマン」がつい犯してしまいがちな罠を、あらかじめ知っておくことが有益だと考えるからだ。本書でも、実利のある知見はいろいろ得られる。たとえば(すくなくとも米国においては)株式投資のプレミアムは大きいということだとか、グロースよりバリューのほうが戦略としては正しいだとか。まぁ、でもそうした「実利」を求めるならもっとコンパクトにまとまったものがある。本書の価値は、ユーモアのある著者の語り口に乗せられつつ、たのしくこの分野の発展を理解できるということになるだろう。 -
Posted by ブクログ
購入した本。
ナッジとは、禁止や強制をせずに人の背中を少しだけ押す行動経済学の一種。
初期設定(デフォルト)が大事。営業などでも最初に大きな金額で提示すると良い。ただ、リアクタンスというのもあり、欲をかきすぎると反対にナッジが効かなくなる。
人間は利益よりもはるかに損失を気にする生き物。
脳科学分野において、人間の思考方法には2つある。自動システムと熟慮システム。自動システムは本能的で、熟慮システムは意識的なもの。
「真のバイリンガルとは、二つの言語を自動システムを使って話す人のこと」
友人と賭けをするプラットフォームビジネス。
集団を率いる上で、自信満々な人を1人入れると組織の推進力が上がる。
人は他人と賛同したがる。だからより具体的に「他の人もこのくらいの金額でこの商品を買っている」など明示されると流されやすくなる。
実行意図を示すと達成率が上がる。
具体性を持って支持するといい。たとえば投票を促すのであれば、
「何時に投票にいくつもりか」
「どこから投票にいくか」
「何をしてから投票にいくか」
「人に何かをするように、促したいのであれば、それを簡単にできるようにすることが大事」
Make it easy の精神。
「悪い選択肢を取り除いて、新しい選択肢を提供することが事業成功への近道」例…シンガポールの屋台では、ミシュラン店であるが1種類しか料理を提供していない。
アメとムチを用いた公共政策。
例…スピード違反をしたら罰金。一方で、速度制限を守ったら宝くじがもらえる。賞金は罰金から充てる。
保険について、加入するならば、「まれにしか起こらないが起こった場合、経済的に破綻する場合に加入するべき」
こうした手法を活用して、人間関係をより良いものにしていきたい。 -
Posted by ブクログ
ナッジや行動経済学ということにふれたことがない方にとっては非常に面白い本。
2008年版を読んだ方には「ほとんど同じように感じ」る本。
ナッジや選択アーキテクチャはうまく設計されれば、時に快適に、時にパワフルに、時に魔法のように、私達の日々の選択や行動を後押ししてくれる。それは本書を読んで、また実際に経験してみて思うことである。
そんなナッジにも課題は色々あるが、特に臓器提供の章で指摘されているものは、取り上げているテーマがテーマということもあり、重要であると感じた。
つまり、ナッジを利用した選択•決定における一連の流れには、熟慮がなくほとんど意思が欠除していることがある、ということだ。
結果良ければ全て良し的な領域であればガンガンにナッジをすすめていってもらっていい。しかし例えば医療で言えば臓器提供や人生会議(ACP)、延命治療など、決めるのが難しいが当事者や家族など身近な人がしっかり考えて話し合うこと自体が重要な領域については、ナッジの使いすぎに注意が必要だろう。