牧久のレビュー一覧
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「いいぞ!」
「団結用意!」
「ナンセンス!」
今では思い出したように、同僚とふざけあって使うこれらの言葉も、かつて存在した労働組合の用語である。
本書とほぼ同時に発売された西岡研介「トラジャ」に続いて読み終えた。
今でこそ、労働組合なんてものもあったよね、と笑って言えるけど、昔は組合のことなんて喋れる雰囲気の会社ではなかった。
2018年初の三万五千人の大量脱退(俺もその一人だけど)でようやく、この労働組合に関する話がタブーではなくなり、相次いで出版されるようになったんだろう。
先に読んだ「トラジャ」では、前半をJR東労組と革マルの関係について、後半では未だに労使関係 -
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丸の内の三菱UFJ信託銀行の地下1階のレストランのレジに飾ってあったので手に取った。独特の苗字と「氏」の字が入った人物の伝記。
「許斐先輩のご先祖様は破天荒な方だったらしい」という話はチラホラ聞いていたが、その通りの本だった。
著者は日経の記者。ボリュームある文章だが、新聞記者ならではの整理された文体なので読みやすい。
昭和初期の動乱期の物語。226事件の首謀者の北一輝のボディガードを経て、満州にわたり民兵組織の隊長になる、さらに上海で帝国陸軍の別働隊である特務機関をつくる。終戦後は政治活動とは袂を分かち、実業の世界に。現在のペニンスラある日比谷の土地(堀を瓦礫で埋め立てた土地)に日本最 -
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昭和前半、動乱時代の日本の巨悪や巨怪のノンフィクションを好んでよく読む。正力松太郎、里見甫、児玉誉士夫、笹川良一等々。この本もこの係累に属するものだが、なにせ知人の実父の話だからますます興味深く読めた。
本の主題は上海やハノイで陸軍の長勇から依頼を受けて特務機関を作った許斐氏利の生涯を描くものだが、資料的に乏しい為か許斐氏利以外の昭和前半の特務機関がなぜ生まれどういう機関が存在したか、またその特務機関と密接な関係を持った日本軍による中国大陸での麻薬取引の実態、許斐氏利と関係の深かった大川周明のこと、長勇と皇道派、統制派との関係などなど、日本陸軍末期の実態を深く知れる内容になっているのが非常に -
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ベトナム独立にこんなにも深く日本人が関わっていたとは、あまり知られていないのかも。ベトナム好きとしては知っておきたい歴史。
革命家ファン・ボイ・チャウに担ぎあげられて日本に渡り、元首として帰国することを待望されながら、歴史に翻弄され失意のうちに東京で息を引き取った王族クォン・デ。天草から15歳でハノイに渡り、政商となり大きな影響力を持ち、民間からベトナム独立を支援した松下光廣。些細な行き違いで、歴史は大きく変わっていたのかも。
二人の人物を中心に物語が進むけど、内容が複雑とはいえ、ドラマチックさを持たせるためか、話が行ったり来たりしすぎてややこしかった。「後述するが、~~」「前述したように、~ -
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成田の乱??
成田空港といえば、海外へ飛び立つ玄関口、わくわくするイメージしかないですけど???
その成田空港開港までに、こんなに激しい闘争が繰り広げられていたこと、ほんとに、全く知らなかった。
火炎瓶とか、要塞とか、激突で死者が出るとか。
革マルとか内ゲバとか。
成田という、世界への扉が建造される裏で、文字通り泥と血にまみれた死闘があったんだ、、、、
・・・想像するに、敗戦を経て戦後民主主義へ転換した記憶がまだまだ色褪せていない時代に、突然(もとの候補地では反対が大きく難しいという判断から候補地が変更になったらしい)、戦前同様(?)一方的高圧的なやり方で土地を追われることが決まり、法的根 -
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ネタバレ暴君
新左翼・松崎明に支配されたJR秘史
著者:牧 久
発行:2019年4月28日
小学館
松崎明という人物は、その世界では有名人というかかなりの“大物”だそうだ。僕は名前ぐらいしか知らなかった。
国鉄の労働組合と言えば、最大組織の国労(社会党)、鉄労(民社党)、動労(革マル派)、千葉動労(中核派)に大別され、JRへの分割民営化に際し、「闘う動労」を標榜していた動労が、もともと労使協調路線だった鉄労とともに賛成に回ったという知識ぐらいはあった。なぜ急にマスメディアが「過激派」と紹介し、警察が「極左暴力集団」と呼ぶ革マル系の動労が賛成に回ったのか、僕には理解できていなかった。その裏事情が45