【感想・ネタバレ】昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実のレビュー

あらすじ

中曽根康弘、井手正敬、松田昌士、葛西敬之……重大証言と新資料が予言する「借金1000兆円をかかえた国家の未来」――本書は国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ歴史に再検証を試みたものである。昭和最後の二十年の歳月は、薩長下級武士が決起、さまざまな人物を巻き込んで徳川幕藩体制を崩壊させたあの「明治維新」にも似た、昭和の時代の「国鉄維新」であったのか。それはまた敗戦から始まった「昭和」の解体を意味していた

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Posted by ブクログ

国鉄栄枯の歴史を国鉄内部の目線で描いたルポ。
鉄道ファン向けに描かれるような東海道新幹線開通や世間の様子ではなく、国鉄がJRへ解体されるまでの組織と政治の話に特化していて、その人間の織り成すドラマはあまりにも金と欲にまみれて重苦しい。

変わり続ける政治家、利権をむさぼる労働者、不明瞭な責任の中で愛されなかった国鉄という組織が、国鉄三羽ガラスと言われる井出、松田、葛西の三人の官僚を中心に終息を迎える。
筆者はベテランなだけあり、(ドラマ的な描き方をしている部分もあったが)可能な限り事実を書こうとしていたように思われる。

心底悔やまれるのが、福知山線事故の責任を感じた井出が国鉄改革回想録2000ページをお蔵入りさせたという話。
本書はこちらも参考にされているとのことから、他の国鉄関連書籍を読んだ上で再読したいと思った。

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2020年07月06日

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国鉄が労使対立と巨額の債務のなかで迷走を続け、分割民営化されるまでのドキュメント。親方日の丸で統制の取れない職場の実態が生々しい。

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2020年04月26日

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本来は、国鉄の解体が昭和の解体であるということを、すぐに分からなければならないのでした。
いや、本当に勉強になりました。

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2020年04月03日

購入済み

国鉄のことを知りたくて

生まれた時からずっーとJRだった世代です。
今でも時々JR東日本の労働組合がニュースになり、折角なら国鉄時代の労働組合からその問題を紐解いていこうと購入を決めました。
国鉄と労働組合の関係が丁寧にまとめられていて、問題の根幹を良く理解できました。
次はJRの労働組合についての本を読み進めていく予定です!

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2020年03月09日

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半強制的に組合に入らされている若手や中堅に、昔はこんなことがあったと知る意味でおすすめ。信じられないようなことがあったんだなと、驚くと思う。

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2019年05月19日

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国鉄解体の正史 関わる人達の営みはドラマチック トップ中曽根総理の覚悟
それにしてもよくあれだけの改革が出来た
あれがあったから日本航空 日本郵政はまだ容易だったのだろう 前例主義

現代は「社会保障」誰も手がつけられず、財政と国家の破綻を座して待つばかり
本当に安倍首相は時代認識も、歴史的使命観も持ち合わせていない 不思議
東條首相と似ているかもしれない 
日本は時代の転換期に人を得ない国

国鉄解体は壮大なドラマであるが、歴史的には必然
それでも山あり谷あり、筋書きは読めない

3人組ほかブレナイ人々 「私」のない人

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2018年11月10日

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とにかく詳しい。一度読み返さないと消化しきれない。組合幹部は何がしたかったのだろうか。いやはや。3人組のうち、東日本は動労に屈し、西日本は尼崎をやり、東海だけはまだ大きな失敗をしていないが、はたして葛西は無事一生を終えるのだろうか。あそこが1番危なそうなものだが… すごい時代だけど、そんなに昔のことでもなく、今でも過激にストが打たれたら、怒り狂った民衆が駅員に襲いかかることができるのだろうか。

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2018年05月07日

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これは本当にすごい本、というか凄すぎる内容の本だった。
明治国家の西洋化の象徴として新橋ー横浜間の鉄道が最初に通され、終戦直後には復員兵を数十万単位で引き受け、64年の東京五輪では新幹線を通したが為に赤字転落をした国鉄は最終的には、職員27万人、累積赤字37兆円(!)となり、複雑な労使関係、より複雑な労労関係、そして半国家組織であるが故の絶え間ない政治の介入により1980年代初頭には瀕死の重体となっていた。この国鉄を「分割民営化」して再生させるという1点に執念を燃やした国鉄キャリヤ組の井出、松田、葛西の"改革3人組"と脆弱な党内基盤ながらも抜群の政治センスを発揮して"戦後政治の総決算"を特に国鉄民営化において実現しようとする政治家、中曽根康弘らが主役のこの物語(まぎれもない実話だが)は、様々な困難で複雑な状況を乗り越えながら、最初の検討(第二臨調)から6年越しで分割民営化を成し遂げていく、それはすなわち国鉄の巨大な労働組合(国労、動労など)を分割することであり、それは全国的な労働組合連合である総評の中核を消滅させることにつながり、最終的には総評を基盤とした左派政党である日本社会党を減退、変容させることにつながった。つまり国鉄の分割民営化は昭和日本国家の解体へとつながった訳である。

内容の詳細は省略するが、読み終わって思うことは、"これこそが政治である"ということである。職員25万人、国民の足を担う巨大組織の大改革には策謀と裏切り、変節、保身、増悪、執念などの様々な情念が宿り、さらに利権や選挙、組織の存亡など具体的事象も絡まり最終的には労組同士の殺し合いにまで展開してく、まさに人間世界の悲劇、喜劇のすべてがそこに表出されているように思える。この組織の人間の情念をすべて賭けたすさまじい権力闘争に比べれば、いまの政治状況などはすべて児戯に等しく思えてしまうのである。

なお、「凄すぎる内容の本である」と評したが、このものすごく複雑で経過年数も長大な大河ドラマの詳細を調べつくし、かつ読者を迷わせることなく理解させる筆者の構成力、筆力も驚かざるを得ない本であった。とても分かりやすく淡々と事実を構成して語ってくれているのだが、これほど凄みのを感じる本も本当に珍しいと思う。

前回読んだ「愛国とノーサイド」に続き、私が生まれる少し前、私が全然知らない日本がそこにあったことだけは間違いない。うーん凄すぎる。

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2017年06月17日

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1987年4月1日は国鉄が民営化され、JR各社が発足した日にあたり、今年は民営化から30年という節目となる。30年が経過したものの、民営化の際に議論された問題は全てが解決したわけではなく、むしろJR北海道の経営問題のように、深刻さを増すものもある中、日経新聞の記者であった著者が、民営化時の首相であった中曽根康弘をはじめとする政治家、国鉄職員として民営化をリードした若手職員、日本最大の労働組合として強い影響力を持ちながらも、その闘争戦術の拙さから崩壊の一途を辿った労働組合幹部らなどへのインタビュー、膨大な一次資料に基づき、民営化に至った歴史をまとめた一冊。

読み終えて思うのは、この国鉄民営化という出来事が、経済学的な側面から見れば、当時の先進国がこぞって志向していた「小さな政府」を民営化という形で具現化したものであるのは当然のこととして、国内の政治情勢の観点から見ると、国鉄労組の動員力を背景につけた社会党の勢力を弱め、自民党による「55年体制」を終焉させる(そしてそれとほぼ時を同じくして昭和も終焉する)という中曽根康弘の強い意志に表れであったということである。当時の政治的な権謀術数は、当時官房長官を務めていた後藤田正晴の「情と理」にも詳しく、それと重ねて読むと、その凄まじさと、「かつての日本の内閣は、沖縄返還(佐藤栄作)や国鉄民営化(中曽根康弘)など、ある特定の政治的命題を遂げるのだという強い意志を持っていた」という同士の評をよく理解することができる。

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2017年04月08日

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国鉄改革の裏舞台を、政治、国鉄当局、労働組合、それぞれの立場から詳細に記録したもの。
「未完の国鉄改革」「国鉄改革の真実」にも、触れていないことが多く、語られている。

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2017年03月20日

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国鉄は戦後も公共企業体として再出発しながらも政治との蜜月が続き、利権化されていた。さらには戦後の民主化政策で労働組合が力を増し、五十五年体制を作り上げる。国鉄はまさに昭和の腐敗した歴史の象徴であり、それが解体していく様は圧巻。
また、中曽根首相の先見の明、断固とした決意、圧倒的な政治感覚には目を見張るものがある。
以前読んだ国鉄改革の本は、葛西の視点によっており重視しているポイントも違うように感じたので、そちらも改めて読み直し比較してみたいと思った。

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2021年02月15日

Posted by ブクログ

 先日読んだ同著者の「暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史」が裏の歴史だとすると、先に書かれた本書は国鉄改革の表の歴史である。

 国鉄分割最後まで分割・民営化に反対した国労の歴史は戦後まで遡る。
 シベリア抑留から帰国した、田中角栄の戦友、細井宗一から国労の歴史が語られる。

 機関助士廃止反対運動、マル生粉砕、スト権スト。
 国鉄当局と国労との泥仕合の中で分離した動労など、労使関係は累積赤字とともに悪化の一途をたどる。

 そして国鉄再建の道として示されたのが分割・民営化案だった。
 しかし、審議される頃には国鉄総裁はレームダック、運輸省と国鉄上層部は分割・民営化案を潰しにかかる。
 手を結んだのは、国鉄若手官僚と政府だった。

 これは国鉄解体にとどまらない。
 昭和62年4月1日にJRとして新しく発足したその日は、昭和の解体と言っていいほどの意味を持っていた。
 これが国鉄解体、表の歴史である。

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2020年01月20日

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昭和の一大事件である国鉄分割・民営化に関わったさまざまな人物の証言を元に再検証する500ページ超の大著。改革派・国体護持派それぞれの思惑が交錯する様はまさにスペクタクルで読み応え抜群!タイトルが「国鉄解体」ではないのも、読み終えればこれしかないと思えるのにも驚いた。

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2019年09月10日

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国鉄分割民営化に関して、出来事や関わった人の心中が詳細に記されています。
自分が生まれる前に日本で何が起こっていたのか、また、今のジェイアールの労使関係のルーツがよくわかりました。
非常に丁寧に取材、調査されており、かつ分かりやすく書かれた素晴らしい本だと思います。

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2018年06月29日

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国鉄がいかに腐敗していたか、そしてJRに転換することが必然だったかよくわかる一冊。
今のビジネスマインドでは通用しない事がまかり通る時代だったんだと。

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2017年05月05日

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ネタバレ

長かったけど面白かった。知らなかったことがたくさん。国労の人の意見も聞いてみたい。最高裁までの過程もきちんと読んでおきたいと思った。

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2017年09月13日

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